家族旅行の保険は必要?国内と海外の違い

保険memStock編集部(更新: 2026年10月13日)
家族旅行の保険は必要?国内と海外の違い

子どもを連れて旅行に出る前、旅行保険に入るべきか迷う家庭は少なくありません。旅先で熱を出したら、ホテルの備品を壊してしまったら、と考え始めると、どこまで備えればよいのかがわからなくなります。

判断の分かれ目は、行き先が国内か海外かです。国内なら、病気の治療には健康保険などの公的医療保険がふだんどおり使えるため、旅行保険で考えるのはケガと、他人の物を壊したときの賠償が中心になります。そのどちらも、すでに入っている保険でまかなえることがあります。海外では、公的医療保険から戻るのは「海外療養費」の一部に限られ、外務省は海外旅行保険への加入をすすめています。この記事では、日本損害保険協会・外務省・全国健康保険協会(協会けんぽ)・厚生労働省・こども家庭庁の情報をもとに、2026年10月時点の考え方を整理します。保険会社やカード会社の個別の商品は取り上げていません。

旅行先 病気の治療 ケガ 他人への賠償
国内 公的医療保険(窓口負担)と子ども医療費助成 公的医療保険に加え、傷害保険(家族傷害保険・国内旅行傷害保険など) 個人賠償責任保険(火災保険・自動車保険などの特約)
海外 海外療養費は一部のみ。海外旅行保険が実費を補償 海外旅行保険(実費払い) 海外旅行保険の賠償責任

国内旅行では公的医療保険がそのまま使える

国内の旅行先で子どもが病気になっても、ふだんと同じく公的医療保険で受診できます。医療費の窓口負担は、6歳(義務教育就学前)未満が2割、それ以上で70歳未満が3割です。

これに加えて、こども家庭庁の調査では、2025年4月1日時点で全ての都道府県と市区町村が子どもの医療費の助成を実施していました。対象年齢や自己負担の有無、住んでいる都道府県の外で受診したときの手続きは自治体ごとに違うため、旅行の前に自分の自治体の案内で確かめておきます。

入院などで医療費の自己負担が高額になった場合は、一定の金額(自己負担限度額)を超えた部分が高額療養費制度で払い戻されます。国内旅行中の病気の医療費にも、ふだんと同じこれらの仕組みが使えます。

国内旅行傷害保険が補償するのはケガが中心

国内旅行向けの保険を検討するときは、何が補償されるのかを先に確かめます。日本損害保険協会によると、国内旅行傷害保険は日本国内の旅行中に被ったケガを補償し、特約で賠償責任、携行品損害、救援者費用などを補償する保険です。

傷害保険は、急激・偶然・外来の事故によるケガを補償する保険で、病気は対象外です。細菌性食中毒やウイルス性食中毒も、傷害保険では保険金が支払われません。旅先での発熱や胃腸炎は、国内旅行傷害保険の補償の外にあり、公的医療保険で受診することになります。

ケガへの備えは、旅行のたびに入る保険でなくても足りることがあります。普通傷害保険は国内外を問わず、家庭内、通勤中、旅行中などの事故によるケガを補償し、家族傷害保険は同じ範囲で家族のケガも補償します。家族傷害保険では、本人の配偶者、同居の親族、別居の未婚の子が自動的に被保険者になります。こうした保険に入っていれば、国内旅行のケガはすでに補償の範囲です。普通傷害保険や家族傷害保険の治療の保険金は、契約時に決めた金額が支払われる「定額払い」です。

子どもが他人の物を壊したときの賠償は既存の保険を確認

子ども連れの旅行で起こりうるのが、旅館の備品や店の商品を壊してしまう事故です。こうした賠償に備える個人賠償責任保険は、火災保険や傷害保険、自動車保険などの特約として販売されていることが多く、すでに入っていることがあります。

日本損害保険協会によると、個人賠償責任保険は、日常生活で誤って他人にケガをさせたり他人の物を壊したりして、法律上の損害賠償責任を負ったときの損害を補償します。被保険者は通常、本人とその家族(配偶者、同居の親族、別居の未婚の子など)で、世帯主が契約すれば子どもが起こした事故も補償されます。補償の例には、買い物中に陳列商品を落として壊した、子どもが駐車場の他人の車に傷をつけた、などが挙がっています。

支払われない場合もあります。同居する親族への賠償、自分が所有・使用・管理する物の損壊に対する賠償、車両の所有・使用・管理に起因する賠償などです。相手に賠償の約束をする前に保険会社の承認を得ないと、保険金が削減される場合があるため、事故が起きたらまず保険会社に連絡します。

海外では海外療養費だけでは足りない

海外で急な病気やケガで現地の医療機関にかかった場合、日本の公的医療保険に申請すると、医療費の一部が「海外療養費」として払い戻されます。ただし、支給額は日本国内で同じ治療をした場合の費用を基準に計算し、そこから自己負担相当額を差し引いた額です。協会けんぽは、海外で払った総額から自己負担相当額を差し引いた額より、支給額が大幅に少なくなることがあると説明しています。

海外療養費の対象は、日本国内で保険診療として認められている医療行為に限られます。審査には通常数か月かかり、海外で治療費を払った翌日から2年たつと、時効で申請できなくなります。それまでの間、現地の医療費はいったん自分で払う必要があります。

外務省は海外旅行保険への加入をすすめており、加入するとおおむね、病気やケガの診療費・入院費・緊急移送費、救援者(家族など)の渡航・宿泊費用、携行品の損害、他人にケガをさせたときの賠償金などの補償を受けられると案内しています。海外旅行保険の治療費用は、契約時に設定した保険金額を限度に実際にかかった費用が支払われます。アメリカのように医療費が高い国では、この保険金額の設定が補償の足りる・足りないを分けます。アメリカの医療費の水準は、別の記事で詳しく整理しています。

海外旅行保険とカード付帯保険で確かめる条件

海外旅行保険の病気の治療費用は、旅行中に発病し、旅行中か旅行終了後72時間までに医師の治療を受けた場合が対象です。旅行開始前に発病した病気、歯科疾病、妊娠・出産・早産・流産に起因する病気は、保険金が支払われない主な場合に挙げられています。旅行の直前に子どもが体調を崩した場合や、妊娠中の家族が同行する場合は、契約前に約款で扱いを確かめます。

日本損害保険協会が挙げる海外旅行保険の補償項目には、「旅行変更費用」もあります。被保険者などの入院や、被保険者・同行予定者などの死亡・危篤などのために、出国を中止したり旅行を途中で取りやめて帰国したりした場合の費用を補償するものです。子どもの入院で出発できなくなったときの取消料が気になる場合は、この補償が付いているか、子どもが被保険者に含まれているかを見ておきます。

クレジットカード付帯の海外旅行保険を使う場合は、家族が対象になるかを最初に確かめます。日本損害保険協会は、カードの名義人以外の家族(配偶者や子)の旅行先でのケガや病気を対象外としている場合があると説明しています。旅行代金をそのカードで払った場合だけ適用される条件や、治療費用の保険金額が一般の海外旅行保険より低い場合もあります。カード付帯と一般の海外旅行保険の両方がある場合、治療費用や賠償責任などは保険金額を合算した額を限度に実際の損害額が支払われ、足りない補償だけを選んで契約する方法もあります。

海外へ出る前には、外務省の海外旅行登録「たびレジ」にも登録しておきます。旅先の大使館や総領事館から安全情報を受け取れ、日本にいる家族のメールアドレスも一緒に登録できます。

日本の公的医療保険のしくみや高額療養費については、こちらの記事で整理しています。

出典

よくある質問

国内の家族旅行でも旅行保険に入ったほうがよいですか
国内では病気の治療に公的医療保険が使え、子ども医療費の助成もあります。旅行保険で考えるのはケガと賠償で、家族傷害保険や、火災保険・自動車保険の個人賠償責任特約にすでに入っていれば、その範囲で補償されます。まず手元の保険証券で補償内容を確かめます。
旅先で子どもが熱を出したら国内旅行傷害保険は使えますか
傷害保険は事故によるケガを補償する保険で、病気は対象外です。細菌性食中毒やウイルス性食中毒も支払いの対象になりません。国内では公的医療保険で受診します。
海外で子どもが受診した医療費は健康保険から戻りますか
海外療養費として一部が戻ります。ただし、日本で同じ治療をした場合の費用を基準に計算するため、支給額が実際に払った額より大幅に少なくなることがあります。申請は、海外で治療費を払った翌日から2年以内です。
クレジットカード付帯の保険は子どもも対象ですか
カードによって異なります。日本損害保険協会は、カードの名義人以外の家族(配偶者や子)のケガや病気を対象外としている場合があると説明しています。家族が補償の対象か、旅行代金をそのカードで払う必要があるかを確かめます。
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この記事を書いた人

memStock編集部

memStock編集部は、家族の豊かな暮らしと家計管理を応援する記事制作チームです。ライフハック・節約・投資・保険など、日常生活とお金に関する実用的な情報を、確かな専門知識と多様な視点から分析・提供しています。読者の皆様が抱える日々の悩みや将来への不安を解消し、ワンランク上の生活を実現するためのヒントが詰まった記事をお届けします。 「家族の暮らしをより豊かに」をモットーに、わかりやすく実践的なコンテンツで皆様の人生設計をサポートします。

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この記事を監修した人

山田 尚貴

カリフォルニア州立大学ロングビーチ校卒業後、NTTPCコミュニケーションズでシステムエンジニアとして金融機関等のシステム運用などに携わる。2009年、株式会社エニドアを創業し代表取締役に就任。クラウドソーシングサービスの開発・提供を行う。M&Aにより会社を売却後、上場企業のグループ会社の経営を6年行った後、株式会社modoを創業し代表取締役に就任。家族向けのサービスmemStockの開発を行う。 二級ファイナンシャル・プランニング技能士、証券外務員一種を保有。2児の父。

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