変化し続ける扶養の壁のライン — 19歳から22歳の子のアルバイト代と、2026年分の数字

お金の話memStock編集部
変化し続ける扶養の壁のライン — 19歳から22歳の子のアルバイト代と、2026年分の数字

夏休みに入って、子どものアルバイトのシフトが増えたらしい。ふと、扶養の範囲がいくらまでだったかを確かめようとして、はっきり思い出せないことに気づく。19歳から22歳の子がいる家庭では、親が受けられる控除の条件が2年続けて変わっています。しかも動いたのは、上限が上がる方向です。税と社会保険で数字が違うところまで含めて、2026年分ではどこがどうなっているのか、給与収入をもとに見ていきます。

「103万円まで」は、もう今年の数字ではありません

長いあいだ「103万円」という数字が使われてきました。ただ、これは2024年分(令和6年分)以前の線です。2025年分で一度上がり、2026年分でさらに上がっています。前提が2年続けて動いた、ということになります。

動いたのには、それぞれ理由があります。2025年分では「特定親族特別控除」という仕組みが新しくつくられ、線を超えたあとの扱いが変わりました。2026年分ではさらに、給与所得控除の最低保障額が65万円から74万円に引き上げられています(国税庁)。給与収入から差し引かれる額が増えたぶん、給与収入で見たときの線も上がった、という関係です。

先に、いちばん誤解されやすいところを書いておきます。この線を超えた瞬間に、親の控除がゼロになるわけではありません。2025年分から「特定親族特別控除」という仕組みが加わり、超えたあとは段階的に減っていく形になりました。しかも、超えてしばらくのあいだは控除額そのものが変わりません。

なおここから出てくる金額は、すべて子どもの収入が給与だけの場合の「給与収入」です。源泉徴収票でいえば「支払金額」の欄にあたります。税の世界には合計所得金額という別のものさしもありますが、この記事では給与収入で統一します。

2026年分のラインは、136万円・159万円・197万円

国税庁の「源泉所得税の改正のあらまし」(令和8年4月)によると、2026年分(令和8年分)は次のようになっています。子どもが19歳以上23歳未満で、収入が給与だけの場合です。

子の給与収入(2026年分) 親が受けられる控除
136万円以下 63万円(扶養控除)
136万円超 159万円以下 63万円(特定親族特別控除)
159万円超 197万円以下 61万円から3万円へ段階的に減少
197万円超 なし

136万円を超えても、159万円までは控除額が63万円のまま変わりません。変わるのは控除の名前だけです。そこから先も一気になくなるのではなく、段階的に減っていき、197万円を超えたところでなくなります。

2025年分の線は、いずれもこれより低い額でした。去年の数字のまま考えていると、実際にはまだ手前だという場面で、もう超えていると思い込むことになります。

この表の左の列は、あくまで収入が給与だけの場合の金額です。国税庁の資料は合計所得金額とあわせて示していますが、源泉徴収票の「支払金額」でそのまま判断できるように、ここでは給与収入のほうを取りました。

なお、特定支出控除などの適用がある場合は、この表の金額とは異なるとされています。

税の話と、社会保険の話は別

ここまでは所得税の話です。社会保険には、これとは別の基準があります。

日本年金機構は、19歳以上23歳未満の人について、親の健康保険の被扶養者と認められる年間収入の要件を150万円未満に変更しました。扶養認定日が2025年10月1日以降の場合が対象です。税と社会保険、どちらもこの年代について線が動いている、ということになります。

税は136万円、社会保険は150万円。数字が近いので混同しやすいのですが、別の制度です。しかも、超えたときに起きることが違います。税のほうは親が受けられる控除が変わる話で、社会保険のほうは子ども自身が保険に入ることになる話です。

税の扱いが変わるのは親の側で、社会保険で新たに保険料を負担することになるのは子どもの側だ、と言い換えることもできます。同じ「扶養」という言葉が両方に使われているために、ひとつの線があるように見えてしまいます。

さらに、勤務先での働き方によっては、この基準とは別に子ども自身が社会保険に加入することもあります。ここは条件が細かいので、勤務先か年金事務所で確認するのが確実です。

今年、あといくら働けるのかを確かめる

判断の材料になるのは、いまの収入がいくらかという事実です。

見る場所は、子どもの給与明細か、勤務先から受け取る源泉徴収票の「支払金額」です。1月から12月までの合計が、先ほどの表の左の列にあたります。年の途中であれば、ここまでの分に、残りの月の見込みを足して考えることになります。夏休みのようにシフトが増える時期があると、月ごとの額を見ているだけでは年間の合計が見えにくくなります。

2026年分の手続きについて、国税庁は「令和8年11月までの給与等の源泉徴収事務に変更は生じません」としています。毎月の給与から引かれる額は変わらず、12月の年末調整でまとめて精算される、ということです。控除を受けるには、勤務先に出す年末調整の書類で申告します。控除の名前が「特定親族特別控除」にあたる場合には、専用の申告書があります。国税庁は、今回の改正で新たに要件を満たすことになった親族について、扶養控除などの適用を受けるには「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」等の提出が必要になる、としています。書類が配られる時期は勤務先によって違います。

金額が線の近くにある場合や、給与以外の収入がある場合は、国税庁の資料や、勤務先、お近くの税務署で確認できます。

数字は動くが、記憶は動かない

制度は静かに変わります。ニュースになるのは改正の瞬間だけで、家庭の中に残るのは、そのとき覚えた数字のほうです。「103万円まで」という言い方がいまも使われているのは、たぶんそのためです。

2026年分の線を知ったからといって、そこから何かを決めなければいけないわけではありません。増やすのも、いまのままにするのも、判断するのは働いている本人です。親にできるのは、その判断に古い数字が混じらないようにすることくらいかもしれません。

ただ、古い数字のまま考えていると、まだ手前にいる場面で、もう届いていると思い込むことになります。確かめる相手は制度のほうです。それなら、今日のうちにできます。

本記事の金額は、2026年(令和8年)分の所得税についてのものです。国税庁「源泉所得税の改正のあらまし」(令和8年4月)によります。特定支出控除などの適用がある場合は金額が異なります。また、税と社会保険は別の制度で、基準となる金額も異なります。ご自身の状況については、国税庁の資料、勤務先、お近くの税務署でご確認ください。

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