父親と友だちの話をする中学生は半数強、10年前の中学生では約4割

夕食のとき、中学生の子に「今日、学校どうだった?」と聞いても、返ってくるのは「別に」のひと言。父親が声をかけたときは、なおさら会話が続かないように感じる。そんな夜が重なると、思春期になれば父親とは話さなくなるものだと考えたくなります。
東京大学社会科学研究所とベネッセ教育総合研究所が2025年3月に公表した親子調査には、10年前と比べた数字が載っています。2024年の中学生は、2015年の中学生よりも、父親と「友だちのこと」を話すと答えた割合が10ポイント余り高くなっていました。どんな話題が増えて、どんな話題が変わっていないのかを、調査の数字から確かめます。
10年前の同じ学年の子どもたちと比べた調査です
もとになっているのは「子どもの生活と学びに関する親子調査2024」です。全国の小学1年生から高校3年生までの子どもとその保護者を対象に、2024年7〜9月に行われ、約1万2千組(12,242組)が回答しました。両研究所が2014年に始めた共同研究で、同じ親子を2015年から毎年追いかけている調査でもあります。
会話についての質問は「ふだん、お父さんやお母さんと、次のことについてどれくらい話をしますか」というものです。答えたのは小学4年生から高校生までの子ども自身で、この記事の数字は「よく話す」「ときどき話す」と答えた子の合計の割合です。親が話しているつもりの量ではなく、子どもの側から見た数字になります。
研究所は、毎年続けることで、同じ年の学年ごとの違い、年ごとの時代の変化、同じ親子の成長にともなう変化の3つが分かると説明しています。今回の数字は2つめの時代の変化にあたり、2015年に答えた子どもたちと、2024年に答えた子どもたちを比べたものです。同じ子が10年かけて父親と話すようになった、という話とは違います。
2024年の回収数は、会話の質問に答えた学年で小学4〜6年生2,916組、中学生2,849組、高校生1,990組でした。集計では、条件をそろえて比べるために、質問ごとに無回答などを除いた人数を分母にしています。図ごとの人数は公表されていません。
増えたのは友だち、学校の出来事、社会のニュースの話
父親との会話について、話題ごとの割合を並べると次のようになります。
| 話題 | 小学4〜6年生 | 中学生 | 高校生 |
|---|---|---|---|
| 友だちのこと | 54.5% → 63.6% | 42.2% → 52.7% | 34.6% → 46.1% |
| 社会のニュース | 35.2% → 46.5% | 39.3% → 51.1% | 38.5% → 49.8% |
| 学校での出来事 | 61.7% → 66.0% | 50.7% → 57.3% | 46.0% → 51.3% |
| 勉強や成績のこと | 60.9% → 58.2% | 57.9% → 59.9% | 48.7% → 53.5% |
| 将来や進路のこと | 32.1% → 38.2% | 40.1% → 43.7% | 48.4% → 50.6% |
※父親と「よく話す+ときどき話す」と答えた子どもの割合(子ども回答、2015年→2024年)
増え方が大きかったのは「友だちのこと」と「社会のニュース」です。中学生では、父親と友だちのことを話す子が約4割(42.2%)から半数強(52.7%)になりました。社会のニュースは39.3%から51.1%で、11.8ポイントの増加です。ニュースの話は、小学4〜6年生でも高校生でも11ポイント余り増えています。
高校生の「友だちのこと」は34.6%から46.1%で、差はおよそ11ポイントです。中学生の10.5ポイントより、少し大きく伸びています。「学校での出来事」も、どの学校段階でも4〜7ポイントほど増えました。調査のまとめにも、父親との会話では「勉強や将来のことより社会や学校での出来事、子どもの友だち関係についての会話が増えた」と書かれています。
勉強や成績の話は、ほぼ横ばいでした
一方で、父親と「勉強や成績のこと」を話す割合は、10年でほとんど動いていません。小学4〜6年生は60.9%から58.2%とわずかに下がり、中学生は57.9%から59.9%でした。高校生は48.7%から53.5%と、やや増えています。研究所の解説記事も、小学4〜6年生と中学生について「10年間で大きな変化はなかった」としています。
母親との会話も、全体として増えていました。小学4〜6年生の「社会のニュース」は45.9%から59.1%へ、13.2ポイント増えています。それでも2024年の時点で、すべての話題、すべての学校段階で、母親と話す割合のほうが父親より高いままです。
ただ、父母の差の大きさは話題によってかなり違います。中学生で比べると、「友だちのこと」は父親52.7%、母親85.2%で30ポイント余りの差があるのに対し、「社会のニュース」は父親51.1%、母親56.9%で、差は6ポイントほどでした。どの学校段階でも、父母の差がいちばん小さい話題は社会のニュースです。
将来や進路の話は、学年が上がるほど多くなります
学校段階ごとに見比べると、話題によって傾向が分かれます。2024年に父親と「友だちのこと」を話す割合は、小学4〜6年生63.6%、中学生52.7%、高校生46.1%と、学年が上がるにつれて低くなります。反対に「将来や進路のこと」は、38.2%、43.7%、50.6%と高くなっていきます。
10年間の増え方にも、学年による違いがあります。父親と将来や進路のことを話す割合は、小学4〜6年生で32.1%から38.2%に増えた一方、高校生は48.4%から50.6%でした。母親とでは、小学4〜6年生が49.0%から59.5%へ10.5ポイント増えたのに対し、高校生は77.0%から77.2%とほとんど変わっていません。調査のまとめも、将来や進路の話の増加を小学4〜6年生について挙げています。
ここでの学年の違いは、同じ年に答えた別の学年の子どもたちを並べたものです。ひとりの子が成長とともに父親と話さなくなる、という変化を示した数字ではありません。
なぜ増えたのかは、調査では分かっていません
調査のまとめは、この結果について「子どもとのコミュニケーションに熱心な保護者の姿が垣間みえる」と書くにとどめています。増えた理由を確かめるための調査ではありません。
解説記事を担当したベネッセ教育総合研究所の岡部悟志主任研究員は、コロナ禍以降に父親の帰宅が早まり、子どもと過ごす時間が長くなったことが理由として考えられるとしています。放課後や休日に家で過ごす子どもが増えたことにも触れています。ただし、父親の帰宅時間は、この調査では測られていません。遊び場についての質問では、「友だちの家」で遊ぶ子が減り(小学4〜6年生は約6割から5割弱へ)、「自分の家」で遊ぶ子は微増でした。
調査のやり方も、10年の間に変わっています。2015年は郵送とWebの併用で回収率76.8%、2024年はWeb回答のみで61.6%でした。研究所は条件をそろえて集計していますが、数字の差はある程度の幅をもって受け止めたほうがよさそうです。また、この調査がたずねているのは話題と頻度だけで、会話の中身や質までは分かりません。
勉強の話の手前に、もうひとつ話題を置いてみる
10年で増えたのは、友だちのこと、学校であったこと、ニュースの話でした。どれも成績表には出てこない、毎日の小さな話題です。親が子どもに聞きたいことは、どうしても勉強や進路に寄りがちです。
今回の調査は、どう話しかければ子どもが話してくれるかを試したものではありません。それでも、夕食のときに流れていたニュースをひとつ話題にする、最近よく名前の出る友だちのことを聞いてみる、といった入り方なら、どの家庭でも試せます。家庭の形は一つではないので、父親に限らず、家にいる大人の誰かがその役になればよいはずです。
夫婦や家族の間で「最近、あの子とこんな話をした」と伝え合っておくと、次に話しかけるときの話題が見つかりやすくなります。家族のコミュニケーションをテーマにしたサービスを開発する中で、memStock編集部も、家族の会話は量よりも「何の話をしているか」で見ると、様子がつかみやすいと感じてきました。今夜の食卓で、勉強の話の前にきょうのニュースをひとつ出してみると、返ってくる言葉が「別に」から少し変わるかもしれません。
出典
- 東京大学社会科学研究所・ベネッセ教育総合研究所「子どもの生活と学びに関する親子調査2024」ダイジェスト版(2025年3月28日発行) https://benesse.jp/berd/shotouchutou/research/pdf/oyako_tyosa_2024_0326.pdf (2026年10月8日確認。図1-3-1「親子の会話」、図1-6-1「遊び場」、調査概要。高校生の差、父母の差、学年による増え方の差は原典の2時点の値から編集部が計算)
- ベネッセ教育総合研究所「データで教育を読む 第27回 親子の会話の経年変化と、家庭背景による違い」(データ解説: 岡部悟志 主任研究員)VIEW next 教育委員会版 2025 Vol.1 https://view-next.benesse.jp/view_section/bkn-board/article32427 (2026年10月8日確認)
- 東京大学社会科学研究所・ベネッセ教育総合研究所「子どもの生活と学びに関する親子調査2025」ダイジェスト版(2026年3月31日発行) https://benesse.jp/berd/shotouchutou/research/pdf/oyako_tyosa_2025_0326.pdf (2026年10月8日確認)
- ベネッセ教育総合研究所「子どもの生活と学び」研究プロジェクト https://benesse.jp/berd/special/childedu/ /東京大学社会科学研究所 同プロジェクトページ https://web.iss.u-tokyo.ac.jp/clal/ (2026年10月8日確認)
よくある質問
- 中学生や高校生になると、父親と話さなくなるのは普通ですか?
- 2024年の調査では、学校段階が上がるほど、父親と「友だちのこと」を話す割合は下がっています(小学4〜6年生63.6%、中学生52.7%、高校生46.1%)。ただ、同じ学校段階で比べると、どの段階でも2015年より2024年のほうが高くなっています。また、これは別の学年の子どもたちを並べた数字で、ひとりの子が成長とともに話さなくなることを示したものではありません。
- この割合は、親が答えた数字ですか?
- 子どもが答えた数字です。小学4年生から高校生までの子どもが、父親・母親それぞれと「よく話す」「ときどき話す」と答えた割合の合計です。
- 母親との会話も増えていますか?
- 全体として増えています。とくに小学4〜6年生では、「将来や進路のこと」が49.0%から59.5%に、「社会のニュース」が45.9%から59.1%になりました。「勉強や成績のこと」は、どの学校段階も8割前後でほぼ横ばいです。
- 在宅勤務が増えたから、父親との会話が増えたのですか?
- 調査では確かめられていません。研究所の解説記事は、コロナ禍以降に父親の帰宅が早まったことなどを理由の可能性として挙げていますが、父親の帰宅時間はこの調査では測られておらず、因果関係は示されていません。
- もっと新しい調査結果はありますか?
- 2026年3月に公表された2025年調査のダイジェスト版には、親子の会話の項目がありません。会話について公表されている最新のデータは、2024年調査(2025年3月公表)です。
memStock編集部は、家族の豊かな暮らしと家計管理を応援する記事制作チームです。ライフハック・節約・投資・保険など、日常生活とお金に関する実用的な情報を、確かな専門知識と多様な視点から分析・提供しています。読者の皆様が抱える日々の悩みや将来への不安を解消し、ワンランク上の生活を実現するためのヒントが詰まった記事をお届けします。 「家族の暮らしをより豊かに」をモットーに、わかりやすく実践的なコンテンツで皆様の人生設計をサポートします。
関連記事
生活/暮らし家の前の道に中央線はありますか? 標識も線もない道は、9月から30キロです
標識で速度が指定されておらず、中央線や車線も上下の分離もない一般道路は、2026年9月1日から法定速度が30km/hになりました。改正道路交通法施行令の条件は中央線・車線・上下の分離の有無で、道幅5.5mは警察庁が想定した目安です。
生活/暮らし挙式も写真も、何もしなかった夫婦は4組に1組?
挙式・披露宴・食事会・写真撮影のどれもしなかった人は26.5%で、写真だけ撮った16.3%を足すと42.8%です。結婚マーケット調査2025では、親族中心の食事会は平均22.7人・39.5万円でした。
生活/暮らし子連れ再婚の養子縁組、共同親権の家庭は15歳未満なら父母2人で承諾します
改正前に離婚した単独親権の家庭は、子連れ再婚の養子縁組の手続きがこれまでと同じです。2026年4月施行の改正民法で共同親権になった家庭は、15歳未満の子の縁組を父母が共同で代諾し、意見が合わなければ家庭裁判所に親権行使者の指定を申し立てられます。
生活/暮らし結婚で名字が変わったら、マイナンバーカードが先、免許はあと
結婚で名字が変わったら、14日以内に市区町村でマイナンバーカードを書き換えると、免許証の手続きが軽くなります。旧姓は住民票・マイナンバーカード・運転免許証・パスポートに併記でき、2025年12月10日から戸籍謄本の持参は原則不要です。