共働き夫婦、何を話し合えば円満に?

働き方・扶養と税memStock編集部(更新: 2026年10月13日)
共働き夫婦、何を話し合えば円満に?

共働きで子どもを育てていると、夫婦の会話が「明日のお迎えはどっち」「洗剤が切れそう」といった連絡だけで1日が終わることがあります。小さな不満があっても、話す時間が取れないまま次の週に入ってしまう。夫婦円満のコツは体験談として語られることが多いのですが、ここでは総務省と国立社会保障・人口問題研究所(社人研)の公的調査をもとに、共働き夫婦の時間の使い方、会話、家庭内の決めごとの実態を確かめ、何を話し合えばよいかを整理します。

共働きは多数派、家事と育児の時間差はまだ大きい

総務省「労働力調査(詳細集計)」の2025年の結果では、夫婦ともに雇用者(農林業を除く)の共働き世帯は1,333万世帯でした。夫が雇用者で妻が働いていない世帯は476万世帯で、共働き世帯はその約2.8倍にあたります。

一方で、家の中の時間配分は偏ったままです。総務省「社会生活基本調査」(2021年)によると、6歳未満の子どもがいる「夫婦と子供の世帯」で、家事・育児・介護・買い物を合わせた家事関連時間は、1日平均で夫が1時間54分、妻が7時間28分でした。夫は2016年の1時間23分から31分増えましたが、夫婦の差はなお5時間34分あります。なお、この数値は週全体の平均で、妻が働いていない世帯も含みます。

社人研「第7回全国家庭動向調査」(2022年)でも、夫の平日の家事時間は平均47分で、妻の家事分担割合は低下しているものの80%を超える水準でした。家事の分け方そのものは別の記事で扱っているので、ここでは「偏りがある前提で、夫婦がどう話すか」に絞ります。

予定の連絡は多く、悩みの相談はそれより少ない

全国家庭動向調査は、夫婦が一緒にする行動の頻度を9項目でたずねています。2022年に「ある(よくある+ときどきある)」と答えた割合は、「夕食を一緒にする」が89.1%、「その日の帰宅時間や週の予定などを話す」が79.6%、「心配事や悩み事を相談する」が69.3%、「休日の過ごし方について話し合う」が66.4%でした。

予定を話す夫婦に比べ、悩みを相談する夫婦は10ポイントほど少ない計算です。2008年から続けてたずねている6項目は、2008年と比べてすべて「ある」の割合が下がっています。

子育て期は、2人だけの時間も取りにくくなります。「夫婦だけで出かける」が「ない」と答えた割合は、妻が30〜39歳の層で65.3%ともっとも高く、40〜49歳になると「ある」が50%を上回ります。ただし報告書は、これが同じ時点での年齢の比較であり、子どもの有無との関係も考慮していない点に留意を求めています。

連絡と相談を同じ会話に混ぜると、相談は連絡に押し流されがちです。帰宅時間や送迎の分担は共有カレンダーやメッセージで済ませ、仕事の悩みや家計の心配のような話は、子どもが寝たあとの短い時間など別に取っておくと、後回しになりにくくなります。

妻のいちばんの相談相手は「夫」に

同じ調査で、出産や育児で困ったときにもっとも頼りにする相談相手として「夫」を挙げた妻は48.7%となり、「親」の38.5%を2008年以降で初めて上回りました。2018年は「夫」が35.4%、「親」が48.9%だったので、4年で順位が入れ替わったことになります。子どもの教育・進路を決めるときの相談相手は一貫して「夫」が最多で、2022年は87.7%でした。

経済的に困ったときに頼りにする相手は、「親」が59.2%、「夫」が32.9%です。親と同居する割合も2008年より下がっており、育児の悩みの受け手が夫婦の間に集まる方向に動いています。

この調査は、配偶者のいる女性(妻)の回答を集計したもので、夫が誰に相談しているかはこの集計からは分かりません。相手が自分をいちばんの相談相手にしているなら、話を聞く時間を先に確保しておくことが、そのまま関係の手入れになります。

家計や子どものことを誰が決めているか

全国家庭動向調査は、4つの場面で夫婦のどちらが決めているかもたずねています。2022年は、「家計の分配や管理・運営」を妻が決めている割合が62.3%、「育児や子どもの教育」が58.0%で、どちらも半数を超えました。「親や親族とのつきあい」は「ふたりで一緒に」が56.1%、「車や耐久消費財など高価なものの購入」も「一緒に」が50.3%で、次に多いのは「夫」の38.2%です。

決める仕事は外から見えにくいものです。同じ調査が「見えない家事」としてたずねた項目のうち、「食材や日用品の在庫の把握」と「食事の献立を考える」は約9割の妻が担当していました。

夫の家事への妻の受け止めにも差があります。夫の家事に「期待する」妻は、妻が正規雇用の場合に57.4%で、非正規・自営・仕事なしより20ポイントほど高くなっていました。年齢別では、29歳以下の69.5%に対し、50〜59歳は35.4%です。夫の家事に「満足」と答えた妻は、正規雇用で63.4%、50〜59歳で51.9%でした。

話し合いの入り口として、家計、子どもの教育、親族とのつきあい、大きな買い物のそれぞれについて、「いま誰が決めているか」「この先もそれでよいか」を2人で書き出す方法があります。家事の分担表は作業の量を見せてくれますが、決める役の偏りは書き出さないと気づきにくいからです。

「平等に分担」と「仕事優先」が同時にある

全国家庭動向調査は、妻の家族に関する考え方の変化も追っています。「結婚後は、夫は外で働き、妻は主婦業に専念すべきだ」に賛成する妻は2022年に29.5%となり、初めて3割を下回りました。「夫も家事や育児を平等に分担すべきだ」への賛成は86.7%で、これまででもっとも高い割合です。「家庭で重要なことがあったときは、父親が最終的に決定すべきだ」への賛成は、2018年の64.5%から54.2%に下がりました。

一方で、「夫は、会社の仕事と家庭の用事が重なった時は、会社の仕事を優先すべきだ」に賛成する妻も59.3%います。平等な分担への賛成と、重なったときは夫の仕事を優先することへの賛成が、どちらも半数を超えています。ふだんの分担の考え方と、予定がぶつかったときの決め方は、別々に話しておく必要がありそうです。

子どもの急な発熱や学校行事のように、仕事と家庭の用事がぶつかる場面は共働きでは避けられません。そのたびにその場で決めるのではなく、「どちらが休むかを何で決めるか」(会議の重さ、休暇の残り、前回どちらが休んだか など)を平時に話しておくと、片方に負担が寄り続けるのを防ぎやすくなります。

子どもの数・お金・働き方は早めに数字で話す

社人研「第16回出生動向基本調査」(2021年)は、結婚して15〜19年たった夫婦に、結婚した当時に何人の子どもを持つつもりだったかをたずねています。約3割の夫婦は「とくに考えていなかった」と答えました。持つつもりの子どもの数が理想より少ない夫婦が挙げた理由は、「子育てや教育にお金がかかりすぎるから」が52.6%で最多でした。

働き方の変化も、話し合いの題材になります。第1子の出産前後に妻が仕事を続けた割合は、2015〜19年に第1子が生まれた夫婦で69.5%に達し、続けた人の79.2%が育児休業制度を使っていました。子どもが3歳になるまでの夫の家事・育児の頻度は増える傾向にあり、妻が正規の職員の場合は約4割の夫が「日常的に」家事をしています。

子どもの人数や教育費、どちらがいつ働き方を変えるかは、感覚だけで話すとすれ違いやすいテーマです。教育費の目安や家計の数字を手元に置き、見直す時期をあらかじめ決めておくと、話題を「どちらが我慢するか」から「家族として何を選ぶか」に移しやすくなります。

家事の分け方と、夫婦の時間の作り方は、それぞれ次の記事で詳しくまとめています。

子どもの教育費の全体像は、こちらの記事を参考にしてください。

出典

よくある質問

共働き世帯はどのくらいありますか
総務省「労働力調査(詳細集計)」の2025年の結果で、夫婦ともに雇用者(農林業を除く)の世帯は1,333万世帯、夫が雇用者で妻が働いていない世帯は476万世帯です。共働きの定義(自営業を含めるか、雇用者に限るか)によって数値は変わります。
夫婦の家事関連時間の差は、共働き夫婦だけの数字ですか
本文の夫1時間54分、妻7時間28分は、総務省「社会生活基本調査」(2021年)の、6歳未満の子どもがいる「夫婦と子供の世帯」全体の週平均です。妻が働いていない世帯も含むため、共働き夫婦に限った数値ではありません。
夫婦の会話を増やすには、何から始めればよいですか
全国家庭動向調査では、予定を話す夫婦(79.6%)より、悩みを相談する夫婦(69.3%)のほうが少なくなっていました。まずは送迎や帰宅時間の連絡をカレンダーやメッセージに移し、相談のための時間を連絡とは別に取っておくと始めやすくなります。
家計のことは、夫婦のどちらが決めている家庭が多いですか
全国家庭動向調査(2022年)では、「家計の分配や管理・運営」を妻が決めている割合が62.3%、「ふたりで一緒に」が22.8%、夫が14.9%でした。一方で、車などの高価な買い物は「一緒に」が50.3%、夫が38.2%です。
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