投資信託の仕組みと始め方【初心者向け】

資産形成・投資memStock編集部(更新: 2026年10月13日)
投資信託の仕組みと始め方【初心者向け】

子どもの教育費や夫婦の老後資金を考えて、投資信託を調べ始める家庭は少なくありません。証券会社や銀行のサイトを開くと、基準価額、信託報酬、分配金といった言葉が並び、どこから理解すればよいか迷います。

投資信託は、多くの投資家から集めたお金をひとつにまとめ、運用の専門家が株式や債券などに投資する商品です。元本は保証されず、運用で生じた損益はすべて投資家のものになります。ここでは、仕組み、値段の決まり方、リスクとコスト、税金とNISA、始める手順の順に、資産運用業協会(2026年4月に投資信託協会と日本投資顧問業協会が統合して発足)と金融庁の資料で確かめた内容を整理します。数値は2026年10月時点のものです。

運用会社・販売会社・信託銀行の役割

投資信託は、運用会社が作り、証券会社や銀行などの販売会社を通じて売られ、集めたお金は信託銀行が保管します。運用会社は何にどう投資するかを決めて信託銀行に指図し、信託銀行がその指図に従って株式や債券を売買します。

機関 主な仕事
運用会社(委託者) 投資信託を作り、集めた資金の運用を信託銀行に指図する
販売会社(証券会社・銀行など) 投資家の口座を管理し、販売や換金、分配金・償還金の支払いを行う
信託銀行(受託者) 信託財産を保管・管理し、運用会社の指図に従って売買する

信託銀行は、信託財産を自社の財産と区分して管理すること(分別管理)が法律で義務づけられています。資産運用業協会は、販売会社・運用会社・信託銀行のどれかが破綻しても、投資家の信託財産は制度上保全されると説明しています。

ただし、保全されるのは預けた財産そのものであり、運用の損失まで防ぐ仕組みではありません。運用がうまくいかなければ、投資した額を下回ることがあります。この点が銀行の預金との大きな違いです。

基準価額と分配金のしくみ

基準価額は投資信託1口あたりの値段で、購入も換金もこの価額で行われます。投資信託の資産のうち投資家に帰属する純資産総額を、総口数で割って計算します。1口1円で運用を始めた投資信託は、1万口あたりの基準価額を公表しています。

株式は取引時間中に刻々と値が変わりますが、ETFなど上場しているものを除き、投資信託の基準価額は1日に1つの価額として公表されます。公表は申込みの締め切り後なので、購入や換金を申し込む時点ではその日の価額が分かりません。これを「ブラインド方式」と呼びます。

分配金は、決算のときに運用で得た収益を保有口数に応じて支払うものです。信託財産から支払われるため、分配金が出るとその分だけ基準価額は下がります。

分配金には、課税される「普通分配金」と、非課税の「元本払戻金(特別分配金)」があります。分配後の基準価額が購入時の基準価額(個別元本)を下回ると、その差額分は元本払戻金として支払われ、実質的には元本の払い戻しです。普通分配金は現金で受け取る場合だけでなく、再投資する場合も20.315%の税金がかかり、再投資に回るのは税引き後の金額です。

主なリスクと投資信託の種類

投資信託の値動きは、何に投資しているかで決まります。資産運用業協会は、基準価額を動かす主な要因として次のリスクを挙げて説明しています。

リスク 内容
価格変動リスク 組み入れた株式や債券の価格が変わる。株価は政治・経済情勢や企業の業績などの影響を受ける
為替変動リスク 外国通貨建ての資産は、円高で基準価額にマイナス、円安でプラスに働く
信用リスク 債券などを発行する国や企業が、利息や償還金を約束どおり払えなくなる
金利変動リスク 金利が上がると債券価格は下がる。満期までの期間が長い債券ほど影響が大きい

投資先で分けると、主に株式に投資するもの、債券に投資するもの、株式・債券・不動産などを組み合わせたもの(資産複合型)があります。どの資産・地域に投資するかは、目論見書の表紙などに記載された「商品分類」で確かめられます。

運用方法では、日経平均株価やTOPIXなどの指数と同じ運用成果を目指すパッシブ運用(インデックスファンドが代表)と、指数を上回る運用成果を目指してファンドマネジャーが投資判断をするアクティブ運用に分かれます。日本証券業協会は、パッシブ(インデックス)運用はファンドマネージャーに支払う報酬が比較的少なく、アクティブ運用は運用に係るコストが割高になる傾向があると説明しています。

投資信託にかかるコスト

投資信託のコストは、買うとき、持っている間、換金するときにかかります。どの費用がいくらかかるかは、目論見書で確認できます。

タイミング 費用 内容
購入時 購入時手数料 販売会社に支払う。かからない商品(ノーロード)もある
保有中 運用管理費用(信託報酬) 保有額に応じて日々、信託財産から差し引かれる。年率で目論見書に記載
保有中 監査報酬・売買委託手数料など 信託財産から差し引かれる
換金時 信託財産留保額 かかるファンドとかからないファンドがある

信託報酬は年率で表示され、持っている限り毎年かかります。金融庁によると、NISAのつみたて投資枠の対象になっているインデックスファンドの信託報酬は、投資先が国内のもので平均0.27%、内外・海外のもので平均0.34%です(2026年10月8日時点)。

差は長く持つほど開きます。100万円を20年間、年3%で運用できたと仮定し、信託報酬を差し引いた利回りで単純に複利計算すると、信託報酬0.2%なら約174万円、1.5%なら約135万円で、差は約39万円です。実際の運用成果は毎年変わるため、この計算は信託報酬の影響だけを比べる目安です。

税金とNISAの枠

NISA口座以外で投資信託を持つと、普通分配金は配当所得、換金や償還で出た利益は譲渡所得として課税されます。税率はいずれも20.315%(所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%)です。

NISA口座で買った投資信託から得た利益は非課税です。2024年からのNISAは制度が恒久化され、非課税で持ち続けられる期間も無期限になりました。年間に投資できる額は、つみたて投資枠120万円と成長投資枠240万円の合計360万円です。生涯の非課税保有限度額は1,800万円で、そのうち成長投資枠で使えるのは1,200万円までです。

枠 年間投資枠 対象の投資信託
つみたて投資枠 120万円 長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託(2026年10月8日時点で372本)
成長投資枠 240万円 信託期間20年未満、毎月分配型、デリバティブ取引を用いた一定の投資信託などを除く

NISA口座で売却して損失が出ても、ほかの口座の利益との損益通算や繰越控除はできません。分配金を再投資する場合は、再投資の分もNISAの非課税枠を使います。2027年1月からは、つみたて投資枠に限って0歳から17歳もNISA口座を開けるようになり、未成年の間は年間投資枠60万円、非課税保有限度額600万円です。

口座開設から購入後の確認まで

始めるには、証券会社や銀行などの販売会社に口座を開きます。NISAを使う場合はNISA口座も開設します。NISA口座は1人1口座で、つみたて投資枠と成長投資枠は同じ金融機関で使います。金融機関の変更は年単位でできます。

買い方には、一度にまとめて買う方法と、毎月決まった金額を続けて買う積立があります。金融庁は、積立投資によって高いときにだけ買ってしまうことを避けられると説明しています。資産運用業協会も、一定額で買い続ける方法(ドル・コスト平均法)では基準価額が低いときに多くの口数を買うことになり、平均買付金額を引き下げる効果が期待できるとしています。どちらも値下がりの損失を防ぐ方法ではありません。

購入後は、運用報告書で運用の経過を確かめます。運用報告書は毎月ではなく決算ごとに作られ、2014年12月以降に決算を迎えた投資信託からは、重要な項目をまとめた「交付運用報告書」が受益者に必ず交付されます。基準価額の推移、分配金の状況、今後の運用方針が載っているので、市況のニュースより先にここを読むと、自分の投資信託に何が起きたかを把握しやすくなります。

投資信託の種類ごとの特徴は、こちらの記事で詳しく取り上げています。

NISAでインデックスファンドを積み立てる場合の枠と商品の要件は、こちらの記事にまとめています。

出典

よくある質問

投資信託はいくらから買えますか
資産運用業協会は、投資信託は1万円程度から始められると説明しています。最低購入額や積立の最低額は金融機関や商品によって違うため、口座を開く金融機関で確かめてください。
販売会社が破綻したら、持っている投資信託はどうなりますか
お金は信託銀行が信託財産として管理しているため、販売会社が破綻しても信託財産に影響はありません。保有していた投資信託は別の販売会社に移され、そこで取引を続けられます。値下がりによる損失まで守られるわけではありません。
分配金が多い投資信託のほうが得ですか
分配金は信託財産から支払われ、その分だけ基準価額が下がります。元本払戻金は、投資したお金の一部が戻ってきているもので、運用の利益ではありません。分配金の多さではなく、分配金を含めた全体の成果とコストで比べます。
運用報告書は毎月届きますか
届きません。運用報告書は決算ごとに作成されます。毎月決算をする投資信託もありますが、決算の回数は商品によって違います。
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この記事を書いた人

memStock編集部

memStock編集部は、家族の豊かな暮らしと家計管理を応援する記事制作チームです。ライフハック・節約・投資・保険など、日常生活とお金に関する実用的な情報を、確かな専門知識と多様な視点から分析・提供しています。読者の皆様が抱える日々の悩みや将来への不安を解消し、ワンランク上の生活を実現するためのヒントが詰まった記事をお届けします。 「家族の暮らしをより豊かに」をモットーに、わかりやすく実践的なコンテンツで皆様の人生設計をサポートします。

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この記事を監修した人

山田 尚貴

カリフォルニア州立大学ロングビーチ校卒業後、NTTPCコミュニケーションズでシステムエンジニアとして金融機関等のシステム運用などに携わる。2009年、株式会社エニドアを創業し代表取締役に就任。クラウドソーシングサービスの開発・提供を行う。M&Aにより会社を売却後、上場企業のグループ会社の経営を6年行った後、株式会社modoを創業し代表取締役に就任。家族向けのサービスmemStockの開発を行う。 二級ファイナンシャル・プランニング技能士、証券外務員一種を保有。2児の父。

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