贈与についての色々な質問に回答!

意外と知らないと後で税金払ってなかった!という事になりかねない親族からの贈与。実は贈与される人によって税率や計算方法が違っていたり、金額によって異なる控除額があったりします。今回は贈与税の色々な質問に答えていきます(2026年10月時点の制度で回答しています)。
Q1. おじいちゃんからお年玉を1万円貰いました。贈与税はかかりますか?
A1. 贈与税はその年の1月1日から12月31日までの1年間で贈与された合計金額が基礎控除額の110万円を超えた分に対して課税されます。これを暦年課税といいます。おじいちゃん以外の贈与が109万円以内の場合は贈与税はかかりません。この場合、贈与税の申告も不要です。
Q2. 今年25歳になりました。就職のお祝いに両親から400万円を受け取りました。お祝いなのでこれには税金はかかりませんよね?
A2. 就職おめでとうございます。就職祝いに400万円はすごいですね。ただ、こちらは贈与税の対象になる可能性が高いです。教育資金の場合は非課税になる場合もありますが、今回は通常の贈与となります。この年にこの祝い金以外の贈与を受けていないと仮定すると、税金の計算は以下となります。
基礎控除後の課税金額: 400万円 - 110万円 = 290万円
贈与税額: 290万円 × 15% - 10万円(控除額) = 33万5,000円
尚、この場合は、贈与を受けた年の1月1日時点で18歳以上で、直系尊属(父母や祖父母)からの贈与なので特例税率が適用されます。特例税率は以下の通り
| 基礎控除後の課税金額 | 200万円以下 | 400万円以下 | 600万円以下 | 1,000万円以下 | 1,500万円以下 | 3,000万円以下 | 4,500万円以下 | 4,500万円超 |
| 税率 | 10% | 15% | 20% | 30% | 40% | 45% | 50% | 55% |
| 控除額 | n/a | 10万円 | 30万円 | 90万円 | 190万円 | 265万円 | 415万円 | 640万円 |
Q3. 10歳の子どもに親から将来の備えとして500万円を渡そうと思います。税金はかかるのでしょうか?
A3. 直系尊属からの教育資金の一括贈与には1,500万円までの非課税制度がありましたが、2026年3月31日で延長されずに終了し、2026年4月1日以後は使えません(それまでに適用を受けた分は引き続き非課税)。また、今回は明確な目的がない為、贈与税の対象となるでしょう。なお、学費や教材費などを親が必要な都度直接支払う分は、通常必要と認められる範囲なら今も贈与税はかかりません。この年にこれ以外の贈与を受けていないと仮定すると、税金の計算は以下となります。
基礎控除後の課税金額: 500万円 - 110万円 = 390万円
贈与税額: 390万円 × 20% - 25万円(控除額) = 53万円
今回は特例税率に当てはまらないため、一般税率となります。一般税率は以下の税率と控除額で計算できます。
| 基礎控除後の課税金額 | 200万円以下 | 300万円以下 | 400万円以下 | 600万円以下 | 1,000万円以下 | 1,500万円以下 | 3,000万円以下 | 3,000万円超 |
| 税率 | 10% | 15% | 20% | 30% | 40% | 45% | 50% | 55% |
| 控除額 | n/a | 10万円 | 25万円 | 65万円 | 125万円 | 175万円 | 250万円 | 400万円 |
Q4. 祖父母から結婚資金として300万円を貰いました。税金はいくらでしょうか?
A4. 直系尊属からの結婚子育て資金の一括贈与を受けた場合、2027年3月31日までは受贈者(受け取る人)1人あたり1,000万円まで非課税となります。そのうち結婚に際して支払うお金(挙式費用や新居費用など)は300万円が上限となっております。適用されるのは受け取る人が18歳以上50歳未満で、贈与を受けた年の前年の合計所得金額が1,000万円以下の場合ですので、この条件に当てはまれば今回は税金はかかりません。非課税となる要件として、金融機関で結婚・子育て資金口座を開設し、資金を預け入れる日までに、その金融機関の窓口を通じて結婚・子育て資金非課税申告書を提出する必要があります(受理された日に、受け取る人の納税地の税務署に提出されたものとみなされます)。
Q5. 妻の名義で居住用のマンションを購入しようと考えております。購入資金のうち1,000万円を妻に渡そうと思いますが、税金はかかるのでしょうか?
A5. 結婚して20年以上であれば、夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除が適用されます。今までこの控除を使った事がなく、贈与を受けた年の翌年3月15日までに購入したマンションに住み、その後も住み続ける見込みである場合は、贈与税の申告をすることで、最高2,000万円に基礎控除の110万円を加えた2,110万円までが非課税になります。婚姻期間が20年以上の夫婦間での贈与に適用されるので別名「おしどり贈与」とも呼ばれています。おしどり夫婦ですね!
Q6. 祖父から死ぬまでに資産を私たち孫兄弟に毎年100万円ずつ渡していきたいと提案がありました。この場合、基礎控除の110万円以上は毎年贈与税がかかってくるのでしょうか?もし他の良い方法があれば教えてください。
A6. はい、ご認識されている通り、基礎控除の110万円以上の分は暦年課税の対象となります。ただし、例えば毎年100万円ずつ10年間贈与することがあらかじめ約束されている場合は、約束をした年に「10年間にわたって100万円ずつ受け取る権利(定期金に関する権利)」の贈与を受けたものとして贈与税がかかるので注意が必要です。(仮にこの権利を1,000万円として、孫が18歳以上で特例税率が適用される場合、1,000万円から110万円の基礎控除を引いた890万円×30%-90万円=177万円が贈与税として課税される可能性があります。)
また、暦年課税で受け取った財産は、受け取った人が祖父の相続や遺贈などで財産を取得した場合、相続開始前の一定期間に受け取った分が相続税の課税価格に加算されます。この期間は2024年1月1日以後の贈与から3年から7年へ段階的に延び、2031年1月1日以後の相続では相続開始前7年以内です(延びた4年分は合計100万円まで加算されません)。
良い方法としては、相続時精算課税制度を選ぶのも一つの方法です。相続時精算課税は60歳以上の父母や祖父母から18歳以上の子や孫への贈与で選択でき、選択した場合、2024年1月1日以後の贈与からは、その祖父(特定贈与者)からの贈与について相続時精算課税の基礎控除110万円が毎年受けられます。そのため、祖父からの毎年100万円の生前贈与に関しては非課税となり、贈与税の申告も不要です。ただし、この110万円は暦年課税の110万円と重ねて使えるわけではありません。精算課税を選んだ祖父からの贈与には精算課税の110万円だけが使え、暦年課税の110万円が使えるのは、祖父以外の人(たとえば祖母や両親)からの贈与です。同じ年に2人以上の特定贈与者がいる場合は、精算課税の110万円をその人たちで按分します。精算課税の110万円以下の部分は、祖父の相続のときに相続財産に加算されません。選択するには、最初の贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までに「相続時精算課税選択届出書」の提出が必要で、一度選択するとその祖父からの贈与は暦年課税には戻れないので注意が必要です。こちらの制度については国税庁のタックスアンサー(No.4103)に概要や計算方法が記載されていますのでご確認ください。
最後に
親族からの贈与には、贈与税がかかります。贈与税がかからない方法もいくつかありますが、複雑な場合もありますので、専門家に相談することをおすすめします。また贈与する際にはトラブルを避けるため、贈与契約書は必ず作成するようにしましょう。
尚、上記は2026年10月時点の情報を元に回答しています。税率などは最新の情報をご確認ください。
Q4のように祖父母から結婚・子育て資金をまとめて受け取る場合の非課税制度がいつまで続くのかは、次の記事で確かめられます。
出典
- No.4402 贈与税がかかる場合(暦年課税)(国税庁)https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4402.htm
- No.4402 贈与税がかかる場合(暦年課税)Q&A(国税庁)https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4402_qa.htm
- No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)(国税庁)https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4408.htm
- No.4405 贈与税がかからない場合(国税庁)https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4405.htm
- No.4510 直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税(国税庁)https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4510.htm
- No.4511 直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税(国税庁)https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4511.htm
- 父母などから結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし(国税庁)https://www.nta.go.jp/publication/pamph/sozoku-zoyo/201504/pdf/0025005-102.pdf
- No.4452 夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除(国税庁)https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4452.htm
- No.4161 贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)(国税庁)https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4161.htm
- No.4103 相続時精算課税の選択(国税庁)https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4103.htm
よくある質問
- 親からの贈与に対する税金の目安は?
- 基礎控除額は年110万円で、超過額に対して課税されます。贈与を受けた年の1月1日時点で18歳以上の人が直系尊属から受けた贈与には特例税率が適用され、それ以外は一般税率です。どちらも金額に応じた控除額があります。
- 結婚資金の贈与に税金はかかりますか?
- 直系尊属からの結婚・子育て資金の一括贈与なら、2027年3月31日まで、結婚に際して支払うお金300万円を含む1,000万円まで非課税です。受け取る人が18歳以上50歳未満で、前年の合計所得金額が1,000万円以下であることが条件で、金融機関で専用口座を開設します。
- 教育資金の一括贈与の非課税は今も使えますか?
- 使えません。2026年3月31日で延長されずに終了し、4月1日以後は適用を受けられません。それまでに適用を受けた分は引き続き非課税です。学費や教材費を親が必要な都度直接支払う分は、通常必要と認められる範囲なら贈与税はかかりません。
- 配偶者間の不動産贈与に特例制度がある?
- 結婚20年以上の夫婦なら『おしどり贈与』として、基礎控除110万円を含む2,110万円まで非課税になります。居住用不動産やその購入資金の贈与が対象で、贈与税の申告が必要です。同じ配偶者からは一生に一度しか使えません。
カリフォルニア州立大学ロングビーチ校卒業後、NTTPCコミュニケーションズでシステムエンジニアとして金融機関等のシステム運用などに携わる。2009年、株式会社エニドアを創業し代表取締役に就任。クラウドソーシングサービスの開発・提供を行う。M&Aにより会社を売却後、上場企業のグループ会社の経営を6年行った後、株式会社modoを創業し代表取締役に就任。家族向けのサービスmemStockの開発を行う。 二級ファイナンシャル・プランニング技能士、証券外務員一種を保有。2児の父。
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