マットレスはどう選ぶ?硬さと表示の見方

暮らし・住環境memStock編集部(更新: 2026年10月13日)
マットレスはどう選ぶ?硬さと表示の見方

マットレスを買い替えようと売り場や通販サイトを見ると、「高反発」「体圧分散」「〇層構造」といった言葉が並び、どれが自分に合うのか決めきれないことがあります。子どもと一緒に寝ている家庭なら、赤ちゃんを同じマットレスに寝かせてよいのかも気になるところです。

この記事では、厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」とe-ヘルスネット、消費者庁・こども家庭庁の注意喚起、家庭用品品質表示法にもとづく表示のルールをもとに、マットレスを選ぶときに確かめたいことを整理しました。2026年10月時点で公開されている情報によります。特定の商品やブランドは取り上げていません。

寝具に求められる二つの役割

厚生労働省のe-ヘルスネットは、寝具には「寝ているときの保温」と「体への負担が少ない寝相を保つ」という二つの大きな役割があると説明しています。眠ると体は熱を外へ逃がして体温を下げるため、寝具には吸湿性・放湿性と保温性のよさが第一条件になるとしています。

寝床内の環境については、個人差や季節による違いがあるとしたうえで、温度33℃・湿度50%の状態が最適とされると紹介しています。寒い季節は、湯たんぽや電気毛布で就寝前に寝床内を温めておくと眠りにつきやすくなるとも書かれています。

睡眠ガイド2023も、できるだけ静かな環境で、リラックスできる寝衣・寝具で眠ることが良い睡眠につながるとしています。冬に寝室の温度が下がっても、十分な寝具で寝床内が暖かく保たれていれば、睡眠への影響は少ないという整理です。マットレス単体で眠りが決まるわけではなく、掛け布団や寝室の温度と合わせて考える必要があります。

硬さは「適度」が目安、決め手は寝姿勢

e-ヘルスネットは、マットレスや敷き布団には「適度な硬さ」が必要だとしています。人の背骨は首から胸、胸から腰にかけて二つのS字カーブを描いていて、立った姿勢での腰のすき間は4~6cmです。寝た姿勢でいちばん体への負担が少ないのは、このすき間が2~3cmのときだと説明しています。

柔らかすぎると腰や胸が深く沈み込み、すき間が大きくなって眠りにくいうえ、腰痛の原因にもなるとされます。反対に硬すぎると、骨があたって痛みが出たり血流が妨げられたりして、熟睡しにくくなります。

寝返りとの関係にも触れています。寝返りは、同じ部位が圧迫され続けて血液の流れが滞るのを防ぐための生理的な動きです。柔らかすぎて体が沈み込む布団や、骨を強く圧迫する硬すぎる布団では、負担を減らそうと寝返りの回数が多くなるとしています。

公的情報が示しているのは「適度な硬さ」という目安までで、体重や体型ごとの数値基準はありません。e-ヘルスネットの言い方では、二つのS字カーブをバランスよく支え、自分にとって楽な寝相を保ちやすいものがよいということになります。購入前に、あお向けと横向きの両方で実際に横になって確かめるのが確実です。

品質表示で硬さと構造を確かめる

家庭用品品質表示法では、スプリングマットレスと、ウレタンフォームの部分の最大の厚さが50mm以上のウレタンフォームマットレスが表示の対象です。消費者庁の「製品別品質表示の手引き」に、表示する項目が定められています。

ウレタンフォームマットレスでは、材料、構造、寸法、硬さ、復元率、外装生地の組成、使用上の注意を表示します。硬さはJIS K6400-2の方法で測った数値で区分され、110ニュートン以上が「かため」、75ニュートン以上110ニュートン未満が「ふつう」、75ニュートン未満が「やわらかめ」です。数値は括弧書きで付記されます。「高反発」「低反発」といった宣伝の言葉より、この区分と数値のほうが製品どうしを比べやすくなります。

スプリングマットレスでは、折り畳めない「一体式」か、折り畳める「連結式」かという構造、寸法、詰物の材料、外装生地の組成を表示します。使用上の注意として、湿気を避けて風通しをよくすること、無理に折り曲げないこと、上で跳んだり跳ねたりしないことを、品質に応じて表示することになっています。

赤ちゃんを寝かせる寝具は「硬め」に

大人に合うマットレスが、赤ちゃんにとって安全とは限りません。消費者庁は、日頃から親子で使っている低反発マットに寝かせていた0歳5か月の子どもが、初めて寝返りをしてうつ伏せになり、顔がマットに埋もれて呼吸が止まっていた事例を紹介しています。

消費者庁が示す対策は次のとおりです。

  • 顔が柔らかい寝具に埋もれないよう、敷布団やマットレスは硬めのものを使う
  • 掛布団は子どもが払いのけられる軽いものにする
  • 顔の近くに、口や鼻を覆ったり首に巻き付いたりする物を置かない
  • 添い寝で大人が寝込んで圧迫しないよう、できるだけベビーベッドで寝かせる
  • 1歳になるまでは、あお向けに寝かせる

睡眠ガイド2023も、赤ちゃんが自分で寝返りできるようになる1歳頃までは柔らかすぎる寝具を避け、仰向けに寝かせるよう呼びかけています。こども家庭庁によると、令和6年には55名の乳児が乳幼児突然死症候群(SIDS)で亡くなっており、乳児期の死亡原因の第3位です。SIDSは窒息などの事故とは異なる病気ですが、あお向けに寝かせたほうが発症率が低いことが研究でわかっています。

ベッドからの転落にも注意が要ります。消費者庁には、平成27年1月から令和2年9月末までに6歳以下の子どものベッドからの転落事故が912件報告され、0歳児が534件、1歳児が160件を占めました。数十センチの高さでも頭蓋骨骨折などのおそれがあるため、0~1歳児は大人用ベッドではなく、できるだけベビーベッドに寝かせ、柵は常に上げて使うよう求めています。大人用ベッドに取り付ける幼児用ベッドガードは、生後18か月未満には使わないよう注意喚起されています。

二段ベッド・ロフトベッドに敷くとき

子どもが大きくなり、二段ベッドやロフトベッドにマットレスを敷く場合は、ベッド側の取扱説明書を先に確かめます。先の消費者庁の912件のうち、2段以上のベッドからの転落は51件でした。

一般財団法人製品安全協会のSG基準は、上段の床板の高さが800mm以上の二段ベッドとロフトベッドを対象に、取扱説明書へ敷ぶとん類の厚みの上限を書くよう定めています。敷ぶとん類は前わく・後ろわく・側板との間にすき間ができないものを使うこと、上段への昇降は必ずはしごで行うこと、手すりに腰かけたり飛び降りたりしないことも、表示する注意事項に含まれます。手すりの高さはマットレスを付属する製品ではマットレス上面から測る扱いになっているため、厚手のマットレスを重ねると、柵が実質的に低くなる点に気をつけます。

手入れと買い方で気をつけること

ダニのフンや死がいはアレルギーの原因になります。厚生労働省の補助事業である「アレルギーポータル」は、ダニが増えるには60%以上の湿度とおよそ25~30℃の温度が必要だとして、寝具を日光や風にあてるか乾燥機で乾かすよう勧めています。環境再生保全機構の小児ぜん息のQ&Aでは、布団類にはカバーをかけてカバーやシーツは週に1回洗濯し、乾燥させた布団の両面に1㎡あたり20~30秒かけて掃除機をかける方法が示されています。高密度繊維の防ダニカバーや防ダニシーツの使用も推奨されています。

通販で買う場合は、返品の条件を注文前に確かめます。特定商取引法では、通信販売で買った商品は、受け取った日から数えて8日以内であれば契約を解除して返品できますが、返品の送料は消費者の負担です。事業者が広告で返品についての特約を表示していれば、その特約が優先されます。マットレスは大きく重いため、返品の可否と送料の負担は購入前に確かめておくと安心です。

寝室の光や温度、入浴のタイミングなど、マットレス以外で眠りを整える方法は次の記事でまとめています。

出典

よくある質問

高反発と低反発はどちらがよいですか?
公的情報には、どちらが眠りによいかを決める基準はありません。e-ヘルスネットが示すのは、柔らかすぎず硬すぎない「適度な硬さ」で、自分にとって楽な寝姿勢を保てるものという目安です。ウレタンフォームマットレスなら、品質表示の「かため・ふつう・やわらかめ」の区分と数値で比べられます。乳児を寝かせる場合は、消費者庁が硬めの寝具を使うよう呼びかけています。
赤ちゃんと大人用のベッドで一緒に寝てもよいですか?
消費者庁は、添い寝で大人が寝込んで圧迫したり、大人用ベッドから転落したりする事故を防ぐため、0~1歳児はできるだけベビーベッドに寝かせるよう呼びかけています。大人用ベッドとマットレスに取り付ける幼児用ベッドガードは、生後18か月未満には使わないよう注意喚起されています。
どのマットレスにも硬さの表示がありますか?
家庭用品品質表示法で表示の対象になっているのは、スプリングマットレスと、ウレタンフォームの最大の厚さが50mm以上のウレタンフォームマットレスです。硬さの区分を表示するのはウレタンフォームマットレスで、スプリングマットレスの表示項目に硬さは入っていません。
寝室は何度くらいにすればよいですか?
睡眠ガイド2023は、寝室は暑すぎず寒すぎない温度にするとし、夏はエアコンで涼しく保つことを勧めています。冬については、WHOの住環境ガイドラインが室温を18℃以上に保つよう推奨していることを紹介しています。夜中のトイレや早朝に急な寒さにさらされると血圧が急に上がるおそれがあるためです。
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