固定費の見直し方、通信・電気・保険・住宅

毎月の引き落としを見返すと、スマホ代、電気代、保険料、住宅ローンが同じ顔ぶれで並んでいます。一つずつは見慣れた金額でも、家族の回線数や1年分に直すと小さくありません。
固定費は、一度見直すと下がった状態がそのまま続く支出です。通信は総務省が乗り換えの費用と解約金のルールを、電気・ガスは国民生活センターが切り替え勧誘の注意点を、保険は生命保険文化センターが平均額と見直しの方法を、住宅ローンは住宅金融支援機構が借り換えの考え方を公開しています。この記事では、これらをもとに家族の固定費をどこから見直すかを、2026年10月時点のルールで整理します。日々の買い物など変動費の節約は扱わず、毎月決まって出ていく支出に絞ります。
固定費はどこにどれだけ出ているか
総務省「家計調査」の2025年平均では、二人以上の世帯の消費支出は月314,001円でした。このうち、契約の見直しで下げられる支出を含む費目は、光熱・水道が24,547円、住居が18,678円、交通・通信が45,730円です。交通・通信には自動車関係の費用や交通費も入るため、通信費だけの額ではありません。
住居費が小さく見えるのは、住宅ローンの返済が消費支出に入らないためです。家計調査では、住宅などの購入にかかる借入金の返済は黒字の内訳(土地家屋借金純減)として扱われます。貯蓄の性格がある保険の保険料も、黒字の側の「保険純増」に入ります。消費支出の平均と比べるだけでは、ローンと保険を含めた固定費の重さはつかめません。
生命保険料は、生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査」(2024年度)で、2人以上世帯の年間払込保険料(個人年金保険を含む)が平均35.3万円でした。月にならすと約2.9万円です。分布は「12万円から24万円未満」が19.3%で最も多く、「12万円未満」が17.8%と続き、世帯による差が大きい支出です。
金融広報中央委員会「知るぽると」は、固定費の例と見直しの目安を次のように挙げています。
| 固定費 | 見直しで確かめること |
|---|---|
| 携帯電話・スマートフォン料金 | 使い方に合ったプランか。料金プランの見直し診断も使う |
| 生命保険料・損害保険料 | 社会保障制度も踏まえて、必要な保障と保障額を整理 |
| 住宅ローンの返済 | 条件の有利な住宅ローンで返済額を減らせるか試算 |
| 家賃 | 更新時の交渉、家賃の低い住まいへの引っ越し |
| 課金アプリ・会費・新聞代 | 使用頻度から必要性を考える |
見直しの手間は項目によって違います。通信やアプリ・会費は契約先のマイページなどで内容を確かめられ、保険や住宅ローンは条件の確認と試算が要ります。手間の小さいものから一つずつ進めます。
スマホとネット回線は使用量と解約金から確かめる
総務省の「携帯電話ポータルサイト」は、契約先のマイページでデータ通信量や料金の内訳を確かめ、使い方に合ったプランを選び、不要なオプションを外す手順で説明しています。契約したデータ量に対して使用量が少ない場合や、よく通話するのにかけ放題プランに入っていない場合は、見直しで安くなる例として挙げられています。
乗り換えの費用は以前より下がりました。電話番号をそのまま持ち運ぶMNPの転出手数料は、ウェブでの申込みなら無料で、電話や店舗では1,100円以下の手数料がかかる場合があります。主要な携帯会社とその関係会社が2019年10月以降に提供する料金プランでは、違約金のルール上の上限は1,100円で、違約金の設定がないプランも多くあります。2019年9月までの契約に認められていた経過措置は、2023年末で廃止されました。
固定回線(家のインターネット)を含む通信サービスでも、2022年7月1日以降に結んだ個人の契約は、解約時に請求できる額が制限されています。違約金はセット割などを考慮した月額料金が上限で、解約手数料は原則として請求できません。開設工事費の残りは、契約期間に応じて減り満了時にゼロになる額までです。事業者には、ウェブで解約できるようにするなど、遅滞なく解約できる措置が義務づけられています。
家族で契約している場合は、セット割に注意が要ります。固定回線や家族の回線とセットで割引を受けていると、1回線を乗り換えただけで割引の条件が外れ、ほかの料金が上がることがあります。総務省は、それでも乗り換えたほうが安くなる場合があるとして、固定回線や家族全員の契約変更もあわせて検討するよう勧めています。端末代金を分割で払っている場合は、乗り換えた後も支払いが続きます。
たとえば家族4人の回線がそれぞれ月2,000円下がれば、月8,000円、年96,000円の差になります。乗り換えた後に期待と違った場合は、契約書面を受け取ってから8日以内なら「初期契約解除」で契約を解除できます。大手3社などは代わりに「確認措置」という制度を設けています。
電気・ガスは契約条件と勧誘の相手を確かめる
電気・ガスの代金は使った量で毎月変わりますが、どの会社のどの料金プランで払うかは契約で決まります。電力の小売は2016年4月、ガスの小売は2017年4月に全面自由化されました。契約先を切り替える前に、国民生活センターは、料金プランや算定方法の説明を受け、メリットとデメリットを把握したうえで契約するかを決めるよう勧めています。
切り替えの勧誘をめぐる相談も続いています。国民生活センターによると、電気・ガスの相談件数は2021年度をピークに減っていますが、「集合住宅全体の供給契約が変わるかのような説明で勧誘された」「知らない事業者に検針票を見せてしまった」といった相談が寄せられています。2026年2月には、電気の切り替えと同時にウォーターサーバーのレンタルなど別のサービスを勧められて契約した事例も公表しました。
事業者は、検針票に書かれた氏名、住所、顧客番号、供給地点特定番号などで契約の手続きをします。切り替えるつもりがなければ、はっきり断り、検針票は見せないようにします。「マンション全体で契約変更が必要」と言われたら、管理人や管理会社に確かめます。訪問販売や電話勧誘で契約した場合は、法定の契約書面を受け取った日から8日以内なら原則としてクーリング・オフができ、一緒に勧められた別のサービスも同様です。困ったときは消費者ホットラインか、経済産業省の電力・ガス取引監視等委員会の相談窓口に相談できます。
生命保険は保障額を整理してから減らす
保険料の見直しで知るぽるとが勧めるのは、社会保障制度も踏まえて必要な保障と保障額を整理することです。保障額を決めてから、今の契約のどこを減らせるかを考えます。
生命保険文化センターの「生命保険の契約にあたっての手引」は、保障を減らす方法として、保険金の減額と特約の解約を挙げています。どちらも減らした分の保険料が安くなります。ただし解約返戻金は一般的に払い込んだ保険料より少なく、契約から短い期間で解約すると、まったくないか、あってもごくわずかです。
別の保険に乗り換えるときは、順番に注意します。同センターは、今の保険を解約して新しい保険に乗り換えると、契約年齢が上がって保険料が割高になる場合や、健康状態によっては新たに契約できない場合があるとしています。解約した保険は元に戻せないため、新しい保険の契約が成立してから解約の手続きをします。今の保険の積立金を新しい契約に充てる「転換」は告知が必要で、一部を転換する場合を除いてもとの契約は消えます。
住宅ローンと家賃は総費用で比べる
住宅ローンについて知るぽるとは、金利など条件のより有利な住宅ローンで返済額を減らせるか試算し、先行きの金利見通しも踏まえて借り換えを考えるよう勧めています。家賃は、更新時に交渉するか、家賃の低い住まいへの引っ越しを考えます。
住宅金融支援機構は、借り換えを「現在の住宅に住み続けながら、返済中の住宅ローンを全額返済し、条件の異なる住宅ローンを新たに借り入れること」と説明しています。借り換えには諸費用がかかるため、総返済額や毎月の返済額だけでなく、諸費用を含めた総費用で比べます。【フラット35】は、民間金融機関の住宅ローンからの借り換えにも使えます。同じ金融機関の住宅ローンから【フラット35】へ借り換えられるかは、金融機関によって扱いが異なります。
借り換えの効果は、借り換え時の住宅ローンの金利や借入額などによって異なります。住宅金融支援機構のローンシミュレーションでは、今のローンと借り換え後のローンの毎月返済額と総返済額を並べて比べられます。
アプリ・会費は使用頻度で決める
課金アプリ、会費、新聞代について、知るぽるとは使用頻度から必要性を考えるよう勧めています。一つずつは小さな額でも、引き落としが続くかぎり毎月出ていきます。クレジットカードや携帯料金の明細を1か月分並べると、使っていない契約が見つかりやすくなります。
携帯電話の契約時に付けたオプションも、解約を忘れやすい支出です。総務省は、乗り換えの際にオプションの解約忘れに注意するよう呼びかけています。乗り換え元の携帯料金との合算払いは使えなくなり、携帯会社のポイントも回線の解約と同時に失効する場合があるため、乗り換えの前に残高や支払い方法を確かめておきます。
見直した結果は家計簿で確かめると、前の月との差が分かります。記録の続け方と費目の分け方は、次の記事で扱っています。
保険を選び直すときの考え方は、次の記事で説明しています。
出典
- 家計調査報告(家計収支編)2025年(令和7年)平均結果の概要(総務省統計局) https://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/tsuki/pdf/fies_gaikyo2025.pdf
- 携帯電話ポータルサイト 料金プランを見直してみよう!(総務省) https://www.soumu.go.jp/menu_seisaku/ictseisaku/keitai_portal/norikae_1.html
- 携帯電話ポータルサイト 乗換えの基本と費用を知ってる?(総務省) https://www.soumu.go.jp/menu_seisaku/ictseisaku/keitai_portal/norikae_2.html
- 携帯電話ポータルサイト プラン見直しや乗換えの注意点(総務省) https://www.soumu.go.jp/menu_seisaku/ictseisaku/keitai_portal/norikae_3.html
- 携帯電話ポータルサイト 「初期契約解除」ってなに?(総務省) https://www.soumu.go.jp/menu_seisaku/ictseisaku/keitai_portal/gimonkaiketsu/q_5.html
- 電気・ガスの契約トラブルにご注意!-ウォーターサーバーのレンタルなど、電気・ガス以外のサービスを勧誘されるケースも-(国民生活センター) https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20260210_1.html
- 同 報告書本文(国民生活センター) https://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20260210_1.pdf
- 生命保険の保険料は年間どれくらい払っている?(生命保険文化センター) https://www.jili.or.jp/lifeplan/houseeconomy/asset/11.html
- 生命保険の契約にあたっての手引 その3:生命保険の見直しと留意点(生命保険文化センター) https://jili.or.jp/tebiki/chapter3.html
- スマホでもできる?!家計簿を始めてみよう!(金融広報中央委員会「知るぽると」) https://www.shiruporuto.jp/public/document/container/choiyomi/choiyomi005.html
- 借換融資の検討(住宅金融支援機構【フラット35】) https://www.flat35.com/loan/karikae/consider.html
よくある質問
- 携帯電話を乗り換えると違約金はいくらかかりますか?
- 主要な携帯会社とその関係会社が2019年10月以降に提供する料金プランなら、違約金の上限は1,100円で、違約金のないプランも多くあります。2022年7月1日以降に結んだ通信サービスの個人の契約は、違約金が月額料金までに制限されています。セット割が外れて家族や固定回線の料金が上がる場合があるため、家族の契約もあわせて確かめます。
- 電気の勧誘で検針票を見せてしまいました。どうすればよいですか?
- 検針票の情報は契約の手続きに使われるため、契約するつもりがなければはっきり断ります。訪問販売や電話勧誘で契約してしまった場合でも、法定の契約書面を受け取った日から8日以内なら原則としてクーリング・オフができます。不安なときは消費者ホットラインに相談します。
- 生命保険は先に解約してから新しい保険を探してもよいですか?
- おすすめできません。解約した保険は元に戻せず、健康状態によっては新しい保険に入れない場合があります。生命保険文化センターは、新しい保険の契約が成立してから解約の手続きをするよう説明しています。
- 住宅ローンの借り換えは金利の差だけで決めてよいですか?
- 金利の差だけでは決められません。借り換えには諸費用がかかるため、住宅金融支援機構は、総返済額や毎月の返済額だけでなく諸費用を含めた総費用で比べるよう説明しています。シミュレーションで今のローンと並べて試算します。
memStock編集部は、家族の豊かな暮らしと家計管理を応援する記事制作チームです。ライフハック・節約・投資・保険など、日常生活とお金に関する実用的な情報を、確かな専門知識と多様な視点から分析・提供しています。読者の皆様が抱える日々の悩みや将来への不安を解消し、ワンランク上の生活を実現するためのヒントが詰まった記事をお届けします。 「家族の暮らしをより豊かに」をモットーに、わかりやすく実践的なコンテンツで皆様の人生設計をサポートします。
カリフォルニア州立大学ロングビーチ校卒業後、NTTPCコミュニケーションズでシステムエンジニアとして金融機関等のシステム運用などに携わる。2009年、株式会社エニドアを創業し代表取締役に就任。クラウドソーシングサービスの開発・提供を行う。M&Aにより会社を売却後、上場企業のグループ会社の経営を6年行った後、株式会社modoを創業し代表取締役に就任。家族向けのサービスmemStockの開発を行う。 二級ファイナンシャル・プランニング技能士、証券外務員一種を保有。2児の父。
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