「カブアンド」に潜む、気をつけないと大損する落とし穴

memStockでは、Spotifyほか各種ポッドキャスト配信サービスにて「気になるサービスを使ってみた」を配信中です。
本記事は、音声配信であるポッドキャストを「文字で読みたい人」に向けて内容を要約したものです。
気になるサービスを使ってみたとは?
起業家・投資家・ファイナンシャルプランナーである山田尚貴が、今まさに気になっているサービスについて、実際に使ってみたことで感じたそのすごさや面白さから、残念な部分やネガティブな感情までを、経営者視点などの様々な角度から分析してお話しする番組です。
▽前編はこちら
前編では、株式投資未経験者にとっての「カブアンド」の意義を中心にお話しました。今回は、カブアンドに潜む落とし穴について、特に通常のサービス説明では気付きにくい重要な注意点を、ユーザー視点と投資家視点の両面から解説します。
注意が必要な電気・ガス契約
現在カブアンドが提供する6つのサービスの中で、特に注意が必要な落とし穴が、電気とガスの契約に潜んでいます。KABU&でんきのホームページには、安心のでんき料金として「電気料金は地域の電力会社と変わらず」と記載されていますが、注意書きの内容をきちんと理解しておく必要があります。
地域の電力会社の従量電灯では、燃料費調整単価に上限が設定されているのに対し、KABU&でんきにはその上限がありません。同様に、KABU&ガスにおいても原料費調整単価に上限設定がありません。このため、エネルギー価格の高騰時には料金が大きく上昇する可能性があります。
調整単価における上限設定の有無が、電力を多く使用する世帯では特に大きな影響を及ぼす可能性があります。実際に電力自由化が始まった時には、それで痛い目に遭いました。
我が家は4人家族でオール電化な上、全体的な電力消費量も比較的多く、多い時には月間使用量が1000kWを超えることもある家庭なのですが、東京電力から切り替えた結果、電気料金が約2.5倍になってしまいました。これは、燃料費調整単価の上限がない会社に切り替えたことで、価格上昇分がそのまま請求額に反映されたためでした。
特に懸念されるのは、この仕組みがカブアンドのユーザー層に与える影響です。株式投資の経験があまりなく情報の確度が高くないユーザーが多いと想定される中で、このような気付きにくいリスクが潜むサービスを、そうしたユーザー層に提供することについては疑問が残ります。
インフラサービス切り替えのリスク
料金プランのページやオンラインでの見積もりでは料金が安く見える場合でも、前述の通り、燃料費調整単価の上限がない影響で実際の料金が大きく高騰する可能性があります。しかも、この価格変動をシミュレーションすることは非常に困難です。燃料費調整単価は、3ヶ月間の平均で算出される値であり、電力会社自体も将来の単価を予測できないため、慎重に検討する必要があります。
また、電力会社などのインフラサービスの切り替えは、一度実施すると元に戻すことが簡単ではありません。この点は多くのユーザーが見落としがちな重要な注意点です。
電力会社の料金プランは随時更新されており、一度解約すると以前と同じプランには戻れない可能性が高いです。結果として、より高額なプランでの再契約を余儀なくされる可能性があります。
生活インフラを切り替えなくても、カブアンドでは現在、アンケートに答えるだけで株引換券がもらえます。今後もこのようなキャンペーンを予定しているそうなので、まずはそこから株式に触れてみるのも良いでしょう。

株式引換に関する注意点
株引換券の管理には特に注意が必要です。第1期の引換申込期間は2025年5月2日から5月23日までと定められており、この期間を逃すと次の機会まで待つ必要があります。
引き換え手続きは自動では行われず、利用者自身が行う必要があります。株式のルール上、自動的な引き換えはできない仕組みとなっています。次回の引換機会まで先延ばしになった場合、株価が順調に上昇していれば引き換えられる株数が少なくなります。
多くのユーザーが、サービス切替後はあまり確認しなくなることが予想されます。はじめの1-2ヶ月は確認しても、その後は忘れてしまう可能性が高く、引換申込期間を見落としやすい点に注意が必要です。
株式発行と価格設定の仕組み
目論見書によると、カブ&ピース社、第1期の募集では6億株の株式発行を予定していますが、申込株式数が発行できる上限株式数を上回った場合、株式へと引き換えられずに株引換券として返還される可能性があります。
株式の見込額は1株5円とされています。これは、2024年10月7日時点での第三者評価機関による評価額を基に算出されています。実際の発行価格は、2025年4月25日時点での評価額を勘案したうえで決定されるため、価格は変動する可能性があります。
また、発行される株式には議決権が付与されず、経営への参画はできない仕組みとなっています。これは投資判断を行う上で重要な考慮点となります。
投資商品としての位置づけ
カブアンドは株式投資をしていない層である約75%の人々に向けたサービスであると想定されますが、実際にはポイント投資や少額(単元未満株)投資、投資信託などを通じて株式投資に関わっている人は少なくありません。特に新NISA開始以降、その傾向は強まっていると考えられます。
SNSなどでの評価を見ると、カブアンドに対する反応は賛否両論となっています。株式投資経験者からは、ポイント投資など、より効率的な投資手段があることが指摘されています。応援する意味でカブアンドに投資するのであれば良いのですが、儲けたいのであれば他の投資商品を検討した方が良いでしょう。
また、カブアンドは、株主とユーザーが同一である特殊な構造を持っています。そのため、サービスの品質維持と株主価値の向上を両立させる必要があり、今後サービスが拡大するにつれて、このバランスの維持がより難しくなる可能性があります。
memstock編集部
memStock編集部は、家族の豊かな暮らしと家計管理を応援する記事制作チームです。ライフハック・節約・投資・保険など、日常生活とお金に関する実用的な情報を、確かな専門知識と多様な視点から分析・提供しています。読者の皆様が抱える日々の悩みや将来への不安を解消し、ワンランク上の生活を実現するためのヒントが詰まった記事をお届けします。 「家族の暮らしをより豊かに」をモットーに、わかりやすく実践的なコンテンツで皆様の人生設計をサポートします。
山田 尚貴
カリフォルニア州立大学ロングビーチ校卒業後、NTTPCコミュニケーションズでシステムエンジニアとして金融機関等のシステム運用などに携わる。2009年、株式会社エニドアを創業し代表取締役に就任。クラウドソーシングサービスの開発・提供を行う。M&Aにより会社を売却後、上場企業のグループ会社の経営を6年行った後、株式会社modoを創業し代表取締役に就任。家族向けのサービスmemStockの開発を行う。 二級ファイナンシャル・プランニング技能士、証券外務員一種を保有。2児の父。



