改正後の育児・介護休業法、親が使える制度

育児・子どもの安全memStock編集部(更新: 2026年10月13日)
改正後の育児・介護休業法、親が使える制度

子どもが小学校に上がったら、熱を出しても看護休暇は使えない。残業を断れるのは3歳まで。数年前に調べた知識のまま、そのまま覚えていると、使える休暇や請求を見落とします。

育児・介護休業法は2024年5月に改正され、2025年4月1日と10月1日の2段階で施行されました。子の看護休暇は「子の看護等休暇」に名前が変わって小学校3年生修了まで使えるようになり、学級閉鎖や入学式も取得の理由に加わっています。この記事では、働く親が会社に請求できる制度と、会社が用意しなければならない措置を、施行日ごとに整理します。

2025年4月と10月、それぞれ何が変わったか

改正の中身は、施行日で2つに分かれます。

2025年4月1日からは、子の看護休暇の見直し(対象年齢・取得事由の拡大、名称変更)、所定外労働の制限(残業免除)の対象を小学校就学前まで拡大、3歳未満の短時間勤務の代替措置にテレワークを追加、3歳未満の子を育てる人がテレワークを選べるようにする努力義務が始まりました。

2025年10月1日からは、3歳から小学校就学前の子を育てる人のための「柔軟な働き方を実現するための措置」が事業主の義務になりました。あわせて、その措置を個別に知らせて意向を確認すること、妊娠・出産の申出時と子が3歳になる前に仕事と育児の両立について本人の意向を聴き、配慮することも義務になっています。

2026年10月の時点では、どちらもすでに施行されています。

急な発熱や学級閉鎖には「子の看護等休暇」

子の看護等休暇は、小学校3年生修了まで(9歳になった後の最初の3月31日まで)の子を育てる人が取れる休暇です。日数は1年に5日、子が2人以上なら10日で、この日数は改正前と変わっていません。1日単位のほか、時間単位でも取得できます。

取得の理由は、病気・けがの看護、予防接種・健康診断に加えて、2025年4月から「感染症に伴う学級閉鎖等」と「入園(入学)式・卒園式」が加わりました。一方、授業参観や運動会への参加は、法律上の取得事由には入っていません。会社が独自に認めることは差し支えないとされているので、勤め先の規定を確認してみてください。

対象から外せる人の範囲も狭くなりました。以前は労使協定で「勤続6か月未満」の人を対象外にできましたが、この仕組みは廃止され、いまは労使協定で除外できるのは週の所定労働日数が2日以下の人だけです。転職したばかりでも使えます。

学級閉鎖で休む場合の手続きや注意点は、別の記事で詳しくまとめています。

残業を減らす3つの請求

働く時間の長さを抑えるために請求できる制度は3つあり、いずれも小学校就学前の子を育てる人が対象です。

1つ目は所定外労働の制限、いわゆる残業免除です。請求すると、会社は所定労働時間を超えて働かせることができません。2025年4月に、対象が「3歳未満の子」から「小学校就学前の子」に広がりました。2つ目は時間外労働の制限で、時間外労働を1か月24時間、1年150時間までに抑えられます。3つ目は深夜業の制限で、午後10時から午前5時までの労働を免除してもらえます。

請求は、それぞれ開始の日の1か月前までに行います。残業免除と時間外労働の制限は1回につき1か月以上1年以内、深夜業の制限は1か月以上6か月以内の期間で、何度でも請求できます。ただし、事業の正常な運営を妨げる場合には会社が請求を拒めます。また、勤続1年未満の人や週の所定労働日数が2日以下の人などは対象外になることがあります。

3歳までは短時間勤務、3歳から就学前は「柔軟な働き方の措置」

3歳未満の子を育てる人について、会社は1日の所定労働時間を原則6時間とする短時間勤務の制度を設けなければなりません。業務の性質上どうしても短時間勤務が難しい人を労使協定で対象外にする場合は、代わりの措置が必要で、2025年4月からその選択肢にテレワークが加わりました。

短時間勤務で減った収入については、雇用保険の「育児時短就業給付」が2025年4月に始まっています。2歳未満の子を育てるために時短勤務をしている雇用保険の被保険者が対象で、給付は時短勤務中に支払われた賃金の10%です。時短後の賃金と給付の合計が時短前の賃金を超えないよう、給付率は調整されます。

子が3歳になると、2025年10月からは「柔軟な働き方を実現するための措置」が使えます。会社は次の5つから2つ以上を選んで用意し、働く側はその中から1つを選んで利用します。

  • 始業時刻等の変更(フレックスタイム制、時差出勤)
  • テレワーク等(1日の所定労働時間を変えずに月10日以上)
  • 保育施設の設置運営等(ベビーシッターの手配と費用負担など)
  • 養育両立支援休暇(1日の所定労働時間を変えずに年10日以上)
  • 短時間勤務制度(1日の所定労働時間を原則6時間とする措置を含む)

テレワーク等と養育両立支援休暇は、原則として時間単位で使えるようにする必要があります。会社がどの2つを選ぶかは職場ごとに違い、選ぶ際には過半数労働組合などから意見を聴く機会を設けることになっています。旧来の制度では、3歳から就学前の働き方への配慮は努力義務にとどまっていました。いまは会社の義務です。

会社から個別に説明を受け、希望を伝えられる

2025年10月から、会社は子が3歳になる前の時期に、柔軟な働き方の措置として何を用意しているかを本人に個別に知らせ、利用するかどうかの意向を確認しなければなりません。時期は、子の3歳の誕生日の1か月前までの1年間(1歳11か月に達する日の翌々日から2歳11か月に達する日の翌日まで)です。このとき、残業免除・時間外労働の制限・深夜業の制限についても知らせることになっています。

方法は面談(オンライン可)か書面の交付で、FAXや電子メールは本人が希望した場合に限られます。利用を控えさせるような周知や意向確認は認められていません。

同じく10月から、本人や配偶者の妊娠・出産等を申し出たときと、子が3歳になる前の同じ時期に、会社は仕事と育児の両立について本人の意向を個別に聴き取る義務を負っています。聴き取る内容は、勤務時間帯、勤務地、両立支援制度等の利用期間、業務量や労働条件の見直しなどの就業の条件です。会社は聴き取った意向に、自社の状況に応じて配慮しなければなりません。子に障害がある場合の利用期間の延長や、ひとり親家庭での子の看護等休暇の日数への配慮も、望ましい対応として示されています。

なお、柔軟な働き方の措置の利用を申し出たことや、意向聴取で伝えた内容を理由に、解雇などの不利益な取扱いをすることは禁止されています。

育休と産後パパ育休の基本

育児休業は原則として子が1歳になるまで取れ、保育所に入れないなどの事情があれば最長2歳まで延長できます。子1人につき原則2回に分けて取得でき、両親がともに取る場合は「パパ・ママ育休プラス」で1歳2か月まで延びます。これとは別に、子の出生後8週間以内に通算4週間(28日)まで取れる産後パパ育休(出生時育児休業)があり、2回に分けて取る場合はまとめて申し出ます。

育休中に働くことには制限があります。産後パパ育休は、労使協定がある場合に限り、本人が合意した範囲で就業でき、所定労働日・所定労働時間の半分までなどの上限があります。通常の育児休業中の就業について、育児休業給付金の扱いは「臨時・一時的」であることが前提で、1支給単位期間に就業日数が10日(10日を超える場合は80時間)以下である必要があります。育休を取りながらテレワークで仕事を続ける、という使い方は想定されていません。

育休中の給付金の金額や計算方法は、こちらの記事で解説しています。

制度を使おうとして会社と話がまとまらないときは、都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)に相談できます。まずは勤め先の就業規則が2025年の改正に合わせて更新されているかを確かめ、子の年齢に合わせてどの制度が使えるかを家族で話しておくと、急な休みや復職のときに慌てずに済みます。

出典

よくある質問

子どもが小学2年生でも、子の看護等休暇は取れますか
取れます。2025年4月から、対象は小学校3年生修了まで(9歳になった後の最初の3月31日まで)に広がりました。日数は1年に5日、子が2人以上なら10日です。
授業参観や運動会で子の看護等休暇は使えますか
法律上の取得事由には入っていません。対象は病気・けがの看護、予防接種・健康診断、感染症に伴う学級閉鎖等、入園(入学)式・卒園式です。会社が独自に認めている場合は使えるので、就業規則を確認してください。
3歳を過ぎたら短時間勤務は使えなくなりますか
法律で会社に設置が義務づけられている短時間勤務は3歳未満が対象です。3歳から就学前は、2025年10月から会社が5つの措置から2つ以上を用意する義務があり、その中に短時間勤務制度が含まれていれば利用できます。
残業免除は何歳まで請求できますか
小学校就学前の子を育てている間です。2025年4月に、3歳未満から広がりました。開始の1か月前までに、1か月以上1年以内の期間を示して請求します。
入社して半年未満でも子の看護等休暇は使えますか
使えます。勤続6か月未満の人を労使協定で対象外にする仕組みは、2025年4月に廃止されました。労使協定で除外できるのは、週の所定労働日数が2日以下の人です。
m
この記事を書いた人

memStock編集部

memStock編集部は、家族の豊かな暮らしと家計管理を応援する記事制作チームです。ライフハック・節約・投資・保険など、日常生活とお金に関する実用的な情報を、確かな専門知識と多様な視点から分析・提供しています。読者の皆様が抱える日々の悩みや将来への不安を解消し、ワンランク上の生活を実現するためのヒントが詰まった記事をお届けします。 「家族の暮らしをより豊かに」をモットーに、わかりやすく実践的なコンテンツで皆様の人生設計をサポートします。

関連記事