学童の対象は96%の市町村で小6まで — それでも、待機がいちばん多いのは4年生です

生活/暮らしmemStock編集部
学童の対象は96%の市町村で小6まで — それでも、待機がいちばん多いのは4年生です

九月に入ると、自治体から翌年度の放課後児童クラブ——学童の案内が届く家庭があります。いま1年生や2年生の子を預けていると、来年もその次も、同じように続いていくように見えます。

ただ、こども家庭庁が公表している数字を学年順に並べてみると、少し違う景色が見えてきます。学童に入れなかった子がいちばん多い学年は、1年生ではありません。

学童に入れなかった子が、いちばん多い学年

こども家庭庁「令和7年 放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)の実施状況」から、待機児童数を学年別に並べたものです。令和7年(2025年)5月1日現在の確報値です。

学年 待機児童数 構成比
小学1年生 1,966人 12.0%
小学2年生 1,805人 11.1%
小学3年生 3,305人 20.2%
小学4年生 5,589人 34.2%
小学5年生 2,644人 16.2%
小学6年生 1,021人 6.3%
16,330人 100.0%

小学4年生が5,589人で最多です。全体の34.2%ですから、待機児童のおよそ3人に1人が4年生ということになります。1年生(1,966人・12.0%)の約2.84倍です。

ひとつ、読み違えやすい点があります。4年生の待機児童が増えているわけではありません。実数では前年の5,707人から118人減っています。全体が1,356人減るなかで4年生の減り方が小さかったため、割合としては32.3%から34.2%へ上がりました。

なお、ここでいう待機児童は「利用申し込みをしたが、何らかの理由で利用(登録)できなかった児童」を指し、申し込んだところとは別のクラブに通えている子は含まれません。「入れたらよかった」と考えている家庭の数より、少なめに出る数字です。

より新しいデータもあります。令和8年(2026年)5月1日現在の速報値では、待機児童の総数は14,713人(前年比1,617人減)。ただしこちらには学年別の内訳がありません。

学年ごとの姿が見えるのは、いまのところ令和7年5月1日現在の確報値までです。令和8年度の確報値は、今年12月下旬を目途に公表される予定とされています。

「4年生から入れない」という制度は、ありません

児童福祉法が放課後児童健全育成事業の対象として挙げているのは「小学校に就学している児童であつて、その保護者が労働等により昼間家庭にいないもの」です。学年の上限は書かれていません。こども家庭庁は「平成27年度から法改正により対象児童を『おおむね10歳未満』から小学6年生までと明確化」と説明しています。

自治体のルールのレベルでも同じです。学童を実施している1,633市町村のうち、条例や要綱で対象を「小学校6年生まで」と定めているのは1,568市町村、96.0%にのぼります(令和7年5月1日現在・確報値)。「小学校3年生まで」は35市町村(2.1%)、「小学校4年生まで」は29市町村(1.8%)で、合わせても4%に届きません。ゼロではありませんが、ごく少数です。

登録児童数の動きも、この見方を支えます。同じ調査によれば、4年生の登録児童数は198,714人で、前年から14,716人増えました。実数では全学年でいちばん大きな増え方です。高学年が締め出されている、という単純な構図ではありません。

33万人と、19万人のあいだ

一方で、同じ調査の登録児童数を学年順に並べると、はっきりした段差が現れます(令和7年5月1日現在・確報値)。

学年 登録児童数 構成比
小学1年生 456,418人 29.1%
小学2年生 422,493人 26.9%
小学3年生 338,356人 21.5%
小学4年生 198,714人 12.7%
小学5年生 102,111人 6.5%
小学6年生 52,553人 3.3%
1,570,645人 100.0%

低学年(1〜3年生)が全体の77.5%を占めています。そして3年生の338,356人と4年生の198,714人のあいだには、約14万人の差があります。

ここは慎重に読む必要があります。これは同じ子どもたちを追いかけたデータではなく、同じ日に別々の学年を数えたものです。そして、この差がなぜ生まれているのかは、この統計からは分かりません。申し込んだけれど入れなかったのか、そもそも申し込まなかったのか、公表されている数字は区別していないからです。

手がかりになりそうな数字が、同じ調査にひとつあります。利用にあたって優先的な取扱いを行っている市町村は833、学童を実施している市町村の51.0%です。そのうち672市町村(優先的な取扱いを行う市町村の80.7%、全体では41.2%)が、優先の対象として「低学年の児童など、発達の程度の観点から配慮が必要と考えられる児童」を挙げています。優先項目のなかでは最も多いものです。

制度としては全学年が対象で、96%の自治体がそう定めている。その上で、選考にあたって「低学年など、発達の程度の観点からの配慮」を優先項目に置いている自治体が4割ある。制度と運用の二層構造が、学年別の数字の背後にあります。ただし残り半分の市町村は優先的な取扱いそのものを行っておらず、これが待機の原因だと言い切れるところまで、データは示していません。

全国の数字は、自分の家の確率ではありません

ここまでの数字は、すべて全国の合計です。自分の家に当てはめる前に、見ておきたい数字がもうひとつあります。

待機児童がいる市町村は、全国1,741市町村のうち377市町村。21.7%です。裏を返せば、約8割の市町村では、待機児童が1人も報告されていません(令和7年5月1日現在・確報値)。

地域による偏りも大きくなっています。令和7年5月1日現在では、東京都(3,360人)、埼玉県(1,681人)、兵庫県(1,464人)、千葉県(1,106人)、神奈川県(1,067人)の5都県で全体の約5割を占めていました。令和8年5月1日現在の速報値になると、上位5つは東京都・埼玉県・兵庫県・愛知県・沖縄県と顔ぶれが変わります。1年で入れ替わる程度には、地域の事情で動く数字です。

全国の合計だけを見ると、定員は足りているようにも見えます。利用定員数1,664,270人に対して、登録児童数は1,570,645人(いずれも令和7年5月1日現在・確報値)。ただしこれは全国を足し上げた話で、実際に通えるのは自分の学区のクラブです。

基準日も気に留めておくと役に立ちます。ここまでの待機児童数は、いずれも5月1日時点のものです。令和7年10月1日時点の速報値では、待機児童は7,363人。同じ年度の5月1日(16,330人)に対して45.1%まで減っています。

この10月の値は速報値で、確報化の予定はないとされています。公表資料自身も「年度後半にかけて登録児童数、待機児童数共に減少する傾向にある」と注記しています。

秋に、一度話しておく

申込の時期は、自治体によってかなり違います。令和9年度分の受付をすでに公開している自治体もあり、滋賀県長浜市は民間クラブが2026年9月24日から10月2日、公設クラブが10月6日から16日。愛知県安城市は11月1日から20日で、申請はオンラインのみとされています(いずれも2026年8月23日時点の各市の案内)。一方、待機児童の多いさいたま市は、同じ時点ではまだ令和9年度の案内を公開していません。

全国で「だいたいこの時期」と言える統計はなく、自分の自治体のページを見るしかないのが実情です。そのページで見ておくとよいのは、対象としている学年、受付の期間、そして選考で優先される事情があるかどうか。多くの自治体は、この3つを同じ場所に書いています。

国の側の時間軸も示されています。放課後児童対策パッケージ2026は「令和12(2030)年頃までに、約165万人分の受け皿整備を進める」という目標を掲げました。女性の就業率の上昇を踏まえると登録児童数は2030年頃に約165万人でピークを迎える、という推計に対応したものです。なお、この文書が課題として名指ししているのは「小1の壁」で、「小4の壁」という言葉は出てきません。

3年生と4年生のあいだにある約14万人の差が、どんな事情の集まりなのかは、統計からは見えません。放課後の過ごし方は家庭ごとに違います。家で過ごす日を増やす家も、別の場所に通う家も、学童を続ける家もあります。どれが正解かを、この数字は教えてくれません。

家族のやりとりが集まる場所を作っていると、一年に一度しか出てこない相談ほど、決まらないまま流れていくのだと感じます。来年の放課後をどうするか、というような話です。

秋に案内が届いたら、申込書を書く前に一度、来年の放課後をどうしたいかを話してみる。子どもがどう思っているかは、案外まだ聞いていないかもしれません。数字が教えてくれるのは、その会話を早めに始めておくと選択肢が増える、ということくらいです。

本記事の数値は2026年8月時点で公表されているこども家庭庁の資料によります。学年別の内訳は令和7年(2025年)5月1日現在の確報値が最新で、令和8年度の確報値は2026年12月下旬を目途に公表される予定とされています。

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