若者と高齢者のマッチング|vol.2

介護・親山田 尚貴(更新: 2026年10月16日)
若者と高齢者のマッチング|vol.2

大学生が“孫役”となって高齢者とおしゃべりを重ね、孤独感を和らげる。そんな温かな取り組みが、核家族化で途切れがちな世代間のつながりを優しく再編してくれるかも。高齢者のメンタルケアの領域をマッチングサービスで解決しようとするスタートアップのリリースを今週は取り上げました(このサービスは2026年6月に終了しています。詳しくは下で追記しました)。

ほかにも、買い物で健康管理をアップデートするウォルマート×NationsBenefits、家計にうれしいカナダ発 EV シフト、従業員の家族まで支える WHILL の新しい福利厚生、そして遊びながら「お金の流れ」を学べる子ども向け金融教育プラットフォームをピックアップしました。忙しい合間のコーヒーブレイクに、ぜひ気になる記事をのぞいてみてください。

孫世代が心のケア?京大発「まごとも」が高齢者介護に新風

高齢化社会の日本において、メンタルケアは若者だけに必要なものではなくなっています。「まごとも」という京大発のスタートアップが出していた高齢者と若者のマッチングサービスはこの課題に向き合っている素晴らしいサービスだと思いました。特に一人暮らしの高齢者の方にとって、誰かと話すという事は社会とのつながりを作り出すという意味においてもすごく大事な事だと思います。

仕組みとしては素晴らしいのですが、個人的にはマッチングサービスとしての課題もいくつかありそうだなと思っていました。安全性という部分で全ての若者が問題ないのかをどうチェックするかはかなり気になります。登録時に身分証を提出するとありましたが、学生だから問題ないかには疑問が残ります。品質についても人による部分が大きいのでクオリティコントロールをどうするかなど色々と気にはなりますが、社会的にすごく意義のあるサービスだと思うのでうまく拡大してほしいと思っていました。

【2026年10月追記】運営会社の株式会社whickerは2026年6月12日、「まごとも」の提供を終了し、会社としての活動も終了すると発表しました。利用中の人には、ペアの学生との関係をできる限り続けられるよう、他の介護事業所などへの移行も含めて相談に応じるとしています。4年間の運営で直面した壁や課題を、同様のサービスを立ち上げる人に向けて公開する予定とのことです。世代間交流の場をどう続けていくかという課題は、残ったままだと感じます。

ウォルマート新提携:いつもの買い物が健康管理に変わる?

アメリカ大手小売のウォルマートがヘルスケアの会社と提携して新しいサービスを提供し始めたというリリース(2025年5月の発表当時)ですが、特に面白いなと感じたのが、「Basket Analyzer Service(バスケット・アナライザー・サービス)」と呼ばれている買い物かごの中身を分析して買い物客の健康に対する傾向を読み取ったりするものです。今回の取り組みは保険給付が主な目的となっていますが、将来的に買った食材の総カロリーなどダイエット情報が即座に分かると便利だなと感じました。

一方で、この取り組み自体はウォルマートの顧客囲い込み要素が大きいと思うので、他のスーパーなどでの買い物は反映されないと思います。消費者としてはどこで買ってもまとめて分析してスコアリングしてくれると助かりますね。日本でも近い将来取り組まれそうな分野なので引き続き注目していきたいです。

EVの新常識:カナダで注目「家計に優しい車」

電気自動車か、ガソリン車かの論争はずっと続いていて、この記事を書いた2025年当時は、ヨーロッパではテスラ離れが進みガソリン回帰しているという話もありました。ただ、ヨーロッパ自動車工業会(ACEA)の統計では、2026年1〜8月のEUの新車登録に占めるEV(バッテリー式)の割合は21.7%と前年同期の15.8%から上がり、ガソリン車は28%から21.7%に下がっています。テスラの登録台数も前年同期より65.9%増えていて、ガソリン回帰とは言えない状況です。記事で取り上げられているVinFastを数年前アメリカのショッピングモールで展示されているのを見たのですが、ベトナム発の電気自動車と説明されるまで分からないぐらい先進的なデザインで格好良かったのを覚えています(ベトナムに自動車メーカーのイメージがなかったので)。このVinFastや中国のBYDなど安価でスタイリッシュな電気自動車が普及してきた事によって、少し高級なイメージがあるEVも徐々に一般化してきているのかなと思いました。

元々環境の為に乗るというイメージが強かった電気自動車ですが、実際は電気を生み出す環境負荷コストや車体を作る環境負荷が結構高いので、本当にそうなのか?という疑問が投げられていました。ただ、記事にあるように、家計の為という目的になってくると、実際に日本でもガソリン代>電気代で実質ランニングコストを下げられますし、国のEV補助金(CEV補助金)も、2026年10月時点の車種ごとの交付額の一覧では軽EVで58万円、普通車のEVでは130万円の車種があるなど、車種によっては100万円を超える補助金が出たりもするので少しずつ所有が現実的になってきているように感じられます。ただし今年度の申請受付は、予算の状況から2026年12月上旬〜下旬に終わる見込みです。

介護と仕事、両立の新潮流。WHILL社が示す企業サポートの今

WHILLの車いすを見たことがありますか?羽田空港や成田空港の搭乗口間の移動で使われていたのを実際に見たのですが、乗ってみたいと思うほどシンプルでカッコいいデザインで、操作性も誰でも使えそうなユニバーサルデザインになっていました。最近はたまに街中で乗っている人も見かけるようになり、社会に実装されてきていることを感じます。

そのWHILLが企業向けに福利厚生パッケージとしてWHILLを従業員の家族に提供するというもの(2025年当時の発表)。値段は車種によって違いますが、メーカー希望小売価格で数十万円するモデルが中心です。歩くのが辛くなってきた親にプレゼントするには少し高い。そこを企業の福利厚生としてサポートしてあげることによって多くの人に行き渡りそうです。企業にとっても介護などのサポートが手厚いというイメージPRにもなりますし、WHILLの車いすを貰った親は子どもや会社に対してすごく良いイメージを持てます。そしてWHILLとしてはミッションである「すべての人の移動を楽しくスマートにする」に近づけるという三方良しの取り組みだと思います。

子供の金融教育、新ステージへ:Incent社ら新プラットフォーム発表

学ぶ・稼ぐ・使う・貯める・寄付する・借りるをゲーム感覚で体験できる設計は、肌感覚でお金の流れを感じ取れると思います。最近、シミュレーション的に投資してみようというサービスだったり、座学的なお金の授業的なサービスは銀行始め色々と出てきていますが、本質的にお金の事を知れるかというと少し疑問が残ります。(それでもここ数年ですごくお金に対する世の中の理解は進んでいるという前提ではありますが。) このアプリのお手伝いポイントでバーチャルショップの文房具を買ったり、寄付先を調べて自由研究にしたり──アプリ一つで金融と社会課題を同時に学べるのは新しいと思います。なお、Incentはその後Nuuviaに名前を変え、2026年10月時点ではアメリカの銀行・信用組合向けに子ども・若者向けのデジタルバンキングを提供しています。

ただ、保護者のリテラシー差が学習効果に影響するとの指摘にはすごく納得感があります。日本ではまだまだ投資などお金を動かす事に対して懐疑的な人が多くいますし、2024年1月に新NISAが始まって訳もわからず投資して損をしてしまった人はさらに懐疑的になっています。子どもだけでなく大人もしっかりとお金について学ぶ機会がこのサービスのように日本でもたくさん出てきてほしいものです。日本では2027年1月から、NISAのつみたて投資枠の年齢要件がなくなり、0〜17歳の子どもも使えるようになるので、親子で一緒に学ぶきっかけにもなりそうです。

出典

よくある質問

「まごとも」は今も利用できる?
利用できません。運営会社の株式会社whickerは2026年6月12日に「まごとも」の提供終了と、会社としての活動の終了を発表しています。利用中だった人には、他の介護事業所などへの移行も含めて相談に応じるとしていました。
学生との交流は安全性大丈夫だった?
「まごとも」では、サービスを提供する若者が登録時に身分証を提出し、専門家の指導のもとで研修と確認テストを受ける仕組みでした。万が一のけがやトラブルには事業保険で補償するとしていました。
EVの補助金はいくら出る?
国のCEV補助金は車種ごとに額が決まっていて、2026年10月時点の一覧では軽EVで58万円、普通車のEVで130万円の車種があります。対象は自家用の新車で、中古車は対象外です。今年度の申請受付は2026年12月上旬〜下旬に終わる見込みです。
子どもの金融教育、何歳から始められる?
制度の面では、2027年1月からNISAのつみたて投資枠の年齢要件がなくなり、0〜17歳でも使えるようになります。未成年の年間投資枠は60万円、非課税保有限度額は600万円です。
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この記事を書いた人

山田 尚貴

カリフォルニア州立大学ロングビーチ校卒業後、NTTPCコミュニケーションズでシステムエンジニアとして金融機関等のシステム運用などに携わる。2009年、株式会社エニドアを創業し代表取締役に就任。クラウドソーシングサービスの開発・提供を行う。M&Aにより会社を売却後、上場企業のグループ会社の経営を6年行った後、株式会社modoを創業し代表取締役に就任。家族向けのサービスmemStockの開発を行う。 二級ファイナンシャル・プランニング技能士、証券外務員一種を保有。2児の父。

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