育児休業給付金はいくら?計算と期間

育休に入ると、会社からの給与は止まるのがふつうです。代わりに雇用保険から育児休業給付金が出ますが、「月にいくら入るのか」「いつまで出るのか」が分からないと、休む期間も家計の予定も決められません。
育休まわりの給付は、2025年4月に大きく変わりました。夫婦がそろって育休を取ると上乗せされる「出生後休業支援給付金」と、復帰後に時短で働く人向けの「育児時短就業給付金」が新しくでき、いまは4つの給付金の組み合わせになっています。上限額も毎年8月1日に見直されるので、この記事では2026年8月1日以降の額で計算します。
育児休業給付金の支給額の計算
育児休業給付金は、雇用保険に入っている人が原則1歳未満の子を育てるために育休を取ったときに支給されます。育休は2回まで分けて取ることができ、休業開始日前の2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある月(ない場合は働いた時間が80時間以上の月)が12か月以上あることが条件です。
1か月あたりの支給額は「休業開始時賃金日額×支給日数(原則30日)×67%」で、育休開始から181日目以降は給付率が50%に下がります。休業開始時賃金日額は、育休(母親の場合は原則として産前産後休業)に入る前の6か月間に支払われた賃金の総額を180で割った額です。賞与のように3か月を超える期間ごとに払われる賃金は入りません。
月給30万円(賃金日額1万円)の人で計算すると、最初の180日間は1万円×30日×67%で月20万1,000円、181日目以降は1万円×30日×50%で月15万円です。産後パパ育休で給付金を受けた日数も、この180日に含めて数えます。
なお、母親の場合、出産の翌日から8週間は産後休業の扱いで、育児休業給付金の対象外です。この期間は、加入している健康保険から出産手当金が出るかどうかを確かめてください。
上限額と、休業中に給与が出たときの調整
休業開始時賃金日額には上限と下限があります。2026年8月1日からの額(2027年7月31日まで)は、上限が16,540円、下限が3,203円です。30日分の支給額に直すと、上限は給付率67%の期間で332,454円、50%の期間で248,100円になります。月給がおよそ49万6千円を超える人は、それ以上もらっていても給付額は増えません。
育休中に会社から賃金が出た場合は、その額によって給付が減ります。支払われた賃金が「休業開始時賃金日額×休業期間の日数」の13%以下(181日目以降は30%以下)なら減額されず、それを超えて80%未満なら「賃金日額×日数×80%-賃金額」が支給額になります。80%以上の賃金が出ると、その期間は支給されません。
月給30万円の人が育休中に12万円を受け取った例で見ると、30万円の80%にあたる24万円から12万円を引いた12万円が給付額になります。賃金と給付金の合計が、休業前の賃金の8割で頭打ちになる仕組みです。一時的に働く場合は、1か月の支給単位期間ごとに就業が10日以下(10日を超えるときは80時間以下)である必要があります。
夫婦で14日以上取ると上乗せされる出生後休業支援給付金
2025年4月にできた出生後休業支援給付金は、育児休業給付金か出生時育児休業給付金(後述)を受ける人に、賃金日額の13%分を最大28日間上乗せする給付です。67%と合わせると給付率は80%になります。育休中は社会保険料が免除され、給付金には所得税がかからないため、厚生労働省はこの80%を「手取り10割相当」と説明しています。
受け取るには、本人が対象期間内に給付金の出る育休を通算14日以上取ることに加えて、配偶者も子の出生後8週間以内に通算14日以上の育休を取っている必要があります。対象期間は、父親(産後休業をしない人)なら子の出生後8週間、産後休業をした母親なら出生後16週間です。
配偶者がいない、配偶者が働いていない、自営業やフリーランスで雇われていない、といった場合は、配偶者の育休がなくても条件を満たします。父親が申請する場合は、母親が子の出生日の翌日に産後休業中なので、父親が14日以上休めば対象になります。
月給30万円の人なら、上乗せ分は1万円×28日×13%で36,400円です。上限は28日分で60,205円です。会社から賃金が出て育児休業給付金が減額されても上乗せ分は減りませんが、育児休業給付金が不支給になると上乗せ分も出ません。
産後パパ育休の給付と、支給される期間・延長
産後パパ育休(出生時育児休業)は、子の出生後8週間のうちに最大28日間取れる休業で、2回まで分けられます。このとき出るのが出生時育児休業給付金で、計算は「賃金日額×休業日数(28日が上限)×67%」です。上限は28日で310,290円です。賃金日額1万円の人が14日休むと9万3,800円、出生後休業支援給付金の1万8,200円と合わせて11万2,000円になります。
申請は、子の出生日(出産予定日より前に生まれた場合は出産予定日)から8週間を過ぎた日の翌日から可能で、その日から2か月を経過する日の属する月の末日が期限です。2回に分けて取った場合も、申請は1回にまとめます。
育児休業給付金は原則として子が1歳になるまで支給されます。両親とも育休を取るパパ・ママ育休プラスを使えば1歳2か月まで延び、保育所に入れないなどの事情があれば1歳6か月、さらに2歳まで延長できます。
保育所を理由とする延長は、2025年4月から確認が厳しくなりました。市区町村への入所申込みを期限内にしていることに加え、すぐに職場に戻るために保育所を希望しているとハローワークが認めることが必要で、申込書の写しの提出も求められます。申込みを忘れていた場合や、申込期限に間に合わなかった場合は延長できません。
申請は原則として勤務先を通じて行い、2回目以降は2か月に1回のペースです。初回の申請期限は、育休開始日から4か月を経過する日の属する月の末日です。
社会保険料の免除と、復帰後の育児時短就業給付金
育児休業給付金から社会保険料が差し引かれることはありません。育休中の健康保険料・厚生年金保険料は、勤務先が日本年金機構に申し出れば本人負担分も会社負担分も免除されます。対象は3歳未満の子を育てるための育休で、育休を始めた月から終了日の翌日が属する月の前月まで免除になり、同じ月の中で14日以上休んだ場合も免除されます。免除された期間は、将来の年金額の計算で保険料を納めた期間として扱われます。賞与にかかる保険料は、賞与月の末日を含めて連続1か月を超える育休を取った場合に限って免除されます。
職場に戻って時短で働く場合は、育児時短就業給付金が使えます。2歳未満の子を育てるために週の所定労働時間を短くして働く人が対象で、支給額は時短中の各月の賃金の10%です。時短前の賃金月額の90%を超える賃金が出ている月は支給率が下がり、100%以上なら支給されません。
たとえば時短前の賃金月額が30万円で、時短後の賃金が24万円なら、給付金は24万円×10%で月2万4,000円です。賃金と給付の合計の上限は484,121円で、算定した額が2,562円以下のときは支給されません(いずれも2027年7月31日までの額)。
雇用保険に入っていない自営業やフリーランスの人は、ここまでの給付金の対象外です。その代わり、国民年金の第1号被保険者には、子が1歳になるまでの保険料を免除する制度が2026年10月に始まりました。免除された期間は老齢基礎年金の額を減らしません。くわしくは次の記事で解説しています。
給付額は厚生労働省の試算ツールでも確かめられます。育休の期間を夫婦で決める前に、上限額と14日の条件を一度当てはめてみると、休み方の候補が絞りやすくなります。
出典
- 育児休業等給付について(厚生労働省) https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000135090_00001.html
- 育児休業等給付の内容と支給申請手続(2026年8月1日改訂版)(厚生労働省・都道府県労働局・ハローワーク) https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001461102.pdf
- 育児時短就業給付の内容と支給申請手続(2026年8月1日時点版)(厚生労働省・都道府県労働局・ハローワーク) https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001395102.pdf
- 厚生年金保険料等の免除(産前産後休業・育児休業等期間)(日本年金機構) https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/hokenryo/menjo/20140122-01.html
- 育児休業中の厚生年金保険の保険料はどうなるのですか。(日本年金機構) https://www.nenkin.go.jp/section/faq/kounen/hokenryo/20140912.html
- 国民年金保険料の育児免除制度(日本年金機構) https://www.nenkin.go.jp/service/kokunen/menjo/ikujimenjo.html
よくある質問
- 育児休業給付金に税金はかかりますか
- かかりません。育児休業等給付は非課税です。加えて育休中は健康保険料・厚生年金保険料が免除され、会社から給与が出なければ雇用保険料の負担もありません。このため、67%に13%が上乗せされる80%の期間は、手取りで見て休業前とほぼ同じになると厚生労働省は説明しています。ただし賃金日額の上限を超える収入の人は、その分だけ割合が下がります。
- 夫が産後パパ育休を10日だけ取った場合、出生後休業支援給付金は出ますか
- 出ません。出生後休業支援給付金は、給付金が支給される休業を通算14日以上取ることが条件です。産後パパ育休と、同じ期間内の育児休業の日数は合算できるので、合わせて14日以上になれば対象です。
- 母親が出生後休業支援給付金を受けるには、何が必要ですか
- 母親本人が出生後16週間以内に14日以上の育休を取り、配偶者(父親)も出生後8週間以内に通算14日以上の育休を取っている必要があります。父親が自営業者や無業者などで育休を取れない立場の場合は、その事情を示す書類を出せば、父親の育休がなくても条件を満たします。
- 給付金はいつ振り込まれますか
- 育児休業給付金は、勤務先を通じて原則2か月ごとに申請し、支給決定のあと指定口座に振り込まれます。休業前の給与日と同じペースで入るわけではないので、育休開始から最初の入金までの数か月分の生活費は、別に用意しておくと安心です。
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カリフォルニア州立大学ロングビーチ校卒業後、NTTPCコミュニケーションズでシステムエンジニアとして金融機関等のシステム運用などに携わる。2009年、株式会社エニドアを創業し代表取締役に就任。クラウドソーシングサービスの開発・提供を行う。M&Aにより会社を売却後、上場企業のグループ会社の経営を6年行った後、株式会社modoを創業し代表取締役に就任。家族向けのサービスmemStockの開発を行う。 二級ファイナンシャル・プランニング技能士、証券外務員一種を保有。2児の父。
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