忙しい家庭の食事、栄養バランスの整え方

働き方・扶養と税memStock編集部(更新: 2026年10月13日)
忙しい家庭の食事、栄養バランスの整え方

保育園のお迎えから帰って、子どもがお腹をすかせて待っている。そんな平日の夕方は、冷蔵庫にあるもので一品を作るだけで手一杯になります。肉か魚とごはんは出せても、野菜のおかずまで手が回らない日が続くと、栄養が足りているのか気になってくるものです。

国の指針が示す「健康的な食事」は、毎食を手作りでそろえることを求めてはいません。国の「食生活指針」(2016年6月一部改正)には、手作りと外食や加工食品・調理食品を上手に組み合わせるという項目があります。この記事では、農林水産省の「食育に関する意識調査」や「食事バランスガイド」、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」、消費者庁の食品表示の資料をもとに、忙しい家庭が何をどれだけそろえればよいかを整理します。

主食・主菜・副菜をそろえられている家庭はどのくらいか

農林水産省が2025年10〜11月に全国の20歳以上を対象に行った「食育に関する意識調査」(2026年3月公表)では、主食・主菜・副菜を3つそろえて食べることが1日に2回以上ある日が「ほぼ毎日」の人は36.1%でした。20〜39歳に限ると23.8%にとどまり、「ほとんどない」が22.1%います。

主食はごはん・パン・麺、主菜は肉・魚・卵・大豆製品を使ったメインの料理、副菜は野菜・きのこ・いも・海藻を使った小鉢や小皿の料理を指します。そろえられていない人に何が欠けているかを聞くと、「副菜」が80.8%で最も多く、「主菜」17.5%、「主食」11.6%を大きく上回りました。

3つそろえる回数を増やすために必要なこととしては、「手間がかからないこと」が63.3%で最も多く、「食費に余裕があること」50.2%、「時間があること」49.7%が続きます。足りないのは主に野菜のおかずで、その理由は手間と時間だと答える人が多い、というのが調査の結果です。

食事の準備の仕方も家庭によって違います。同じ調査で「ほとんどのものを食材から調理して」準備している人は30.3%、「一部市販食品を取り入れて」準備している人は39.6%でした。市販食品を組み合わせる家庭のほうが多数派です。

食事バランスガイドで「何をどれだけ」を確かめる

1日に何をどれだけ食べればよいかの目安には、厚生労働省と農林水産省が2005年に決めた「食事バランスガイド」が使えます。食事を主食・副菜・主菜・牛乳・乳製品・果物の5つに分け、それぞれを「つ(SV)」という単位で数える仕組みです。

1つ(SV)の量は区分ごとに決まっています。副菜は野菜・いも・きのこ・海藻などの主材料の重量で約70g、主菜は肉・魚・卵・大豆製品に由来するたんぱく質で約6g、主食はごはんやパン、麺に由来する炭水化物で約40gです。おひたしなどの小鉢1皿がおよそ副菜1つ(SV)にあたると、農林水産省は説明しています。

必要な量は性別・年齢・身体活動量で変わります。2,200±200kcalを想定した「基本形」では、主食5〜7つ、副菜5〜6つ、主菜3〜5つ、牛乳・乳製品2つ、果物2つが1日の目安です。子どもの分は農林水産省の「チェックチャート」で年齢別に確かめられ、成長期の牛乳・乳製品は1日2〜3つが目安です。

副菜5〜6つは、野菜料理を毎食1〜2皿、1日5皿程度と言い換えられます。厚生労働省の「健康日本21(第三次)」は野菜摂取量の目標を1日350g以上としていますが、農林水産省によると2023年の国民健康・栄養調査での平均は256.0gでした。毎日の夕食に小鉢を1皿足すだけでも、この差を縮める方向に動きます。

不足しやすい副菜を手間をかけずに足す

副菜を毎回一から作ろうとすると、平日の夕食では時間が足りません。農林水産省の食育サイトは、野菜を洗って切るだけのサラダに加えて、すでにカットされた状態で売られているカット野菜の利用を勧めています。調理の時間がないときには市販の冷凍食品を使う方法も挙げ、下ゆでされているので料理に使いやすいと説明しています。

農林水産省は、野菜は炒めたり煮物や汁物にしたりと火を通すとかさが減り、一度にたくさん食べられるとも説明しています。ただし、火を通しすぎるとビタミンやミネラルが失われたり煮汁に流れ出したりするとして、加熱時間に気をつけるよう呼びかけています。

総菜や弁当で済ませる日も、組み合わせ次第で副菜を補えます。農林水産省は、いつもの弁当にサラダやあえ物、煮物などの副菜をプラスすること、丼物より定食を選ぶことを、野菜を増やす工夫として挙げています。主菜は総菜を買い、ごはんと汁物、小鉢だけ家で用意するといった分け方も、食生活指針の「組み合わせる」の範囲に入ります。

市販食品は栄養成分表示の食塩相当量を見る

市販の総菜や加工食品を組み合わせるとき、量を確かめやすいのが食塩です。厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」は、食塩の1日の目標量を成人男性7.5g未満、女性6.5g未満としています。一方、2023年の国民健康・栄養調査での平均は9.8gで、目標量を上回っています。

容器包装に入った加工食品には、食品表示基準に基づく栄養成分表示が義務付けられています。表示されるのは熱量(エネルギー)、たんぱく質、脂質、炭水化物、ナトリウムの5つで、ナトリウムは「食塩相当量」として示されます。同じような商品で迷ったときは、この食塩相当量を比べるのが手軽な方法です。食生活指針も、栄養成分表示を見て食品や外食を選ぶ習慣をつけるよう勧めています。

消費者庁は、栄養成分表示の見にくさを補う取り組みとして「日本版包装前面栄養表示ガイドライン」をまとめました。食品表示基準に位置付けない任意のガイドラインなので、すべての商品のパッケージ前面に表示が出るわけではありません。前面に表示がない商品は、裏面の成分表示で確かめます。

減塩については、農林水産省が、野菜やワカメ、いも類、果物、牛乳・乳製品に多く含まれるカリウムにも触れています。食塩のナトリウムはカリウムと一緒に体外に排出されるとして、副菜をたっぷりとり、果物と牛乳・乳製品も毎日とるよう勧めています。副菜を足す工夫は、食塩の面でも同じ方向を向いています。

帰りが遅い日と作り置きの扱い

家族の帰宅時間がばらばらで、夕食が遅くなる日もあります。農林水産省は、夕食の時間が遅くなる場合に食事を2回に分ける「分食」を紹介しています。夕方におにぎりなど主食をとり、帰宅後は副菜やおかずだけを食べる方法です。寝る直前に丼物やラーメンなどエネルギーや脂質の多いものを食べると体内時計が乱れたまま翌日を迎えることになる、という説明もあります。

週末の作り置きは平日の負担を減らしますが、保存の仕方には注意が要ります。厚生労働省の家庭向けの食中毒予防の資料は、残った食品は早く冷えるように浅い容器に小分けして保存するよう呼びかけています。冷蔵庫は10℃以下、冷凍庫は−15℃以下に保つのが目安で、低温でも細菌が死ぬわけではないため早めに使い切るよう書かれています。

作り置きや弁当の衛生管理、食中毒予防の詳しい手順は、こちらの記事で扱っています。

子どもと一緒に食事の準備をしたり、食卓で食べ物の話をしたりする食育の基本は、こちらの記事にまとめています。

出典

よくある質問

毎食、主食・主菜・副菜を全部手作りしないといけませんか
その必要はありません。食生活指針には「手作りと外食や加工食品・調理食品を上手に組み合わせましょう」という項目があります。総菜やカット野菜、冷凍食品を組み合わせて、主食・主菜・副菜がそろうようにすれば十分です。
副菜はどのくらい食べればよいですか
食事バランスガイドの基本形では、副菜は1日5〜6つ(SV)が目安です。副菜1つは野菜などの主材料約70gで、おひたしなどの小鉢1皿がおよそ1つにあたります。野菜料理を毎食1〜2皿とるのが目安です。
冷凍食品を使うと栄養が偏りませんか
農林水産省は、調理の時間がないときに市販の冷凍食品を使うことを方法のひとつとして挙げています。冷凍食品を使う日も、食事バランスガイドの5つの区分が1日の中でそろっているかを見ると、偏りに気づきやすくなります。主菜に冷凍食品を使ったら、野菜の小鉢を1皿足すといった組み合わせ方です。
子どもの食事量も大人と同じ目安でよいですか
必要な量は年齢・性別・身体活動量で変わります。農林水産省の「チェックチャート」で年齢ごとの目安を確認できます。成長期の牛乳・乳製品は1日2〜3つ(SV)が目安です。
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この記事を書いた人

memStock編集部

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