投資信託の種類とリスクの違い

NISAの口座を開いて投資信託を選ぼうとすると、商品の説明に「追加型投信/内外/資産複合」「インデックス型」といった表示が並んでいて、何を指すのか分からず手が止まることがあります。投資信託は本数が多く、商品名だけでは中身の違いがつかみにくい商品です。
ただ、種類の分け方には業界共通のルールがあり、その区分を読めば「何に投資していて、何が理由で値動きするのか」の見当がつきます。資産運用業協会と金融庁の資料をもとに、投資信託の種類と、種類ごとのリスクの違いを整理します。個別のファンドの良し悪しは扱いません。
投資信託の種類は「商品分類」で読める
投資信託の業界団体である資産運用業協会(2026年4月に投資信託協会と日本投資顧問業協会が統合して発足)は、投資信託を統一的に分ける「商品分類」を定めています。この分類は、投資信託の説明書である目論見書の表紙などに載っています。
商品分類は、次の区分を組み合わせて表します。
- 購入できる時期:単位型(当初募集期間にだけ購入できる)/追加型(原則として運用期間中いつでも購入できる)
- 投資対象地域:国内/海外/内外
- 投資対象資産:株式/債券/不動産投信(リート)/その他資産/資産複合
- 独立した区分:MMF/MRF/ETF
- 補足:インデックス型(各種指数に連動する運用成果を目指す)/特殊型(注意を促す必要がある特殊な仕組み・運用手法を用いる)
たとえば、主に国内株式に投資して日経平均株価に連動する運用成果を目指す投資信託は「追加型投信/国内/株式/インデックス型」と表示されます。地域と資産の区分は、主な投資収益が実質的に何を源泉としているかで決まります。
協会の指針には、より細かい「属性区分」もあります。投資形態や為替ヘッジの有無、決算頻度などが示されるので、分配金を受け取れる間隔もここで確かめられます。
投資する資産で、値動きの理由が違う
投資信託は値動きのある株式や債券などに投資するため、基準価額は市場の動きによって変わり、元本の保証はありません。どの資産に投資するかで、基準価額を動かす要因が違ってきます。
株式に投資する投資信託は、組み入れた株式の価格変動の影響を受けます。株価は市場の需給で決まり、国内外の政治・経済情勢や企業の業績に左右されます。金融庁の資料では、株式は債券と比べて安全性が低く、収益性が高い金融商品として整理されています。
債券に投資する投資信託では、金利と発行体の信用を見ておきます。金利が上がると債券価格は下がり、満期までの期間が長い債券ほど金利変動の影響を大きく受けます。また、債券を発行した国や企業が財政難や経営不振で、利息や償還金を約束どおりに払えなくなる可能性もあります(信用リスク)。
不動産投信(リート)は、オフィスビルや商業施設、マンションなどの不動産の賃貸収入や売買益を投資家に分配する仕組みです。賃貸市場や売買市場の動き、借入金の金利、地震や火災による物件の被災などによって、価格や分配金が変わります。
複数の資産に投資するものは、商品分類では「資産複合」に入ります。ひとつの資産に偏らず、複数の資産や地域に投資する投資信託は「バランスファンド」とも呼ばれます。金融庁は、値動きが異なる複数の資産に分けて投資すると価格の変動をある程度抑えられると説明していますが、組み入れた株式や債券そのもののリスクが消えるわけではありません。
海外に投資すると為替の影響が加わる
投資対象地域が「海外」や「内外」の投資信託には、為替変動リスクがあります。外国通貨建ての資産に投資する場合、円高になれば基準価額にマイナス、円安ならプラスの影響が出ます。
この影響を小さくする手法が為替ヘッジです。為替ヘッジにはコストがかかり、為替や金利の動向によってはそのコストが想定以上に膨らむこともあります。為替ヘッジの有無は属性区分に示されているので、同じ「海外/債券」でも、ヘッジありとなしでは値動きの性格が異なる点に気をつけます。
インデックス型とアクティブ型の違い
運用手法では、指数と同じ成果を目指すか、指数を上回る成果を目指すかで分かれます。パッシブ運用はTOPIXや日経平均株価などの指数と同じ運用成果を目指す運用で、インデックスファンドがその代表です。アクティブ運用は、あらかじめ決めた指数を上回る成果を目指し、ファンドマネジャーが投資対象や組入れ比率、売買のタイミングを判断して運用します。
アクティブ運用が目指す成果は約束されたものではありません。運用実績を見るときは、基準価額の推移だけでなく、ベンチマーク(運用実績を評価する基準となる指標)と比べてどう動いたかを確かめます。
種類を見比べるときは、コストも合わせて確認します。投資信託の費用には、購入時に販売会社へ払う購入時手数料、保有中に信託財産から日々差し引かれる運用管理費用(信託報酬)、換金時にかかる場合がある信託財産留保額などがあり、目論見書に記載されています。複数の投資信託に投資する「ファンドオブファンズ」は、投資先の投資信託の信託報酬も間接的に負担する仕組みで、多くは投資先の分を含めた実質的な信託報酬率を目論見書に載せています。
買える時期や換金のしかたによる区分
制度の面では、単位型と追加型のほかにも分け方があります。公募は多数の投資家に取得させることを目的とした投資信託で、私募は機関投資家などやごく少数の投資家に向けたものです。オープンエンド型は原則として運用期間中に払い戻しに応じ、クローズドエンド型は応じません。約款に株式に投資できる旨が書かれていれば株式投資信託、株式には投資しない旨が書かれていれば公社債投資信託です。
換金のしやすさも種類によって違います。MRFやMMFのように即日換金できるものもありますが、通常は代金を受け取るまで4〜5営業日かかります。一定期間換金できない「クローズド期間」を設けた商品もあり、信託約款に定めた条件(残存口数が一定の規模以下になった場合など)に当てはまると、信託期間の満了前に繰上償還されることもあります。ETFは証券取引所に上場していて、株式と同じようにリアルタイムの市場価格で売買できます。
NISAで買える投資信託の範囲
NISAの「つみたて投資枠」で買える投資信託は、金融庁に届け出された商品に限られます。2026年10月8日時点の対象は372本で、公募投信の株式型が国内67本・内外36本・海外96本、資産複合型が国内5本・内外154本・海外3本、ETFが国内5本・海外6本です。指数に連動する「指定インデックス投信」の信託報酬率には法令上の上限があり、投資先が国内のものは0.5%、内外・海外のものは0.75%です。
「成長投資枠」でも、信託期間20年未満のもの、毎月分配型のもの、デリバティブ取引を用いた一定の投資信託などは対象から外れています。成長投資枠で買える投資信託は、資産運用業協会のサイトで一覧できます。
どの種類を選ぶかは、そのお金をいつ使う予定か、どのくらいの期間運用できるか、どの程度の値下がりなら受け止められるかによって変わります。目論見書の表紙で商品分類と属性区分を確かめ、投資する資産・地域・運用手法から、そのお金の使い道に合うリスクかどうかを見比べてみてください。
投資信託そのものの仕組み(基準価額や、運用会社・信託銀行の役割)から確かめたい場合は、こちらの記事で整理しています。
インデックスファンドを比べるときの見方は、こちらの記事にまとめています。
出典
- 運用対象での分類(資産運用業協会)https://www.imaj.or.jp/study/investmenttrust/type/category.html
- 制度上の種類(資産運用業協会)https://www.imaj.or.jp/study/investmenttrust/type/group.html
- 投資信託が持つリスク(資産運用業協会)https://www.imaj.or.jp/study/investmenttrust/meritrisk/risk.html
- 投資信託の安全性(資産運用業協会)https://www.imaj.or.jp/study/investmenttrust/meritrisk/safety.html
- 投資信託のコスト(資産運用業協会)https://www.imaj.or.jp/study/investmenttrust/costtax/cost.html
- 商品を選択する際のポイント(資産運用業協会)https://www.imaj.or.jp/study/investmenttrust/process/point.html
- J-REITが持つリスク(資産運用業協会)https://www.imaj.or.jp/study/reit/meritrisk/risk.html
- そもそもJ-REITとは?(資産運用業協会)https://www.imaj.or.jp/study/reit/about/what.html
- 用語集「アクティブ運用」(資産運用業協会)https://www.imaj.or.jp/glossary/detail/1.html
- 用語集「パッシブ運用」(資産運用業協会)https://www.imaj.or.jp/glossary/detail/217.html
- 用語集「バランスファンド」(資産運用業協会)https://www.imaj.or.jp/glossary/detail/219.html
- 用語集「ベンチマーク」(資産運用業協会)https://www.imaj.or.jp/glossary/detail/252.html
- 用語集「為替ヘッジ」(資産運用業協会)https://www.imaj.or.jp/glossary/detail/52.html
- 用語集「繰上償還」(資産運用業協会)https://www.imaj.or.jp/glossary/detail/75.html
- 資産運用業協会 トップページ(2026年4月の統合について)https://www.imaj.or.jp/
- 資産形成の基本(金融庁)https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/invest/index.html
- NISAを知る(金融庁)https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/know/index.html
- つみたて投資枠対象商品(金融庁)https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/products/index.html
- つみたて投資枠対象商品の分類・信託報酬率の分布(2026年10月8日時点、金融庁)https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/products/20261008/28.pdf
よくある質問
- 単位型と追加型は、どう選び分ければいいですか
- 単位型は当初募集期間にだけ購入でき、追加型は原則として運用期間中いつでも購入できます。毎月一定額を買い足す積立投資は、運用中に買い付けができる追加型でないと続けられません。
- バランスファンドなら値下がりしにくいですか
- 値動きの異なる資産に分けて投資すると、価格の変動をある程度抑えられるとされますが、組み入れた株式や債券、リートそれぞれのリスクは残ります。元本の保証もありません。どの資産をどの割合で組み入れているか、目論見書で確かめてください。
- 販売会社や運用会社が破綻したら、投資信託はどうなりますか
- 投資家のお金は信託銀行が信託財産として管理し、信託銀行自身の財産とは分けて管理することが法律で義務づけられています。そのため、販売会社・運用会社・信託銀行のどれが破綻しても、信託財産は制度上守られます。ただし、これは運用の結果として損失が出る可能性とは別の話です。
- 商品分類はどこで確認できますか
- 目論見書の表紙などに、商品分類と属性区分が載っています。属性区分では、投資形態や為替ヘッジの有無、決算頻度まで確認できます。
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カリフォルニア州立大学ロングビーチ校卒業後、NTTPCコミュニケーションズでシステムエンジニアとして金融機関等のシステム運用などに携わる。2009年、株式会社エニドアを創業し代表取締役に就任。クラウドソーシングサービスの開発・提供を行う。M&Aにより会社を売却後、上場企業のグループ会社の経営を6年行った後、株式会社modoを創業し代表取締役に就任。家族向けのサービスmemStockの開発を行う。 二級ファイナンシャル・プランニング技能士、証券外務員一種を保有。2児の父。
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