「カブアンド」は株式投資をした事がない人にこそ使ってほしい

memStockでは、Spotifyほか各種ポッドキャスト配信サービスにて「気になるサービスを使ってみた」を配信中です。
本記事は、音声配信であるポッドキャストを「文字で読みたい人」に向けて内容を要約したものです。
気になるサービスを使ってみたとは?
起業家・投資家・ファイナンシャルプランナーである山田尚貴が、今まさに気になっているサービスについて、実際に使ってみたことで感じたそのすごさや面白さから、残念な部分やネガティブな感情までを、経営者視点などの様々な角度から分析してお話しする番組です。
話題の新サービス「カブアンド」は、生活インフラの利用を通じて株式投資を身近に感じられる取り組みとして注目を集めています。
前編となる今回は、カブアンドを実際に触ってみることで見えてきたことの中から、株式投資未経験者にとってのサービスの意義を中心にお話しします。
サービスの基本構造
カブアンドは、カブ&ピース社が提供するサービスを利用することで株引換券が付与されるサービスです。株引換券は、同社の株式や、同社のサービスを利用する際に使用可能な割引券に交換することができます。
現在利用可能なサービスは以下の6つです。
- KABU&でんき
- KABU&ガス
- KABU&モバイル
- KABU&ひかり
- KABU&ウォーター
- KABU&ふるさと納税
利用金額に応じた株引換券の付与率は、通常会員の場合、電気・ガスが1%、モバイル回線が10%、光回線・ウォーターサーバーが5%、ふるさと納税が1%です。例えば、電気料金1万円の利用で100円分の株引換券が付与されます。これは最初の交換時期における見込額で20株分に相当します。
大阪ガスやソニーネットワークコミュニケーションズからのスピンアウト企業など、大手事業者との提携で運営されている点も特徴です。電気やガスは工事不要で切り替えが可能であり、MVNOへの乗り換えも比較的容易なため、サービスを始めるハードルは低いと感じました。
株引換券の特徴
株引換券は、募集期間中にカブ&ピース社の株式と引き換えることができます。目論見書によると、第1期の株式は1株5円で設定されているため100円分の引換券であれば20株に引き換えることができます。
ただし、株引換券を募集期間中(2025年5月)に株式へと引き換える際、2025年4月25日での株価によって実際の価値が変動する可能性があります。例えば、株価が10円になっている場合、同じ100円分の引換券でも引き換えられる株式は10株分となります。逆に株価が下がっている場合は、より多くの株式と引き換えられることになります。
現在、カブ&ピース社の発行済み株式数は30億株です。これに加えて第1期では最大6億株分の株引換券を発行する予定となっています。サービスの利用状況によっては、この上限に早期に達する可能性もあります。
また、株式に引き換えた後も、会社の成長に応じて価値が変動する可能性があります。現在、カブ&ピース社の時価総額は約180億円ですが、将来の上場時にはこの価値が大きく変動する可能性があります。例えば、時価総額が1000億円になった場合、株式の価値は約5.5倍になりますが、会社の状況によっては価値が下がるリスクもあります。
このようにカブアンドは、一般的なポイント還元とは異なり、引換時の株価で得られる株式数が変動し、さらに引換後の株式価値も変動するという二段階の可変性を持つ仕組みとなっています。

前澤氏の構想と理念
代表の前澤氏は「国民総株主」という理念を掲げています。日本の株式保有率は約25%で、アメリカの約60-70%と比較して低い状況です。株式投資を通じて世の中の仕組みを知り、お金を増やすための知識を得ることは、現代社会では重要な意味を持つと考えられます。
この構想の背景には、前澤氏のZOZOでの経験があるようです。ZOZO上場時、株式のほとんどを前澤氏自身が保有していたため、創業期から支援してくれた顧客が利益を得られなかったことへの失意が、今回のサービス構想の原点となっているとのことです。
上場に向けては数百万人規模の株主が必要であると考えられます。これは、NTTの約170万人という現在の最多株主数を大きく上回る規模となります。前例のない規模での株主作りに、どのように取り組んでいくのか注目されます。
サービスの可能性とこれから
株式投資未経験者にとって、日常的なインフラサービスの利用を通じて株式投資を始められる点は、大きな魅力といえます。スイッチングコストの低さは、多くの人がサービスを始めるきっかけになるのではないかと思います。
ただし、数百万人規模の株主を持つ会社の上場は前例がなく、上場審査において新たな課題が生じると考えられます。特に反社会的勢力との関係がないことを確認する反社チェックは、これまでにない規模での対応が必要となります。
通常の上場審査では株主の属性確認が必要となりますが、カブアンドのようなサービスの利用者が株主となるケースでは、その確認が極めて困難です。多数の利用者の中に反社会的勢力が含まれている可能性を、どのように排除するのかが課題となります。
利用規約では反社会的勢力との関係がある場合は無効とする旨を定めていますが、実際の確認や判断は難しいのが現状です。この規模での株主構成は前例がないため、上場審査において新たな基準が必要になる可能性もあります。
カブアンド側としては、株式投資未経験者に気軽な気持ちで始めてもらうためにサービスを設計しているようですが、その多くはリスクを十分に理解していない可能性があります。上場までのプロセスで何らかの問題が生じた場合、投資未経験者が多数参加していることによる社会的な影響は小さくないと考えられます。
(後編へ続く)
よくある質問
- サービス利用でどのくらいの株引換券がもらえますか?
- 通常会員の場合、電気・ガスは1%、モバイルは10%、光・ウォーターは5%、ふるさと納税は1%です。例えば、電気料金1万円で100円分の株引換券が付与され、発行時の株価によって異なりますが20株分に相当します。
- 株引換券を引き換える時の株価はどのように決まりますか?
- 目論見書によると第1期は1株5円で設定されています。ただし実際の発行価格は2025年4月25日時点での評価額を勘案して決定されるため、株価は変動する可能性があります。
- 前澤氏が目指す『国民総株主』とは何ですか?
- 日本の株式保有率は約25%で米国の約60~70%より低いことから、株式投資を通じて世の中の仕組みを知り、お金を増やすための知識を得ることを重要だと考える構想です。
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カリフォルニア州立大学ロングビーチ校卒業後、NTTPCコミュニケーションズでシステムエンジニアとして金融機関等のシステム運用などに携わる。2009年、株式会社エニドアを創業し代表取締役に就任。クラウドソーシングサービスの開発・提供を行う。M&Aにより会社を売却後、上場企業のグループ会社の経営を6年行った後、株式会社modoを創業し代表取締役に就任。家族向けのサービスmemStockの開発を行う。 二級ファイナンシャル・プランニング技能士、証券外務員一種を保有。2児の父。
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