子どもの習い事、どう選ぶ?費用と契約

教育・学校memStock編集部(更新: 2026年10月22日)
子どもの習い事、どう選ぶ?費用と契約

体験教室の帰り道、子どもは「楽しかった、また行きたい」と言い、受付では入会金の割引は今日までと案内される。習い事選びは、こうした場面で急に決めることになりがちです。

決める前に確かめたいのは、子どもの年齢に合っているか、年間でいくらかかるか、やめるときにどんなルールが適用されるかの三つです。文部科学省の「幼児期運動指針」と「子供の学習費調査」(令和5年度)、消費者庁の特定商取引法ガイドなどの公的な資料をもとに、順に整理します。共働きで送迎や学童との組み合わせをどうするかは、別の記事で詳しく扱っています。

年齢に合った習い事をどう考えるか

就学前の子どもについては、文部科学省が2012年(平成24年)に「幼児期運動指針」を定めています。対象は3歳から6歳の小学校就学前の子どもで、散歩や手伝いを含めて、毎日、合計60分以上体を動かすことを目安にしています。

指針は、幼児期をいろいろな動きを幅広く身に付ける時期と位置づけ、体を動かすことは遊びが中心になると書いています。運動は大人が一方的にさせるのではなく、子どもが興味や関心に基づいて進んで行うことを重んじ、幼児期に早急な結果を求めないよう求めています。指針が想定しているのは主に園や家庭での遊びですが、スポーツの習い事を選ぶときにも、特定の種目の上達を急ぐより、子どもが楽しんで体を動かせるかどうかを見る材料になります。

小学生以降は、本人の希望がはっきりしてくる時期です。体験レッスンで子どもの様子を見たうえで、通える曜日と時間、費用、やめるときの手続きを並べて比べると、家族で決めやすくなります。

習い事にかかる費用は年にいくらか

文部科学省「子供の学習費調査」は、学習塾や家庭教師などの「補助学習費」と、けいこごとやスポーツ、文化活動などの「その他の学校外活動費」を分けて集計しています。習い事にあたるのは後者で、令和5年度(2023年度)の1人あたりの年額は次のとおりです。

区分 公立幼稚園 公立小学校
その他の学校外活動費(合計) 66,405円 144,004円
スポーツ・レクリエーション活動 26,602円 66,529円
教養・その他 22,092円 36,111円
芸術文化活動 12,858円 33,708円
体験活動・地域活動 3,837円 6,331円
国際交流体験活動 1,016円 1,325円

公立小学校の144,004円は、12か月で割ると月に約1万2千円です。私立幼稚園は107,943円、私立小学校は343,231円でした。区分の中身は、水泳・野球・サッカーなどがスポーツ・レクリエーション活動、音楽・舞踊・絵画などが芸術文化活動、習字・そろばん・外国語会話などが教養・その他です。スポーツ観戦や美術鑑賞、博物館の入場料もこの中に含まれるため、月謝だけの平均ではありません。

家庭による差も大きく、公立小学校のその他の学校外活動費は、世帯の年間収入が400万円未満では約9万9千円、1,200万円以上では約21万8千円でした。平均額は目安にとどめ、月謝に加えて入会金、ユニフォームや楽器などの用具代、発表会や大会の参加費、交通費を含めた年額を、教室ごとに見積もっておくと比べやすくなります。

学年が上がると費用の中身が変わる

同じ調査で公立小学校を学年別に見ると、その他の学校外活動費は1年生が136,278円、6年生が120,786円です。一方、学習塾などの補助学習費は1年生の80,572円から6年生の186,559円に増えます。公立では小学6年生以降、学校外活動費に占める補助学習費の割合がその他の学校外活動費を上回ります。低学年で始めた習い事を続けながら塾が加わる時期を見込んでおくと、途中で家計の見直しに追われずに済みます。

中学生になると、部活動の形も変わり始めています。国は2026年度(令和8年度)から2031年度(令和13年度)までを「改革実行期間」とし、公立中学校の休日の部活動について、期間内に原則として全ての部活動で地域クラブ活動などへの移行(地域展開)の実現を目指しています。スポーツ庁は、休日に週1日・月4日程度活動する場合の参加費のイメージを月額1,000円~3,000円程度と示し、経済的に困窮する世帯への支援を含む補助金を設けるとしています。金額や時期は市区町村ごとに異なるため、中学進学の前に住んでいる地域の方針を確かめておくと安心です。

契約の前に解約のルールを確かめる

学習塾、家庭教師、語学教室、パソコン教室は、特定商取引法の「特定継続的役務提供」にあたる場合があります。期間が2か月を超え、入学金・受講料・教材費などの総額が5万円を超える契約が対象で、店頭で結んだ契約も含まれます。法律で決められた書面を受け取った日から数えて8日以内なら、クーリング・オフができます。

8日を過ぎた後も中途解約ができ、事業者が請求できる額には上限があります。

役務 授業開始前の解約 授業開始後の解約(受けた分の対価に加えて)
学習塾 1万1000円 2万円か1か月分の授業料相当額の低い方
家庭教師 2万円 5万円か1か月分の授業料相当額の低い方
語学教室 1万5000円 5万円か契約残額の20%の低い方

注意したいのは対象の範囲です。家庭教師と学習塾には、幼稚園や小学校に入るための受験対策は含まれません。水泳、体操、ピアノ、ダンスなどの教室も、この7つの役務に当たらないため、退会の手続きや返金は契約書や規約で決まります。そうした契約でも、消費者契約法により、解約に伴う違約金などを定めた条項のうち、同じ種類の契約の解約で事業者に生じる平均的な損害の額を超える部分は無効になります。

国民生活センターは、スポーツジム等の契約トラブルを紹介した資料(2024年1月)で、スタッフに口頭で解約を伝えただけでは正式な手続きになっておらず、料金の引き落としが続いた例や、お試しプランの終了後に通常のプランへ自動で更新されていた例を挙げています。体験レッスンの後に入会するときは、退会の届け出の方法と締め切り、月の途中でやめたときの月謝の扱い、自動更新の有無を規約で確かめ、解約の手続きをいつどのように行ったかの記録を残しておきます。困ったときは消費者ホットラインで、最寄りの消費生活センターを案内してもらえます。

送迎と放課後の居場所から絞り込む

習い事を続けられるかどうかは、送迎できる大人の時間にも左右されます。放課後児童クラブ(学童)は、保護者が労働等により昼間家庭にいない小学生に、授業の終了後に遊びと生活の場を提供する事業です。同じ小学校内で学童と文部科学省の放課後子供教室を行い、学童の子どもも教室のプログラムに参加できる「校内交流型」は、2025年5月時点で6,595か所ありました。学校の中で体験活動に参加できれば、その日は送迎がいりません。

通える教室の候補がいくつかあるときは、子どもの希望、年間の費用、送迎の負担、やめるときのルールを同じ表に並べて夫婦で見比べると、体験教室の帰りにその場で決めずに済みます。共働き家庭が学童や勤務先の制度と習い事をどう組み合わせるかは、次の記事で詳しく説明しています。

学習費調査の数字を中学・高校まで含めて見たいときは、教育費全体を扱った記事も参考になります。

出典

よくある質問

子どもの習い事の費用は、平均で月いくらですか
文部科学省「子供の学習費調査」(令和5年度)では、公立小学校の「その他の学校外活動費」(スポーツ・芸術・教養などの習い事や体験活動)は年144,004円で、月に約1万2千円です。公立幼稚園では年66,405円でした。スポーツ観戦や博物館の入場料なども含む平均で、世帯の収入や地域によって差があります。
スイミングやピアノ教室もクーリング・オフできますか
特定商取引法のクーリング・オフと中途解約のルールが適用されるのは、学習塾・家庭教師・語学教室・パソコン教室など7つの役務で、期間2か月超・総額5万円超の契約です。水泳やピアノの教室はこれに当たらないため、退会や返金は契約書・規約によります。ただし、平均的な損害の額を超える解約料の部分は、消費者契約法により無効になります。
小学校受験の幼児教室は特定商取引法の対象ですか
対象になりません。消費者庁の特定商取引法ガイドは、家庭教師と学習塾には、幼稚園または小学校に入学するための受験対策は含まれないとしています。契約前に、解約や返金の条件を契約書で確かめてください。
幼児のうちから一つのスポーツに絞ったほうがよいですか
文部科学省の幼児期運動指針は、幼児期をいろいろな動きを幅広く身に付ける時期とし、遊びを中心に毎日合計60分以上体を動かすことを目安にしています。早急な結果を求めないよう求めているため、種目を絞るかどうかより、子どもが楽しんで体を動かせているかを見て決めるとよいでしょう。
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