多いのは、春の新1年生ではなかった — 秋、子どもの帰り道で変わること

生活/暮らしmemStock編集部
多いのは、春の新1年生ではなかった — 秋、子どもの帰り道で変わること

夕方、退勤しようとして外に出たら、思ったより暗い。子どもはもう帰宅している時間だ、と気づく。9月に入ると、そういう日が増えていきます。東京の場合、日の入りは9月から11月の3か月で1時間41分早まります(国立天文台による2026年の値)。帰る時刻を変えていなくても、歩いている条件のほうは動いていく、ということです。

数が多いのは、春ではなかった

内閣府の「令和7年交通安全白書」に、通学路の交通安全を扱った特集があります。2020年から2024年までの5年間の合計で見ると、歩行中に亡くなったり重傷を負ったりした小学生は、1年生が446人、2年生が453人。学年が上がるにつれて減っていきます。まず分かるのは、入学したばかりの子だけの話ではない、ということです。

月別で見ると、印象が変わります。小学1年生に絞った数字は、4月が27人。6月は40人。そして10月が61人で、最も多くなっています。入学直後の春よりも、登下校に慣れたころのほうが、数の上では多いということになります。

同じ時期の別の資料にも、関連する数字があります。「令和8年秋の全国交通安全運動推進要綱」(中央交通安全対策会議 交通対策本部決定、2026年7月1日)によると、歩行中の小学生の死者・重傷者は、登下校中が全体の約4割を占めるとされています。

この要綱には、こうも書かれています。「日の入り時刻が急激に早まる秋口以降は、夕暮れ時から夜間にかけて重大事故が多発する傾向にあり、その多くが歩行者事故である」。

「同じ17時」の意味が、季節で変わる

警察庁は「薄暮時間帯」を、日の入り時刻の前後1時間と定義しています。日の入りは月日や地域によって動くので、この1時間も季節とともに移動していきます。

国立天文台による2026年の東京の日の入りは、9月1日が18時9分、10月1日が17時26分、11月1日が16時46分。薄暮時間帯に置き換えると、9月1日は17時9分から19時9分、11月1日は15時46分から17時46分になります。

つまり、9月1日の17時はまだ薄暮に入る前ですが、11月1日の17時は薄暮のただ中です。「17時に帰る」という同じ言葉が、季節によって別の状況を指しているわけです。

先ほどの白書には、時間帯の数字もあります。小学生の歩行中の事故は14時から15時台が最も多く、次いで16時から17時台(2020年から2024年の合計)。この16時から17時台が、秋が深まるにつれて、そのまま薄暮の時間帯に入っていきます。

警察庁の分析によると、2021年から2025年の5年間で、薄暮時間帯の死亡事故は7月以降に増加傾向に転じ、10月から12月にかけて最も多く発生しています。またこの時間帯の死亡事故のうち、車と歩行者による事故が占める割合は50%。昼間の21%と比べて、はっきり高くなっています。

日の入り時刻は地域によってかなり違います。お住まいの地域の値は、国立天文台のウェブサイトで調べられます。警察庁が薄暮の分析に使っているのも、同じ国立天文台の計算による日の入り時刻です。

明るい色の服では、足りていないかもしれない

暗いと見えにくい、というのは感覚として分かります。ただ、どのくらい見えていないのかは、数字にしないと分かりません。

夜間、下向きのライトで走る車から歩行者が見える距離は、暗い色の服装で約26メートル、明るい色の服装で約38メートル、反射材をつけている場合は約57メートル以上とされています。一般社団法人日本反射材普及協会の調べによるもので、埼玉県警察のサイトなどで紹介されています。

同じページには、停止距離も載っています。時速40キロで約22メートル、時速50キロで約32メートル、時速60キロで約44メートル。いずれも路面の状況などによって変わる、という前提つきの数字です。

並べてみると、明るい色の服の約38メートルは、時速60キロの車の停止距離である約44メートルに届いていません。「明るい服を着せているから」という判断は、数字の上ではまだ足りていない可能性がある、ということになります。反射材について警察庁は、着用している歩行者は着用していない歩行者よりも2倍以上手前で発見できるといわれている、と説明しています。

なお2026年9月1日から、中央線などのない生活道路の法定速度が時速30キロに引き下げられます。速度が下がれば止まるまでの距離も短くなりますが、対象は生活道路に限られるため、通学路のすべてが変わるわけではありません。

その時間、親は職場にいる

ここまでの話には、共働きの家庭に固有の事情が重なります。秋以降、子どもが帰る時刻が薄暮の時間帯に入ってくる一方で、その時間、親の多くは職場にいます。

行政の啓発資料を読むと、前提の違いが見えてきます。秋の全国交通安全運動の要綱には「保護者等から幼児・児童への教育を促す」「こどもと保護者が一緒に学ぶ」「保護者等を交えた交通安全総点検」といった記述が並びます。大人がそばにいて教えることが、前提に置かれているように読めます。

これは資料の書き方の問題というより、家庭の側の条件が多様だということです。夕方に一緒に歩ける家庭もあれば、その時間の帰り道を見られない家庭もあります。後者の場合にできるのは、同行することではなく、条件のほうを先に整えておくことになります。

今日、確かめられること

秋の全国交通安全運動は、2026年は9月21日から30日までの10日間です。重点のひとつに「歩行者の安全確保と反射材用品の着用促進」が挙げられています。

とはいえ、運動の期間を待つ必要はありません。たとえば今日、お住まいの地域の日の入り時刻を調べてみる。子どもが帰る時刻と並べてみると、いま何時から薄暮なのかが分かります。そしてその線は、10月、11月と動いていきます。

ランドセルや上着に反射するものが付いているかどうかも、見れば分かります。付いているなら、それがどこに付いているか。背中だけなのか、横からも見えるのか。

秋になると条件が変わります。変わったのは子どもの側ではなく、外の明るさのほうです。そのことを一度知っておくと、帰りが遅くなりそうな日に、少し違う判断ができるかもしれません。

本記事で紹介した統計は、内閣府「令和7年交通安全白書」(2020年から2024年の合計)および警察庁「薄暮時間帯における交通事故防止」(2021年から2025年)によるものです。日の入り時刻は国立天文台による2026年の東京の値で、地域によって異なります。お住まいの地域の日の入り時刻は、国立天文台のウェブサイトで確認できます。

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