学級閉鎖は「子の看護等休暇」の理由になりました

生活/暮らしmemStock編集部(更新: 2026年9月10日
学級閉鎖は「子の看護等休暇」の理由になりました

「明日から学級閉鎖です」。夕方、学校から一斉メールが届きます。子どもは熱もなく、宿題を広げてけろりとしています。それでも明日、学校はありません。

学童が預かってくれるとも限りません。共働きなら、その夜のうちに決めることになります。明日はどちらが休むのか。今年は、その連絡が届く季節が、去年より早く来ています。

今年のインフルエンザは、夏のうちに始まっていました

厚生労働省は2026年8月28日、インフルエンザが流行入りしたと発表しました。第34週(8月17日〜8月23日)の全国の定点当たり報告数が1.11となり、流行開始の目安である1.00を超えたためです。発表文には「感染症法が施行された1999年以来、2009年に次いで二番目に早く」とあります。前のシーズンの流行入りは第39週でした。

数字はその後も上がっています。9月4日に公表された第35週(8月24日〜8月30日)は、全国で定点当たり1.76、報告数6,543。昨年の同じ時期は0.35、1,347でした。

地域の差は大きく開いています。第35週で沖縄県は8.50、石川県は0.28。同じ週のうちに、「もう来ている」県と「まだ静か」な県が並んでいます。厚生労働省の報道発表資料には都道府県別の表が載っているので、自分の県の数字はそこで確かめられます。

子どもが休む日数は、学校が決めているわけではありません

子ども本人がインフルエンザと診断されたときに休む期間は、法令に書かれています。学校保健安全法施行規則 第19条第2号イは「発症した後五日を経過し、かつ、解熱した後二日(幼児にあつては、三日)を経過するまで」と定めています。この期間、出席停止を指示するのは校長です。

条件は二つあり、両方を満たすまで登校できません。発症から5日、そして解熱から2日。数え方は、発症した日と解熱した日をそれぞれ0日目とし、その翌日を1日目とします。東京都立高校や愛知県立学校が配っている資料、こども家庭庁の保育所ガイドラインが、この数え方を説明しています。

水曜日に発症して木曜日に熱が下がった場合で考えてみます。解熱後2日は土曜日まで、発症後5日は月曜日まで。遅いほうを取るので、登校できるのは火曜日からになります。熱が1日で下がっても、休む日数はあまり縮みません。

括弧の中の「幼児にあつては、三日」は保育園児のことです。ただし保育所は学校保健安全法が直接かかる施設ではなく、こども家庭庁のガイドラインが同じめやすを示している、という関係になります。きょうだいが同じ日に発症しても、園児のほうが1日遅れて戻ることになります。

なお、この条文にはただし書きがあります。「病状により学校医その他の医師において感染のおそれがないと認めたとき」は、この限りではありません。最後に決めるのは、診てもらった医師と学校です。

元気なのに行けない日が、別にあります

学級閉鎖は、ここまでの話とは別の制度です。根拠は学校保健安全法 第20条で、「学校の設置者は、感染症の予防上必要があるときは、臨時に、学校の全部又は一部の休業を行うことができる」とだけ書かれています。出席停止を決めるのは校長、臨時休業を決めるのは学校の設置者。主体も違います。

欠席が何%になったら閉鎖するのか、何日閉めるのか。法令に数字はありません。神戸市は欠席率15〜20%を目安とし、期間は5日間を基本(土日祝を含む)としています。これは神戸市の運用であって、全国共通の基準ではありません。

家庭にとって読みにくいのは、むしろこちらです。子どもは元気で、連絡がいつ来るか分からず、期間も学校側が決めます。しかも学童が使えるとは限りません。

姫路市と目黒区は、対象になった学級の児童は放課後児童クラブを利用できないと明記しています。岐阜県八百津町は閉鎖された学級の児童だけが利用できず、ほかの学年は開所。東京都小金井市は家庭で過ごすことを原則としたうえで、やむを得ない事情があり体調の良い子については、前日19時までの連絡と弁当持参で受け入れるとしています。全国一律のルールはないので、通っているクラブの案内を見るしかありません。

この日が欠席になることはありません。文部科学省が示す指導要録の記載事項では、学校保健安全法第20条にもとづいて学年の中の一部を休業した日数も、第19条による出席停止の日数も、「出席停止・忌引等の日数」に記録するとされています。その分は「出席しなければならない日数」から差し引かれます。皆勤も途切れません。

その日のための休暇は、2025年4月に対象が広がりました

「子の看護休暇」という名前を、就業規則で見たことがあるかもしれません。2025年4月1日から、この制度は「子の看護等休暇」になりました。増えた「等」の一文字の中身が、まさに学級閉鎖です。

変わったのは4点です。対象の子が小学校就学前から小学校3年生修了まで(9歳に達する日以後の最初の3月31日まで)に広がりました。取得できる事由に「感染症に伴う学級閉鎖等」と「入園(入学)式、卒園式」が加わりました。

名称が「子の看護等休暇」になりました。そして労使協定で除外できる対象から、「継続雇用期間6か月未満」が撤廃されました。日数は年5日、子が2人以上なら年10日のままです。

厚生労働省の育児休業制度特設サイトは、この事由を「感染症に伴う学級閉鎖等になった子の世話をする場合(子が感染症に罹患していなくても取得可能)」と説明しています。子どもが元気でも取れる、というのが「等」の意味です。

入るのは学級閉鎖だけではありません。育児・介護休業法 第16条の2第1項が引いているのは学校保健安全法第20条の休業で、この条文は「学校の全部又は一部の休業」ですから、学年閉鎖や休校も含まれます。同法施行規則 第33条は、学校保健安全法第19条による出席停止と、保育所等でのこれらに準ずる事由も挙げています。子どもがインフルエンザで出席停止になっている日も、保育園が臨時休園になった日も、同じ休暇で休めることになります。

対象は「感染症に伴う」休業です。台風や大雪で学校が休みになった日は、この事由には入りません。

日数の数え方には引っかかりやすいところがあります。年5日は労働者1人あたりで、子1人につき5日ではありません。子が3人いても法定の上限は10日です。年次有給休暇とは別に与えられます。

使えるかどうかは、就業規則を開かないと分かりません

有給か無給かは、法律が決めていません。厚生労働省が示すモデル規定例は、この休暇を「無給とする」と書いています。「育児・介護休業法のあらまし」も、休暇を取得した日について賃金を支払わないことは不利益な取扱いに当たらないとしています。

有給扱いにしている会社もあります。就業規則を開かないと分からない部分です。

誰が使えるかについては、事業主は申出を拒めないのが原則です(法第16条の3第1項)。労使協定で除外できるのは、実質的に「1週間の所定労働日数が2日以下の労働者」だけです。期間を定めて雇用されている人や、配偶者が専業主婦(夫)である人について申出を拒むことはできないと、「あらまし」は明記しています。2025年4月からは、入社6か月未満を理由にした除外もなくなりました。

取り方は1日単位でも時間単位でもかまいません。「利用については緊急を要することが多いことから、当日の電話等の口頭の申出でも取得を認め、書面の提出等を求める場合は事後となっても差し支えないこととすることが必要」というのが「あらまし」の書き方です。夜に連絡が来て翌朝から休む、という使い方が想定されています。

大人の側には、これほどはっきりした線がありません。季節性インフルエンザは感染症法上の五類で、同法第18条の就業制限の対象には入っていません。親自身が何日休むかは、勤め先の就業規則の問題になります。

熱が出てから決めない、という決め方

制度を調べる作業と、夫婦のどちらが休むかを決める作業は、別ものです。前の作業は今晩でもできます。後の作業はたいてい、連絡が来た当日の夜、二人とも疲れているところから始まります。

つまずくのは、決めるところとは限りません。「今度インフルエンザが来たら前半は自分が休む」と話した記憶はあっても、半年後にその日が来たときには、どちらも中身を思い出せません。家族の連絡を扱うサービスの設計で繰り返し出てくるのも、この落差のほうです。

自分の会社の子の看護等休暇が有給なのか無給なのか、就業規則のどこに書いてあるのか。調べられるのは、子どもが元気なうちだけです。厚生労働省の育児休業制度特設サイトには「子の看護等休暇」のページがあり、家庭の側の言葉で書かれています。制度の中身で迷ったときは、都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)が相談先になります。

今年は、その「元気なうち」が去年より短いかもしれません。流行はもう8月に始まっています。

本記事は2026年9月9日時点で公表されている情報にもとづいています。インフルエンザの発生状況は、厚生労働省が毎週金曜日に更新しています。

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