食育とは?家庭でできることと最新データ

教育・学校memStock編集部(更新: 2026年10月13日)
食育とは?家庭でできることと最新データ

朝ごはんを食べないまま登園・登校する日が続いている。夕食を家族そろって食べられるのは週末くらい。子どもの食事が気になって「食育」を調べると、法律や国の計画の話が多く、家庭で何から手を付ければよいのかが見えにくくなりがちです。

食育は2005年に法律で定められた国の取り組みで、2026年には法改正と新しい計画の決定がありました。この記事では、農林水産省の「食育白書」や国の計画の数字をもとに、家庭でできる食育を、家族で食べること、朝ごはん、大人自身の食生活、郷土料理の継承に分けて整理します。

食育とは何か。法律と国の計画での位置づけ

食育基本法は2005年(平成17年)6月に制定された法律です。前文は食育を「生きる上での基本であって、知育、徳育及び体育の基礎となるべきもの」と位置づけ、経験を通じて「食」に関する知識と「食」を選択する力を身につけ、健全な食生活を実践できる人を育てることを掲げています。

対象は子どもに限りません。前文は「食育はあらゆる世代の国民に必要なもの」としたうえで、子どもへの食育は心身の成長と人格の形成に大きな影響を及ぼすと述べています。

2026年5月27日には改正食育基本法が公布・施行されました。目的に「食料安全保障の確保にも資する食育」が加わったほか、食育の場として職場を例示して大人の食育を進めること、学校で栄養教諭による指導や農林漁業教育を充実させることなどが盛り込まれています。

これを受けて、2026年6月24日に第5次食育推進基本計画が決まりました。計画期間は2026年度からおおむね5年間で、重点事項は「学校等での食や農に関する学びの充実」「健全な食生活の実現に向けた『大人の食育』の推進」「国民の食卓と生産現場の距離を縮める取組の拡大」です。2021年3月に作られた第4次計画は、2025年度を目標年度として終わり、第5次計画に引き継がれています。

食育白書で見る家庭の食卓:共食と朝食の今

食育基本法は、政府が毎年、食育の施策について国会に報告書を出すと定めています。これが食育白書です。2026年6月16日に公表された令和7年度食育白書と第5次計画から、家庭に関わる数字を拾います。

朝食か夕食を家族と一緒に食べる「共食」の回数は、2025年度に週8.6回でした。第4次計画を作った時点の週9.6回から1回減り、目標の週11回以上には届いていません。第5次計画は2030年度までに週10回以上を目標にしています。朝食と夕食を毎日家族と食べると週14回なので、今の平均はその6割ほどです。

家族との共食が少ない理由として、計画は若い世代で「家族と生活リズムが異なる(食事の時間が合わない)ため」「朝食を食べないため」などが挙げられていると記しています。共働きや習い事で夕食の時間がずれやすい家庭にも当てはまる理由です。

朝食については、文部科学省の2025年度「全国学力・学習状況調査」で、朝食を毎日食べていない(「あまりしていない」「全くしていない」)と答えたのは小学6年生の6.4%、中学3年生の8.6%でした。白書は、小・中学生の朝食欠食率は近年増加傾向にあるとしています。第4次計画で0%としていた子どもの朝食欠食の目標は、第5次計画では2030年度までに5%以下に置き直されました。

家庭でできる食育:一緒に食べる、朝ごはん、台所に立つ

第5次計画は、家族が食卓を囲んで共に食事をとりながらコミュニケーションを図ることを「食育の原点」と位置づけています。共食は食の楽しさを実感するだけでなく、食や生活に関する基礎を伝え、身につける機会にもなるという考え方です。毎日そろうのが難しければ、朝食か夕食のどちらか一方でも一緒に食べる日を増やすことが、指標上の共食の回数を増やすことにつながります。

朝ごはんについて白書は、朝食の摂取は栄養補給だけでなく体内時計のリズムを整えるために必要で、生活習慣の育成や心身の健康の保持につながるとしています。計画は、子どもの朝食摂取には家族に朝食を食べる習慣がないことの影響も考えられると指摘しています。子どもの朝食を見直すときは、保護者自身の朝食や就寝・起床の時刻もあわせて見ると、家庭の中で手を付けやすくなります。国が進める「早寝早起き朝ごはん」国民運動も、生活リズムと朝食をひとまとまりで扱っています。

食事の中身の目安には、厚生労働省と農林水産省が2005年6月に決めた「食事バランスガイド」が使えます。毎日の食事を主食・副菜・主菜・牛乳・乳製品・果物の5つに分け、それぞれ何をどれだけ食べればよいかを「つ(SV)」という単位で示したものです。国の計画は、主食・主菜・副菜を組み合わせた食事を1日2回以上ほぼ毎日食べることを、栄養バランスに配慮した食事の目安にしています。

子どもが台所に立つことについては、食育基本法が家庭の食育を支える施策の例として「親子で参加する料理教室」を挙げ、第5次計画も子どもが実際に自分で料理を作る体験を増やすとしています。食生活指針にも「家族の団らんや人との交流を大切に、また、食事づくりに参加しましょう」という項目があります。野菜を洗う、ご飯をよそう、盛り付けるといった年齢に合った作業を任せると、毎日の食事づくりがそのまま体験の場になります。

大人の食育:親の食生活が子どもの食卓をつくる

第5次計画が重点事項に「大人の食育」を入れた背景には、若い世代の食生活の課題があります。計画は20歳代と30歳代を若い世代としており、2025年度に朝食を欠食する若い世代の割合は28.2%でした。第4次計画の目標は15%以下でしたが、作成時の21.5%より上がっています。

主食・主菜・副菜を組み合わせた食事を1日2回以上ほぼ毎日食べている人は、国民全体で36.1%、若い世代では23.8%です。厚生労働省の「国民健康・栄養調査」による1日あたりの平均摂取量(2024年度)は、食塩9.6g、野菜258.7g、果物78.1gで、計画は2032年度までに食塩7g、野菜350g、果物200gを目標にしています。野菜は目標まで1日あたり約90g足りない計算です。

計画は、子どもにとって保護者の影響が大きいことから、保護者参加型の学習機会や体験活動と、「大人の食育」としての保護者への取り組みをあわせて進めるとしています。子どもに野菜を食べてもらう工夫と同じだけ、親自身の朝食や野菜の量を見直すことも家庭の食育です。外食や中食に頼る日でも、食生活指針が勧める「栄養成分表示を見て、食品や外食を選ぶ習慣」があれば、選び方で調整できます。

郷土料理と行事食で、食文化を家庭からつなぐ

食育基本法は、伝統的な行事や作法と結びついた食文化や地域の特色ある食文化の継承を、国と自治体が進める施策の一つに挙げています。食生活指針にも「地域や家庭で受け継がれてきた料理や作法を伝えていきましょう」という項目があります。

第5次計画によると、地域や家庭で受け継がれてきた伝統的な料理や作法等を継承し、伝えている人の割合は2025年度に48.8%で、2030年度までに55%以上を目指します。郷土料理や伝統料理を月1回以上食べている人は54.7%と第4次計画の目標(50%以上)を上回り、新しい目標は60%以上です。計画は継承の対象として、郷土料理や伝統料理に加え、家庭で受け継がれてきた料理や味、箸使い等の食べ方・作法も挙げています。

家庭で始めるときの手がかりになるのが、農林水産省のウェブサイト「うちの郷土料理」です。47都道府県の郷土料理の歴史・由来、関連行事、使用食材、作り方をデータベースにしたもので、住んでいる地域や祖父母の出身地の料理を調べ、いわれを話しながら一緒に作る材料になります。食生活指針は、行事食を取り入れながら自然の恵みや四季の変化を楽しむことも勧めています。

2013年には「和食;日本人の伝統的な食文化」がユネスコの無形文化遺産に登録されました。一方で白書は、食の好みやライフスタイルの変化を背景に、和食や地域の食文化を受け継ぎ伝えることが難しくなりつつあると書いています。家族で同じ料理を食べ、作り方や由来を伝えることは、共食と食文化の継承を同時に進める方法でもあります。

忙しい平日の献立づくりや時短の工夫は、別の記事で扱っています。

出典

よくある質問

食育は何歳から始めればよいですか
食育基本法は年齢を区切っておらず、食育はあらゆる世代に必要なものとしています。第5次計画も、妊産婦や乳幼児に対する栄養・食生活の支援を続けるとしています。乳幼児期から家族と同じ食卓を囲むことも、共食として食育の一部になります。
共食の「週10回」はどう数えるのですか
国の指標は「朝食又は夕食を家族と一緒に食べる」回数で、昼食は含みません。朝食と夕食を毎日家族と食べると週14回です。2025年度の平均は週8.6回でした。
食育月間や食育の日はいつですか
第5次計画では、毎年6月を「食育月間」、毎月19日を「食育の日」としています。食育の日は、取り組む主体ごとに「家族そろって食卓を囲む」などのテーマを設けることが想定されています。
第4次食育推進基本計画は今も使われていますか
第4次計画は2025年度を目標年度とする計画で、2026年6月24日に第5次食育推進基本計画が決まりました。2026年度からおおむね5年間は、第5次計画の目標値が国の基準になります。
m
この記事を書いた人

memStock編集部

memStock編集部は、家族の豊かな暮らしと家計管理を応援する記事制作チームです。ライフハック・節約・投資・保険など、日常生活とお金に関する実用的な情報を、確かな専門知識と多様な視点から分析・提供しています。読者の皆様が抱える日々の悩みや将来への不安を解消し、ワンランク上の生活を実現するためのヒントが詰まった記事をお届けします。 「家族の暮らしをより豊かに」をモットーに、わかりやすく実践的なコンテンツで皆様の人生設計をサポートします。

関連記事

「入学準備」が始まるのは3月ではなく9月? — 9月末に届く封筒に入っているもの教育・学校

「入学準備」が始まるのは3月ではなく9月? — 9月末に届く封筒に入っているもの

来年4月に入学する子のいる家庭には、9月末から10月にかけて市町村の教育委員会から封筒が届きます。就学時健康診断は平日の午後に指定され、封筒の中身も日程も自治体ごとに違います。学齢簿の基準日10月1日から入学期日の通知まで、条文と一次資料で日程を並べました。

memStock編集部·