債券投資の基礎と個人向け国債

資産形成・投資memStock編集部(更新: 2026年10月13日)
債券投資の基礎と個人向け国債

数年後の入学金や、住宅の頭金。使う時期が決まっているお金を、預金のままにするか、少しでも利子のつく形で持つか迷う場面は少なくありません。金利が上がってきたことで、個人向け国債や債券を調べ始めた人もいるはずです。

債券は、国や企業にお金を貸し、決まった利子を受け取って満期に元本を返してもらう仕組みです。満期まで持てば額面で戻るのが基本ですが、途中で売ると、その時の金利によって値段が上下します。この記事では、債券の仕組みとリスク、2026年10月に募集されている個人向け国債の金利と条件、使う時期に合わせた持ち方を、財務省・資産運用業協会・金融広報中央委員会(知るぽると)の資料をもとに整理します。

債券は、国や企業にお金を貸す「借用証書」

知るぽるとの「金融商品なんでも百科」は、債券(公社債)を、国や地方公共団体、企業などが多数の投資家からお金を借りる際に発行する、いわば「借用証書」だと説明しています。発行体は、満期(償還期日)までの間に決まった利子を払い、満期に額面金額を返すことを約束しています。

発行体で分けると、国・地方自治体・公共機関が発行する「公共債」、民間企業が発行する「民間債」(いわゆる社債)、外国の政府や企業が発行する「外国債」の3つがあります。国債は公共債の一種です。利子の払い方では、利率が満期まで変わらない「固定利付債」が一般的で、市場金利に合わせて利率が変わる「変動利付債」や、利子がない代わりに額面より安く発行される「割引債」もあります。

利回りの呼び方も知っておくと、金融機関の説明を読みやすくなります。新しく発行される債券(新発債)を買って満期まで持った場合の利回りを「応募者利回り」、すでに市場で取引されている債券(既発債)を買って満期まで持った場合の利回りを「最終利回り」といいます。既発債の価格は、金利情勢などによって日々変わります。

金利が上がると、持っている債券の値段は下がる

債券の値段と金利は逆に動きます。固定利付債は、発行された後に世の中の金利が上がっても利率は変わりません。より高い利率の債券が新しく出てくるなかで、低い利率のまま売ろうとすると、価格を下げないと買い手がつきません。反対に金利が下がると、利率の高い既発債は当初の価格より高くても売れます。

資産運用業協会は、満期までの期間が長い債券ほど、金利変動の影響を大きく受けると説明しています。金利が上がる局面で長い期間の債券を途中で売ると、値下がりの幅が大きくなりやすいということです。

日本銀行は2026年9月18日の金融政策決定会合で、政策金利(無担保コールレート・オーバーナイト物)を1.25%程度に引き上げることを決め、9月24日から適用しました。今後も経済・物価情勢に応じて、政策金利を引き上げていく方針です。金利が上がる局面では、これから買う債券の利率は高くなりやすい一方、すでに持っている固定利付債は、途中で売ると値下がりしていることがあります。

ただし、知るぽるとは、国債や社債を途中で売らずに満期まで持つのであれば、発行体の破綻などがなければ額面全額が償還されるため、価格変動リスクを心配する必要はないとしています。債券の値下がりが損失になるかどうかは、満期まで持つのか、途中で売るのかで変わります。

債券の4つのリスクと格付け

知るぽるとは、債券に投資するときに理解しておきたいリスクとして、信用リスク、価格変動リスク、為替変動リスク、流動性リスクの4つを挙げています。

リスク 内容 影響を受ける場面
信用リスク 発行体の経営悪化や破綻で、利子や元本の支払いが滞る 社債・外国債など。発行体の信用度で大きさが違う
価格変動リスク 市場金利などに応じて、保有中の債券の値段が変わる 満期前に売るとき
為替変動リスク 円に換算した受取額が為替相場で変わる。円高になると減る 外貨建ての債券
流動性リスク 買い手が見つからず、希望する時に売れない 取引が少ない債券を売るとき

信用リスクの大きさは利回りに表れます。同じ期間の債券なら、発行体の信用度が高いほど利回りは低く、信用度が低いほど利回りは高くなるのが基本です。利回りの高い債券には、それだけ高いリスクが伴います。

信用度の目安として使われるのが格付けです。格付会社が元本や利子の支払いの確実性を評価し、AAA(トリプル・エー)やB(シングル・ビー)といった記号で示します。ただし知るぽるとは、格付けは絶対的なものではなく、発行体の経営状態の変化で変更されることもあり、格付会社によって評価が異なることもあると注意を促しています。

外貨建て債券の利回りは、国内の債券より高く見えることがあります。しかし受け取る利子や元本は外貨なので、円高が進めば、円に換えたときの受取額は減ります。表示された利回りだけで比べず、為替の動きで受取額が変わることを前提に考えます。

個人向け国債の仕組みと2026年10月の金利

個人向け国債は、原則として個人だけが買える国債です。財務省によると、変動金利型の「変動10年」と、固定金利型の「固定5年」「固定3年」の3種類が毎月発行されています。1万円から1万円単位で買え、満期には額面金額が戻ります。利子は半年ごとに年2回支払われ、3種類とも年率0.05%の最低金利が保証されています。

2026年10月8日から30日まで募集している回(11月16日発行)の表面利率は次のとおりです。

種類 満期 金利の決まり方 表面利率(年・税引前) 税引後
変動10年(第199回) 10年 基準金利×0.66。半年ごとに見直し 2.05% 1.6335425%
固定5年(第187回) 5年 基準金利−0.05% 2.39% 1.9044715%
固定3年(第197回) 3年 基準金利−0.03% 2.07% 1.6494795%

変動10年の基準金利は、直近の10年固定利付国債の入札の平均落札利回りです。金利が上がれば半年ごとに受け取る利子も増えますが、下がれば減ります(下限は0.05%)。固定5年・固定3年は、買った時の利率が満期まで変わりません。

利子からは20.315%分の税金が差し引かれます。たとえば固定5年を100万円買うと、税引前の利子は年2万3,900円、税引後は約1万9,044円です(この回の利率のまま満期まで持った場合の計算です)。

途中で換金できるのは、発行から1年が過ぎてからです。換金のときは国が額面で買い取るので元本割れはしませんが、直前2回分の各利子(税引前)相当額×0.79685が差し引かれます。上の例なら約1万9,044円で、税引後の利子のおよそ1年分にあたります。発行後1年以内でも、保有者本人が亡くなった場合や、災害救助法の対象となった大規模な自然災害で被害を受けた場合は換金できます。

買える場所は、証券会社・銀行・郵便局などの取扱金融機関で、2026年10月の募集では872機関です。財務省はインターネットで買える金融機関の一覧も公開しています。初めて買う場合は、その金融機関に国債用の口座を開きます。

同じ財務省のページには、期間2年・5年・10年の「新窓販国債」も並んでいます。2026年10月募集の10年債の表面利率は3.1%です。ただし新窓販国債は、満期前に換金するには市場で売る必要があり、その時々の市場価格になるため、元本割れのリスクがあります。個人向け国債とは、途中で換金するときの扱いが違います。

使う時期から、債券の持ち方を考える

債券をどう持つかは、お金を使う時期から考えると決めやすくなります。資産運用業協会は、数年後に使うことが決まっているお金(住宅資金など)は、定期預金や個人向け国債、公社債投資信託など、元本の安全性が高いものに置く考え方を紹介しています。当面使わないお金は、株式や投資信託など、高い収益が期待できるものの候補になります。

子育て世帯なら、入学や進学の時期がおおよそ分かっている教育費が、この「数年後に使うお金」にあたります。たとえば3年後に使うお金を固定3年で持てば、満期と使う時期がそろい、途中で換金する必要がなくなります。個人向け国債は毎月発行されるので、使う時期の違うお金ごとに分けて買えば、満期の時期もずらせます。

金利の種類は、これからの金利の動きをどう見るかで選び方が変わります。固定金利型は、買った時点で受け取る利子が決まります。変動10年は、金利が上がれば利子も増え、発行から1年たてば途中で換金できるため、満期の10年より前に使う予定があるお金にも使えます。どちらを選んでも、満期まで持てば額面で戻る点は同じです。

債券に投資する投資信託(債券ファンド)を使う方法もあります。少額で多くの債券に分散できますが、投資信託は満期に額面で戻る商品ではありません。基準価額は組み入れた債券の時価をもとに毎日計算され、資産運用業協会は、投資信託には元本の保証がないと説明しています。金利が上がる局面では、債券ファンドの基準価額が下がることもあります。使う時期が決まっているお金を置くなら、満期のある個人向け国債と、値動きのある債券ファンドの違いを確かめてから選びます。

当面使わないお金で株式と債券を組み合わせる場合の配分の考え方は、投資信託の分散投資を扱った記事で紹介しています。

債券の信用度を測る格付けの意味と限界は、こちらの記事で詳しく扱っています。

出典

よくある質問

個人向け国債は元本割れしますか?
満期まで持てば額面金額が戻ります。発行から1年が過ぎれば途中で換金でき、そのときも国が額面で買い取ります。ただし換金時には、直前2回分の各利子(税引前)相当額×0.79685が差し引かれるため、受け取った利子と合わせた手取りは、満期まで持った場合より少なくなります。
個人向け国債の金利はいつ決まりますか?
固定5年・固定3年は、募集期間の開始日の2営業日前に、市場の利回りをもとに決まります。変動10年は、10年固定利付国債の入札の平均落札利回りに0.66を掛けて決まり、半年ごとに見直されます。2026年10月募集の回は、変動10年が年2.05%、固定5年が年2.39%、固定3年が年2.07%です。
個人向け国債はネットで買えますか?
買えます。財務省は、インターネットで個人向け国債を買える取扱金融機関の一覧を公開しています。初めて買う場合は、その金融機関で国債用の口座を開く必要があります。
金利が上がっているのに、債券ファンドの基準価額が下がるのはなぜですか?
金利が上がると、すでに発行された債券の価格は下がります。債券ファンドの基準価額は、組み入れている債券の時価をもとに毎日計算されるため、金利が上がる局面では下がることがあります。満期までの期間が長い債券を多く組み入れているほど、影響は大きくなります。
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この記事を書いた人

memStock編集部

memStock編集部は、家族の豊かな暮らしと家計管理を応援する記事制作チームです。ライフハック・節約・投資・保険など、日常生活とお金に関する実用的な情報を、確かな専門知識と多様な視点から分析・提供しています。読者の皆様が抱える日々の悩みや将来への不安を解消し、ワンランク上の生活を実現するためのヒントが詰まった記事をお届けします。 「家族の暮らしをより豊かに」をモットーに、わかりやすく実践的なコンテンツで皆様の人生設計をサポートします。

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この記事を監修した人

山田 尚貴

カリフォルニア州立大学ロングビーチ校卒業後、NTTPCコミュニケーションズでシステムエンジニアとして金融機関等のシステム運用などに携わる。2009年、株式会社エニドアを創業し代表取締役に就任。クラウドソーシングサービスの開発・提供を行う。M&Aにより会社を売却後、上場企業のグループ会社の経営を6年行った後、株式会社modoを創業し代表取締役に就任。家族向けのサービスmemStockの開発を行う。 二級ファイナンシャル・プランニング技能士、証券外務員一種を保有。2児の父。

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