帰省したら親の冷蔵庫と郵便物を見て

家族・暮らしmemStock編集部(更新: 2026年10月22日)
帰省したら親の冷蔵庫と郵便物を見て

帰省で親の認知症や暮らしの変化が気になるなら、質問でチェックするより先に、冷蔵庫の中、郵便物の山、固定電話まわりの3か所を黙って見る方法があります。2024年には65歳以上の人がいる世帯のうち32.7%が単独世帯、31.8%が夫婦のみの世帯でした。

気になることがあっても帰省中に結論を出さず、話すなら最後の夜に1つだけにする、というやり方もあります。相談は帰ってから、実家のある市町村の地域包括支援センターにできます。

冷蔵庫と台所: 同じ食材の重複と期限切れ

台所では冷蔵庫に同じ食材がいくつも重なっていないか、期限の切れたものが奥にたまっていないかを見ます。ただ、冷蔵庫の様子を認知症かどうかの判断材料にはしません。

同じ食材の重なりは、物忘れのほか、体調を崩して料理が減った、薬が変わって食欲が落ちた、足腰が痛くてまとめ買いが増えた、といった理由も考えられます。冷蔵庫の変化を認知機能の目安として示した公的資料も確認できませんでした。手がかりの1つとして覚えておき、決めつけには使いません。

冷蔵庫は「お茶をもらうね」と言うついでに開ければ足ります。期限切れを見つけても黙って捨てず、「これ、まだ食べる?」と本人に聞いてから片付けます。何を残して何を捨てるかは親が決めます。

郵便物と通帳: 督促状・同じ商品の山・覚えのない契約

督促の通知、見慣れない商品の箱、覚えのない請求の3つが、家計と消費者トラブルの変化に気づく目安になります。消費者庁の「高齢者・障がい者の消費者トラブル見守りガイドブック」(発行年の記載なし)も、督促の通知らしいものが届いていることや、健康器具・健康食品など見慣れないものがあることを、周りが気づくきっかけとして事例に挙げています。

玄関や居間に封を切っていない封筒が積まれていたら、差出人だけを目で追います。同じ通販会社からの箱が続いていれば、定期購入になっていないかを本人に聞いてみます。国民生活センターによると、2025年度に全国の消費生活センター等へ寄せられた、契約当事者が65歳以上の相談は33万497件でした。上位には不審な電話や身に覚えのない請求などの「商品一般」が入っています。

33万497件は相談の件数で、被害の件数そのものではありません。通帳やカードの明細は、本人が見せてくれる範囲にとどめます。箱が見慣れないだけで被害とは限らず、本人が納得して買っている場合もあります。気づいたことはスマートフォンのメモに残し、最後の夜まで持っておきます。

固定電話: ニセ警察と還付金詐欺の入口

電話まわりでは留守番電話の設定と、電話機の横のメモを見ます。警察庁の2025年の暫定値(2026年2月公表)では、60代以上は固定電話での被害が多くなっていました。

還付金詐欺は大半が固定電話から始まっています。警察を名乗る「ニセ警察詐欺」は2025年に1万936件で、特殊詐欺全体の39.4%でした。こちらは高齢の親だけが狙われるとは限りません。

電話機の横に見慣れないメモがあれば、何の電話だったかを世間話の流れで聞いてみます。設定を変えるなら、家にいるときも留守番電話にしておき、名乗った相手にだけ折り返すやり方を親と一緒に決めます。子が黙って設定を変えると、かかってきた電話に出られず親が戸惑います。お金や口座の話が出た電話は切ってから家族に一度かける、という約束も足しておけます。

ニセ警察詐欺に備えて家族で決めておくルールは、こちらの記事にまとめています。

火の元: ストーブ・こんろ・警報器の10年

ストーブとたばこの周り、こんろ、住宅用火災警報器の設置年の4つを見ます。消防庁の確定値では、2024年の全国の住宅火災による死者1,030人のうち、65歳以上が779人(75.6%)でした。

東京消防庁の管内に限ると、2025年の住宅火災による死者は75人でした。2024年の管内の死者82人では、約7割が65歳以上です。東京消防庁は死者が出た住宅火災の出火原因として、たばこやストーブが多いとしています(2020〜2024年)。

ストーブの近くに洗濯物や布団、新聞が置かれていないかを見ます。たばこを吸う親なら、灰皿に吸い殻がたまっていないかも目に入ります。こんろは台所に立ったついでに、焦がした鍋が増えていないかを確かめる程度で足ります。

警報器の本体交換について、東京消防庁は設置から10年を目安と案内しています(2025年12月時点)。いつ付けたかを親に聞き、10年を過ぎていそうなら、誰が交換するかまで決めてから帰ります。

実家の警報器を誰が替えるかの考え方は、こちらの記事で整理しています。

気づいたら、話すのは最後の夜、相談は帰ってから

認知症が気になるときの相談先は、実家のある市町村の地域包括支援センターです。気になったことを親と話すなら、帰省の最後の夜に1つだけ出すやり方があります。お金の契約や不審な電話のことなら、消費者ホットラインから近くの消費生活センターにつながります。

最後の夜なら「冷蔵庫に納豆がたくさんあったけど、買い物は大変じゃない?」と、見たことを1つだけ具体的に出せます。物忘れを指摘したり否定したりせず、本人の答えをそのまま聞きます。

タイミング すること しないこと
到着初日 台所、玄関、電話機の横を見る 質問を重ねる、物を片付ける
滞在中 気づいたことをメモに残す 物忘れを指摘する
最後の夜 見たことを1つだけ具体的に話す 結論や受診を迫る
帰宅後 地域包括支援センターや消費者ホットラインに相談する 親に黙って電話の設定や契約を変える

厚生労働省は認知症が気になるときの主な相談先に地域包括支援センターを挙げ、全ての市町村に設置されているとしています(2026年10月時点)。センターの連絡先は、実家の市町村名とあわせて調べます。親に通院先があれば、受診のときに家族の気づきを医師に伝えてもらう方法も考えられます。

見る場所 見るもの 気づきのサイン 相談先
冷蔵庫・台所 食材の数と期限 同じ食材の重なり、期限切れのたまり 地域包括支援センター
郵便物 封筒の差出人、届いた箱 督促の通知、見慣れない健康食品・健康器具、覚えのない請求 消費者ホットライン
固定電話 留守番電話の設定、横のメモ 警察署名や口座番号の走り書き 消費者ホットライン
火の元 ストーブ、たばこ、こんろ、警報器 燃えやすい物が近い、焦げた鍋、設置から10年超 交換は家族で分担を決める

帰省の費用を親と子のどちらが持つことが多いかは、同じ回の記事で調査をもとに整理しています。

親のこれからについて夫婦で先に話しておきたいことは、こちらの記事にあります。

帰りの電車で、実家のある市町村の地域包括支援センターの電話番号を調べて、スマートフォンの連絡先に入れておきます。最後の夜に聞いた親の答えをその連絡先のメモ欄に書き添えておけば、電話をかける日に何から話すかで迷いません。

出典

すべて2026-10-17に確認。

よくある質問

一人暮らしの親について、帰省で何を気にかければいい?
冷蔵庫の中、郵便物の山、固定電話まわり、火の元の4か所を、質問を重ねずに見る方法があります。2024年には65歳以上の人がいる世帯の32.7%が単独世帯でした。気になったことは、実家のある市町村の地域包括支援センターに相談できます。
冷蔵庫に同じものが大量に入っていたら認知症?
それだけでは分かりません。続くようなら、実家のある市町村の地域包括支援センターに相談できます。
親の認知機能が心配なとき、どこに相談する?
厚生労働省は主な相談先として地域包括支援センターを挙げています。全ての市町村に設置されています。
実家の住宅用火災警報器は、まだ鳴る?
設置から10年が経っていれば、本体の交換を考える時期です。東京消防庁は、設置から10年を本体交換の目安と案内しています。

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