ペットで家族の会話は増える?

育児・子どもの安全memStock編集部(更新: 2026年10月13日)
ペットで家族の会話は増える?

子どもに「犬を飼いたい」とせがまれたとき、ペットがいれば家族の会話も増えるのでは、と考えることがあります。

環境省が2023年12月に全国5,000人に行った調査では、ペットを飼うことで得られる効果として「家族との会話が増える」を選んだ人は35.3%でした。ただしこれは「そう思う」という回答で、飼えば会話が増えると確かめた結果ではありません。一方で、犬や猫は十数年生きることも多く、飼い主には法律上の責任があります。ペットを迎えるかどうかを決める話し合いそのものが、家族の大きな会話になります。この記事では、2026年10月時点の環境省・厚生労働省などの資料をもとに、子育て中の家庭がペットを迎える前に確かめておきたいことを整理します。

「家族との会話が増える」と答えた人は35.3%

環境省の「令和5年度 国民のペットに対する考え方調査」は、インターネットで全国5,000人に聞いたものです。ここでの「ペット」は哺乳類と鳥類を指します。ペット飼育で得られる効果(複数回答)は、「人に癒やしや楽しさを与えてくれる」が72.6%で最も多く、「命の大切さを教えてくれるなど、情操教育に役立つ」が35.9%、「家族との会話が増える」が35.3%で続きました。

同じ調査では、ペットが嫌いな人の回答で、効果は「特にない」「わからない」が半数近くを占めています。家族の中にも、動物が好きな人とそうでない人がいます。会話のきっかけになると期待して迎える場合も、全員が同じ気持ちとは限らないことを前提にしておくと、話し合いが進めやすくなります。

ペットを飼っていない理由の上位は、「ペットを飼える住環境ではないから」33.0%、「別れがつらいから」29.3%、「世話をする時間がないから」28.4%、「お金がかかるから」27.7%でした。「お金がかかるから」は、平成22年の内閣府の世論調査と比べて3倍弱に増えています。10代から40代では「時間」「お金」「住環境」を挙げる人が多く、子育て世代がためらう理由はこの3つに集まっています。

子育て中の家庭がペットを迎える前に話し合うこと

愛知県は、動物を飼う前のチェックリストを示し、ひとつでも「いいえ」がある場合には「飼わないことも動物への愛情です」としています。項目を家族で一つずつ確かめていくと、そのまま家族会議の議題になります。

話し合うこと 確かめる内容
住まい 今の住まいでペットを飼えるか(賃貸の契約や管理規約)
家族の同意 家族全員が飼うことに賛成しているか
アレルギー 家族に動物アレルギーの人がいないか
毎日の世話 毎日欠かさず世話の時間と手間をかけられるか。誰が担当するか
費用 ペットの一生にかかる費用を見込んでいるか
寿命と万一のとき 寿命まで飼い続けられるか。飼えなくなったときにどうするか

寿命は家族の将来の予定と重ねて考えます。愛知県は、犬や猫では十数年生きることも多くなってきたと説明しています。今、小学生の子どもが中学・高校に進み、家を離れる時期にも、ペットはまだ家にいる計算になります。そのときに世話をするのは親であることを、迎える前に家族で確かめておくと、後から「約束が違う」とならずに済みます。

費用について、環境省のパンフレットは、フードや日用品、治療費などがかかるので、経済的な理由で行き詰まらないよう、あらかじめ必要な費用を考えておくよう求めています。フード、ワクチンや健康診断、病気やけがの治療、留守中に預ける費用などを項目に分け、迎えたい動物の種類で見積もっておくと、家計の中で無理がないか判断しやすくなります。

アレルギーは、子どもが小さいうちは分からないこともあります。アレルギーポータル(日本アレルギー学会)は、ぜん息やアレルギー性鼻炎などの室内アレルゲンとして、ダニやカビとともに動物の毛・フケを挙げています。アトピー性皮膚炎も、ペットの毛などで悪化することがあります。家族にこれらの病気がある場合は、迎える前にかかりつけ医に相談してください。

飼い主の責任と、犬を迎えたときの手続き

動物愛護管理法第7条は、飼い主の責務として、健康と安全を保持し他人への迷惑を防ぐこと、病気を予防すること、逃がさないこと、その命を終えるまで飼うこと(終生飼養)、繁殖を制限すること、自分の動物と分かるよう所有明示をすることを定めています。子どもが「飼いたい」と言い出しても、法律上の責任を負うのは飼い主である大人です。

犬の場合は、狂犬病予防法の手続きがあります。厚生労働省によると、91日齢以上の犬の所有者は、所有してから30日以内に市町村に登録して鑑札を受け、狂犬病の予防注射を受けさせて注射済票を受けなければなりません。予防注射は毎年1回で、4月から6月が予防注射の期間です。登録や注射をしていない犬は、捕獲・抑留の対象になります。

ペットショップやブリーダーから犬や猫を迎える場合は、マイクロチップの手続きもあります。東京都によると、マイクロチップが登録された犬や猫を購入したり譲り受けたりした人は、30日以内に所有者情報の変更登録を行う義務があります。販売業者以外の飼い主が自分でマイクロチップを装着することは努力義務です。

子どもとペットの安全:咬傷と感染症

小さな子どもとペットが同じ家で暮らす場合は、けがと感染症の予防を家族のルールにしておきます。日本小児科学会によると、動物に咬まれるけがの多くは犬と猫によるもので、小さい子どもは身長が低いため頭や顔を、小学生以上は手足を咬まれることが多くなります。同学会は、小さい子どもと犬を短時間でも一緒に放置しないこと、ペットをサークルやケージに入れて空間を分けること、動物の習性や嫌がる行動を子どもと一緒に確認しておくことを勧めています。咬まれた傷は感染を起こす危険があるため、流水でよく洗い、医療機関を受診します。

感染症について、厚生労働省の「動物由来感染症ハンドブック2026」は、口移しや食器の共有をやめ、ペットを触った後や排せつ物を処理した後に必ず手を洗うよう求めています。カメなどの爬虫類は50〜90%がサルモネラ属菌を保有しており、新生児や乳児など免疫機能の低い人がいる家庭では爬虫類の飼育を控えるよう記載しています。

動物由来感染症は、初めは風邪や皮膚病に似た症状のことが多く、小さな子どもや妊婦は発病すると重症化しやすいとされます。子どもを受診させるときは、ペットの飼育状況や動物との接触についても医師に伝えてください。

世話の分担を、家族の会話にする

ペットの世話を通じて、子どもに命の大切さを学んでほしいと考える家庭もあります。環境省の調査でも、情操教育に役立つと考える人は35.9%いました。ただし、世話を子どもだけに任せると、続かなかったときにしわ寄せを受けるのは動物です。えさや水、散歩、トイレの掃除など、子どもの年齢でできることを決めたうえで、最終的な責任は大人が持つ分担にしておきます。

分担表を作ったり、通院や予防注射の予定を家族で共有したりすると、ペットのことが自然に家族の話題になります。犬の場合は、毎年4月から6月の予防注射の時期も共有しておきたい予定です。世話のコツや習慣づけの工夫は、別の記事で紹介しています。

いつか来る別れも、家族で話しておく話題です。環境省の調査で、飼っていない理由の2番目は「別れがつらいから」でした。高齢になったペットの世話や介護、見送り方まで含めて考えておくと、ペットを迎えるかどうかの判断が、家族にとって納得のいくものになります。

出典

よくある質問

ペットを飼うと家族の会話は増えますか?
環境省の2023年の調査で、ペット飼育の効果に「家族との会話が増える」を選んだ人は35.3%でした。これは「効果があると思うか」への回答で、飼うと会話が増えることを確かめたデータではありません。会話のきっかけにはなり得ますが、飼うかどうかは費用や世話の分担を含めて判断してください。
犬を飼い始めたら、どんな手続きが必要ですか?
91日齢以上の犬は、所有してから30日以内に市町村で登録し、狂犬病の予防注射を受けさせる必要があります。予防注射は毎年1回です。マイクロチップが登録された犬を迎えた場合は、30日以内に所有者情報の変更登録も行います。
小さな子どもがいても犬や猫を飼えますか?
飼うことはできますが、咬傷事故と感染症の予防が要ります。日本小児科学会は、小さい子どもと犬を短時間でも一緒に放置しないよう勧めています。ペットを触った後の手洗いや、口移し・食器の共有をしないことも家族のルールにしてください。
子どもにアレルギーがあるか分からないときは?
ぜん息やアレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎は、動物の毛やフケで悪化することがあります。家族にこれらの病気がある場合や心配な場合は、迎える前にかかりつけ医に相談してください。
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この記事を書いた人

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