教育費の貯金方法と2026年の制度変更

子どもが生まれて児童手当の振込が始まったときや、高校・大学の学費を調べたときに、「教育費は何で貯めておけばいいのか」と考える方は多いはずです。使う時期が近いお金は児童手当と預貯金で確実に用意し、高校卒業後のように使うまで期間のあるお金はNISAで運用する、という分け方にすると選びやすくなります。
教育費に関わる制度は、2026年に大きく動きました。祖父母からの教育資金の一括贈与の非課税措置は2026年3月31日で終わり、2027年1月からはNISAのつみたて投資枠を0歳から使えるようになります。2026年10月時点の制度をもとに、貯め方ごとの使いどころを整理します。
教育費は使う時期と金額から逆算する
貯め方を選ぶ前に、いつ、いくら必要になるかを書き出しておくと、どのお金を何で用意するかが決まります。大きな支払いが集中するのは、高校と大学の入学時です。日本政策金融公庫の令和3年度の調査では、子ども1人当たりの入学費用は高校で35.0万円、大学で81.1万円でした。
学校段階ごとの学習費や大学の学費の目安は、次の記事にまとめています。
時期の近い支払いに、値動きのある商品で用意したお金を充てると、その時期に相場が下がっていた場合に予定の額に届かないことがあります。金融庁は、預貯金は安全性(元本と利子の支払いの確実さ)が高く、投資信託は安全性が低めで収益性が高めの商品として整理しています。中学・高校の入学時など数年以内に使うお金は預貯金、大学の学費のように使うまで期間のあるお金は運用も選択肢に入れる、という分け方が判断の目安になります。
児童手当と預貯金で確実に用意する
使う時期が決まっている教育費は、まず児童手当を貯める先に回します。2024年10月の拡充で、児童手当は高校生年代まで支給されるようになりました。1人当たりの月額は次のとおりで、毎年2月・4月・6月・8月・10月・12月に、前月分までの2か月分が振り込まれます。
| 子どもの年齢 | 月額(第1子・第2子) | 月額(第3子以降) |
|---|---|---|
| 3歳未満 | 15,000円 | 30,000円 |
| 3歳以上高校生年代まで | 10,000円 | 30,000円 |
第1子・第2子の場合、3歳未満の36か月分をすべて残せば54万円、3歳以上は1年分で12万円になります。振込口座から教育費用の口座へ自動で移す設定にしておくと、生活費に混ざらずに残せます。
学資保険などの保険商品で積み立てる方法もありますが、返戻率や途中で解約したときの扱いは商品ごとに違います。加入を考えるときは、払い込む保険料の合計と受け取る額を比べてから決めると、預貯金との違いが分かります。
NISAは先に使うお金、iDeCoは教育費に充てられない
子どもが小さいうちから準備する大学費用は、NISAで運用する選択肢があります。NISA口座で得た売却益や分配金は非課税で、年間に投資できる額はつみたて投資枠120万円・成長投資枠240万円の合計360万円、生涯の非課税保有限度額は1,800万円です。商品を売ると、翌年以降に売った分の簿価だけ枠が戻るため、学費の支払いで一部を売ってもまた積み立て直せます。
2027年1月からは、つみたて投資枠の年齢要件がなくなり、0歳から17歳の子ども名義でもNISA口座を開けるようになります。未成年の間の年間投資枠は60万円、非課税保有限度額は600万円で、使えるのはつみたて投資枠だけです。0歳から17歳の間は原則として払い出せず、12歳以降は子どものための使途で、子どもの同意を示す書面とともに親権者等が申し出た場合に払い出せます。
子ども名義のNISAと旧ジュニアNISAとの違いは、次の記事にまとめています。
一方、iDeCo(個人型確定拠出年金)は教育費の準備には使えません。iDeCo公式サイトの説明のとおり、資産は60歳になるまで原則として引き出せないためです。掛金が全額所得控除になる利点は老後資金の準備として考え、子どもの進学費用はiDeCoとは別に用意します。
祖父母からの援助は一括贈与の終了後の形で考える
祖父母から教育費の援助を受けるときの非課税の仕組みは、2026年4月から変わりました。孫などに教育資金を一括で贈与すると1,500万円まで贈与税が非課税になる「教育資金の一括贈与」の特例は、適用期限の2026年3月31日で延長されずに終わり、4月1日以後は新たに使えません。3月31日までに特例を受けた分には、引き続き特例が適用されます。
| 援助の形 | 2026年10月時点の扱い |
|---|---|
| 教育資金の一括贈与(1,500万円まで非課税) | 2026年3月31日で終了。新たな適用はできない |
| 学費などを必要な都度、直接払う | 通常必要と認められるものは贈与税がかからない |
| 暦年課税の贈与 | 1年間の贈与の合計が110万円以下なら贈与税がかからない |
扶養義務者である祖父母や親から、学費や教材費などに充てるために受け取るお金は、必要な都度直接充てるものであれば贈与税がかかりません。ただし、教育費の名目で受け取っても、預金したり株式の購入資金に充てたりした場合は贈与税の対象になります。
相続との関係にも注意が要ります。相続や遺贈で財産を受け取った人が、亡くなった人から生前に暦年課税で受けた贈与は、一定の期間内の分が相続税の課税価格に加算されます。2024年1月1日以後の贈与では、この加算対象期間が相続開始前7年以内に延びました。贈与についてのよくある疑問は、次の記事で整理しています。
大学の学費は修学支援新制度を先に確かめる
大学の学費の準備額は、高等教育の修学支援新制度の対象になるかで変わります。この制度は、大学・短大・高等専門学校・専門学校の授業料と入学金の減免と、返還不要の給付型奨学金を組み合わせたもので、一定年収以下の世帯と多子世帯が対象です。2020年4月に始まり、2024年度からは多子世帯や私立の理工農系の学部に通う学生について、中間層まで対象が広がりました。
多子世帯の支援は、生計を維持する保護者が住民税上の扶養をしている子どもが3人以上いる世帯が対象で、2025年度からは所得制限なく、国が定める一定額まで授業料と入学金が減免されます。子どもの数が3人以上いる間は、第1子から支援の対象です。給付型奨学金は収入の基準を超えると支給されません。住民税非課税世帯(満額支援)の大学の支援額は次のとおりです。
| 大学 | 給付型奨学金(自宅通学) | 給付型奨学金(自宅外通学) | 授業料の減免 | 入学金の減免 |
|---|---|---|---|---|
| 国公立 | 年35万円 | 年80万円 | 年54万円 | 28万円 |
| 私立 | 年46万円 | 年91万円 | 年70万円 | 26万円 |
申し込みは高校在学中の「予約採用」ででき、2027年度に進学する人の入学前の申請期間は2026年4月下旬から7月末で、締切は学校ごとに異なります。高校生のときに申し込んで対象外だった場合も、進学後に改めて申し込むと対象になることがあります。
給付型奨学金などの返還不要の支援を受けている期間は、日本学生支援機構の無利子の貸与型奨学金の貸与額が調整され、振込額が0円になる場合もあります。貸与型奨学金とあわせて使う予定の家庭は、支援の判定が出た後の手取りの額で資金計画を立て直します。子どもが中学生のうちに対象になるかどうかを確かめておくと、高校の間に貯める額を決めやすくなります。
出典
- NISAを知る(金融庁 NISA特設ウェブサイト) https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/know/index.html
- 資産形成の基本(金融庁 NISA特設ウェブサイト) https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/invest/index.html
- iDeCo(イデコ)の特徴(国民年金基金連合会 iDeCo公式サイト) https://www.ideco-koushiki.jp/guide/
- iDeCo(イデコ)のメリット(国民年金基金連合会 iDeCo公式サイト) https://www.ideco-koushiki.jp/guide/good.html
- 児童手当制度のご案内(こども家庭庁) https://www.cfa.go.jp/policies/kokoseido/jidouteate/annai
- No.4510 直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税(国税庁) https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4510.htm
- No.4405 贈与税がかからない場合(国税庁) https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4405.htm
- No.4402 贈与税がかかる場合(国税庁) https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4402.htm
- No.4161 贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)(国税庁) https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4161.htm
- 高等教育の修学支援新制度(文部科学省) https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/hutankeigen/index.htm
- 高等教育の修学支援新制度リーフレット(2027年度に進学を予定している方向け)(文部科学省) https://www.mext.go.jp/content/20260206-mxt_gakushi01-100001062-1-1koukou.pdf
- 令和3年度「教育費負担の実態調査結果」(日本政策金融公庫) https://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/kyouikuhi_chousa_k_r03.pdf
よくある質問
- 教育費の貯金は、児童手当だけで足りますか?
- 児童手当は第1子・第2子で、3歳未満は月15,000円、3歳以上高校生年代までは月10,000円です。3歳未満の36か月分をすべて残すと54万円で、日本政策金融公庫の令和3年度の調査では大学の入学費用だけで平均81.1万円でした。大学の学費は児童手当だけでは届かないため、預貯金やNISAで上乗せし、修学支援新制度の対象かどうかも確かめます。
- 祖父母からの教育資金の一括贈与は、まだ使えますか?
- 2026年4月1日以後は新たに使えません。教育資金の一括贈与の非課税措置は、適用期限の2026年3月31日で延長されずに終わりました。それまでに特例を受けた分には引き続き特例が適用されます。今後の援助は、学費を必要な都度直接払う方法や、年110万円の基礎控除の範囲での贈与で考えます。
- iDeCoで貯めたお金を大学の学費に使えますか?
- 使えません。iDeCoの資産は60歳になるまで原則として引き出せないため、子どもの進学費用はiDeCoとは別に用意します。
- 子ども名義のNISAはいつから始められますか?
- 2027年1月から、0歳から17歳の子どももNISAのつみたて投資枠を使えるようになります。年間投資枠は60万円、非課税保有限度額は600万円で、17歳までは原則として払い出せず、12歳以降は一定の要件のもとで払い出せます。
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カリフォルニア州立大学ロングビーチ校卒業後、NTTPCコミュニケーションズでシステムエンジニアとして金融機関等のシステム運用などに携わる。2009年、株式会社エニドアを創業し代表取締役に就任。クラウドソーシングサービスの開発・提供を行う。M&Aにより会社を売却後、上場企業のグループ会社の経営を6年行った後、株式会社modoを創業し代表取締役に就任。家族向けのサービスmemStockの開発を行う。 二級ファイナンシャル・プランニング技能士、証券外務員一種を保有。2児の父。
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