育児休業給付金 - 支給額の計算方法や受給期間について解説

育児休業を取得すると、育児休業給付金を受け取ることができます。この給付金は、育児休業期間中の経済的な支援を目的とした制度です。支給額や支給期間、受給資格など、育児休業給付金にはいくつかの重要なポイントがあります。
また、2022年10月から出生時育児休業給付金が新設され、男性の育児休業取得を促進することを目的としています。
本記事では、育児休業給付金の支給額の計算方法、支給期間の基本ルールや延長が可能なケース、出生時育児休業給付金の詳細、会社の育児休暇制度との違いなど、育児休業給付金に関する重要な情報を詳しく解説します。
育児休業を取得予定の方、すでに取得中の方は、ぜひ参考にしてください。
育児休業給付金とは
制度の概要
育児休業給付金は、育児休業を取得した雇用保険の被保険者に支給される給付金です。
この制度は雇用保険の一部であり、育児休業期間中の経済的支援を目的としています。
支給額は原則として、休業開始時賃金の67%相当額となります。支給期間は、最長で子が1歳に達するまでですが、保育所に入所できないなどの理由がある場合は、最長2歳に達するまで延長されることもあります。
受給資格
育児休業給付金を受給するためには、以下の要件を満たす必要があります。
- 1歳未満の子を養育するために、育児休業を取得した被保険者であること(2回まで分割取得可)
育児休業給付金の対象となるのは、被保険者が事業主に申し出て取得が認められた育児休業であり、休業開始日から子が1歳になるまでの期間(「パパ・ママ育休プラス制度」を利用する場合は1歳2か月、その他一定の条件を満たせば最長2歳まで)が対象となります。
ただし、出産日の翌日から8週間の産後休業期間は、育児休業給付金の対象外です。 - 休業開始日前2年間に、雇用保険の被保険者期間が通算して12か月以上あること
この要件を満たすためには、休業開始日前の2年間で、毎月11日以上の賃金支払いがある月(または80時間以上の労働がある月)が12か月以上必要です。
ただし、病気やケガなどのやむを得ない理由で休業した期間がある場合は、その分を2年に加算できる場合があります(最長4年まで)。 - 育児休業期間中の就業日数が月10日以下、または就業時間数が月80時間以下であること
育児休業給付金は、原則として休業している期間に支給されるため、休業中の就業日数や就業時間数が一定の範囲内である必要があります。 - 有期雇用の方の場合、子が1歳6か月(一定の条件を満たせば2歳)になるまでの間に、労働契約の期間が満了することが明らかでないこと
有期雇用の方が育児休業給付金を受給するためには、子が1歳6か月(または2歳)に達するまでの間、労働契約が継続することが必要です。
受給資格の詳細は個別のケースによって異なるため、詳しくはハローワークに確認することをおすすめします。
申請方法
育児休業給付金を受け取るには、事業主を通じて申請手続きを行う必要があります。
申請書類には、育児休業給付金支給申請書、育児休業取得期間申出書、育児休業終了申出書などがあります。事業主が記入する部分と、本人が記入する部分がありますので、よく確認しましょう。
申請のタイミングは、原則として育児休業開始後1ヶ月以内です。ただし、申請が遅れた場合でも、育児休業終了後6ヶ月以内であれば、申請を受け付けてもらえます。
育児休業給付金の支給額
支給額の計算方法
育児休業給付金の支給額は、支給単位期間(1カ月)ごとに、以下の式で計算されます。
支給額(月額) = 休業開始時賃金日額 × 支給日数 × 67%(育児休業開始から181日目以降は50%)
休業開始時賃金日額は、原則として育児休業開始前の6ヶ月間(賃金支払基礎日数が11日未満の月は除く)の賃金総額を180で除して算出します。
ただし、この6ヶ月間に賃金支払基礎日数が11日以上の月が6ヶ月に満たない場合は、賃金の支払いの基礎となった時間数が80時間以上である月を対象とします。なお、臨時に支払われる賃金と3ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金は除外されます。
支給日数は原則として30日間ですが、休業終了日が含まれる支給単位期間については、休業終了日までの日数となります。また、支給単位期間の途中で離職した場合は、離職日の前の支給単位期間までが支給対象となります。
育児休業開始から180日目までは支給額の67%が支給されますが、181日目以降は50%に減額されます。ただし、出生時育児休業給付金が支給された日数は、この180日に通算されます。
支給上限額と下限額
育児休業給付金の休業開始時賃金日額には上限と下限が設定されており、2024年7月31日までは上限額が15,430円、下限額が2,746円となっています。
支給日数が30日の場合、支給額(月額)の上限と下限は以下のようになります。
| 給付率 | 支給上限額(月額) | 支給下限額(月額) |
|---|---|---|
| 67% (180日目まで) | 310,143円 | 55,194円 |
| 50% (181日目以降) | 231,450円 | 41,190円 |
ただし、支給下限額は育児休業期間中に事業主から賃金が支払われなかった場合の額であり、育児休業中に支払われた賃金額によっては、この額を下回る可能性があります。
支給額に影響する要因
育児休業給付金の支給額は、休業開始前の賃金や休業期間の長さによって変動します。また、育児休業中に事業主から賃金が支払われた場合、その支払われた賃金の額が、休業開始時賃金月額の13%(181日目以降は30%)を超えると、支給額は減額され、以下の式で計算されます。
支給額(月額) = 休業開始時賃金日額 × 支給日数 × 80% - 賃金額
ただし、休業開始時賃金月額の80%(181日目以降は30%)以上の賃金が事業主から支払われた場合は、育児休業給付金は支給されません。
また、育児休業給付金は非課税ですが、社会保険料は控除されます。そのため、実際の手取り額は、支給額から社会保険料を差し引いた金額となります。
以上のように、育児休業給付金の支給額は、休業開始前の賃金、休業期間の長さ、事業主からの賃金支払いの有無とその額、社会保険料などの要因によって変動します。
個別の状況に応じた正確な支給額を知るためには、ハローワークや社会保険労務士などの専門家に相談することをおすすめします。
育児休業給付金の支給期間
支給期間の基本ルール
育児休業給付金は、原則として、育児休業を取得した日から最長1年間支給されます。
この支給期間は、実際の育児休業期間と連動しています。つまり、育児休業を取得する期間が1年未満の場合は、その期間に応じて育児休業給付金が支給されます。
例えば、6ヶ月間の育児休業を取得した場合、育児休業給付金の支給期間も6ヶ月間となります。
支給期間の延長が可能なケース
子が1歳に達した後も、一定の要件を満たせば、最長で子が2歳に達するまで育児休業給付金の支給期間を延長することができます。
延長が認められるケースとしては、以下のような例が挙げられます。
- 保育所に入所できない場合(入所申込みを行っているが、1歳到達時点または1歳6ヶ月到達時点で入所できない旨の通知を受けている場合)
- 配偶者が死亡、負傷、疾病等により子の養育が困難になった場合
- 配偶者との離婚等により、配偶者が子と別居することになった場合
- 養育を予定していた配偶者が産前産後休業等を取得した場合
これらのケースに該当し、支給期間の延長を希望する場合は、原則として子が1歳または1歳6ヶ月に達する日までに、事業主を通じて延長申請の手続きを行う必要があります。
他の休業との関係による支給期間の延長
育児休業期間中に、他の子に係る産前産後休業や育児休業、介護休業を取得した場合、一定の条件を満たせば、当初の子に係る育児休業給付金の支給期間を延長することができます。
例えば、第一子の育児休業中に第二子が生まれ、第二子の育児休業を取得した後、第二子が死亡した場合や、第一子との同居が不可能になった場合、第一子の育児休業給付金の支給期間を延長できる可能性があります。
育児休業期間と支給期間の関係
育児休業期間と育児休業給付金の支給期間は、原則として一致します。例えば、1年間の育児休業を取得した場合、育児休業給付金の支給期間も1年間となります。
ただし、育児休業期間の途中で復職した場合は、その時点で育児休業給付金の支給も終了します。
例えば、当初1年間の育児休業を予定していたが、6ヶ月で復職した場合、育児休業給付金の支給期間は6ヶ月間で終了します。
逆に、育児休業期間を延長した場合は、育児休業給付金の支給期間も連動して延長されます。例えば、当初1年間の育児休業を予定していたが、保育所に入所できないため3ヶ月延長した場合、育児休業給付金の支給期間も1年3ヶ月間となります。
以上のように、育児休業給付金の支給期間は、原則として育児休業期間と一致しますが、子の年齢や保育所の状況、配偶者の状況、他の休業との関係など、様々な要因によって延長される可能性があります。
支給期間に関する詳細や個別の事情については、ハローワークや社会保険労務士等の専門家に相談することをおすすめします。
出生時育児休業給付金
制度の概要
出生時育児休業給付金は、2022年10月から開始された新しい制度です。
この制度は、男性の育児休業取得を促進することを目的としており、子の出生日から8週間を経過する日の翌日までの期間内に、4週間(28日)以内の期間を定めて、当該子を養育するための「産後パパ育休(出生時育児休業)」を取得した場合に支給されます。
受給資格
出生時育児休業給付金を受給するためには、以下の要件を満たす必要があります。
- 子の出生日から8週間を経過する日の翌日までの期間内に、4週間(28日)以内の期間を定めて、当該子を養育するための出生時育児休業を取得した被保険者であること(2回まで分割取得可)
- 休業開始日前2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある(ない場合は賃金の支払いの基礎となった時間数が80時間以上の)完全月が12か月以上あること
- 休業期間中の就業日数が、最大10日(10日を超える場合は就業した時間数が80時間)以下であること
- (期間を定めて雇用される方の場合)子の出生日(出産予定日前に子が出生した場合は出産予定日)から8週間を経過する日の翌日から6か月を経過する日までに、その労働契約の期間が満了することが明らかでないこと
なお、産後休業(出生日の翌日から8週間)は出生時育児休業給付金の対象外です。また、男性が出生時育児休業を取得する場合は、配偶者の出産予定日または子の出生日のいずれか早い日から出生時育児休業給付金の対象となります。
支給額
出生時育児休業給付金の支給額は、以下の式で計算されます。休業開始時賃金日額の計算方法は、育児休業給付金と同じです。
支給額 = 休業開始時賃金日額 × 休業期間の日数(28日が上限) × 67%
ただし、出生時育児休業期間を対象として事業主から賃金が支払われた場合、支給額が調整されます。支払われた賃金の額が、休業開始時賃金月額の13%(181日目以降は30%)を超えると、支給額は減額され、以下の式で計算されます。
支給額 = 休業開始時賃金日額 × 休業期間の日数 × 80% - 賃金額
また、休業開始時賃金月額の80%(181日目以降は30%)以上の賃金が事業主から支払われた場合は、出生時育児休業給付金は支給されません。
休業開始時賃金日額の上限額は、2024年7月31日までは15,430円となっています。
したがって、出生時育児休業給付金の支給上限額(休業28日)は、
289,466円 = 15,430円 × 28日 × 67%
となります。
支給期間
出生時育児休業給付金の支給期間は、最長で28日間です。この28日間は、2回に分割して取得することが可能です。
ただし、分割して取得する場合、それぞれの期間が14日以上であることが必要です。
申請方法
出生時育児休業給付金の申請は、子の出生日(出産予定日前に子が出生した場合は出産予定日)から8週間を経過する日の翌日から可能となり、当該日から2か月を経過する日の属する月の末日までに「育児休業給付受給資格確認票・出生時育児休業給付金支給申請書」を事業主を通じて管轄のハローワークに提出する必要があります。
出生時育児休業を2回に分割して取得する場合でも、申請は1回にまとめて行います。申請書には、それぞれの休業期間、就業した日数・時間及び支払われた賃金額を記載します。
育児休業と育児休暇の違い
育児休業と育児休暇(育児目的休暇)は、ともに子育て中の労働者を支援するための制度ですが、その位置づけや内容には大きな違いがあります。
育児休業は、これまでの章で説明したように、育児・介護休業法に基づく法定の制度であり、育児休業の取得条件や手続き、休業期間などの基本的なルールは法律で定められています。また、育児休業を取得した場合、一定の要件を満たせば、雇用保険から育児休業給付金が支給されます。
一方、育児休暇は、法律で定められた制度ではなく、各企業が独自に設ける福利厚生の一環です。その内容や取得条件は会社ごとに異なり、法的な決まりはありません。
育児休暇の具体的な内容は、子の看護休暇や学校行事参加のための休暇など、様々です。取得できる日数や取得方法(時間単位、半日単位、日単位など)、有給・無給の扱いも会社によって異なります。
それぞれの制度の特徴を理解し、自分の状況に合わせて上手く活用することが、仕事と子育ての両立につながります。会社の育児休暇制度について不明な点があれば、人事部門に確認し、育児休業や育児休業給付金については、これまでの章で説明した内容を参考にしてください。
まとめ
育児休業給付金の重要ポイントの復習
育児休業給付金は、育児休業を取得した雇用保険の被保険者に支給される給付金で、育児休業期間中の経済的支援を目的としています。受給資格は、1歳未満(最長2歳まで)の子の養育のために育児休業を取得し、休業開始前2年間に12か月以上の被保険者期間がある等の条件を満たす必要があります。
支給額は、休業開始時賃金日額に支給日数と給付率(67%または50%)を乗じて算出され、原則として休業開始から1年間(最長2年間まで)支給されます。申請は事業主を通じて行います。
2022年10月からは出生時育児休業給付金制度も始まり、子の出生後8週間以内に開始する育児休業を取得した場合、休業開始時賃金の67%が最長28日支給されます。
これらの育児休業給付金は、育児休業中の経済的不安を和らげ、子育てしやすい環境づくりに大きく寄与しています。
育児休業給付金を活用するためのアドバイス
育児休業給付金を有効に活用するためには、まず計画的に育児休業の取得を検討することが大切です。出産予定日や保育所の申込時期などを考慮して、早めに準備を始めましょう。
また、配偶者と協力して育児休業を取得することで、互いの育児の責任を分かち合い、支え合える関係を築くことができます。単に経済的な支援だけでなく、育児休業を通じて親子の絆を深める良い機会にもなるでしょう。
職場の理解と協力も欠かせません。育児休業の取得を希望する旨を上司や同僚に伝え、業務の引継ぎなどについて話し合いましょう。育児休業や育児休業給付金の制度を理解してもらい、職場の理解を得ることが円滑な育児休業取得につながります。
育児休業給付金は、育児休業中の経済的な支援だけでなく、仕事と育児の両立を後押しする重要な制度です。本記事で解説した内容を参考に、制度をしっかりと理解した上で、積極的に活用していただきたいと思います。
子育ては決して楽ではありませんが、育児休業給付金を上手に活用し、周囲のサポートを受けながら、充実した育児生活を送っていただければと願っています。もしご不明な点があれば、ハローワークや社会保険労務士など専門家に相談してみてください。
[参考]育児休業給付について|厚生労働省
memstock編集部
memStock編集部は、家族の豊かな暮らしと家計管理を応援する記事制作チームです。ライフハック・節約・投資・保険など、日常生活とお金に関する実用的な情報を、確かな専門知識と多様な視点から分析・提供しています。読者の皆様が抱える日々の悩みや将来への不安を解消し、ワンランク上の生活を実現するためのヒントが詰まった記事をお届けします。 「家族の暮らしをより豊かに」をモットーに、わかりやすく実践的なコンテンツで皆様の人生設計をサポートします。
山田 尚貴
カリフォルニア州立大学ロングビーチ校卒業後、NTTPCコミュニケーションズでシステムエンジニアとして金融機関等のシステム運用などに携わる。2009年、株式会社エニドアを創業し代表取締役に就任。クラウドソーシングサービスの開発・提供を行う。M&Aにより会社を売却後、上場企業のグループ会社の経営を6年行った後、株式会社modoを創業し代表取締役に就任。家族向けのサービスmemStockの開発を行う。 二級ファイナンシャル・プランニング技能士、証券外務員一種を保有。2児の父。



