答えよりプロセス?AIで広がる対話型の学び方

お子さんが「これ教えて」と聞いてきたとき、正解を教えることだけが学習だと思っていませんか?AIの登場により、私たちの学び方は大きく変わりつつあります。単に答えを調べるだけではなく、「なぜそうなるのか」を一緒に考えたり、「自分は何がわからないのか」を見つけたりする対話型の学習が可能になってきました。道端で見つけた不思議なものを写真に撮って調べたり、英会話の練習相手になってもらったり。AIは、家族みんなの「知りたい」という気持ちに寄り添いながら、考える力を育てる新しいパートナーになりつつあります。
今回は、日常生活の中でAIをどのように学習に活かせるか、親子で一緒に成長していく可能性について考えていきます。
AIを使う前に、まず「利用ルール」を教えなきゃね
山田:より良い家族の暮らしを考える、memStock podcast。こんにちは、4人家族の山田です。
小林:こんにちは、1人家族の小林です。今回は、学習にAIを導入してみるというテーマで、より良い家族の暮らしについて考えていきます。
山田:最近、ChatGPTにイラストを描いてもらうという試みが流行っているのをご存知ですか?
小林:流行っているというよりは、むしろ物議を醸しているというところでしょうか。
山田:その通りですね。例えば、ジブリ風の絵を描いてもらったり、写真をジブリ風に加工してもらったりといったところです。ジブリ風というより、もはやジブリそのものと言えるような作品もありましたね。そのようなこともあって、子どもがChatGPTを使ってみたいと言うので、いろいろと試させてみたところ、すっかりハマっていました。
このように遊びにChatGPTを活用する事例ももちろんありますが、学習に活用することについても、かなり以前から取り入れたいと考えており、時々利用したりしています。例えば、学校の計算問題などで解答が付属していない場合に、まずChatGPTに答えを出してもらい、それを使って丸付けをするといった使い方です。解答がないというより、そうですね、宿題が出た際に、学校で先生に丸付けをしてもらうのを待つのではなく、家庭で解き終わった後すぐに丸付けをした方が学習効果が高いと考えられます。しかし、解答が手元になく、また宿題の量がかなり多かったため、親が丸付けをするのも手間がかかるので、ChatGPTに問題を読み込ませて答えをチェックさせるといった試みもしました。実際に、今後さまざまな活用方法が必要になってくるだろうと感じましたので、そのあたりについて今日はお話しできればと思います。私たちが子どもの頃は言うまでもなく、これはごく最近、ここ数年の出来事ですから、ほとんどの人が今後、試行錯誤を重ねていくことになるでしょう。そして、さまざまな場面で子どもたちがChatGPTに限らず、多様なAIを活用して学習する機会が増えていくと思われます。学校教育の現場でも、現時点では本格的に導入されていないかもしれませんが、将来的には取り入れられていくのだろうと考えています。
まず大前提として、AIを利用する上で、さまざまなルール、つまり利用規約のようなものを子どもたちに教える必要があるのではないかと考えています。例えば著作権についてです。私自身、子どもの頃、特に小学生の頃などは著作権をあまり意識したことがありませんでした。ですから、著作権に関する知識や、最近学校でも教えられているようですが、AIが出力したものをどのように扱うかというルール、さらにはそもそも作成して良いものと悪いもの、公序良俗に反するものは禁止されているといった利用規約上の内容だけでなく、実際の線引き、つまり「こういうことはしてはいけない」という具体的なガイドラインも含めて、利用する前に教える必要があると考えています。
小林:おっしゃる通りです。ただ、今回の本題から少し逸れますので、ここでは前提条件として留めておきましょう。
問題作成は便利だけど、AI学習の真価はそこ?
山田:そういった前提条件は確かに必要だと認識しつつ、それらをしっかりと理解した上で、どのようにAIを効果的に活用していけるかについて、色々と考えていました。最も活用できるのではないかと考えているのは、先ほどもお話ししましたが、問題を作成するということです。これは実際に我が家でも試しています。市販の参考書は種類が豊富ですが、ある程度の価格がしますし、自分が求めるピンポイントの内容のものを探すのは手間がかかり、書店に足を運ぶ必要もあります。しかし、AIであれば、プロンプトで「こういう問題を作って」と指示するだけで作成してくれるので、参考書の代わりにもなると感じています。特に計算問題や算数、数学系の問題は、答えが明確であり、問題のパターンも大きくぶれることが少ないため、AIにとっても作成しやすいのではないかと考えています。
小林:個人的には、そのように既に体系化されている分野を学習する際には、必ずしもAIを導入する必要はないのではないかと感じます。
山田:つまり、検索するだけで十分だということですね。
小林:それこそ、教科書や参考書があれば事足りる話ではないでしょうか。ですから、AIを導入することで効率は向上すると思いますが、それによって学習の幅が爆発的に広がるとは考えにくいです。もちろん効率は良くなるでしょうが、AIを学習に導入する真の価値は、そこではないのではないかと私は考えてしまいます。一つ活用例を挙げるとすれば、先ほどお話しされていたように問題の解答をAIに出してもらう際に、参考書の解説を読んでも理解できない場合がありますよね。そのような時に、「この問題を解いてほしい」とAIに依頼すると、現在では写真を撮るだけで、数式を手入力しなくても認識してくれます。テキストでは入力が難しい数式も、写真であればAIが図解なども含めて解答を示してくれるので、これは使い方として悪くないのではないかと思います。
山田:確かにそうですね。参考書によっては解説が分かりにくいこともありますが、AIであれば様々な角度から説明してくれる可能性があるので、その点は使い方次第で有効かもしれません。
AIと対話して「自分が何を分かっていないか」を知る
小林:AIの活用法として、先ほど問題を作成してもらえるというお話がありましたが、問題を作成してもらうこと自体は、それほど価値が高いとは思いません。むしろ、その答えに至るプロセス、つまり「これがこうなっているのはなぜか」という点を理解する手助けとして、自分がどこを理解できていないのか、そして本来何を理解すべきなのかを、AIと対話しながら明らかにしていくことに価値があると考えています。ですから、どちらかと言えば解説を求めたり、自分が何を理解していないのかを教えてもらったりするためにAIを活用することが重要なのではないでしょうか。例えば英語学習において、AIに英語の問題を作ってもらうのではなく、自分で作成した英作文が表現として適切か、より自然な言い回しはないか、といったことを尋ねるのです。
山田:ネイティブスピーカーから見た場合にどうか、ということですね。
小林:ええ、そうです。そういったやり取りは、従来のテキストや教科書のドリル学習では得られない、AIならではの利点です。このような相互のやり取りを通じて理解を深めるという点では、AIは非常に有効だと思います。
山田:なるほど、確かにそうですね。実は最近、家族で英会話学習を始めたんです。
小林:以前、別のポッドキャスト番組「気になるサービスを使ってみた」でAI学習アプリの「スピーク」を取り上げましたね。
山田:はい、現在は「Duolingo」というサービスを家族で利用しています。このアプリではAIのキャラクターと会話できるのですが、話した内容が伝わらなかった場合、「これはこういうことですか?」とAIが確認してくれるのです。このようなやり取りが発生する際、人間相手だと遠慮してしまうこともありますが、AI相手なら気兼ねなく話せるという利点があります。そういった点は、AIが学習に向いていると強く感じました。遠慮なく質問できる、というのは大きいですね。例えば、先生に何度も同じことを尋ねるのは気を遣いますし、塾などでも面倒がられるのではないかと考えてしまうことがあります。しかし、AIが相手ならそうした気兼ねは不要なので、学習の深度、つまり理解の深さがより一層増していくのではないかと感じています。
AIはアウトプットを「その人にとって良く」評価してくれる
小林:そうですね。AIの優れた点は、アウトプットに対して評価をしてもらえるという部分が大きいでしょう。従来の学習方法では、アウトプットをしても、それが正しいか間違っているかといった判断だけで終わってしまうことがほとんどでした。
山田:おっしゃる通りです。まるで赤ペン先生のように、決まりきった答えでなければ評価されない、といったものではありませんよね。
小林:ええ。しかし、Duolingoなどで会話練習をすると、「それはbigではなくlargeの方が適切ですよ」といったように、細かなニュアンスの違いも教えてくれます。
山田:確かに、そうですね。
小林:「あなたのアウトプットは、間違いではないし伝わるけれども、こちらの方がより自然ですよ」といったアドバイスをしてくれる点は非常に重要です。
山田:本当にそう思います。
小林:現在では、プレゼンテーションの資料や原稿などもAIで作成できるようになりましたよね。
山田:はい、作成できますね。
小林:しかし、それだけではありません。VR空間などで、実際に自分が発表しているかのような状況をシミュレートし、フィードバックを得ることも可能になっているようです。
山田:自分が発表している状況を、ですか?
小林:そうです、自分がです。そして、「話す速度が少し速いのではないでしょうか?」といった具体的な指摘もしてくれるそうです。
山田:それをAIが指摘してくれるということですね。しかし、今お話していて思ったのですが、日本語を話すこと自体も、やはり難しいものですよね。
小林:ええ、難しいですね。
山田:特に、このような収録など、普段とは異なる環境で話すことは、プレゼンテーションも同様ですが、非常に難しいと感じます。しかし、練習する機会はあまりありませんし、誰かに聞いてもらってフィードバックをもらうというのもなかなか難しいのが現状です。それをAIが担ってくれるというのは、確かに有効な手段だと感じます。
小林:そうですね。ですからやはり、いかに自分のアウトプットをAIに読み込ませ、それを解釈してもらい、フィードバックを得るかという点が、学習において最も重要なのではないでしょうか。
山田:確かに、それは必要不可欠ですね。
AIの真価は効率だけ?「その人らしさ」を引き出す力
小林:ですから、単純に「このことについて知りたい」とAIに尋ねて、例えば「奈良時代の〇〇について知りたい」と掘り下げていくような学習方法は、AIを使うことで確かに効率は上がりますが、AI活用の本質はそこではないように思います。
山田:なるほど。答えがあるようでないような曖昧な事柄に対して、解説をしてくれたりするということですね。
小林:そうです。つまり、正解があるもの、AIは集合知に強いと言われていますが、そういった明確な正解がある分野ではなく、むしろ人によって解釈が異なる部分、例えば「あなたはこういうのが得意でしょう?」といったことや、「あなたはここが分かっていませんね」といった指摘、あるいはプレゼンテーションでの話し方なども、人によって最適なものは異なりますよね。それを、画一的に「話すスピードは何倍速が正解です」と提示するのではなく、「あなたの話し方や話したい内容、性格などを考慮すると、これくらいが良いのではないでしょうか」というように、その人に合わせた提案をしてくれるのが、AIの強みなのではないかと考えています。
山田:なるほど、そういうことですか。ちなみに、そのプレゼンテーションなどを指摘してくれるサービスの名前は何というのですか?
小林:いえ、具体的なサービス名は存じ上げません。現在、それが実用化されているかどうかも定かではありません。そのようなことが技術的に可能になる、という段階の話かもしれません。詳しくは把握していませんし、私自身使ったこともありません(次回のエピソードで「VirtualSpeech」というサービスについて触れ、補足しています)。
山田:しかし、確かにそのような機能は実現してほしいですね。
小林:でも、すぐにでも実現できるのではないでしょうか。
山田:結局のところ、英会話の練習と同じようなものですから。英会話で話した内容に対してAIが応答し、「あなたの発音は、ここをこう発音した方が良いですよ」と指摘するのと同じロジックで実現可能だと思います。
小林:その通りです。発話に関するものであれば、話している内容だけでなく、それこそ音程がずれているといったことも現在ではAIが認識できるわけですから。抑揚なども含めて、AIで分析できるはずです。
山田:そうですね。話は少し逸れますが、まるでカラオケの採点のようですね。昔のカラオケの採点は、基本的に音程と歌唱の正確さだけが評価対象でしたが、今後は感情表現なども含めて、より多角的に評価されるようになりそうだと感じました。
小林:以前、まだテレビをよく見ていた頃に、芸能人がカラオケの点数で競う番組がありましたが、例えば点数自体は非常に高くても、「この人の歌い方は何となく好感が持てない」と感じることがありましたよね。
山田:ええ、分かります。心に響かない、といった感じでしょうか。
小林:そうです、そうです。これまでは、どうしても画一的な正解に向けてアプローチしていくため、点数としては良くても、本質的には良くないというケースがあり得ました。しかし、AIであれば、そうした問題を回避できる可能性が高いのではないでしょうか。
山田:確かにそうですね。どちらかというと、エモーショナルな部分、それこそ読書感想文なども、先生によって感じ方が全く異なるにもかかわらず、点数がつけられてしまいますよね。そういったものも、AIであれば褒めてくれるだけでなく、「こうした方が良いですよ」というアドバイスも多角的に行えるので、確かにAIはそういった分野に向いているかもしれません。AIというと感情がないように思われがちですが、むしろ感情の発達により寄与できるのではないかとさえ感じます。
小林:その通りです。読書感想文や小論文などは、これまでは「書き出しはこういう内容で」といったように、テクニック論に終始しがちでした。それが、例えばAIに「こういう感じで小論文を書いたのですが、添削してください」と依頼すれば、それをベースにして「より良くするためにはこうしましょう」と提案してくれるはずです。そうすることで、一つの正解に当てはめようとしないアプローチが可能になり、多様で優れた小論文が生まれてくるのではないでしょうか。
山田:確かに、そうですね。
小林:これまでは本当にテクニックが重視されていました。「こう書きなさい」といった指導があったかと思います。しかし、必ずしもそのように書かなくても意図が伝われば良いですし、その人らしさが表れている方が良いという場合もありますよね。
山田:ですから、AIを用いることによって、より多様な才能が良い方向に開花する可能性がありそうですね。確かに、その通りです。例えば、「この書き方は小論文としては間違っていますよ」と指摘されたとしても、実はその人が村上春樹ばりの文才を秘めている可能性だってありますからね。
小林:その可能性は十分にあります。入試などに関しては、もしかしたらテクニックに則った書き方が求められるのかもしれませんが、では実際に人間として、スキルとして必要なものはどちらかと言えば、テクニックだけではないはずです。社会に出て役立つのはどちらかと考えた時に、やはり自分らしさが表現された文章の方が価値があると思います。そういった能力を学習していく方が良いでしょう。ですから、人によって異なる部分、例えば長所を伸ばしたり、自分自身が「自分はこうなんだな」と理解したりすること。それを学習に繋げていくことが、おそらく重要なのではないかと一つ思いますね。
山田:AIを使う上でも、確かにそれはありそうですね。
小林:学び方として、ですね。よくAIの使い方や学習方法に関する情報を見ると、「プロンプトがどうだ」といった話が出てきたりします。
山田:確かに、方法論が語られることが多いですね。
小林:しかし、そういった特定のテクニックを使わなければならないようなものは、言ってしまえば学習にはあまり適していないのではないかと私は思います。
山田:なるほど、確かにそうかもしれません。
小林:もっと揺らぎのあるもの、曖昧なものに対して、「それをより良くするにはどうすればいいのだろう」といった使い方の方が、AIの特性に合っているのではないでしょうか。
親も先生も知らない分野こそ、AIと議論して学ぶ
山田:確かに、そうですね。学習という点で考えると、親が教えられない分野や、先生が教えられない分野が、より多くなってきていると感じています。昔は算数・国語・理科・社会といった、先生が比較的教えやすい科目が大半でしたが、最近では、例えば英語が導入されたり、先生自身が十分に学習してこなかったプログラミングのような新しい分野が入ってきたりしています。しかし、子どもの学習スピードを考えると、先生から教えてもらう機会はほとんどないという状況も起こり得ます。
小林:それは、当時も今もあまり変わらないのではないかと思いますが。
山田:そうですね。そうではありますが、より子ども自身の方が多くのことを知っているという状況が増えてきており、そういった内容を学習する際に、教えてもらう先がないという問題が生じています。特に、近所にプログラミングスクールなどがあれば良いのですが、そのようなケースはそれほど多くないでしょうし、誰もが通えるわけではありません。そうなった時に、例えば「Scratch」というプログラミング学習ツールをご存知ですか?それや、あるいは「Minecraft」のようなゲームなどもそうですが。
小林:ええ、そうですね。
山田:そういったものも含めて、多くの子どもたちはYouTubeで調べたりするわけです。しかし、YouTubeで得られる情報は、結局のところ、先ほどのお話にもありましたが、決まった事柄しか教えられず、決まったやり方しか提示されないため、どうしても方法論に偏ってしまいがちです。しかし、こういった内容をAIとディスカッションし、「こういう場合は、こうした方が良いのかな?」と尋ねた際に、「こういうケースもあるけれど、こういう風に試してみてはどうだろうか?」といった多様な視点からの返答が得られるようになれば、子どもの学習の深さと幅が一気に広がっていくのではないかと感じています。そのような使い方は非常に有効だと、今お話ししていて思いつきました。
小林:本当にその通りだと思います。単純に検索の利便性などはもちろん向上しましたが、学習の本質はそこではないはずです。一つの答えを求めるだけの行為は、学習とは異なる用途ではないでしょうか。学習するのであれば、やはり考えを深めることの方が重要です。そうなってくると、やはりYouTubeなどの一方的な情報提供よりも、自分にとってどのような考え方が必要なのかを理解する手助けとなるAIの方が適していると言えるでしょう。例えばプログラミングの話が出ましたが、これまではYouTubeもそうですし、教科書などでは基礎から順番に学んでいく必要がありました。それが、例えば「これを作ってみて」とAIに依頼し、AIがアウトプットしてきたものに対して、「いや、でも私が作りたいのは、ここの部分をこうしたいんだ」といった議論ができるようになるわけです。
山田:確かに、そうですね。
小林:そうしたやり取りを重ねていくと、「これを実現するためには、ここを学ばなければいけない」といったことが分かってきます。そして、自分の興味に基づいた流れで学習が進むため、学ぶ意欲も湧いてくるでしょう。このように、これまでは体系的に順を追って学ばなければならなかったことを、AIが「君が作りたいのはこれだろう?」と一足飛びに提示してくれ、それに対して「いや、そうじゃないんだ。エラーも出ているし、ここを修正してくれ」と指示する中で、こちらも知識が向上していかないと、AIにうまく指示を出すこともできません。その辺りのやり取り、つまり、どうすればエラーを出さずにAIに意図した通りに作ってもらえるのか、あるいは「AIはいつもこういう機能を付けようとするけれど、私はこういう機能は必要ないんだ」といった対話ができるようになってくると、AIの活用方法として非常に優れているのではないかと思います。
AIの記憶力アップで、プロンプトより「対話」が重要に?
山田:確かにそうですね。そう考えると、やはり重要なのはプロンプトそのものではないのですね。
小林:ええ、プロンプト自体が本質ではないのです。
山田:おっしゃる通りです。プロンプトをいくら工夫して良いものにしたところで、それがその人、その子どもに合っていなければ全く意味がありません。そう考えると、最近のChatGPTや他のAIもそうですが、メモリー機能が非常に発達してきています。元々はプロンプトに対して最適な答えを返すということを繰り返していましたが、今ではその人が過去にした質問や、「この人は以前こういう傾向があった」といった情報を全て学習し、記憶した上で、それに沿った形でアウトプットを出すようになりました。これは学習において非常に最適化された部分だと言えるでしょう。家族全員が同じアカウントを使ってしまうとあまり意味がないかもしれませんが、その子がどういう子なのかをAIが学習し、「このように考えているのは、過去にこういうプロセスがあったからだ」という情報が加味されると、やはりアウトプットも変わってくるだろうと感じます。
小林:変わってくるでしょうね。
山田:そうなってくると、プロンプトの重要性は相対的に下がってくるかもしれませんね。
小林:そうですね。その点において、ChatGPTはやはり優れていると感じます。その対話力とでも言うべき部分が、非常に強力なのではないでしょうか。
山田:確かにそうですね。最近、私自身もさまざまな用途でChatGPTを利用しているのですが、「プロジェクト」という機能ができて、そのプロジェクトに前提条件や「こういうシチュエーションで」といった情報を詳細に入力しておくと、それに沿った形で最適なアウトプットを出してくれるようになりました。この点は、これまでAIに足りなかった部分、つまり、事前に学習させておらず、ChatGPT自体が学習していない事柄に関しては対応できなかったのが、後から情報を追加できるようになったというのは非常に大きな進歩だと思います。そう考えると、本当に多様な用途で活用できると感じます。
小林:それで言うならば、それこそ著作権の問題は多少ありますが、例えば教科書の内容を丸ごとAIに読み込ませておけば、「この教科書の内容を一緒に勉強しましょう」と指示するだけで、体系的に、まるで先生のように教えてくれるのでしょうね。
山田:ええ、そうそう、まさしくその通りです。
小林:ただ、今話したやり方では、著作権的に問題があります。自分が著作権を持っていないものはアップロードできないことになっていますからね。
山田:そうです。書籍などもそのままAIに学習させること自体はダメですが、最近では、オンライン上にあるコンテンツ、自分が学習している教科書の内容に近いコンテンツをAIに学習させるという形であれば、実現可能かもしれません。著作権に抵触せずに、そのあたりはなんとなくできそうな気がしますね。
小林:しかし、そのような活用方法も、結局のところ効率が上がっているだけであり、革新的かと問われると、少し疑問が残るのも事実です。
山田:そうですね、確かに。
「これ何?」写真撮ってAIに聞けば、知識が広がる!
小林:もう一つ、効率とは別の観点、まあ効率と言えば効率なのですが、別の観点で言うと、画像検索ができるようになったのは非常に大きいと感じています。例えば、道を歩いていて「これは何だろう?」と思った時に、写真を撮るだけで、それが何かを教えてくれるのです。「それ、トマソンですよ」といった具合に。そして、「トマソンって何?」とさらに疑問が湧くわけです。
山田:トマソン、ですか?何でしょう。
小林:何と言いますか、街を歩いていると、「この階段は何のためにあるのだろう?」といったものに出くわすことがありませんか。何もない空間に続いている意味のない階段のようなものです。そういったものに対して、「これは何?」と疑問に思っても、どうやって検索すればいいのか分からず、面倒に感じてしまうことがありますよね。その時点で考えることを放棄してしまったり、「わざわざ調べるほどでもないな」となったりしていたものが、「これは一体何だろう?」と思った瞬間に写真を撮って、「これ何?」とAIに尋ねれば教えてくれるのです。
山田:教えてくれるのですね、確かに。
小林:そうなると、知識の幅はかなり広がっていくでしょう。
山田:確かにそうですね。
小林:例えば、見たことのない動物に出会った時、これまでは「わー、すごい!」で終わってしまっていたのではないでしょうか。
山田:終わってしまいますね。
小林:しかし、最近ではスマートフォンで写真を撮ることが当たり前になってきたので、「わー、何だろうこれ?」と写真を撮ったついでに、「これ何?」とアップロードすれば、おそらく「これは〇〇です」といった情報が返ってくるわけです。
山田:なるほど、確かに。
小林:「へえ、すごいなあ」となりますよね。
山田:ええ、そうですね。
小林:「タヌキかと思ったけど、アライグマだったのか」といった具合に、です。まあ、例えですが。そういった知識が一つ一つ蓄積されていくと、さまざまな本を読んだり、人と話したりする際に、物事に対する解像度が上がっていくのではないでしょうか。「あの人が言っていた、あれはすごかったんだよ」という話に対して、解像度が低いと「ふーん」で終わってしまいますが、自分も「確かにすごかったんだな」と共感できるようになるためには、やはり色々なことを知っておく必要がありますよね。
山田:確かに、その通りです。
小林:そういった学習の手間が省けるようになったというのは、非常に大きな進歩だと感じています。
山田:なるほど。「後で調べよう」とか、その場はやり過ごすといったことが少なくなっていくかもしれませんね。
小林:そうです。AIと聞くと、やはり現在はChatGPTの影響もあってか、テキストがメインのイメージが強いですよね。AIを導入すると言えば、テキストでどうこう、といった話になりがちです。あるいは、Duolingoのような特定のアプリケーションを指すこともあります。しかし、そうではなく、単純に画像であったり、それこそ鳥の鳴き声が聞こえてきて「これは何の鳥だろう?」と思った時に、音で判断してくれるといったことも可能になっています。
山田:確かにそうですね。音楽なども聞かせれば、何の曲かをすぐに見つけてくれますしね。
小林:間違っている場合もありますが、「これは何だ?」と尋ねた際に、AIが「おそらくこれです」と候補を上げてくれたとして、併せてYouTubeなどで例えば「コオロギ 鳴き声」と検索すれば、「確かにこれだ」と、合っているかどうかというファクトチェックもできます。ですから、現在は学習のハードルが下がった、いや、ハードルが下がったというよりは、以前よりも面倒くさくなくなった、と言えるでしょう。
山田:そうですね。手間がかからなくなっているのですね。
小林:「知りたい」という欲求が、手間に負けてしまうことが多かったのではないでしょうか。私だけかもしれませんが。
山田:確かに。「わざわざ図書館に行って調べるのか?」といったことになりますからね。
小林:ええ、そうです。昔は「百科事典を読んでいるだけで、辞書を読むだけでものすごく勉強になるよ」などと言われましたが、そんなことはなかなかしたくないですよね。
山田:したくないですね。「英単語を調べるのに、ずっと辞書を読んでいた方がいいよ」といった類の話ですね。
小林:そうです、そうです。読まないですよね。
山田:読みません。
小林:でも、例えば海外旅行先のレストランのメニューなどで知らない単語が出てきた時に、今であればGoogleレンズなどでかざせば翻訳してくれるわけです。「これはこういう意味なんだ」ということが分かりますよね。
山田:確かに、すぐに調べますね。
小林:それが記憶として定着するかどうかはまた別の話ではありますが、一度知っておくと、また同じものに出会った時に「確かあれは、何かあったな」と思い出し、だんだんと定着していくものです。そういった調べる癖がついていくと、色々なことに物知りになるというか。
山田:物知りであることは大事ですよね、確かに。
小林:さまざまなことに対する解像度が上がっていくので、想像力なども向上していくと思います。そういった意味では、学習のためにスマートフォンをお子さんに持たせるのも、十分にあり得る選択肢だと思います。
山田:非常によい選択肢ですね。
小林:学校の帰り道などで色々なものを写真に撮って、「これは何だったよ」といった会話が生まれるかもしれません。そして、それが夕飯の時などに話題にもなるわけです。
山田:確かに、そうですね。
小林:「こんなものがあったんだよ。パパ知ってる?」と。でも、おそらく父親は知らないでしょう。
山田:絶対知らないでしょうね。
小林:ええ、絶対知らないはずです。そして、子どもは得意げに色々と教えてくれるのではないでしょうか。
山田:うんうん、教えてくれますね。確かに。
小林:そうでしょう。それこそが、おそらく学習としては非常に良い状態、良い循環なのではないでしょうか。
山田:結局のところ、アウトプットすることによって知識は定着しますからね。確かに。
小林:そうそう、その通りです。
山田:そして、親が「すごいね」と言ってくれたことは、大きくなっても結構覚えているものですからね。確かに、それは非常に良いことですね。
小林:そういった活用法は良いのではないかと思いますね。学習の仕方として。
山田:確かに。
AIは鵜呑みダメ!親子で一緒に「考える力」を育てよう
山田:そうですね。あと、大人になってから気づくことですが、やはり話の引き出しが多い人、物知りで話の引き出しが豊富な人の方が、人間として深みがあるように思われますよね。
小林:そうですね。
山田:人との接し方というか、人付き合いにおいて。やはりそこはメリットしかないように感じます。
小林:今の話ですと、少し誤解を招く可能性があるかもしれませんが、単に知識を多く知っていることが重要なのではなく、考えるということが大切なのです。
山田:そうですね。
小林:「これは何だろう?」とか、「これってこういう意味でこうなのかな?」といったように、自分の推測とAIが教えてくれることなどを色々と照らし合わせたりしていくことによって、考える力が養われます。そうなると、先ほど山田さんがおっしゃったように、話している時に「この人の話は深そうだな」と感じるのは、その人が必ずしもその分野の知識を持っているわけではなく、知らない分野の話をしていても、考える力がある人であれば、すぐに対応できるというか。
山田:そうですね。的確なリターンが返ってくるんですよね。
小林:そうです。深いリターンというか、それらしい、的を射たような答えが返ってくるじゃないですか。
山田:そうなんですよね。
小林:ですから、重要なのは考える力、というか。
山田:考える力ですよね。AIが出してきたアウトプットをそのまま鵜呑みにして、例えばコピー&ペーストしているだけでは全く意味がありません。そこに対してAIとやり取りをすることにこそ意味があるのです。それを習慣化することができれば、小さい頃からその習慣が身につけば、大人になった時にしっかりと考えてAIを使いこなせる人間、つまりAIに使われる人間ではなく、AIを使いこなせる人間になれるはずです。それをやはり意識して子どもにはやらせた方が良いですよね。
小林:そう思いますね。
山田:早いうちからAIに馴染ませるということを、「AIは良くないものだ」と遠ざけるのではなく、行うべきです。あと数年もすれば、誰もが授業などでAIを使わなければならない世の中になるはずですから、早いうちにそうした経験をさせておく方が良いでしょう。
小林:そうですね、使い方ですよね。包丁が危ないからといって子どもに持たせないでいたら、いつまで経っても料理ができるようにはなりませんよね。
山田:いや、本当にその通りですね。
小林:使い方を、正しい使い方を教えるというか。教えるというよりも、もしかしたら子ども自身の方が色々と新しい発見をしていく可能性もあるので、一緒に教えてもらったりしながら、ということですよね。
山田:そうです。子どもと一緒に学習していくくらいのスタンスが、AIに関しては良いのかもしれませんね。だって、AIが知っていることで大人が知らないことなんて、山ほどあるわけですから。
小林:大量にありますね。
山田:大量にあるというか、大半が知らないことですから。
山田:やはり自分もそこで知ったかぶりをするのではなく、一緒に学習することによって、家族全体がレベルアップしていく、というのもありですね。良いですね。
小林:ありだと思います。
子どもからの「知ってる?」は、親にとって学びのチャンス!
小林:今回は学習にAIを導入してみるというテーマで、より良い家族の暮らしについて考えていきました。
山田:はい。今回お話ししていて、自分の中で最も印象に残ったというか、確かにそうだなと改めて感じたのは、普段生活している中ではそこまで意識していませんでしたが、子どもが自慢げに話す、つまり子どもが学習した喜びを親に共有するという行為は、非常に大切だなと再認識させられたことです。そのあたり、子どもが話したがっている時には、自分の手を止めてでも、しっかりと耳を傾けてあげなければいけないなと反省しました。そこは、もっと真摯に向き合わなければいけないと、強く感じましたね。
小林:話を聞いてあげる、というよりは、その「聞いてあげる」という認識自体が、おそらく良くないのかもしれませんね。
山田:そうですね。
小林:「え、本当に?教えてくれるの?」くらいの気持ちで。
山田:学習する意欲を、大人として持つということですね。
小林:そうそう。大人の目線からすると、もう当たり前になってしまっているために、あえて学習しようという思考にならないような事柄について、子どもが「これ知ってる?」と聞いてくることって、大人は知らないけれど、知ろうともしなかったことではないでしょうか。おそらく。
山田:知らないですね。確かにそうかもしれません。
小林:ですから、教えてくれることに対しては、「ありがとう」くらいの認識でいた方が良いと思います。自分が勉強する手間を子どもが代わりにやってくれているのだから助かる、くらいの気持ちで、子どもの話を積極的に聞きに行くというスタンス、教えてもらうくらいの感覚でいる方が良いのではないでしょうか。
山田:そうですよね。絶対にそうだと思います。絶対に知らないことは多いですし、なんなら年を取れば取るほど学習する量は明らかに減っていきますから、やはり子どもに教えてもらうことというのは、たくさんあると思います。ですから、それを本当にありがたがらなければいけませんね。
小林:本当にありがたがらなければいけません。今、私は一人でずっと暮らしていますが、どうしても新しく知ることへのきっかけ、フックとなるものが少なくなってきているのを感じます。子どもがいると、同世代でも子どもがたくさんいる友人たちを見ていると、子どもから色々な情報が入ってくるじゃないですか。
山田:知らないことが多いですよね。
小林:情報というか、知らないことがたくさん入ってくるじゃないですか。そして、それをきっかけに学んでいくということがあるので、そういう意味では楽しそうだなとは思うのですが、私にはそういったフックがありません。自分が見ている世界のことしか知ることができないのです。ですから、お子さんがそのような話をしてくれるような家庭は、本当に素晴らしい、家庭全体として非常に良い状態なのだろうなと感じてしまいます。
山田:大切にした方がいいですよね。当たり前だと思わない方がいいですね。
小林:そうですね。
山田:勉強になりました。本当に勉強になりました。
小林:でも、あまり教えてもらうばかりだと。
山田:「こいつ、何も知らないな」と思われてしまいますね。
小林:そうそう。「パパ、何も知らないんだな」という風になってしまうと困るので、あまり馬鹿にされない程度に、自分も勉強、学習して。
山田:学習して教えてあげないと、ですね。
小林:ええ、そうです。教え合うくらいの関係を保っておかないと。対等な関係を維持していかないといけません。
山田:本当にそうですね。
小林:下に見られないように。
山田:そうですよね。勉強になります。
小林:ちょうど良い時間になりましたので、この辺でということで。また次回お会いしましょう。ありがとうございました。
山田:ありがとうございました。
AIを学習に取り入れることは、決して難しいことではありません。大切なのは、AIが出した答えをそのまま受け取るのではなく、「どうしてそうなるの?」「もっとこうしたら?」と対話を重ねていくこと。道で見つけた階段の謎も、聞こえてきた鳥の鳴き声も、すべてが学びのきっかけになります。そして何より、お子さんが「これ知ってる?」と目を輝かせて話してくれたとき、「教えてくれてありがとう」という気持ちで耳を傾けることが、家族みんなの成長につながります。AIは単なる便利な道具ではなく、親子で一緒に考える力を育てる仲間。正しい使い方を身につけながら、答えよりもプロセスを楽しむ。そんな新しい学びのかたちが、きっとご家族の日常をもっと豊かにしてくれるはずです。
memstock編集部
memStock編集部は、家族の豊かな暮らしと家計管理を応援する記事制作チームです。ライフハック・節約・投資・保険など、日常生活とお金に関する実用的な情報を、確かな専門知識と多様な視点から分析・提供しています。読者の皆様が抱える日々の悩みや将来への不安を解消し、ワンランク上の生活を実現するためのヒントが詰まった記事をお届けします。 「家族の暮らしをより豊かに」をモットーに、わかりやすく実践的なコンテンツで皆様の人生設計をサポートします。
山田 尚貴
カリフォルニア州立大学ロングビーチ校卒業後、NTTPCコミュニケーションズでシステムエンジニアとして金融機関等のシステム運用などに携わる。2009年、株式会社エニドアを創業し代表取締役に就任。クラウドソーシングサービスの開発・提供を行う。M&Aにより会社を売却後、上場企業のグループ会社の経営を6年行った後、株式会社modoを創業し代表取締役に就任。家族向けのサービスmemStockの開発を行う。 二級ファイナンシャル・プランニング技能士、証券外務員一種を保有。2児の父。



