ChatGPTが「うんうん」と相槌を打つようになりました — 家族旅行前の英会話練習、言葉に詰まっても待ってくれます

年末年始の航空券を押さえた夜、ふと手が止まります。ホテルのチェックイン、レストランでの注文、子どもが熱を出したときの薬局。学校で習った英語は、あの場面で口から出てくるでしょうか。
英会話に関心がある20〜50代400人への調査(スピークジャパン、2025年3月)では、外国人に英語で言いたいことを伝える「自信がある」と答えた人は7.7%でした。同じ調査で訪日外国人130人に対面で聞くと、70.0%が「日本人の英語は意外と理解しやすい」と答えています。話せないのではなく、話していないだけかもしれません。
困りごとの1位は、今も「言葉」です
日本政府観光局(JNTO)によると、2025年に海外へ出国した日本人は14,731,500人(推計値)で、前年から13.3%増えました。月別では8月がいちばん多く、次が3月。家族の長期休暇と重なります。
KDDIが2025年2月に行った調査では、直近の旅行でトラブルや困りごとがあった489人のうち30.9%が「言葉が通じなかった」を挙げ、これが最多でした。クロスデータが2025年12月に10年以内の渡航者2,577人に聞いた調査でも、困ったことの1位は「言葉」で43.0%です。
旅行で使う英語は、2種類に分かれます。入国審査やチェックイン、注文のように、聞かれることも答えることもほぼ決まっている会話。そして道に迷ったときや体調を崩したときのように、その場で組み立てる会話です。前者は出発前に仕込めます。後者は、話せなくても困らない保険を持っておくほうが早い。
出発前の1か月で、型の決まった会話を仕込む
型の決まった会話に向いているのが、リクルートの「スタディサプリENGLISH 新日常英会話コース」です。ニューヨークを舞台にしたドラマ仕立てで、「移動中の飛行機でのシチュエーション」「海外旅行でのトラブルのシチュエーション」といった場面がそのままレッスンになっています。講師の解説動画は1回2分、レッスンは1回最短3分です。
料金はベーシックプランが月額2,178円、12か月パックなら月あたり1,738円(Web申込の場合。ストア経由は金額が異なります)。初回7日間は無料で、2026年10月6日17時59分までは12か月パックが月あたり1,513円になるキャンペーンも出ています。
家族で続けるなら Duolingo です。無料版もありますが、有料の Duolingo Max なら「ロールプレイ」でキャラクター相手に「リンとコーヒーを注文」「道を尋ねる」といった場面を練習できます。「リリーとビデオ通話」は、早口なら繰り返してもらったり、ゆっくり話してもらったりできます。
Max は iOS と Android のアプリからのみ購入でき、料金はアプリ内で表示されます(ビデオ通話は Android 13 以降)。他の5人と共有できるファミリープランもあります。
「通じるかどうか」が不安なら、発音に絞った ELSA Speak があります。録音した英語を発音・イントネーション・流暢さ・文法・語彙の5つに分けて判定してくれるアプリです。子どものアレルギーのある食材名や、滞在先の地名を出発前に何度か言ってみる、といった使い方に合います。無料版では各トピック2レッスンとAI辞書が使え、有料プランの料金は公式サイトで確認してください。
発話量を稼ぐならスピークも候補になります。「海外旅行英語」のコースがあり、AI講師と話し続ける体験は以前の記事「英会話はAI一択になるかもしれない、日本人にぴったりな英会話アプリ『スピーク』」で詳しく書きました。
現地では、話せなくても困らない保険を持っておく
道に迷った、薬が欲しい、財布を落とした。その場で組み立てる会話は、練習より道具です。
Google 翻訳の「ライブ翻訳」は、ヘッドフォンなしでも使えます。交互に話して翻訳をスピーカーで流す「会話」、音声を出さず画面で読む「テキストのみ」、そして分割画面で自分と相手がそれぞれの言語で文字起こしと翻訳を見る「対面モード」があります。話されている言語が切り替わると、マイクが自動で検出します。
ヘルプに載っている対応言語は70以上。ただしオフラインで使えるライブ翻訳は Google Pixel 9、10、11 に限られるので、ほかの端末では現地の通信手段が前提になります。
通信ごと持っていきたいなら、専用機のポケトークです。S2シリーズは90言語以上、170以上の国と地域に対応し、本体価格に通信費が含まれるので回線契約が要りません。2年間の通信つきのポケトークS2で36,300円(税込)、アプリ版もあり、2025年2月の公式記事によれば月額360円です。
KDDIの同じ調査では、回答者1,000人のうち33.9%が「データ使用量が気になりSNSへのアップを控えた」と答えています。通信ごと買っておく意味は、そこにあります。
いちばんのおすすめは、相槌を打ちながら聞いてくれる ChatGPT 音声モード
出発前の練習相手にも、現地の保険にもなるものが1つだけあります。OpenAI の「ChatGPT 音声モード」(英語名は ChatGPT Voice)です。設定で「Live」を選ぶと、2026年7月に出た音声モデル GPT‑Live‑1 か GPT‑Live‑1 mini が会話を受け持ちます。どちらになるかはプランで決まります。
OpenAI の発表文にはこうあります。「会話中、GPT‑Live は「うんうん」や「はい」といった表現で注意を払っていることを示したり、すばやいやり取りに応じたり、考える時間が必要なときにはただ静かに待ったりできます。」聞くことと話すことを同時に行えるので、こちらは話の途中で割り込めますし、逆にゆっくり話すよう頼むこともできます。言葉に詰まった数秒は待ってもらえる。人と話すときの間の取り方が、そのまま入っています。
使い方は頼み方次第です。「入国審査官になって、英語で質問して」「レストランの店員になって」と頼めば練習相手に、「英語と日本語を通訳して」と頼めば通訳になります。役を演じる公式の機能はありません。こちらから頼む使い方です。
通訳については、発表文で「ライブ翻訳まで行える」と示されており、ヘルプにも会話の途中で別の言語で話すよう頼めると書かれています。
料金は日本語の公式ページで無料版 ¥0、Go ¥1,400、Plus ¥3,000、Pro 月額¥16,800から(2026年9月時点)。ただし音声には別の上限があります。公式ヘルプ(2026年9月10日更新)では、無料版は GPT‑Live‑1 mini に限定的なアクセス、Go は GPT‑Live‑1 mini で3時間、Plus は GPT‑Live‑1 で3時間、Pro は15時間または無制限で、いずれも24時間の枠で数えます。
上限は変わることがあると明記されています。Go には広告が表示される場合があります。Go や Plus の3時間なら、毎晩10分の練習で使い切ることはまずありません。
家族で使うときの決まりもあります。アカウントの共有は規約で禁止されているので1人1アカウントで、家族でまとめて入るプランもありません。利用は13歳以上で、18歳未満は親権者又は法定後見人の許可が要ります。保護者はペアレンタルコントロールで、10代の子どもが音声モードを使えるかどうかを選べます。
弱点も OpenAI 自身が書いています。一部の言語では非ネイティブのアクセントが出たり、流暢さに不足があったりする場合があること。1対1の会話向けに設計されていて、複数の人が話す場面にはまだ最適化されておらず、人同士の会話に反応してしまうことがあること。
背景の雑音で誤って割り込むこともあり、Live では動画付きの音声には対応していません。現地で使うなら、店員と向かい合う1対1の場面向きです。
Live の音声クリップは文字起こしと一緒に30日間保存されます。設定の「Improve the model for everyone」がオンだと、文字起こしが学習に使われることがあります。相手の声を録る形になるので、通訳に使うときはひとこと断ってからのほうが気持ちよく進みます。
そして OpenAI の規約は、医療や法律などの重大な決定への使用を禁じています。病院での通訳をこれ1つに任せず、海外旅行保険の窓口や現地の日本語対応と並べた保険の1つとして持っておく位置づけです。
出発前の夜に、一度だけ
家族間のコミュニケーションをテーマにしたアプリを作っていると、旅行の準備で「話す係」が親のどちらか1人に固定されがちなことに気づきます。家族全員が1回ずつ話してみるほうが、その負担は軽くなります。
出発前の夜、荷造りを終えたら、スマホに向かって「入国審査官になって」と頼んでみてください。答えに詰まっても相手は待ってくれます。子どもが横から「Hello」と言えば、相槌が返ってくるでしょう。それを一度やっておくだけで、空港のカウンターに並ぶときの気持ちは変わります。
この記事の内容は2026年9月時点で各社が公表している情報によります。料金・機能・利用上限は変更される場合があるため、最新情報は各公式サイトでご確認ください。
memStock編集部
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