家族全員が花粉症、秋から始める準備

家計・物価memStock編集部(更新: 2026年10月13日)
家族全員が花粉症、秋から始める準備

親も子どもも、春になるとくしゃみと目のかゆみが止まらない。家族の何人もが花粉症だと、受診の予定も薬代もかさみます。

スギ花粉症の治療で根本的な改善をめざす舌下免疫療法は、花粉が飛んでいない時期にしか始められず、最低3年続ける治療です。症状を抑える薬も、本格的な飛散が始まる1週間前までに準備することが勧められています。花粉が落ち着いている秋は、次の春への準備を始める時期にあたります。この記事では、2026年10月時点の環境省・厚生労働省などの資料をもとに、家族で取り組める花粉症対策を整理します。

スギ花粉症はほぼ3人に1人

環境省の「花粉症環境保健マニュアル2022」によると、全国の耳鼻咽喉科医とその家族を対象にした調査で、花粉症の有病率は1998年の19.6%から2008年に29.8%、2019年には42.5%まで増えました。約10年ごとに10ポイント近く増えている計算です。スギ花粉症は2019年に38.8%で、ほぼ3人に1人と推定されています。

年齢別では、スギ花粉症の有病率は10代から50代で45%以上に達しています。子育て世代の親と、小学校高学年から高校生の子どもが同時に症状を抱える家庭が珍しくないのは、この数字からもうかがえます。環境省が約5,000人の小学生を対象に行った調査では、スギ花粉症の有病率と、スギ花粉の飛散数や両親のアレルギー歴との間に関連が認められています。

まだ発症していない家族も、花粉をできるだけ避けることで将来の発症を遅らせられると、環境省のリーフレットは説明しています。

舌下免疫療法は、花粉が飛ばない時期に始める

舌下免疫療法は、スギ花粉の成分を含む薬を毎日少しずつ体に入れ、花粉に体を慣らしていく治療です。症状を抑える薬と違い、アレルギー反応そのものを弱めることをめざします。環境省のリーフレットによると、医師の説明を受けたうえで花粉の飛んでいない時期に始める必要があり、スギの舌下錠は最低でも3年間の服用が必要です。3年間の服薬を終えた後、2年間は症状が抑えられることが確認されています。

医薬品医療機器総合機構(PMDA)が公開しているスギ花粉舌下錠の情報では、使い方は1日1回、錠剤を舌の下に1分間置いてから飲み込み、その後5分間はうがいや飲食を控えます。初回は医師の監督のもとで使い、スギ花粉が飛んでいる時期には治療を始めません。重い気管支喘息の人は使えません。

子どもに使えるかどうかについて、添付文書は年齢の下限を設けていませんが、5歳未満の幼児を対象にした臨床試験は行われていないと記載しています。薬を適切に舌の下に置いておけると医師が判断した場合に限って使い、保護者にも使い方を指導するよう定めています。毎日続ける治療なので、家族で時間を決めて習慣にできるかどうかも、始める前に医師と相談しておきたい点です。

供給面では、国が舌下免疫療法の治療薬を25万人分から50万人分に倍増させる方針を掲げ、製造する事業者は2025年7月に製造ラインの整備を終えています。

飛散前の薬の準備と、子どもの市販薬の注意点

毎年症状が出る人は、本格的な花粉飛散が始まる1週間前までに医療機関や薬局で薬を準備し、使い始めるよう環境省は勧めています。飛散開始の時期や症状がごく軽いうちから薬を使うと、症状を抑えられることが分かっています。症状を抑える治療には抗ヒスタミン薬や鼻噴霧用ステロイド薬などがあり、内服薬、点鼻薬、点眼薬を組み合わせます。内服薬や点鼻薬でも良くならない重症の人には、注射の抗体薬という選択肢もあります。

子どもの症状が花粉症か風邪か迷うこともあります。環境省のマニュアルによると、花粉症の季節は風邪の流行と重なり、初期の症状も似ていますが、花粉症では眼のかゆみを伴うことが多く、風邪と違って熱が高くなることはありません。症状が重い場合は耳鼻咽喉科や眼科を、ほかに内科や小児科、アレルギー科でも診療を受けられます。

子どもの点鼻薬には注意が要ります。アレルギーポータルによると、市販の点鼻薬の多くは血管を収縮させる成分を含み、長く使い続けると薬剤性鼻炎を起こします。特に2歳未満の幼児には、呼吸抑制などの副作用の危険があるため禁忌です。市販薬を使うときは成分と対象年齢を必ず確かめてください。

症状が落ち着いている時期は、オンライン診療の利用や、一定期間内に処方箋をくり返し使えるリフィル処方箋について医師に相談できます。家族で何度も通院する負担を減らす方法として、かかりつけ医に聞いてみる価値があります。

2027年3月から、処方される花粉症の薬の負担が変わる

厚生労働省は、市販薬と成分や投与経路が同じで1日の最大用量も変わらない医療用医薬品を「OTC類似薬」とし、保険診療で使う場合に薬剤費の4分の1を別途負担してもらう仕組みを、2027年3月1日から始めます。対象には特定の解熱鎮痛薬や去痰薬、便秘薬と並んで抗アレルギー薬も含まれます。

一方で、18歳に達する日以後の最初の3月31日までの子どもは、この別途の負担の対象外です。医師が年間を通じた症状の持続と治療の継続性を確認し、長期の使用が医療上必要と認めた場合なども対象外になります。親の薬代と子どもの薬代で扱いが変わる可能性があるため、次の花粉シーズンに処方を受ける際は、対象かどうかを医療機関や薬局で確かめてください。

家に花粉を持ち込まない暮らし方

花粉を避ける対策は、治療と並ぶ予防の基本です。環境省のリーフレットが紹介する研究データでは、鼻の中に入った花粉の数は、マスクなしの1,848個に対して、通常のマスクで537個、花粉症用マスクで304個でした。顔にフィットするマスクとメガネの着用が勧められています。マニュアルは、横に隙間ができるとそこから花粉が入るため顔に合うものを選び、衛生面から毎日交換する使い捨てのマスクを勧めています。

服の素材によって花粉の付きやすさも違います。綿を100とした花粉付着率はウールが980、化繊が180で、環境省はウール素材の服を避けるよう勧めています。帰宅したら玄関の前で花粉を払ってすぐに着替え、手洗い、うがい、洗顔で花粉を落とします。

換気のしかたも工夫できます。環境省のマニュアルによると、窓を開ける幅を10cm程度にしてレースのカーテンを引くと、室内に入る花粉をおよそ4分の1に減らせます。洗濯物や布団の外干しは控え、床の掃除とカーテンの定期的な洗濯を続けます。なお、同じマニュアルは、花粉症関連グッズについて症状を改善する十分なデータは得られていないとしています。

花粉情報はいつ、どこで出るか

スギ花粉は2月から4月ごろに飛び、昼前後と夕方に多く飛散します。晴れて気温が高い日、空気が乾燥して風が強い日、雨上がりの翌日は特に多くなります。

環境省は毎年2月から5月にスギ・ヒノキ花粉の飛散量を公表しており、2026年春は全国27地点で観測しました。翌春の花粉の量に関わるスギ雄花の花芽の調査結果は、例年12月に公表されています。飛散量は1平方cmあたりの個数で「少ない」(10個未満)から「極めて多い」(100個以上)までの5段階で示され、「極めて多い」日は外遊びや屋外の活動を避けることが勧められています。

子どもの学校生活での花粉症対策は、次の記事でも扱っています。

出典

よくある質問

舌下免疫療法はいつから始められますか
スギ花粉が飛んでいない時期に、医師の説明を受けて始めます。スギ花粉の飛散時期には新たに始められません。春の飛散に間に合わせたい場合は、秋から冬のうちに医療機関に相談してください。
子どもも舌下免疫療法を受けられますか
スギ花粉舌下錠の添付文書に年齢の下限はありませんが、5歳未満を対象にした臨床試験は行われていません。子どもが薬を舌の下に1分間置いておけると医師が判断した場合に使われます。
2027年3月からの薬の負担増は、子どもの薬にもかかりますか
18歳に達する日以後の最初の3月31日までの子どもは、薬剤費の4分の1の別途負担の対象外です。対象かどうかは医師の診察を踏まえて判断されます。
花粉症の薬はいつから飲み始めればよいですか
環境省は、毎年症状が出る人は本格的な花粉飛散の開始の1週間前までに薬を準備し、使い始めるよう勧めています。飛散開始のころや症状が軽いうちから使うと、症状を抑えられることが分かっています。
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この記事を書いた人

memStock編集部

memStock編集部は、家族の豊かな暮らしと家計管理を応援する記事制作チームです。ライフハック・節約・投資・保険など、日常生活とお金に関する実用的な情報を、確かな専門知識と多様な視点から分析・提供しています。読者の皆様が抱える日々の悩みや将来への不安を解消し、ワンランク上の生活を実現するためのヒントが詰まった記事をお届けします。 「家族の暮らしをより豊かに」をモットーに、わかりやすく実践的なコンテンツで皆様の人生設計をサポートします。

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この記事を監修した人

山田 尚貴

カリフォルニア州立大学ロングビーチ校卒業後、NTTPCコミュニケーションズでシステムエンジニアとして金融機関等のシステム運用などに携わる。2009年、株式会社エニドアを創業し代表取締役に就任。クラウドソーシングサービスの開発・提供を行う。M&Aにより会社を売却後、上場企業のグループ会社の経営を6年行った後、株式会社modoを創業し代表取締役に就任。家族向けのサービスmemStockの開発を行う。 二級ファイナンシャル・プランニング技能士、証券外務員一種を保有。2児の父。

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