アメリカ旅行の海外旅行保険の選び方

保険memStock編集部(更新: 2026年10月22日)
アメリカ旅行の海外旅行保険の選び方

夏休みに家族でアメリカへ。航空券とホテルを押さえたあとで、「保険はクレジットカードについているもので足りるのか」「子どもが熱を出したら、日本の健康保険は使えるのか」と手が止まる人は少なくありません。アメリカは医療費が高いことで知られ、外務省も渡航者に海外旅行保険への加入をすすめています。

この記事では、アメリカで入院したときの費用の水準、日本の健康保険から後で戻る「海外療養費」の範囲、クレジットカード付帯の保険で確かめる条件、海外旅行保険の補償と対象外になるものを、外務省・日本損害保険協会・全国健康保険協会(協会けんぽ)の情報をもとに整理しました。2026年10月時点の内容です。保険会社やカード会社の個別の商品は取り上げていません。

アメリカで入院すると費用はどのくらいかかるのか

外務省の海外安全ホームページにある米国の「安全対策基礎データ」(2026年5月更新)は、米国の医療費は非常に高額で、病気やケガで入院すると一回の入院で数百万円から数千万円が必要になる場合があると説明しています。そのうえで、十分な補償内容の海外旅行保険に加入するようすすめています。

受診のしかたも日本とは違います。緊急時や重症のときは救急車を呼べますが、救急車はほとんどの地域で有料で、搬送先の病院は指定できません。緊急救命室(ER)は重症の人が優先されるため、軽症だと数時間待つこともあります。急ぎでない症状なら、予約なしで診てもらえる外来クリニック(Urgent Care など)の利用がすすめられています。通常の受診は事前予約が必要で、薬は処方箋をもらって薬局で買う仕組みです。

金額の実例として、外務省は2011年に、ハワイの事例を紹介しています。在ホノルル日本総領事館によると、半年の間に事件や事故で入院した日本人は16人で、そのうち15人がICU(集中治療室)で治療を受け、11人は海外旅行保険に入っておらず自己負担になりました。ICUの医療費は総額1千万円を超えることも珍しくなく、ある保険会社が扱った最高額は、ハワイの病院のICUで治療を受けたケースの3800万円だったといいます(金額は掲載当時のもの)。

日本の健康保険から戻る「海外療養費」の範囲

海外で急な病気やケガで現地の医療機関にかかった場合、日本の公的医療保険に申請すると、医療費の一部が払い戻されます。これが海外療養費です。協会けんぽだけでなく、国民健康保険にも同じ給付があります(国民健康保険法第54条に基づく療養費)。

ただし、払い戻される額は海外で払った額が基準ではありません。日本国内の医療機関で同じ病気やケガを治療した場合の費用を基準に計算し(実際に海外で払った額のほうが低ければその額)、そこから自己負担相当額を差し引いた額が支給されます。協会けんぽは、日本と海外では医療体制や治療方法が違うため、海外で払った総額から自己負担相当額を差し引いた額より、支給額が大幅に少なくなることがあると注意しています。

対象は日本国内で保険診療として認められている医療行為に限られ、治療を目的に海外へ渡航した場合は対象外です。外貨で払った医療費は、支給決定日の為替レート(売レート)で円に換算します。審査には通常数か月かかり、海外の口座へは直接送金されないため、日本に住む家族などを受取代理人にします。海外で治療費を払った翌日から2年たつと、時効で申請できなくなります。

もう一つ大きいのは、現地ではいったん全額を払う必要があることです。外務省も、日本の健康保険は海外の医療費を一定程度負担するものの、まず現地で全額を払ってから請求する流れだと説明しています。数百万円単位の請求をその場で立て替えられるかを考えると、海外療養費だけを頼りに出発するのは心もとないといえます。

クレジットカード付帯の保険で確かめること

クレジットカードには、海外旅行保険がついているものがあります。日本損害保険協会は、カード付帯の保険には一定の適用条件があり、補償内容が十分でないこともあるため、「適用条件」「保険期間」「保険金額」「補償の範囲や対象」を事前に確かめ、必要なら別に海外旅行保険を契約するよう案内しています。

適用条件でまず見るのは、旅行代金の支払いです。カードによっては、航空券代や旅行代金をそのカードで支払った場合だけ保険の対象になります(「利用付帯」と呼ばれる形です)。カードを持っているだけで対象になる「自動付帯」だと思い込んでいると、現地で補償が受けられないおそれがあります。新しくカードに入会した場合、一定期間後に出発する旅行から対象になるものもあります。

家族旅行では、誰が補償の対象かも確かめます。日本損害保険協会は、カードの名義人以外の家族(配偶者や子)の旅行先でのケガや病気は対象外としている場合があると説明しています。ほかにも、治療費用の保険金額が一般の海外旅行保険より低い場合や、病気で亡くなったときの補償(疾病死亡)が範囲外になっている場合があります。

外務省は、海外旅行保険つきのカードを持っていたのに緊急移送サービスが付いておらず、移送の費用(数百万円)を自己負担した事例を紹介しています。2011年の記事では、カード付帯の保険の一般的な上限金額はせいぜい数百万円で、深刻な病気やけがには足りないと指摘しています。上限の額はカードによって違うため、自分のカードの規定で治療費用・救援者費用の上限を確かめておきます。

カード付帯の保険と、損害保険会社が販売する一般の海外旅行保険を両方持っている場合、治療費用・賠償責任・携行品損害などは、それぞれの保険金額を合算した額を限度に、実際の損害額が支払われます。日本損害保険協会の例では、一般の海外旅行保険が1,000万円、カード付帯が200万円で、実際の費用が300万円なら、カード付帯に先に請求すると200万円、残りの100万円を一般の保険から受け取れます。どちらに先に請求するかは自分で選べます。足りない補償だけを選んで契約できるバラ売りの海外旅行保険もあります。

海外旅行保険で見ておく補償と、対象外になるもの

海外旅行保険は、住居を出発してから帰着するまでの間のケガや病気、賠償責任、携行品の損害などを補償する保険です。空港までの往復など、日本国内で起きた事故も対象になります。総合的に補償するタイプのおもな項目は、ケガや病気の治療費用、ケガ・病気による死亡、ケガによる後遺障害、他人にケガをさせたり物を壊したりしたときの賠償責任、携行品の盗難や破損、入院した本人のもとに家族が駆けつける費用(救援者費用)などです。

治療費用は、契約時に決めた保険金額を限度に、実際にかかった費用(実費)が支払われます。アメリカのように医療費が高い国では、この治療費用と救援者費用の保険金額がいくらに設定されているかが、補償が足りるかどうかを左右します。外務省の米国の基礎データも「十分な補償内容」の保険をすすめています。

対象外になる病気も把握しておきます。日本損害保険協会によると、病気の治療費用は、旅行中に発病し、旅行中か旅行終了後72時間までに医師の治療を受けた場合が対象です(旅行中に感染した一類〜四類感染症は、旅行終了日から30日まで)。旅行開始前に発病した病気、歯科疾病、妊娠・出産・早産・流産に起因する病気は、保険金が支払われない主な場合に挙げられています。持病がある家族や妊娠中の人がいるときは、契約前に約款で扱いを確かめます。

保険金の支払いのほかに、病院や医師の紹介・予約、キャッシュレス治療の手配、医療通訳の手配といったサービスを用意している保険会社もあります。現地で立て替えずに治療を受けられるか、日本語で相談できるかは、子ども連れの旅行では心強い要素です。契約は保険会社や代理店のほか、インターネットや空港でもできます。

出発前に家族でそろえておくこと

保険を決めたら、家族全員分の契約内容と、保険会社の緊急連絡先を一か所にまとめて共有しておくと、現地で慌てずに済みます。カード付帯の保険を使う場合は、旅行代金をどのカードで払ったか、補償の対象になる家族の範囲もあわせて控えておきます。

海外療養費を申請するときは、現地の医療機関に書いてもらう「診療内容明細書」と「領収明細書」、領収書の原本とそれぞれの日本語訳、渡航期間がわかるパスポートや航空券の写しなどが必要です。協会けんぽの様式は英語版などが用意されているので、出発前に印刷して持っていくと、受診した病院でそのまま記入を頼めます。

日本の公的医療保険のしくみや、国内で医療費がかさんだときの高額療養費については、次の記事で整理しています。

出典

よくある質問

ハワイ旅行でも同じように考えればよいですか
ハワイは米国の州なので、外務省の米国の安全対策基礎データにある医療費の説明がそのまま当てはまります。外務省が紹介した事例でも、ハワイでICUに入った人の多くが海外旅行保険に入っておらず、自己負担になっていました。
クレジットカード付帯の保険だけで足りますか
カードごとに条件と金額が違うため、一律には言えません。旅行代金をそのカードで払う必要があるか、家族が補償の対象か、治療費用と救援者費用の上限はいくらかを確かめ、足りない部分は一般の海外旅行保険で補う方法があります。
子どもが旅行中に歯を痛めたら、海外旅行保険は使えますか
日本損害保険協会は、歯科疾病を海外旅行保険で保険金が支払われない主な場合に挙げています。一方、海外療養費には歯科用の様式があり、日本で保険診療として認められている治療であれば、帰国後に申請できます。
海外療養費はいつまでに申請すればよいですか
海外で治療費を払った翌日から2年で時効になります。支給は審査に通常数か月かかり、外貨は支給決定日の為替レートで円に換算されます。
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この記事を書いた人

memStock編集部

memStock編集部は、家族の豊かな暮らしと家計管理を応援する記事制作チームです。ライフハック・節約・投資・保険など、日常生活とお金に関する実用的な情報を、確かな専門知識と多様な視点から分析・提供しています。読者の皆様が抱える日々の悩みや将来への不安を解消し、ワンランク上の生活を実現するためのヒントが詰まった記事をお届けします。 「家族の暮らしをより豊かに」をモットーに、わかりやすく実践的なコンテンツで皆様の人生設計をサポートします。

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この記事を監修した人

山田 尚貴

カリフォルニア州立大学ロングビーチ校卒業後、NTTPCコミュニケーションズでシステムエンジニアとして金融機関等のシステム運用などに携わる。2009年、株式会社エニドアを創業し代表取締役に就任。クラウドソーシングサービスの開発・提供を行う。M&Aにより会社を売却後、上場企業のグループ会社の経営を6年行った後、株式会社modoを創業し代表取締役に就任。家族向けのサービスmemStockの開発を行う。 二級ファイナンシャル・プランニング技能士、証券外務員一種を保有。2児の父。

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