宿題にAIを使っていいかは、どこに書いてあるのでしょうか — コンクールの要項を開いてみました

教育・学校memStock編集部(更新: 2026年9月7日
宿題にAIを使っていいかは、どこに書いてあるのでしょうか — コンクールの要項を開いてみました

八月の下旬に残っているのは、たいてい自由研究か読書感想文です。横で子どもがタブレットに何かを打ち込んでいるのを見て、ふと手が止まる。これ、使っていいんだっけ?

調べてみると「使うべきではない」と「こう使えばいい」の両方が出てきます。ただ、この問いの答えが書かれている場所は、実のところ決まっています。

残っているのは、いちばん大変な2つ

ベネッセコーポレーションが2026年7月に発表した「小学生 夏休みの宿題・過ごし方調査 2026」で、保護者が「最も大変だと思う宿題」に挙げたのは、自由研究・工作40.1%、読書感想文29.4%でした(保護者769名)。子ども本人に聞いた別の調査でも、順番は同じでした(小学3〜6年生9,650名)。いずれも進研ゼミ小学講座の会員と、同社の保護者向けアプリ登録者への調査です。

この2つには、すでに人の手が入っています。自由研究が宿題に出た場合、すべてか一部を手伝う、あるいはアドバイスをするなど、何らかの形で関わる保護者は91.6%でした(保護者918名)。2025年の94.4%からはわずかに下がっています。

この2つは、やるかどうかを家庭に委ねる「任意制」でも出されやすい宿題です。前年の夏休みに任意制の宿題があったと答えた保護者は43.0%、その上位が自由研究・工作58.1%と読書感想文49.8%でした(出し方には賛成51.1%、反対15.0%)。

いちばん大変で、いちばん人の手が入っている宿題を前に、家庭は「AIはどうなのか」を判断することになります。

国は「使うな」とは書いていません

最初に思い浮かぶのは国の方針かもしれません。文部科学省「初等中等教育段階における生成AIの利活用に関するガイドライン Ver.2.0」(令和6年12月26日)が、2026年8月時点でも最新版です。

そこには、こう書かれています。

本ガイドラインは、教職員や教育委員会等の学校教育関係者を主たる読み手として、(中略)学校現場での生成AIの利活用を一律に禁止したり義務付けたりするものではない。(4ページ)

禁止していない、と明文で書かれています。しかも想定された読み手は「教職員や教育委員会等の学校教育関係者」で、家庭に向けて何かを禁じた文書ではありません。

ただ、何も言っていないわけではありません。18ページには「不適切と考えられる例」と「利活用が考えられる例」が並んで載っています。不適切な例に挙がっているのは「各種コンクールの作品やレポート・小論文等について、生成AIによる生成物をほぼそのまま自己の成果物として応募・提出する」。一方、同じページの利活用が考えられる例には、こうあります。

生成AIの利活用方法を学ぶ目的で、自ら作った文章を生成AIに修正させたものを「たたき台」として、自分なりに何度も推敲し、より良い文章として修正した過程・結果をワープロソフトの校閲機能を使って提出する

どちらも学校が児童生徒に使わせる場面についての記述で、不適切な例と適切な例が同じページに並んでいます。引かれているのは、AIの是非ではなく、関与の度合いの線です。

20ページには、判断の行き先が書かれています。

生成AIの利活用を想定していないコンクールの作品やレポート等について、生成AIの出力をそのまま自己の成果物として応募・提出することは評価基準や応募規約によっては不適切又は不正な行為に当たること(後略)

「評価基準や応募規約によっては」。答えは要項の側にある、という書き方です。

要項を開いてみると、書き方が団体ごとに違いました

2026年8月時点の応募要項を、いくつか開いてみました。

コンクール(主催) 生成AIについての書き方
第72回 青少年読書感想文全国コンクール(全国学校図書館協議会・毎日新聞社) 要項に「AI」の語が一度も出てきません。あるのは「原稿用紙を使用し、縦書きで自筆してください」「コピー不可。デジタル機器使用不可」という形式の規定です
第70回 全国学芸サイエンスコンクール(旺文社) 要項本体は「生成AIによる作品は不可。(生成AIについてを参照)」。参照先ページは「応募する作品内における文章作成(推敲等を含みます)のために生成AIを利用しないでください」としたうえで、「日本語の文章を作る場面以外では、生成AIの使用を一律に禁止はしません」「生成AIを使用した場合は、生成AIの名前や使用した箇所、どのように使用したかについて正確に、もれなく記載してください」
第76回 全国小・中学校作文コンクール(読売新聞社) 「生成AIを利用して作成した作品は応募できません」「応募する児童・生徒の自筆に限ります」
第70回 日本学生科学賞(読売新聞社/中学・高校生対象。小学生は応募できません) 「生成AI(人工知能)の使用について一律に禁止はしません」。使う場合は名称・バージョン・使用箇所・方法をレポートの最後に記載し、プロンプトの保存も求めています

同じ読売新聞社が、作文コンクールでは「応募できません」と書き、日本学生科学賞では「一律に禁止はしません」と書いています。線を引いているのは、主催者が誰かではなく、何を出すか、のようです。

旺文社の要項は、この話の縮図になっています。本体にあるのは「生成AIによる作品は不可」の一行だけで、そこだけを読めば全面的な禁止に見えます。ところが参照先のページ(2026年6月1日付)を開くと、作品の文章づくりには推敲も含めて使わないでほしいと述べたうえで、それ以外の場面では一律に禁止しないこと、使った場合は名前・箇所・方法を記載することが書かれています。禁止の範囲も、使ったときの手続きも、一行では分かりません。

同じ「読書感想文」でも、出す先が変われば形式要件が逆になります。青少年読書感想文全国コンクールは「デジタル機器使用不可」、旺文社の読書感想文部門は「(パソコン入力可)」。前者にAIの記載がないのに手書きが求められるのは、AIだからではなく、自筆という形式を求めているからです。

家庭の側は、どこに線を引いているか

自由研究に91.6%の保護者が関わっているのなら、人の手が入ること自体はすでに前提です。それなら、なぜAIだけが問われるのか。

ガイドラインを読み返すと、線の引かれ方が見えます。不適切とされたのは「生成物をほぼそのまま自己の成果物として応募・提出する」こと。適切とされたのは、自分で作った文章をたたき台に何度も推敲し、その過程と結果を出すことでした。どちらもAIを使っており、分かれるのは誰の作品として提出されるか、という一点です。親の手伝いも同じ線の上にあって、「どこまで手伝ったか」が問われるのはAIが現れる前から変わっていません。

その線は、家庭の中でも宿題の種類ごとに引かれています。株式会社SHIFT AIが2026年7月に発表した、小学1〜6年生の子と同居する保護者722名への調査(SHIFT AI調べ)では、自由研究のテーマ決め・アイデア出し67.0%、わからない問題の解説64.1%が許容される一方、読書感想文は32.7%、作文・日記は31.3%と倍近い開きがありました。「夏休みの宿題にAIを使うこと」全体では、42.1%が「アリ」と答えています。

利用の実態は、別の設問です。同じ722名のうち、子どもが生成AIを使っていると答えた保護者は37.7%。42.1%と近い数字ですが、一方は「使ってよいと思うか」、もう一方は「使っているか」を聞いています。Duolingoが2026年8月に発表した調査(Duolingo調べ)では、小中学生の子を持つ保護者825名の回答で、47.1%の子どもが日頃の学習に生成AIを使っていました。夏休みの宿題に限りません。どちらも、聞かれているのは保護者であって子ども本人ではありません。

同じ調査には、もうひとつの数字があります。家庭に明確なAIのルールがあると答えたのは10.1%、「そもそもAIについて話題にしたこともない」は41.1%でした。

出す前に、一度だけ確かめられること

提出先が学校だけなら、判断するのは学校と家庭です。コンクールに出すなら、主催者の要項が効きます。

締切も団体ごとに分かれています。旺文社の全国学芸サイエンスコンクールは9月24日(木)当日消印有効、全国小・中学校作文コンクールは9月14日(月)必着。一方、青少年読書感想文全国コンクールの要項に国内の締切日はありません。「締め切りは都道府県により異なります」とあり、在籍校に問い合わせるよう案内されています。しかも学校を通じた応募のみで、在籍校が参加していなければ出せません。

出す先そのものが変わることもあります。昭和35年から小・中学生の理科自由研究を募ってきた自然科学観察コンクールは、2026年5月7日付で終了が告知されました。第66回が最後で、理由は「諸般の事情により」とだけあります。

使ったときに何を書き添えるべきかも、表のとおり団体で分かれます。「書いておけば大丈夫」という共通のルールはありません。

この問いに全国共通の答えはありませんでした。あるのは、提出先ごとの一枚の文書です。今年の作品については、それを最後まで開くこと。そして、そこで決めたことを来年の夏に思い出せるかどうか。家庭で交わした「うちはここまで」という会話は、たいてい記録されないまま流れていきます。次の夏に同じところで手が止まらないとすれば、違いはそこにあるのかもしれません。

本記事は2026年8月時点で公開されている各要項・資料によります。応募要項は改定されることがあるため、最新の内容は各コンクールの公式サイトでご確認ください。

よくある質問

コンクール応募時のAI使用ルールは統一されていますか?
いいえ、コンクールごとに異なります。文部科学省は『禁止したり義務付けたりするものではない』とし、判断を応募規約に委ねています。具体例として同じ読売新聞社でも、作文コンクールは禁止、日本学生科学賞では一律禁止ではないと定めています。
AIを使って作品を作ったら、コンクールに報告が必要ですか?
多くのコンクールでは、AI使用が認められている場合、報告が求められます。旺文社は『生成AIの名前・使用した箇所・方法について記載する』よう求め、日本学生科学賞は『名称・バージョン・使用箇所・方法をレポート最後に記載し、プロンプト保存も求める』としています。
文部科学省はAI使用を宿題で禁止していますか?
いいえ。文部科学省のガイドラインは『一律に禁止したり義務付けたりするものではない』と明記し、判断を学校や応募規約に委ねています。ただ『生成AIの出力をそのまま自己の成果物として提出することは評価基準や応募規約によっては不適切又は不正な行為に当たる』と述べています。
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