リビングで学習と在宅勤務を両立するには

夕方のリビングで、子どもが宿題を広げ、同じテーブルで親がノートパソコンを開いてオンライン会議に出る。在宅勤務のある家庭では珍しくない光景です。国の調査では、雇用されて働く人の4人に1人がテレワークを経験しており、平日に1時間以上勉強する子どもは小学6年生で約5割、中学3年生で約6割います。
リビングを勉強と仕事の両方に使うなら、机の上の明るさ、会議と勉強の時間の重なり、家族がくつろぐ時間の確保を、家族で決めておくと過ごしやすくなります。2026年10月時点の公的な調査と指針をもとに整理します。
在宅勤務は雇用者の4人に1人が経験
国土交通省の「令和7年度テレワーク人口実態調査」(2025年10月にWEB調査、有効サンプル数40,000人)では、雇用型就業者のうちテレワークをしたことがある人の割合は25.2%で、前年度から0.6ポイント増えました。直近1年間にテレワークを実施した人の割合は16.8%です。国交省は、コロナ禍の後に続いていた減少が令和7年度調査で増加に転じ、安定基調で推移していると説明しています。
総務省の「令和7年通信利用動向調査」(2025年8月末時点)でも、テレワークを導入している企業(常用雇用者100人以上)の割合は50.1%で、前年から2.8ポイント増えました。企業に勤める15歳以上の個人のうち、過去1年間にテレワークをした人は26.9%で、実施した形態は「在宅」が92.6%と最も高くなっています。テレワークの多くは自宅で行われており、家の中のどこで仕事をするかが家族の問題になります。
総務省の「社会生活基本調査」(2021年)では、平日に仕事があった日にテレワーク(在宅勤務)をしていた人は有業者の6.7%でした。35~44歳では、在宅勤務をした人の平日の育児時間は41分で、在宅勤務以外の人の18分より長く、通勤・通学の時間は5分(在宅勤務以外は1時間8分)でした。通勤がなくなった時間の一部が、家で子どもと過ごす時間に回っています。社会生活基本調査は5年ごとの調査で、次回の令和8年調査は2026年10月20日現在で実施されます。
平日に1時間以上勉強する小6は約5割、中3は約6割
文部科学省の「令和8年度全国学力・学習状況調査」(小学6年生と中学3年生が対象)では、学校の授業以外に平日1日あたりどれくらい勉強するか(塾や家庭教師、インターネットで学ぶ時間を含む)を尋ねています。
| 平日の勉強時間 | 小学6年生 | 中学3年生 |
|---|---|---|
| 3時間以上 | 10.8% | 9.0% |
| 2時間以上3時間未満 | 11.2% | 21.2% |
| 1時間以上2時間未満 | 28.3% | 31.5% |
| 30分以上1時間未満 | 28.9% | 19.5% |
| 30分未満 | 14.4% | 11.5% |
| 全くしない | 5.7% | 6.9% |
1時間以上の合計は、小学6年生で50.3%、中学3年生で61.7%です。同じ調査の分析では、小学校で、授業以外に平日も勉強をしている児童のほうが、教科の平均正答率が高い傾向が見られました。
なお、国の調査は勉強する「時間」は尋ねていますが、家のどこで勉強するかは尋ねていません。リビングで勉強する子どもの割合は、民間企業の調査で示されることはあっても、公的な統計では確かめられません。リビングか自分の部屋かは、子どもの年齢や集中のしやすさ、家の間取りで家庭ごとに決めることになります。
机の上の明るさは300ルクスが一つの目安
同じテーブルで、子どもは紙の教科書やノートを読み、親はパソコンの画面を見ます。厚生労働省の「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」のパンフレットは、職場でパソコンなどを使う作業の環境として、机上の照度は300ルクス以上を目安にし、ディスプレイと書類を交互に見る作業では明るさが著しく異ならないようにすることを挙げています。
子どもの勉強については家庭向けの国の基準はありませんが、学校の教室には文部科学省の「学校環境衛生基準」があります。教室の照度の下限は300ルクスで、500ルクス以上が望ましいとされ、コンピュータ教室等の机上の照度は500~1000ルクス程度が望ましいとしています。リビングの天井の照明だけで手元が暗いときは、机の上に置く照明を足すと、教室の環境に近づけられます。
照明を見直すなら、蛍光灯の規制も確かめておきます。水銀に関する水俣条約を受けて、日本でも一般照明用の蛍光ランプは製造と輸出入が段階的に禁止されます。電球形は2026年1月1日から、直管形と環形は2028年1月1日から禁止です(一部は2027年1月1日から)。使用や販売、購入は禁止されないので、今ある蛍光灯をすぐに替える必要はありません。
会議の時間と勉強の時間を家族で分ける
自宅は会社の事務所と違い、事務所衛生基準規則などの職場の衛生基準が一般には適用されません。厚生労働省のテレワークガイドラインは、これらの基準と同等の作業環境となるよう、事業者が在宅で働く人に教育や助言を行うことを求めています。勤務先から自宅の作業環境のチェックリストが配られていれば、リビングで働く場合も一度目を通しておきます。
リビングで仕事と勉強が重なるときに困りやすいのは、音と時間です。オンライン会議の声は子どもの集中を妨げ、子どもの声は会議に入り込みます。会議の多い時間帯は親が別の部屋に移る、子どもが音読や暗記をする時間を決めておく、といった時間の分け方を家族の予定表にしておくと、毎日の調整が減ります。
勉強と仕事が終わったあとは、テーブルの上を片づけて、リビングを家族がくつろぐ場所に戻します。仕事の道具を出しっぱなしにしないことが、家族の時間と仕事の時間の区切りにもなります。共働きの家庭で時間をどう分けるかは、別の記事でも整理しています。
住まいを選ぶ・直すときに考えること
国土交通省が2026年3月27日に閣議決定した新しい「住生活基本計画(全国計画)」(計画期間は2026年度から2035年度)は、共働き世帯が仕事と子育てを両立しやすい住まいを選択できることを、2050年に目指す姿の一つに挙げています。子育て世帯に向けては、広さや間取り、遮音性などを考えた子育て対応リフォームや、テレワークスペースの設置などによる生活の利便性の向上を進めるとしています。
計画の住宅性能水準では、各居住室の構成と規模は、個人のプライバシー、家庭の団らん、接客、余暇活動などに配慮して確保するとしています。リビングを勉強と仕事にも使うなら、家族が集まる場所と、一人で集中できる場所の両方が家の中にあるかを、住み替えやリフォームのときに確かめておくと、子どもの成長や働き方の変化に合わせやすくなります。
子どもが小さいうちはリビングで、中学生になったら自分の部屋で、といったように、使い方は年齢とともに変わります。今の家族の過ごし方に合っているかを、新学期や働き方が変わる時期に話し合ってみてください。
出典
- テレワーク実施率、安定基調で推移 ~令和7年度のテレワーク人口実態調査結果を公表します~(国土交通省) https://www.mlit.go.jp/report/press/toshikankyoteleworkr7.html
- 令和7年度テレワーク人口実態調査結果(国土交通省) https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001989216.pdf
- 令和7年通信利用動向調査の結果(総務省) https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01tsushin02_02000183.html
- 令和7年通信利用動向調査の結果(概要)(総務省) https://www.soumu.go.jp/main_content/001074768.pdf
- 令和3年社会生活基本調査 生活時間及び生活行動に関する結果 結果の要約(総務省統計局) https://www.stat.go.jp/data/shakai/2021/pdf/youyakua.pdf
- 令和8年社会生活基本調査 調査の概要(総務省統計局) https://www.stat.go.jp/data/shakai/2026/gaiyou.html
- 令和8年度全国学力・学習状況調査 報告書 質問調査(国立教育政策研究所) https://www.nier.go.jp/26chousakekkahoukoku/report/data/26qn.pdf
- 情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン(パンフレット)(厚生労働省) https://www.mhlw.go.jp/content/11300000/000861747.pdf
- 学校環境衛生基準(文部科学省告示第六十号)(文部科学省) https://www.mext.go.jp/content/20230817-mext_kenshoku-100000613_1.pdf
- 一般照明用の蛍光ランプの規制について(環境省) https://www.env.go.jp/chemi/tmms/lamp.html
- テレワークガイドライン(厚生労働省) https://www.mhlw.go.jp/content/000759469.pdf
- 新たな「住生活基本計画(全国計画)」を閣議決定(国土交通省) https://www.mlit.go.jp/report/press/house02_hh_000244.html
- 住生活基本計画(全国計画)(国土交通省) https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001991226.pdf
よくある質問
- リビング学習をしている子どもはどれくらいいますか?
- 国の調査では、家のどこで勉強しているかは調べられていないため、公的な統計で割合は確かめられません。文部科学省の令和8年度全国学力・学習状況調査では、授業以外に平日1時間以上勉強する子どもは、小学6年生で50.3%、中学3年生で61.7%でした。
- 在宅勤務をしている人はどれくらいいますか?
- 国土交通省の令和7年度テレワーク人口実態調査では、雇用型就業者のうちテレワークをしたことがある人は25.2%、直近1年間に実施した人は16.8%でした。総務省の令和7年通信利用動向調査では、過去1年間にテレワークをした人は26.9%で、その92.6%が在宅でした。
- 勉強や在宅勤務に向くリビングの明るさは?
- 家庭向けの国の基準はありません。厚生労働省の情報機器作業のガイドラインのパンフレットは、机上の照度を300ルクス以上を目安としています。学校の教室は、文部科学省の学校環境衛生基準で下限300ルクス、500ルクス以上が望ましいと定められています。
- 蛍光灯は使えなくなるのですか?
- 使用、販売、購入は禁止されません。禁止されるのは一般照明用の蛍光ランプの製造と輸出入で、電球形は2026年1月1日から、直管形と環形は2028年1月1日から(一部は2027年1月1日から)です。
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