家計簿を続けるコツと家計の見直し方

家計・物価memStock編集部(更新: 2026年10月13日)
家計簿を続けるコツと家計の見直し方

給料日から何週間かたって口座の残高を見たとき、何にそれほど使ったのか思い出せないことがあります。家計簿をつけようと決めても、レシートの仕分けに手間取って数週間で止まり、また同じ月末を迎える。子育て中の家庭では、そうした繰り返しに覚えのある人も多いはずです。

家計簿は、細かく正確につけることより、続けて収支をつかむことに意味があります。この記事では、金融庁と金融広報中央委員会(知るぽると)の資料、総務省「家計調査」の2025年の結果をもとに、家計簿を続けるための工夫と、記録を家計の見直しにつなげる方法を整理します。

家計簿は何のためにつけるのか

金融庁は、家計管理の基本を「収入と支出をきちんと把握・管理すること、収支を黒字にすること、そして黒字分を貯蓄すること」と説明しています。家計簿はこのうち、支出を把握するための道具です。金融庁の教材は、支出を把握していなければお金の使い方を見直せないとして、家計簿などで支出を把握・分析するよう勧めています。

収入の側は、額面ではなく手取りで考えます。会社員の手取り収入は、給与から所得税・住民税と、雇用保険・健康保険・厚生年金保険などの社会保険料を差し引いた額です。支出を手取りの範囲に収められているかを確かめるのが、家計簿をつける最初の目的になります。

知るぽるとの記事も、家計簿をつける目的は「まずは大まかでも収支を把握すること」だとしています。端数まで合わせることや、すべての支出を正しい費目に振り分けることは、目的ではありません。

家計簿を続けるコツ

家計簿が止まる理由として知るぽるとが挙げるのが、仕分けの面倒さです。友人との外食は食費なのか交際費なのか、スーパーで食材と日用品をまとめて買ったときはどう分けるのか。迷う場面が続くと、記録そのものが負担になります。知るぽるとは、こうした場合は自分でわかりやすい「自分流の費目」にすればよいとしています。

記録は毎日でなくてもかまいません。知るぽるとは、毎日記録できなくてもレシートを捨てずに持ち帰り、箱などにためておくことを勧めています。レシートが出ない自動販売機や割り勘の支払いは、手帳やメモに書いて残しておきます。こうしておけば、週末などにまとめて記録しても抜けが出にくくなります。

記録の道具は、市販の家計簿、表計算ソフト、スマートフォンのアプリのどれでもよく、金融庁の教材も「自分が取り組みやすい形」で収支を記録するよう勧めています。アプリには、自分で入力するもの、レシートを撮影して読み取るもの、金融機関やクレジットカード会社と連携して自動で記録するものがあります。知るぽるとは、連携するものは一度手続きすれば楽な一方、自分で入力したほうが現状を把握しやすい人もいるとして、いくつか試して続けられそうなものを選ぶよう勧めています。

費目は「家計調査」の分け方が参考になる

費目の分け方に迷ったら、総務省「家計調査」の10大費目が参考になります。家計調査は消費支出を、食料、住居、光熱・水道、家具・家事用品、被服及び履物、保健医療、交通・通信、教育、教養娯楽、その他の消費支出の10に分けて集計しています。2025年の二人以上の世帯の平均は、次のとおりです(1か月あたり)。

  • 消費支出の合計:314,001円
  • 食料:94,895円(うち外食16,563円)
  • 交通・通信:45,730円
  • 教養娯楽:32,125円
  • 光熱・水道:24,547円
  • 住居:18,678円
  • 教育:11,939円

家計調査にも「こづかい(使途不明)」という項目があり、2025年の平均は5,744円でした。国の統計でも使い道を特定しない支出を一つの項目にまとめているので、家計簿で「何に使ったか分からないお金」の欄を設けても差し支えありません。

子育て中の家庭は、教育費の範囲に注意が要ります。家計調査の「教育」に入るのは授業料や入学金、修学旅行費、PTA会費、教科書、補習教育の月謝などの直接的な経費に限られます。文房具、通学服、ランドセル、通学定期、給食は、それぞれ教養娯楽、被服及び履物、諸雑費、交通・通信、外食に分類されています。子どもにかかるお金をまとめて知りたい場合は、「子ども」の費目を別に立てるなど、どこに入れるかを最初に決めておくと集計がぶれません。

住居費の平均が小さいのは、二人以上の世帯の持家率が87.3%と高いことに加え、家計調査では住宅ローンの返済が消費支出に入らず、黒字の内訳(土地家屋借金純減)として扱われるためです。住宅ローンを返している家庭は、この平均と住居費を直接比べないようにします。世帯主の年齢別の消費支出は、40歳未満の世帯(平均3.50人)で299,100円、40〜49歳の世帯(平均3.73人)で348,607円でした。

記録を見直しにつなげる

家計簿の記録がたまったら、支出の中身を振り返ります。知るぽるとは、一つひとつの支出について、なぜ支出したのかを振り返るよう勧めています。金融庁の教材も「自分にとって本当に必要なものなのか、それとも欲しいだけのものなのか」を自問し、無駄な支出を抑えて黒字を目指すよう説明しています。一回の金額は小さくても、月単位、年単位で考えれば大きな金額になる支出もあります。

すべてを削る必要はありません。知るぽるとは、この先の支出に自分なりの優先順位をつけ、予算にめりはりをつけたり支出の時期をずらしたりする工夫を挙げています。

見直しの効果が大きいのは、毎月決まって出ていく固定費です。知るぽるとは、携帯電話料金、生命保険・損害保険の保険料、住宅ローンの返済、家賃、課金アプリや会費、新聞代を例に挙げています。保険は社会保障制度も踏まえて必要な保障を整理し、アプリや会費は使用頻度から必要性を考えます。変更や解約には手間がかかりますが、一度見直せば毎月の支出が下がった状態が続きます。

月ごとの振れと黒字率を確かめる

月ごとの支出は、季節や行事で大きく動きます。家計調査の2025年の二人以上の世帯では、消費支出は2月が290,511円、3月が339,232円、12月が351,522円でした。前の月と比べて増えたか減ったかだけで判断せず、前年の同じ月や年間の合計と比べると、家計の傾向をつかみやすくなります。

賞与の入る月も含めて記録がたまったら、黒字率も計算できます。家計調査では、手取りにあたる可処分所得(実収入から直接税や社会保険料などを差し引いた額)から消費支出を引いた額を「黒字」、可処分所得に対する黒字の割合を「黒字率」と呼びます。2025年の二人以上の世帯のうち勤労者世帯(平均3.20人、世帯主の平均年齢51.0歳)は、賞与も含めた1か月平均で可処分所得が532,408円、消費支出が346,297円、黒字が186,111円、黒字率は35.0%でした。

たとえば手取りが月40万円で消費支出が32万円の家庭なら、黒字は8万円、黒字率は20%です。平均とは世帯の人数や年齢、住まいが違うため、比べる相手は自分の家計の前年や前の月にします。

黒字を確実に残す方法として、金融庁は給料日に一定額を自動で貯蓄用の口座に移し、残りのお金でやりくりする方法を勧めています。知るぽるとの記事も、給料から最初に一定額を差し引く「天引き貯蓄」と、教育費や旅行費など目的別に分けて貯める「目的別貯蓄」を紹介しています。

夫婦で家計を共有する

共働きの家庭では、家計の全体像を夫婦のどちらも把握していないことがあります。知るぽるとに掲載された金融広報アドバイザーの記事は、共働きの家計管理を、家賃と食費のように費用ごとに分担する「費用別分担タイプ」、生活費用の口座に各自が一定額を入れる「共有口座タイプ」、どちらか一方の収入で生活する「片方負担タイプ」の3タイプを挙げています。前の2つは、お互いのお金の使い道や貯蓄を把握していないケースが多く、貯蓄ができていない問題が起こりやすいとしています。

同じ記事は、家計管理を改善する手がかりとして「家計の見える化」と、お互いが家庭の共同経営者だという意識の2つを挙げています。家計簿は、夫婦が同じ記録を確かめるための材料になります。こづかい制にする場合は、ランチ代や化粧品代をこづかいに含めるかを先に確認したうえで金額を決め、決めた後は具体的な使い道に干渉しないことを勧めています。

月に一度、家計簿の数字を夫婦で見る時間を決めておくと、支出の優先順位や貯蓄の目標を話し合うきっかけにもなります。固定費の見直し方は、次の記事で詳しく扱っています。

出典

よくある質問

家計簿は毎日つけないと意味がありませんか?
毎日でなくてもかまいません。知るぽるとは、毎日記録できなくてもレシートを捨てずにためておく方法を紹介しています。レシートが出ない支払いはメモに残しておけば、週末などにまとめて記録できます。
1円単位まで合わせる必要はありますか?
ありません。家計簿の目的は、大まかでも収支を把握することです。合わない分は、家計調査の「こづかい(使途不明)」のように、使途不明の欄にまとめておく方法もあります。
費目はいくつに分ければよいですか?
決まった数はありません。迷ったときは家計調査の10大費目を参考にし、自分が仕分けに迷わない数までまとめます。子どもにかかるお金をまとめて見たい場合は、教育費の範囲が家計調査より広くなることを前提に、専用の費目を立てるのも一つの方法です。
子どもと一緒に家計管理を学ぶ方法はありますか?
知るぽるとは、子ども向けの「こづかい帳」の作り方と用紙を公開しています。おこづかいの使い方を記録することは、子どもが金銭感覚を身につけるうえで役立つとしています。
平均より支出が多いと家計に問題があるのでしょうか?
平均と違うだけでは判断できません。家計調査の平均は世帯人員や世帯主の年齢、持ち家かどうかが異なる世帯を含みます。自分の家計の前年や前の月と比べ、黒字が残っているかを確かめるほうが見直しにつながります。
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この記事を書いた人

memStock編集部

memStock編集部は、家族の豊かな暮らしと家計管理を応援する記事制作チームです。ライフハック・節約・投資・保険など、日常生活とお金に関する実用的な情報を、確かな専門知識と多様な視点から分析・提供しています。読者の皆様が抱える日々の悩みや将来への不安を解消し、ワンランク上の生活を実現するためのヒントが詰まった記事をお届けします。 「家族の暮らしをより豊かに」をモットーに、わかりやすく実践的なコンテンツで皆様の人生設計をサポートします。

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この記事を監修した人

山田 尚貴

カリフォルニア州立大学ロングビーチ校卒業後、NTTPCコミュニケーションズでシステムエンジニアとして金融機関等のシステム運用などに携わる。2009年、株式会社エニドアを創業し代表取締役に就任。クラウドソーシングサービスの開発・提供を行う。M&Aにより会社を売却後、上場企業のグループ会社の経営を6年行った後、株式会社modoを創業し代表取締役に就任。家族向けのサービスmemStockの開発を行う。 二級ファイナンシャル・プランニング技能士、証券外務員一種を保有。2児の父。

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