市販薬と同じ成分の処方薬は薬剤費の4分の1を別払いに — 子どもは対象外、祖父母の湿布は原則対象

お金の話memStock編集部
市販薬と同じ成分の処方薬は薬剤費の4分の1を別払いに — 子どもは対象外、祖父母の湿布は原則対象

秋の花粉で鼻がつらくなり、耳鼻科で抗アレルギー薬を1か月分もらう。子どもは皮膚科で保湿剤、実家の親は整形外科で湿布。毎月のように家族の誰かが薬局の袋を持ち帰ってくる家庭で、薬代の仕組みが一部変わります。

市販薬と成分が同じ処方薬(OTC類似薬)について、2027年3月から、いつもの窓口負担とは別に「薬剤費の4分の1」を払う仕組みが始まる予定です。9月には「子どもは対象外」と報じられました。では、家族の誰の、どの薬が対象になるのか。厚生労働省の審議会資料(2026年9月16日時点)をもとに、世代ごとに整理しました。

2027年3月から、処方薬の一部で薬剤費の4分の1を別に払う予定です

根拠は、2026年6月5日に公布された健康保険法等の改正法です。法律上の名前は「一部保険外療養」で、厚労省の資料では「別途の負担」と書かれています。施行日は「公布後1年以内に政令で定める日」とされ、厚労省資料では2027年3月1日の施行が想定されています。施行日を正式に決める政令は、9月28日時点でまだ出ていません。

対象は、市販薬と成分・使い方(飲み薬か塗り薬かなど)が同じで、1日の最大量も変わらない処方薬です。77成分・1,042品目(品目数は2026年8月1日時点)が挙がっており、抗アレルギー薬、痛み止め、胃腸薬、去痰薬、保湿剤、便秘薬などが含まれます。解熱鎮痛薬のアセトアミノフェンは、単独の成分としては一覧に入っていません。

対象の薬は、薬剤費のうち4分の1が保険の対象から外れ、その分を患者が払います。残りの4分の3には、これまでどおり1〜3割の窓口負担がかかります。診察料や調剤基本料などの技術料は、今までと同じく保険の対象です。

同じ成分でも、処方の目的によって扱いが変わります。たとえば抗アレルギー薬のフェキソフェナジンは、鼻のアレルギー症状に出された場合は対象で、じんましんや湿疹のかゆみに出された場合は対象外です。2027年3月以降の処方箋には「一部保険外療養」の欄が加わり、対象なら「○」、対象外なら「ー」が書かれます(当面は欄のない以前の様式も使えます)。

子どもは高校3年の3月末まで対象外です

子どもは「18歳に達する日以後最初の3月31日まで」が対象外です。学年でいえば、早生まれかどうかにかかわらず高校3年の3月31日までにあたります。厚労省の資料は理由として、成長の途中であることや、多くの自治体で子ども医療費助成が行われていることを挙げています。

18歳の年度末を過ぎた4月1日からは、大学生も社会人1年目も原則として対象になります。18歳から20歳未満で小児慢性特定疾病がある人は、その病気に関連する治療であれば対象外です。

大学生の年代まで子ども医療費助成を広げている自治体もあります。ただ、国の制度では、こうした自治体独自の助成を受けている人も別途の負担の対象とされています。その分を自治体が助成するかどうかは、9月28日時点で確認できる資料がありません。

花粉症の薬30日分は、540円が790円になる試算です

厚労省は9月16日の資料に、負担のイメージを載せています。3割負担の人が、薬剤料だけを比べた例です。

薬(日数) 見直し前 見直し後 (参考)市販薬
抗アレルギー薬(30日分) 540円 790円 約1,000円
便秘薬(30日分) 360円 550円 約2,000円
解熱鎮痛薬(5日分) 50円 70円 約500円
去痰薬(5日分) 50円 70円 約1,500円

表の金額に、初診料や調剤基本料などの技術料は含まれていません。薬価は同じ成分で最も使われている品目のもので、市販薬の金額は厚労省が確認できた範囲のネット上の最安値です。1割・2割負担の人の試算は出ていないため、この金額はそのまま当てはまりません。

別途の負担に消費税がかかるかどうかは、9月時点で「政府内で検討中」とされています。実際の支払額は、薬の価格やこの扱いによって変わることがあります。

市販薬と処方薬は、同じ成分でも効能の範囲や用量が違うことがあります。症状に合う薬がどちらかは、医師や薬剤師に相談して決めてください。

祖父母の湿布・保湿剤と、対象外になる場面

祖父母世代が整形外科でもらう湿布や、皮膚科でもらう保湿剤も、原則として対象です。2028年度末までの経過措置で対象外になるのは、これまで通年で使ってきたうえで、重い症状がある人に限られます。湿布なら、画像検査などで重い変形性膝関節症(KL分類Grade4など)と確認され、医師が年間を通じて毎日使うよう指示した場合です。保湿剤なら、症状が十分に改善せず、免疫抑制剤などによる全身療法の治療歴がある場合などで、同じく毎日使う指示があるときです。

長く使い続けている薬には、別の扱いがあります。飲み薬は、年間の処方日数がおおむね50週に及ぶことが対象外の目安です。少なくとも6か月程度の使用実績があり、その後も1年を通じて必要だと医師が判断すれば、50週に届く前でも対象外になります。塗り薬では、アトピー性皮膚炎に通年で使う保湿剤(ヘパリン類似物質・尿素)と、プロアクティブ療法(症状が落ち着いた後も定期的に塗って再発を防ぐ方法)などで通年使うステロイド外用薬が対象外です。

ほかにも対象外になる場面があります。入院中(退院時の処方を含む)、抜歯など外来の処置や手術に伴う14日分までの処方、がんや指定難病に関連する治療、国の公費負担医療、生活保護で医療扶助を受ける場合です。がんや難病の治療中でも、花粉症や水虫など治療と関係の薄い症状の薬は対象になります。低所得の人のうち対象外になるのは生活保護の医療扶助だけで、住民税非課税世帯は含まれていません。

妊娠中・授乳中の人も、一律に対象外になるわけではありません。市販薬の説明書で妊婦や授乳中の人が「服用しないこと」とされている薬を処方された場合(例: 胃薬のイトプリド)に限って、対象外になります。

まだ決まっていないこと

9月16日の審議会では対象外の範囲などをまとめた案が示され、了承されたと報じられています。同じ日に、処方箋の様式を変える案も厚労省の諮問機関(中央社会保険医療協議会)から答申されました。一方で、施行日を定める政令、細かいルールを示す通知やQ&A、患者向けの説明資料は、9月28日時点で公表されていません。3月1日をまたぐ処方がどう扱われるかも、資料には書かれていません。

医療費控除や高額療養費の計算に別途の負担が含まれるかどうかも、公式には示されていません。2026年8月に始まった高額療養費の年間上限は、9月26日の記事で取り上げています。市販薬の購入が対象になるセルフメディケーション税制は、現行の対象期間が2026年12月31日購入分までで、2027年以降の扱いは国税庁の案内にまだ載っていません。

政府は将来、対象の範囲を広げることや、負担の割合を引き上げることも検討するとしています。一方、国会の附帯決議は、導入後の影響を検証し、元に戻すことも含めて必要に応じ見直すよう求めています。

家族の薬のうち、どれを処方でもらい、どれを市販で買っているか。春の花粉の季節が来る前に一度書き出しておくと、次の受診で「この薬は対象になりますか」と聞きやすくなります。対象かどうかを判断するのは医師で、薬局でも説明を受けられます。詳しいルールや説明資料が示されたら、この記事も更新する予定です。

この記事は2026年9月28日時点で厚生労働省・国税庁が公表している資料をもとにしています。施行日や運用の詳細は今後変わる可能性があります。

出典

よくある質問

子どもの処方薬も別途の負担の対象になりますか?
「18歳に達する日以後最初の3月31日まで」の子どもは対象外です。学年でいえば高校3年の3月31日までで、その翌日の4月1日からは原則として対象になります。18歳から20歳未満で小児慢性特定疾病がある人は、その病気に関連する治療なら対象外です。
花粉症の薬は、いくら増えますか?
厚労省の9月16日の資料では、抗アレルギー薬30日分が540円から790円になる例が示されています。3割負担の人の薬剤料だけを比べた試算で、初診料や調剤基本料などの技術料は別にかかります。1割・2割負担の人の試算は出ておらず、消費税の扱いも政府内で検討中です。
祖父母が毎日使っている湿布は対象外ですか?
原則として対象です。2028年度末までの経過措置で対象外になるのは、これまで通年で使ってきたうえで、重い変形性膝関節症などと確認され、医師が毎日使うよう指示した場合などに限られます。がんや指定難病に関連する治療、入院中の処方も対象外です。
自分の薬が対象かどうかは、どこで分かりますか?
対象かどうかを判断するのは処方する医師です。2027年3月以降の処方箋には「一部保険外療養」の欄が加わり、対象なら「○」、対象外なら「ー」が書かれます。ただし当面は欄のない以前の様式も使えるため、分からないときは医師や薬局で確かめてください。
別途の負担は医療費控除の対象になりますか?
9月28日時点で、厚労省や国税庁から公式な扱いは示されていません。高額療養費の計算に含まれるかどうかも同じく未公表です。詳しいルールが公表された時点で、この記事も更新する予定です。
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