チャイルドシートは6歳で卒業? — 目安の150cmに、平均で届くのは中学1年生

生活/暮らしmemStock編集部
チャイルドシートは6歳で卒業? — 目安の150cmに、平均で届くのは中学1年生

帰省の朝、荷物を積みながら上の子が言います。「もう一年生だし、これ外していい?」。誕生日は過ぎていて、体つきは同級生より大きいほうです。シートベルトも自分で締められます。

道路交通法が使用を義務づけているのは6歳未満なので、外しても違反にはなりません。ただ、6歳の誕生日で終わるのは義務のほうです。目安として示されている身長は150cm。平均でそこに届くのは12歳、中学1年生になります。

6歳の誕生日で終わるのは、義務のほうです

道路交通法第71条の3第3項は、「幼児用補助装置」を使わない幼児を乗せて自動車を運転してはならない、と定めています。ここでいう幼児は、同法第14条第3項で6歳未満と定義されています。6歳の誕生日を迎えた日から、運転者にこの義務はかかりません。違反したときの扱いも、神奈川県警察の解説によれば行政処分の基礎点数1点で、反則金はありません。

一方で、6歳以上について公的な資料が黙っているわけではありません。警察庁のサイトに掲載されているシートベルト・チャイルドシート着用推進協議会のリーフレットは、「6歳以上でもチャイルドシートを使用するなど、身長などの体格に合わせましょう」と書いています。国土交通省とナスバのパンフレットは「チャイルドシートの使用義務は6歳未満ですが、シートベルトが正しく利用できるまでは、学童用シートを必ず使用しましょう」。消費者庁の子ども安全メールも「6歳以上になったとしてもシートベルトを正しく使える体格になるまでは、チャイルドシートを使用しましょう」と続けています。

義務が切れることと、体がベルトに合うことは、別々に進みます。警察庁とJAFが2025年5月から6月にかけて全国99か所で行った聞き取り調査(対象13,104人)では、6歳未満全体の使用率は82.4%で、前年より4.2ポイント上がっていました。ただ5歳だけを取り出すと66.7%まで下がり、大人用のシートベルトを締めていた子が12.9%、車の座席にそのまま座っていた子が15.7%います。

目安は2024年に、140cmから150cmへ動きました

JAF(日本自動車連盟)は2024年9月13日に、チャイルドシート(ジュニアシート)の使用目安を身長150cm未満へ変更すると発表しました。それまでの目安が140cm未満だったことは、JAFの公式媒体JAF Mate Onlineが伝えています。いま検索して出てくる解説記事のなかには、140cmのまま止まっているものが混ざっています。

なぜ150cmなのか。リリース本文が書いているのは「6歳以上であっても子どもの体格によってはクルマのシートベルトが十分な効果を発揮できない場合」がある、というところまでです。もう少し具体的な説明はJAFの質問箱にあります。

「大人の体格であれば、シートベルトは、鎖骨の中央付近と腰骨にかかります。しかし、大人の体格に達していない子供がシートベルトをそのまま利用すると、鎖骨の中央付近ではなく首に、腰骨ではなく柔らかい腹部にかかってしまいます」。国土交通省と警察庁の連名リーフレットは、同じことを「シートベルトは成人用に作られています」と一行で書いています。

では150cmはいつ来るのか。文部科学省の令和6年度学校保健統計(2025年2月公表の確定値)では、11歳の平均身長が男子146.0cm・女子147.8cm、12歳で男子154.0cm・女子152.3cmです。平均が150cmを超えるのは12歳、学年でいえば中学1年生になります。小学校のあいだは、平均ではまだ届きません。

シートの区分は、体重から身長へ移りました

手元のシートがどの世代のものか、というのが三つ目の物差しです。製品の安全基準はいま世代交代の途中にあります。消費者庁の説明によると、新しい基準のUN-R129は2023年9月以降これのみが製造できるようになり、従来の体重による区分から、身長に応じた区分へ変わりました。側面衝突時の安全評価が加わり、生後15か月までは前向きで使わないよう定められています。

ただ、車の中で使われているシートのほうは、まだ入れ替わっていません。2025年の全国調査で着座状況を調べた651人分の内訳は、旧基準のR44が56.4%、R129が43.6%でした。半分以上が前の世代のものです。

上の子から回ってきたシートを使ってよいかどうかについては、旧基準品の販売や使用を正面から扱った官庁の文章が見当たりませんでした。確認できるのは、基準に適合した製品には「Eマーク」が表示されていて、それを確かめるよう警察庁掲載のリーフレットが求めていることです。国土交通省と警察庁の連名リーフレットは、マークの番号が「43」以外でも適合品だと補足しています。そのシートがどちらの世代かは、適合範囲が体重表記か身長表記かでも見分けられます。

見るのは身長計ではなく、ベルトが通る場所

150cmは目安であって、その日に測って越えたかどうかを競うものではありません。JAFがリリースで挙げている確認ポイントも、「シートベルトが首やお腹にかからないこと」の一つだけです。

警察庁のサイトにあるリーフレットは、同じことを写真で示しています。学童用シートを使っていない側には「首が危険!」「お腹が危険!」の文字。使った側には「ベルトが首にかからず、腰部をしっかり支えます」。前面衝突では胸と腰に大きな力がかかるため、肩ベルトは肩にかけ、腰ベルトは骨盤をしっかり固定する必要がある、と説明が添えられています。

背もたれのあるジュニアシートと、座面だけのブースターの違いも、ここに出ます。JAFのクイックガイドによれば、背もたれつきは肩ベルトの高さを調節できるので、子どもの首にベルトがかかりません。ブースターはシートベルトによる腹部の圧迫を防いでくれるものの、「体格によっては、肩ベルトが首にかかる可能性もあります」。推進協議会のリーフレットが示す目安の身長にも差があって、背もたれつきが100〜150cm、背もたれなしは125〜150cmとされています。

ベルトの位置が結果を左右することは、統計にも表れています。警察庁のチャイルドシート関連統計では、令和3年から令和7年までの5年間を合計した6歳未満の自動車同乗中の死傷者について、致死率は適正に使っていた場合が0.11%、使っていなかった場合が0.56%でした。約5.3倍の開きです。

同じ全国調査は、取り付けと座り方も見ています。取り付けがしっかりできていたのは445シート中74.8%で、うまくいかなかったときの最多は「腰ベルトの締付け不足」でした。調査資料自身が「膝などを使って体重をかけ、車の座面にチャイルドシートを沈み込ませて」と手順で答えているとおり、力のかけ方の話です。座り方のほうは、学童用シートでの最多が「座席ベルトのよじれ・ねじれ」(31.5%)で、これもベルトの通り道の話です。

使わなくてよいと決められている場面もあります

6歳未満であっても、使わなくてよい場面が政令に書かれています。道路交通法施行令第26条の3の2第3項が挙げているのは、第1号から第8号までの八つです。座席の構造上固定できないとき、人数の都合で全員分を固定できないとき、負傷や障害のため療養上・健康保持上ふさわしくないとき、著しく肥満しているなど体の状態から使えないとき。運転者以外の人が授乳などの世話をしているとき(第5号)や、応急の救護のため緊急に搬送するとき(第8号)も並んでいます。

タクシーやバスの扱いも、ここにあります。第6号が対象にしているのは、一般旅客自動車運送事業に使われる自動車の運転者が、その事業の旅客である幼児を乗せる場合です。裏を返すと、レンタカーやカーシェア、祖父母の車、友人の車は事業ではないので、この号には当たりません。運転する人に義務がかかります。

免除は「その場面なら安全になる」という意味ではありません。政令が定めているのは、装置を使えない事情があるときに運転者を義務違反に問わない、というところまでです。

義務の外側は、家庭が決めることになります

シートを卒業した日を記録する仕組みは、どこにもありません。全国調査の対象は6歳未満までで、義務の外側で何が起きているかを調べた公的な統計は、いまのところありません。

だから次に車に乗せるとき、ベルトを締めさせたあとで一度だけ、肩と腰の通り道を見てみてください。首にかかっていれば、まだ早い。鎖骨と骨盤にかかっていれば、そこが答えです。

家族で決めておくとしたら、「何歳まで使うか」ではなく「どこを見て決めるか」のほうかもしれません。それなら、車が変わっても、下の子の番になっても、そのまま使えます。

この記事の数値は2026年9月8日時点のものです。チャイルドシート使用状況全国調査は毎年9月下旬に公表され、最新は2025年調査です。適合範囲や取り付け方は製品ごとに異なるため、手元のシートの取扱説明書もあわせてご確認ください。JAFは無料のチェックアップイベントで取り付け点検を行っています。

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