共働き夫婦の時間管理、制度から見直す

働き方・扶養と税memStock編集部(更新: 2026年10月13日)
共働き夫婦の時間管理、制度から見直す

夕方に保育園へ迎えに行き、夕食、お風呂、寝かしつけ。共働きの家庭では、平日の夜の数時間に家族の用事が集まります。内閣府の男女共同参画白書(令和8年版)によると、2025年時点で「雇用者の共働き世帯」(妻64歳以下)は1,254万世帯あり、専業主婦世帯(358万世帯)の3.5倍です。

時間が足りないとき、段取りや予定の共有で減らせる負担はあります。ただ、帰宅時刻や通勤時間、急な休みの取り方は、勤め先の制度を使わないと動かせません。総務省「社会生活基本調査」などの公的統計で共働き夫婦の一日がどこで詰まっているかを確かめ、2025年の育児・介護休業法の改正後に使える働き方の制度を、時間の使い方の側から整理します。

統計で見る、共働き夫婦の平日の夜

夫婦の時間の使い方を細かく知る手がかりは、総務省が5年ごとに行う社会生活基本調査です。公表済みで最新の結果は2021年10月の調査(令和3年)のもので、次の調査は2026年10月20日現在で行われます。以下の数値は2021年時点です。

6歳未満の子どもがいる夫婦と子どもの世帯では、家事・育児・介護・買い物を合わせた「家事関連時間」が、週全体の平均で夫1時間54分、妻7時間28分でした。内閣府の白書(令和5年版)がこの調査をもとに分析したところ、6歳未満の子どもを持つ夫婦の家事関連時間の妻の分担割合は、共働き世帯でも77.4%でした。

偏りは帰宅時刻にも表れています。同じ白書によると、末子が6歳未満の世帯では、妻の就業の有無にかかわらず、夫の仕事からの平均帰宅時刻は19時40分頃でした。一方、子育て期の有配偶女性は約7割が17時台以前に帰宅しています。夕方から夜の家事と育児が、先に帰る一人に集まりやすい構図です。

家事そのものの分け方は、別の記事で扱っています。ここでは、その前提になる「夫婦それぞれが何時に家にいられるか」を変える手段として、通勤と勤務時間の制度を順に見ます。

通勤時間を減らすテレワーク

社会生活基本調査では、2021年の平日に仕事があった人のうち、在宅でテレワークをしていた人は6.7%でした。テレワークをしていた人は、していない人に比べて通勤・通学時間が1時間3分短く、睡眠時間は18分長くなっています。35〜44歳では、育児時間がテレワークをした人で41分、しなかった人で18分でした。通勤に使っていた時間の一部が、育児に回っていたことになります。

ただし、テレワークを使える人はまだ限られます。令和8年版の白書によると、テレワークを導入している企業の割合は2024年に47.3%で、前年から下がりました。テレワーク制度等に基づいて働く雇用型テレワーカーの割合は2024年度に20.9%で、男性27.1%、女性13.6%です。

法律の面では、2025年4月から、3歳未満の子を育てる人がテレワークを選べるようにすることが事業主の努力義務になりました。義務ではないので、会社によって対応は分かれます。3歳から小学校就学前については、後で触れる「柔軟な働き方の措置」の選択肢にテレワーク等が入っています。

夕方の時間をつくる短時間勤務と残業の制限

迎えの時刻に間に合わせる、夕食を一緒にとる。そのために育児・介護休業法が定めているのが、勤務時間を短くする制度と、残業を減らす請求です。

3歳未満の子を育てる人について、会社は1日の所定労働時間を原則6時間とする短時間勤務の制度を設けなければなりません。短時間勤務で減った収入には、2025年4月に始まった雇用保険の「育児時短就業給付」があります。2歳未満の子を育てるために時短勤務をしている雇用保険の被保険者が対象で、給付は時短勤務中に支払われた賃金の10%です。時短後の賃金と給付の合計が時短前の賃金を超えないよう、給付率は調整されます。

残業については、小学校就学前の子を育てる人が3種類の請求をできます。所定労働時間を超える残業をなくす「所定外労働の制限」(2025年4月に対象が3歳未満から就学前に拡大)、時間外労働を1か月24時間・1年150時間までに抑える「時間外労働の制限」、午後10時から午前5時までの労働をなくす「深夜業の制限」です。いずれも開始の日の1か月前までに請求し、請求できる回数に制限はありません。事業の正常な運営を妨げる場合は会社が拒めるほか、勤続1年未満の人などは対象外になることがあります。

長時間労働は、夫婦の一方に偏りがちです。白書(令和8年版)によると、週の就業時間が60時間以上の雇用者の割合は、子育て期にある30代男性で7.9%、40代男性で8.7%でした。残業の制限は、母親に限らず父親も請求できます。帰宅が遅い側が使えば、夜の時間の偏りを直接減らせます。

3歳から就学前は「柔軟な働き方の措置」から選ぶ

法律で設置が義務づけられた短時間勤務は、子が3歳になるまでです。その後について、2025年10月から会社は、3歳から小学校就学前の子を育てる人のために、次の5つから2つ以上を選んで用意する義務を負っています。働く側は、その中から1つを選んで使えます。

  • 始業時刻等の変更(フレックスタイム制、時差出勤)
  • テレワーク等(1日の所定労働時間を変えずに月10日以上)
  • 保育施設の設置運営等(ベビーシッターの手配と費用負担など)
  • 養育両立支援休暇(1日の所定労働時間を変えずに年10日以上)
  • 短時間勤務制度(1日の所定労働時間を原則6時間とする措置を含む)

テレワーク等と養育両立支援休暇は、原則として時間単位で使えるようにする必要があります。夫婦が別々の会社に勤めていれば、用意される措置も別々です。一方の会社に時差出勤があり、もう一方にテレワークがあれば、朝の送りと夕方の迎えを分けて受け持つ組み方ができます。

会社は、子が3歳になる前の時期(1歳11か月に達する日の翌々日から2歳11か月に達する日の翌日まで)に、どの措置を用意しているかを本人に個別に知らせ、利用の意向を確認しなければなりません。あわせて、勤務時間帯や勤務地、業務量などについて本人の意向を聴き、自社の状況に応じて配慮する義務もあります。この面談や書面の時期は、夫婦がそれぞれの職場で使える制度を持ち寄る機会になります。

急な休みに備える子の看護等休暇

共働きの段取りが崩れやすいのは、子どもの急な発熱や学級閉鎖です。子の看護等休暇は、小学校3年生修了まで(9歳になった後の最初の3月31日まで)の子を育てる人が、1年に5日(子が2人以上なら10日)取れる休暇で、時間単位でも取得できます。2025年4月から、感染症に伴う学級閉鎖等や入園(入学)式・卒園式も取得の理由に加わりました。

年次有給休暇の取得率は2024年に66.9%で、女性72.2%、男性64.2%でした(令和8年版白書)。看護等休暇の残り日数と有給休暇の残りを夫婦で共有しておくと、朝に子どもが熱を出したとき、どちらが休むか、半日ずつ分けるかを短い時間で決められます。家族の予定をまとめたカレンダーに、それぞれの会議や出張を入れておくのも同じ目的です。

夫婦で制度を使い分ける

制度の使い方が一方に偏ると、時間の偏りも固定されます。内閣府の白書(令和5年版)は、両立支援制度の利用者が女性に偏れば、「家事・育児等は女性が担うもの」といった性別役割分業を固定化することにつながる可能性がある、と指摘しています。男性の育児休業取得率は2024年度に民間企業で40.5%まで上がりました。育休の後に続く短時間勤務や残業の制限、柔軟な働き方の措置も、夫婦のどちらが使うかを同じように話し合う対象になります。

まずは夫婦それぞれの就業規則を開き、子の年齢に合わせて使える制度を並べてみてください。帰宅時刻の遅い側が残業の制限を請求する、テレワークのある側が夕方の迎えを受け持つ、といった組み合わせは、段取りの工夫だけでは生まれない時間をつくります。会社と話がまとまらないときは、都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)に相談できます。

各制度の要件や改正の経緯は、こちらの記事で施行日ごとに整理しています。

家事の分け方と、夫婦の関係を保つ工夫は、それぞれ別の記事にまとめています。

出典

よくある質問

残業免除は父親も請求できますか
できます。所定外労働の制限は、小学校就学前の子を育てる労働者が対象で、性別は問いません。開始の日の1か月前までに、1回につき1か月以上1年以内の期間を示して請求します。勤続1年未満の人などは、対象外になることがあります。
3歳を過ぎたら短時間勤務は使えなくなりますか
法律で会社に設置が義務づけられている短時間勤務は3歳未満が対象です。3歳から就学前は、2025年10月から会社が5つの措置から2つ以上を用意する義務があり、その中に短時間勤務制度が含まれていれば利用できます。
テレワークは会社に申し出れば必ず使えますか
必ずではありません。3歳未満の子を育てる人のテレワークは、事業主の努力義務です。3歳から就学前は、会社が柔軟な働き方の措置としてテレワーク等を選んでいる場合に、その中から選んで使えます。
社会生活基本調査の新しい結果はいつ出ますか
2026年の調査は10月20日現在で行われ、結果の公表はこれからです。前回は2021年10月に調査し、生活時間の結果の概要が2022年8月31日に公表されました。
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