禁止すべきか、拡大すべきか!?「LUUP」が描く未来から考えてみる

memStockでは、Spotifyほか各種ポッドキャスト配信サービスにて「気になるサービスを使ってみた」を配信中です。
本記事は、音声配信であるポッドキャストを「文字で読みたい人」に向けて内容を要約したものです。
気になるサービスを使ってみたとは?
起業家・投資家・ファイナンシャルプランナーである山田尚貴が、今まさに気になっているサービスについて、実際に使ってみたことで感じたそのすごさや面白さから、残念な部分やネガティブな感情までを、経営者視点などのいろいろな角度から分析してお話しする番組です。
▽前編はこちら
前回は、電動キックボードと電動アシスト自転車のシェアリングサービス「LUUP」を実際に利用した体験から見えてきた賛否両論の背景についてお伝えしました。続編となる今回は、LUUPの将来性や課題について、ビジネスの視点から考察していきます。
急速な事業展開とその戦略
シェアリングマイクロモビリティサービスの「LUUP」は主要都市を中心に展開を拡げており、創業からわずか5年ほどでありながらその急速な成長は注目に値します。この拡大スピードが賛否両論を生む一因となっているようですが、ビジネスの目線で見ると、競合他社の参入を防ぐための戦略的な動きとして捉えることができます。
自治体や警察、電鉄会社などのインフラ系企業との連携によるポートの増設も進められています。さらに、2024年10月には、元警視総監を監査役として迎え入れるなど経営体制の強化を図っているようです。この動きは、外部からの抑止力を効かせつつ、新規事業としての社会的な信頼性を高める取り組みとして大人な経営をされていると感じました。
また、ポート(駐輪場所)の設置には、グリーンのテープを地面に貼り看板などを設置するだけという簡易な方法を採用しており、導入も撤去も物理的には容易です。しかし、例えば、マンションにポートが設置されている場合、その利便性を目的に入居を決めた住民がいる可能性もあり、オーナーとしては簡単には撤去を決断できない状況が生まれます。このようなネットワーク効果が、サービスの継続性を高める要因になっていると思います。
場所の確保は競合の参入を防ぐ上で重要な要素となっているようです。シンプルなテープによるポート設置でありながら、一度確保した場所は住民のニーズと結びついて維持されやすい特徴があると見ています。

法改正と安全性の課題
2023年7月、改正道路交通法の施行により、電動キックボードの免許不要化が実現し、利用者層が大きく拡大しました(免許が要らないのは、最高速度が時速20キロ以下などの基準を満たす「特定小型原動機付自転車」に当たるものだけで、16歳未満は運転できません)。LUUPは、この法改正に合わせて最高速度20キロの新モデルの導入や、6キロ以下での歩道走行モードの追加など、サービスの拡充を図っています。
SNSなどでは、逆走、歩道での高速走行、二人乗りといった危険行為が頻繁に指摘されています。特に子どもを前に乗せての二人乗りなど、重大な事故につながりかねない危険な使用方法も見られます(電動キックボード〔特定小型原動機付自転車〕の二人乗りは、法律で禁止されています)。LUUPは、ガイドラインの整備や安全講習の実施などの対策を進めていますが、講習に参加するのは元々マナーを守る意識の高いユーザーが中心と考えられ、より実効性のある対策が必要だと思います。
【2026年10月追記】その後、2026年4月1日に、16歳以上の自転車の運転者を交通反則通告制度(いわゆる「青切符」)の対象とする改正道路交通法が施行されました。LUUPの電動アシスト自転車も自転車なので対象で、反則金は、たとえば信号無視が6,000円、携帯電話を手に持って使う「ながら運転」が1万2,000円です。電動キックボード(特定小型原動機付自転車)は、2023年7月の制度開始のときから青切符の対象です。
例えば、カメラやGPSを使った監視システムの導入なども検討に値すると思います。現在、LUUPにカメラは搭載されていないようですが、ドライブレコーダー機能があれば、危険行為の記録や追跡もできるはずです。また、GPSと組み合わせることで、事故や危険運転の際の対応にも使える可能性があります。
課金システムについても安全性の面から検討の余地がありそうです。現在の「基本料金 + 時間料金(1分単位)」という時間課金制は、利用者が急いでしまう要因になる可能性を否定できません。サブスクプランで利用可能な30分単位の料金体系や、時間にとらわれない乗り放題パスの拡充なども、安全性向上のための選択肢として考えられます。
【2026年10月追記】2026年10月時点の公式サイトでも、料金は「基本料金50円+1分ごとの時間料金」で、時間料金は東京25円、大阪・新大阪・江坂20円、その他の主要な地域15円(いずれも税込)と案内されています。3時間・6時間・12時間の乗り放題パスも販売されています。料金や特典は変わることがあるので、利用前に公式サイトとアプリで確認してください。
海外の事例から見る課題
ロサンゼルスでは、コロナ禍前に訪れた際には「Lime」や「Bird」のシェアキックボードが走っていましたが、コロナ後に再訪した際には使用済みの車両が放置されている様子が見られました。これらのサービスはポートを持たないフリーフロート型で、どこでも乗り捨て可能なシステムを採用しています。ただし、日本など都市によってはポートを設置するようになってきているようです。
また、パリなどの一部都市では、電動キックボードのシェアリングサービスが禁止されています。実際に現地で車を運転した経験からすると、運転マナーがとても悪く、特にタクシーの運転が荒い印象があり、それが規制の背景の一つになったのではないかと推察されます。一方、サンフランシスコでは、物理的な仕切りのあるバイクレーンが整備されており、より安全な走行環境が確保されています。
日本の交通環境は、海外と比較すると相対的に良好な状況にあるように見受けられます。しかし、重大な事故が発生した場合は規制強化につながる可能性もあり、事前の安全対策の徹底が重要な課題となっています。
サービス拡大への展望
LUUPは、「街じゅうを『駅前化』するインフラを作る」というミッションを掲げています。公共交通とは異なり時間を気にせず移動できる手段として、駅からやや離れた地域の価値向上にも寄与する可能性があります。
現在は若年層の利用が中心となっていますが、座って乗れる電動シートボードの開発など、より幅広い層への展開も検討されているようです。イメージ向上の取り組みとして、テレビCMでは国民的な知名度を持つ二宮和也さんを起用し、ポート限定の特別コンテンツを提供するなど、工夫を凝らした展開も見られます。デジタルスタンプラリーのような仕組みと組み合わせることで、ポートを回遊する楽しみも提供できそうです。

また、アウトレットモールのような広大な私有地での展開も、新たな可能性として考えられます。広い敷地内で駐車場から店舗までの移動手段として安全に試せる環境を提供できれば、サービスへの理解促進にもつながると思います。
出典
- 特定小型原動機付自転車に関する交通ルール等について(警察庁)https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/anzen/tokuteikogata.html
- 自転車は車のなかま~自転車はルールを守って安全運転~(警察庁)https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/bicycle/info.html
- 自転車をはじめとする軽車両の反則行為と反則金の額(警察庁)https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/bicycle/pdf/jitensyahansokukoui.pdf
- LUUP サービス紹介(株式会社Luup)https://luup.sc/service/
- LINEギフトでLUUPの乗り放題パスが購入可能に(株式会社Luup、2026年10月15日)https://luup.sc/news/2026-10-15-line-gift/
よくある質問
- 2023年7月の改正道路交通法で何が変わりましたか?
- 最高速度が時速20キロ以下などの基準を満たす電動キックボード(特定小型原動機付自転車)は、運転免許なしで運転できるようになりました(16歳未満は運転できません)。LUUPは最高速度20キロの新モデル導入や6キロ以下での歩道走行モード追加など、サービス拡充を図っています。
- 電動キックボードの危険な使用例にはどのようなものがありますか?
- SNSでは逆走、歩道での高速走行、二人乗り、子どもを前に乗せての二人乗りといった危険行為が話題になっています。重大事故につながりかねない使用方法も見られます。特定小型原動機付自転車の二人乗りは法律で禁止されています。
- 自転車の「青切符」はいつから始まりましたか?
- 2026年4月1日に始まりました。16歳以上の自転車の運転者が交通反則通告制度の対象で、反則金は信号無視が6,000円、携帯電話を手に持って使う「ながら運転」が1万2,000円などです。LUUPの電動アシスト自転車も対象です。
- LUUPが目指す将来のサービスはどのようなものですか?
- 『街じゅうを駅前化するインフラを作る』というミッションを掲げています。駅からやや離れた地域の価値向上に寄与する可能性があり、座って乗れる電動シートボード開発なども検討中です。
memStock編集部は、家族の豊かな暮らしと家計管理を応援する記事制作チームです。ライフハック・節約・投資・保険など、日常生活とお金に関する実用的な情報を、確かな専門知識と多様な視点から分析・提供しています。読者の皆様が抱える日々の悩みや将来への不安を解消し、ワンランク上の生活を実現するためのヒントが詰まった記事をお届けします。 「家族の暮らしをより豊かに」をモットーに、わかりやすく実践的なコンテンツで皆様の人生設計をサポートします。
カリフォルニア州立大学ロングビーチ校卒業後、NTTPCコミュニケーションズでシステムエンジニアとして金融機関等のシステム運用などに携わる。2009年、株式会社エニドアを創業し代表取締役に就任。クラウドソーシングサービスの開発・提供を行う。M&Aにより会社を売却後、上場企業のグループ会社の経営を6年行った後、株式会社modoを創業し代表取締役に就任。家族向けのサービスmemStockの開発を行う。 二級ファイナンシャル・プランニング技能士、証券外務員一種を保有。2児の父。
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