「無償化」で教育費の不安は本当になくなるのか? — 2026年、親が知っておきたいお金のリアル

お金の話memStock編集部(更新: 2026年4月9日
「無償化」で教育費の不安は本当になくなるのか? — 2026年、親が知っておきたいお金のリアル

この4月、お子さんの給食費の引き落としが止まった家庭も多いのではないでしょうか。公立小学校の給食費が無償化され、さらに高校授業料の所得制限も撤廃。「教育費の無償化」が一気に動き出した春です。でも「無償化」と聞いて、どこまで本当にタダになるのか、ピンとこない方もいるかもしれません。実際にいくら浮いて、何が残るのか。家計の目線で整理してみます。


2026年、教育費の「無償化」で何が変わった?

今年度スタートした制度を中心に、教育費に関する大きな変更は3つあります。

1. 公立小学校の給食費無償化(2026年4月〜)

公立小学校に通う児童の給食費が、全国一律で無償化されました。所得制限はなく、手続きも不要。国から月額5,200円が支援され、保護者の負担がなくなります。

全国の平均給食費(約4,700円)をもとに設定された金額のため、ほとんどの学校ではカバーされますが、給食費が月5,200円を超える学校では超過分が自己負担になります。

なお、公立中学校の給食費は今回の国の制度では対象外です。ただし、約30%の自治体がすでに独自の予算で中学校まで無償化を実施しており、お住まいの地域の状況は確認しておくとよいでしょう。

2. 高校授業料の所得制限撤廃(2026年度〜)

高校の就学支援金から所得制限がなくなりました。これまで年収約910万円以上の世帯は支給対象外でしたが、2026年度からは全世帯が対象です。

公立高校 私立高校
支給額(年額) 11万8,800円 最大45万7,200円
所得制限 なし(2026年度〜) なし(2026年度〜)

私立高校に通う子どもがいる世帯では、年収帯によっては支給額が大幅に増えます。年収590万〜910万円の世帯は年約34万円の増額、910万円以上の世帯はこれまでゼロだった支給が年45.7万円に。約80万人が新たに支援を受けられるとされています。

なお、年収590万円未満の世帯も旧制度の39.6万円から45.7万円に引き上げられています。

ただし、就学支援金は申請が必要です。学校を通じて案内が届くので、忘れずに手続きしてください。

3. 多子世帯の大学授業料無償化(2025年4月〜)

扶養する子どもが3人以上いる世帯は、所得制限なしで大学の授業料と入学金が減免されます(2025年度から開始済み)。

授業料(年額上限) 入学金(上限)
国立大学 53万5,800円 28万2,000円
私立大学 70万円 26万円

注意しておきたいのは、扶養人数の変動です。3人きょうだいの場合、第1子が卒業して扶養から外れると、残りの子どもが在学中でも「3人以上」の要件を満たさなくなり、制度の対象外になる可能性があります。きょうだいの年齢差が大きい場合は、あらかじめシミュレーションしておくと安心です。

子ども2人以下の世帯は、従来どおり年収約380万円以下を対象とした修学支援新制度のみが利用可能です。


家計で試算 — 無償化で「浮くお金」はいくら?

制度の内容がわかったところで、実際にどれくらいの金額が浮くのかをステージ別に試算してみます。

小学校6年間(給食費無償化)

月5,200円 × 11か月 × 6年 = 約34万円

手続き不要で自動的に適用されるため、「気づいたら引き落としが止まっていた」という方も多いかもしれません。

高校3年間(授業料の所得制限撤廃)

  • 公立高校(年収910万円以上の世帯が新たに得られる軽減額): 年11.8万円 × 3年 = 約36万円
  • 私立高校(年収910万円以上の世帯): 年45.7万円 × 3年 = 最大約137万円
  • 私立高校(年収590万〜910万円の世帯の増額分): 年約34万円 × 3年 = 約102万円

大学4年間(3人以上世帯)

  • 国立大学: 授業料53.6万円 × 4年 + 入学金28.2万円 = 約242万円
  • 私立大学: 授業料70万円 × 4年 + 入学金26万円 = 約306万円

たとえば、子ども3人の世帯で全員が私立高校・私立大学に進学した場合、給食費の無償化も合わせると約700万円以上の負担軽減になる計算です(ただし大学の無償化は扶養3人以上が条件のため、第1子の卒業時期によっては全員がフルに適用されるとは限りません)。


「無償化」でも残る教育費、知っておきたいリアル

一方で、「無償化=全部タダ」ではありません。授業料や給食費以外にも、教育にかかるお金はあります。

公立小学校(給食費無償化後も残る費用)

教材費、遠足・校外学習費、PTA会費、学用品費など、学校に関わる自己負担は年間約10万円が目安です。これに塾や習い事を加えると、公立小学校の平均的な学習費総額は年約33.6万円(文部科学省「子供の学習費調査」)。給食費が浮いても、教育費全体がゼロになるわけではありません。

公立中学校

中学校は給食費が国の制度では無償化されていないうえ、制服代(5〜10万円)、部活動費、塾代などが加わります。学校関連だけで年約17万円、塾代の平均は年約36万円。進学を意識し始める時期でもあり、費用がかさみやすい段階です。

私立高校(授業料無償化後も残る費用)

就学支援金の対象は授業料のみです。入学金(約20万円)、施設設備費(年10〜20万円)、制服・通学費・修学旅行費・部活動費などを合わせると、授業料以外で年20〜40万円、入学時には40〜60万円程度の準備が必要です。

大学

3人以上世帯で授業料が無償化されても、施設費(私立の場合)、教科書代、通学費、一人暮らしの場合は生活費がかかります。2人以下の世帯は所得制限付きの支援のみで、対象外であれば授業料は全額自己負担です。

文部科学省の調査によると、幼稚園から高校まで15年間の学習費総額は、オール公立で約596万円、オール私立で約1,976万円。無償化で負担は確実に軽くなっていますが、「教育費の心配がなくなる」とまでは言えないのが正直なところです。


浮いたお金、どう活かす?

見方を変えれば、これまで給食費や授業料に充てていたお金が自由になったということ。その分を少し意識して使うだけで、家計の選択肢は広がります。具体的に、3つの方向性で考えてみます。

今の暮らしに使う — 子どもがやりたがっていた習い事を始める、学校の体験学習の機会を増やすなど、「あきらめていたこと」に充てる選択肢があります。

将来に備える — 月5,200円の給食費が浮いたなら、その分をNISA(つみたて投資枠)で積み立てるのも一つの方法です。仮に月5,000円を年利3%で18年間積み立てると、約140万円になります。大学進学時の備えとして小さくない金額です。

進路の選択肢を広げる — 高校授業料の所得制限がなくなったことで、「うちには私立は無理」と思っていた家庭にも選択肢が広がりました。授業料以外の費用は残りますが、年45.7万円の支援があるかないかでは、進路を考えるときの気持ちは変わるのではないでしょうか。


制度を知ることは、選択肢を増やすこと

教育費の無償化は、「お得になった」という話ではなく、社会全体で子どもの学びを支える仕組みが少しずつ広がっているということです。

すべてがタダになるわけではないし、制度にはそれぞれ条件や範囲があります。でも、正しく知っていれば、必要以上に不安にならずに済みます。使える制度は使い、浮いた分は家族にとって大切なことに充てる。それだけで、暮らしは少し変わるかもしれません。

新年度が始まったこの時期に、教育費の見通しを家族で話してみるのもよいかもしれません。

この記事は、制度やお金の仕組みを分かりやすくまとめた「一般情報」です。正しさや最新かどうかは、必ず国や金融機関などの公式情報でご確認ください。投資は元本が保証されず、損をする可能性もあります。個別の判断が必要な場合は、金融機関や税理士などの専門家にご相談ください。


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