ニセ警察詐欺は、実家の固定電話にも子育て世代のスマホにもかかってきます

生活/暮らしmemStock編集部
ニセ警察詐欺は、実家の固定電話にも子育て世代のスマホにもかかってきます

実家の親から「この前、警察から電話があってね」と聞いたら、何と返すでしょうか。口座が犯罪に使われている、資産を保護するために調べたい、といった話が出ていたなら、警察庁が注意を呼びかけている「ニセ警察詐欺」の入口とよく似ています。

警察官を名乗ってお金をだまし取るこの詐欺は、高齢の親を狙うものだと思われがちです。ところが警察庁が2026年7月30日に公表した上半期(1〜6月)の暫定値で年代別の認知件数を足すと、60歳未満が半分を超えていました。親の世代にも子育て世代にも電話がかかってくる詐欺です。統計と警察庁の案内をもとに、家族で先に決めておけることを考えます。

ニセ警察詐欺は、警察を名乗る電話から始まります

警察庁の説明では、自宅の固定電話や携帯電話に、警察官を名乗る人物から電話がかかってきます。「あなたの口座が犯罪に使われている」「あなたの携帯電話が不正に契約された」などと理由をつけ、「資産を保護する」「口座を調査する」といって振り込ませたり、現金をだまし取ったりします。最初は電話会社や総務省を名乗り、途中で警察官役に代わるケースもあります。

電話のあとは、LINEなどのビデオ通話に移ることがあります。警察庁のサイトで紹介されている大阪府警提供の事例では、画面越しに偽の警察手帳や、被害者の実名が書かれた逮捕状を見せられました。犯人は「捜査の内容は誰にも話してはいけない」「長期間勾留される可能性がある」と強く口止めしていたといいます。

番号にも特徴があります。警察庁によると、「+」から始まる国際電話番号で末尾が「0110」のものが多く見られます。実在する警察署の番号を偽って表示させる手口も確認されていて、画面に警察署の番号が出ていても本物とは限りません。

警察庁は2026年から、ニセ警察詐欺をオレオレ詐欺などとは別の手口として集計しています。上半期の認知件数は4,466件で前年同期より6.2%減りましたが、被害額は507.9億円で27.3%増えました。既遂1件あたりの被害額は1,163.9万円です。8月末時点の暫定値では、認知件数6,346件、被害額728.6億円になっています。

件数の半分以上は60歳未満、最も多いのは70代

上半期の年代別の認知件数(法人の被害を除く)は次のとおりです。

年代 認知件数
10代以下 29件
20代 550件
30代 664件
40代 577件
50代 580件
60代 666件
70代 869件
80代以上 531件

最も多いのは70代の869件で、前年同期から51.4%増えました。次が60代の666件、その次が30代の664件です。10代以下から50代までを足すと2,400件で、全体の約54%になります。資料に割合は書かれていないため、この数字は年代別の件数から編集部が計算したものです。

被害額で見ると、60歳未満の合計は158.5億円で全体の約3割(31.2%)です。残りの約7割は60代以上が占めています。警察庁の啓発資料も、1件あたりで見ると50代以上から被害額が高額化すると書いています。

20代と30代の件数は、前年同期より減っています(20代は904件から550件、30代は982件から664件)。2025年の年間の確定値では、30代が最も多い年代でした。前年同期と比べると、若い世代が減り、70代・80代以上が増えた形です。

最初にかかってくる電話の種類も、年代で分かれます。警察庁の啓発資料によると、50代以下は携帯電話、60代以上は固定電話が半数以上を占め、50代と60代を境に割合が入れ替わります。子育て世代はスマホで、親の世代は実家の固定電話で、同じ手口の電話を受けていることになります。

本物の警察がしないこと

警察庁の「#ニセ警察詐欺」のページでは、本物の警察官がしないことを次のように挙げています。

ホンモノの警察官は、 〇 電話で捜査対象となっているなどと伝えることはありません。 〇 メッセージアプリで連絡をすることはありません。 〇 警察手帳や逮捕状の画像を送ることはありません。 〇 個人のスマートフォンに突然ビデオ電話をすることはありません。 それは詐欺です。

ひとつでも当てはまる場合や、怪しいと思ったときは、電話やビデオ通話を切って、対面で最寄りの警察署に相談するか、警察相談専用電話「#9110」に相談するよう案内されています。同じページには「相手方から教示された番号には、決して折り返さないでください」とも書かれています。

#9110は、緊急ではない困りごとを相談するための警察の窓口です。事件や事故の緊急通報は110番です。住んでいる都道府県の警察のサイトで#9110の受付時間を一度見ておくと、いざというときに迷わずにすみます。

「誰にも話さないで」と言われたときのために

口止めの言葉は、ニセ警察詐欺の事例に繰り返し出てきます。ビデオ通話の事例の「捜査の内容は誰にも話してはいけない」のほか、金を購入させる事例では「守秘義務があるので目的は資産運用と話すように」と指示されていました。家族や銀行の窓口に話せば、途中で誰かが気づきます。口止めはそれを防ぐためのものだと編集部は考えています。

「逮捕される」「勾留される」と言われた直後に、家族に話していいのかを冷静に判断するのは難しいはずです。だから、言われる前に決めておきます。たとえば「お金の話が出た電話は、相手が誰でもいったん切って、家族の誰かに連絡してから考える」。警察を名乗る相手も含めて同じ扱いにすると決めておけば、口止めされても例外になりません。

このルールは、親にだけ守ってもらうものではありません。件数で見れば、子育て世代も親の世代と同じくらいこの電話を受けています。親に「気をつけてね」と言うだけより、「うちはこうする」とお互いに言い合うほうが、言われる側も構えずにすみます。

連絡を受けた側の返し方も決めておくと続きます。「詐欺じゃないの」と問い詰めるより、「切ってくれてよかった。一緒に#9110に聞いてみよう」と返せれば、次に何かあったときも連絡しやすくなります。家族のコミュニケーションをテーマにしたサービスを開発するなかで、「相談していい」と先に言われているかどうかで、連絡のしやすさが大きく変わると感じてきました。

実家の電話とスマホでは、止め方が違います

警察庁は、固定電話の国際電話を休止するよう広く呼びかけています。固定電話なら、「国際電話不取扱受付センター」に申し込むと、国際電話の発信と着信を無料で休止できます。対象は03や06などで始まる10桁の固定電話で、KDDI・ソフトバンク・NTT東日本・NTT西日本・NTTドコモビジネスの5社が提供しています。申込はWeb、電話、郵送の3つで、Webと電話なら1週間程度で休止されます(郵送の場合は数週間かかり、郵送料は自己負担)。

申し込めるのは原則としてその電話の契約者ですが、センターのFAQでは、名義人の了承があれば代理人も申し込めるとしています。住所が違っていても、子どもが実家の親の分を申し込めます。電話で申し込む場合は、休止する固定電話からかける必要があります。帰省したときに親と一緒に実家の電話からかければ、その場で申し込めます。

休止すると、すべての国際電話の着信が止まります。着信だけを止めることもできません。海外に住む家族や知人から実家に電話がかかってくる家庭では、センター自身も休止をすすめていないので、ビデオ通話など別の連絡手段に移れるかを先に話しておくとよさそうです。

スマホは、このセンターの対象外です。センターは携帯電話について、契約している携帯電話会社に相談するよう案内しています。警察庁は国際電話の着信規制ができるアプリの利用を呼びかけていて、2026年3月に推奨アプリを2本認定しました。ただ、広島県警の案内によると、推奨アプリの国際電話番号の一括ブロック機能はAndroidのみで、iPhoneとAndroidではブロック機能に差があります。自分の機種で何ができるかは、携帯電話会社のサービスやアプリの説明で確かめてみてください。

次の帰省より先に、ルールは決められます

実家の固定電話の手続きは、帰省のついでに一緒にするのが手軽です。家族のルールなら、帰省を待たずに電話一本で決められます。

次に親と話すとき、「警察からでも、お金の話が出たら一回切ってこっちに連絡して。こっちもそうするから」と伝えてみてください。きょうだいやパートナーにも同じことを伝えておけば、口止めされたときに思い出せる言葉が家族のなかにひとつできます。

本記事の統計は、警察庁が2026年7月30日に公表した上半期の暫定値と、8月末時点の暫定値(2026年10月10日時点の最新)にもとづいています。確定値や新しい月次の値が公表されると、数値が変わる可能性があります。

出典

よくある質問

ニセ警察詐欺の電話は、高齢者にだけかかってくるのですか?
いいえ。警察庁の2026年上半期の暫定値で年代別の認知件数(法人の被害を除く)を足すと、4,466件のうち60歳未満が2,400件で、約54%でした。最も多い年代は70代の869件です。被害額で見ると、60代以上が約7割を占めています。
警察を名乗る電話がかかってきたら、どうすればいいですか?
警察庁は、電話やビデオ通話を切って、対面で最寄りの警察署に相談するか、警察相談専用電話「#9110」に相談するよう案内しています。相手から教えられた番号には折り返さないよう呼びかけています。画面に実在する警察署の番号が表示されていても、本物とは限りません。
本物の警察官がしないことは何ですか?
警察庁は、本物の警察官は「電話で捜査対象となっているなどと伝えること」「メッセージアプリで連絡をすること」「警察手帳や逮捕状の画像を送ること」「個人のスマートフォンに突然ビデオ電話をすること」はないとしています。ひとつでも当てはまれば詐欺です。
離れて住む親の固定電話の国際電話を、子どもが代わりに止められますか?
国際電話不取扱受付センターのFAQでは、名義人の了承があれば、住所が違っていても代理で申し込めるとしています。申込は無料で、Webと電話なら1週間程度で休止されます。電話で申し込む場合は、休止する固定電話からかける必要があります。すべての国際電話の着信が止まるため、海外から電話がかかってくる家庭では注意が必要です。
スマホにかかってくる国際電話は止められますか?
国際電話不取扱受付センターの対象は固定電話だけで、携帯電話は契約している携帯電話会社への相談が案内されています。警察庁は2026年3月に、国際電話の着信規制ができる推奨アプリを2本認定しました。広島県警の案内では、国際電話番号の一括ブロック機能はAndroidのみとされています。
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