園で起きた事故の数字は、何を数えたものか — 未就学児を預ける家庭が知っておけること

生活/暮らしmemStock編集部
園で起きた事故の数字は、何を数えたものか — 未就学児を預ける家庭が知っておけること

子どもを預けている施設で、どれくらいの事故が起きているのか。気にはなるけれど、自分から調べに行くことはあまりない。年に一度、国が集計を公表しています。2026年7月に出たのは、2025年(令和7年)の1年分をまとめたものです。件数だけを取り出すと大きな数字に見えますが、その集計が何を数えたものなのかは、数字の手前に書かれています。そこから順に見ていきます。

その集計に載るのは、すべてのけがではありません

こども家庭庁の「令和7年教育・保育施設等における事故報告集計」は、報告の対象をこう説明しています。「教育・保育施設等で発生した死亡事故、意識不明事故(どんな刺激にも反応しない状態に陥ったもの)及び治療に要する期間が30日以上の負傷や疾病を伴う重篤な事故」。

つまり、園で転んですりむいた、少し腫れた、といった日常のけがは含まれていません。集計に載るのは、この基準を満たしたものだけです。対象になる施設や事業は幅広く、保育所や幼稚園、認定こども園のほか、一時預かり事業や病児保育事業、放課後児童クラブなども含まれています。

この範囲は、はじめからこうだったわけではありません。集計資料には制度の経緯が載っていて、2015年に報告の対象となる施設・事業が拡大され、2017年には認可外保育施設などが、2023年にはさらに別の事業が報告の義務の対象になっています。2025年からも2つの事業が加わりました。つまり件数の増減には、報告の仕組みが変わったことによる部分も含まれます。

報告された事故のうち、81%にあたる2,533件が骨折によるものでした。この割合が高いのは、報告の基準が「治療に30日以上」だからです。骨が折れれば、その期間に届くことが多くなります。逆にいえば、治療が30日に満たなかったけがは、件数がどれだけあってもこの集計には現れません。園で骨折ばかりが起きている、という話とは違います。

未就学児が通う施設と、放課後児童クラブは分けて示されている

この集計には、保育所や幼稚園、認定こども園といった未就学児が通う施設と、放課後児童クラブなどの両方が含まれています。そして数字は、分けて示されています。

未就学児が通う施設等の報告は2,353件で、前年より77件減りました。放課後児童クラブ等は777件で、前年より16件増えています。合計は3,130件です。この合計だけを見ると、未就学児が通う施設の数字としては多く見えることになります。

死亡についても分かれています。未就学児が通う施設等で国に報告された死亡事故は、2025年は0件でした。前年は3件、その前の年は9件です。

施設の種別ごとに見ると、認可保育所が1,313件、幼保連携型認定こども園が615件、幼稚園が87件などとなっています。

数字の大きさをどう受け取るかは、分母によっても変わります。同じ集計に併記されている数字を挙げると、認可保育所に通う子どもは約165万人、幼保連携型認定こども園は約85万人です。

ただし、年ごとの数字をそのまま比べることはできません。先ほどの報告対象の広がりに加えて、意識不明の定義も2024年の報告分から変わっています。2024年と2023年の集計は、2026年7月に修正されました。なお、件数が減った理由について、集計資料に説明はありません。

多いのは、動けるようになった年齢の子ども

年齢別の数字を見ると、0歳が7件で最も少なく、1歳113件、2歳235件、3歳306件、4歳514件、5歳777件と増えていきます。認可保育所だけを取り出しても、0歳0件、1歳79件、5歳408件と、同じ並びでした。

場所は、施設内の室内が1,399件、室外が1,400件で、ほぼ同数でした。施設の外で起きたものは331件です。

園庭が危ない、という読み方をしたくなるかもしれません。ただ年齢別の並びを見ると、走る、跳ぶ、登るといったことができるようになるほど件数が増えている、という読み方もできます。室内と室外がほぼ同数だったことも、場所だけでは説明がつかないことを示しています。集計資料にその分析は書かれていないので、どちらかに決めることはできません。

数字のほかに、手元にある情報

この集計は、こども家庭庁のサイトで公表されています。毎年公表されていて、過去の年の分も同じページに残っています。あわせて、報告された事故の情報をまとめた「教育・保育施設等における事故情報データベース」も公開されています。

どちらも、誰でも見られる形になっています。

もうひとつ、園から家庭への説明についても、国のガイドラインに書かれていることがあります。こども家庭庁の「教育・保育施設等における事故防止及び事故発生時の対応のためのガイドライン」は、事故が起きたときの対応として、事故の概況(発生の経緯、発生時の様子、受診結果など)を「具体的、かつ、客観的に説明するように心がける」としています。保護者からの質問については、「確認できた内容の範囲内において説明する。不明な点や確認中の点については、その旨を伝える」とも書かれています。

その場ですべてが分かるとは限らない、という前提で手順が組まれている、ということです。同じガイドラインには、事故に関わった職員への心のケアについての記述もあります。園の側も、その出来事の中にいます。

数字が答えてくれないこと

集計が示すのは、起きたことの件数です。起きなかったことは示しません。0件という数字は、その年に報告がなかったという事実であって、この先の保証ではありません。

そして、前の年に3件、その前に9件あったという数字の向こうには、それぞれの家庭があります。件数が減ったという事実は、その人たちにとって何かを埋めるものではありません。

数字を知る意味があるとすれば、たぶん安心するためではなく、何が数えられていて、何が数えられていないのかを分かっておくため、というくらいのことです。それだけでも、次に同じ数字を見かけたときの受け取り方は変わります。園から何かを知らされたときにも、その出来事を大きすぎず小さすぎず受け止める手がかりになります。

本記事の数字は、こども家庭庁「令和7年教育・保育施設等における事故報告集計」(2026年7月公表)によります。この集計に含まれるのは、死亡事故、意識不明の事故、治療に30日以上を要する負傷や疾病を伴う重篤な事故として国に報告があったもので、施設で起きるすべてのけがではありません。また報告の対象となる事業は年々追加されており、年ごとの数字をそのまま比べることはできません。

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