帰省費用、親が全額払うのは2割弱でした

たとえば年末年始に家族4人で配偶者の実家へ帰省するとして、新幹線の往復料金を調べたとします。合計を見て、この帰省の費用を誰が払うのか、毎年あいまいにしてきたことに気付きます。
帰省の費用を誰が払うかに決まった形はなく、調査でも答えが分かれています。ハルメクが2023年に親世帯と子世帯の133人を集計した調査では「一部を親が負担」が33.3%で最も多く、「全額親が負担」は17.9%、「全額子どもが負担」は22.8%でした。両家で話すなら、交通費と滞在中の食費などを分けて決めると、誰がどこまで出すかがはっきりします。
帰省の交通費、実家が出す家庭はどれくらい?
交通費に限った数字では、帰省する子や孫がいるシニアの4割強が負担していたとされています。あおぞら銀行の「シニアのリアル調査」2019年版を紹介したサライ.jpの記事によると、交通費を負担する「負担派」は44.4%で、負担派の平均額は2万9,700円でした。
この調査は全国の55〜74歳の男女2,071人に、2019年6月7〜8日にインターネットで尋ねたものとされています。親側に尋ねた数字とされ、子世帯への調査ではありません。あおぞら銀行の一次資料は2026年10月時点で確認できておらず、7年前の数字でもあるため、目安の一つとして読むのが無難です。
親と子の両方に聞いた調査もあります。ハルメクが2023年6月5日〜7月9日に行ったインターネット調査で、回答187人のうち帰省する子がいる親世帯か、帰省先がある子世帯に当たる133人を集計しました。約70%が、帰省のとき親世帯が何らかの費用を負担していると答えています。この「費用」には交通費のほか滞在中の食費やホテル代も入っていて、あおぞら銀行の44.4%とは数え方が違います。
| 調査 | 実施時期 | 対象 | 主な数字 | 何の費用か |
|---|---|---|---|---|
| あおぞら銀行「シニアのリアル調査」(サライ.jpの紹介による) | 2019年6月 | 全国55〜74歳の男女2,071人(親側のみ) | 交通費の負担派44.4%、負担派の平均2万9,700円 | 交通費 |
| ハルメク | 2023年6〜7月 | 親世帯・子世帯133人を集計 | 約70%が親世帯に何らかの負担あり | 交通費・食費・ホテル代など |
| WILLER MARKETING | 2026年6月 | WILLER会員1,829人 | お盆の帰省予定なし47.1%、帰省予定者の50.0%が「費用が上がった」 | 帰省費用全体 |
対象も設問も調査ごとに違うため、「親が払うのが一般的」とも「子が払うのが一般的」とも言えません。親側だけに交通費を聞けば4割台、費目を広げて親子に聞けば約7割という差が出ています。
交通費以外の予算は、交通費負担派の平均を上回る
2019年のあおぞら銀行の調査紹介では、子や孫の帰省時に使う交通費以外の予算が平均4万3,700円とされ、交通費の負担派の平均2万9,700円を上回っていました。
紹介記事によると、2つの平均は母数が異なります。交通費の額は負担派だけの平均で、交通費以外の予算はその年に子や孫が帰省するシニアの平均です。異なる母数の平均なので、親世帯の支出配分までは分かりません。
ハルメクの調査も、親の負担を交通費に限っていません。帰省時の費用全体について、負担のしかたを選んでもらった結果が次の表です。
| 回答(ハルメク、2023年) | 割合 |
|---|---|
| 全額親が負担 | 17.9% |
| 一部を親が負担 | 33.3% |
| 全額子どもが負担 | 22.8% |
| 一部を子どもが負担 | 17.1% |
| 全額折半 | 0.8% |
| その他 | 8.1% |
どちらか一方がすべて出す家庭は、合わせて4割ほどでした。残りの多くは、親と子が一部ずつ出し合う形です。回答者は133人なので、全国の家庭の割合として読むことはできません。
あおぞら銀行の「シニアのリアル調査」を含め、祖父母のお金にまつわる調査の読み方は、お盆玉の記事で調査を並べて比べています。
子世帯側の帰省費用はいくらかかる?
往復交通費は家族の条件によって異なり、全国の目安になる数字は今回の資料では確認できませんでした。確かめられたのは、費用が上がったと感じている人の多さです。WILLER MARKETINGが2026年6月8〜14日に会員1,829人へ行った調査では、お盆に帰省する予定の人の50.0%が「昨年より帰省費用が上がった」と答えています。
同じ調査で「帰省予定なし」は47.1%でした。WILLERの会員に聞いた数字で、日本全体の帰省率ではありません。年末年始についてはインテージが2022年11月25〜28日に全国15〜79歳の2,583人へ聞いた調査があり、自分の実家へ帰省する予定は13%、配偶者の実家へは6%でした。2022年末〜2023年始の予定なので、2026年の年末年始にそのまま当てはまるとは限りません。
子世帯の負担を見積もるなら、大人と子どもの人数分の往復料金に、手みやげ代と実家での外食の分担を足しておきます。合計の数字が手元にあれば、両家で話すときに「交通費はこちらで出す」「食事はお願いしたい」と具体的に言えます。
旅行の予算を項目ごとに組み立てる手順は、帰省の見積もりにも使えます。
往復料金の合計は、子どもの運賃がいくらになるかで変わります。子ども料金の決まり方はこちらで整理しています。
両家で負担を決めるときの論点
交通費と、滞在中の食費や外出費を分けて話すと、誰がどこまで出すかを決めやすくなります。ハルメクの調査で最も多かったのは「一部を親が負担」で、どちらかが全額を持つより、一部ずつ出し合う形のほうが多いと読めます。
| 費目 | 決めておくこと |
|---|---|
| 往復の交通費 | 子世帯が出すか、親が一部を出すか |
| 滞在中の食費 | 実家で用意するか、外食の分を子世帯が持つか |
| 外出・レジャー費 | 孫と出かける分を誰が払うか |
| 手みやげ・お礼 | 渡すかどうか、渡すならどのくらいか |
自分の実家と配偶者の実家で、同じ決め方にならないこともあります。片方の親が交通費を出してくれていても、もう片方の親に同じことを頼むかは別の話です。どちらの実家にも交通費と滞在中の費用を分けて聞いておくと、両家の差が見えたときに夫婦で話し合えます。
帰省のときに親の暮らしで目を向けたいところは、冷蔵庫・郵便物・電話に分けて同じ回の記事にまとめました。
往復の交通費を一度計算したら、その数字を手元に置いて、まず滞在中の食事をどうするかを実家に聞いてみてください。食事の話から入ると、交通費の分担もその流れで切り出せます。
出典
すべて2026-10-17に確認。
- 子どもの帰省、親の負担相場は5万!?親子の経済事情(ハルメク・2023-08-07) https://halmek.co.jp/favorite/c/money/10208
- 2026年夏(お盆)の帰省コストに関する最新アンケート調査(WILLER MARKETING・2026-06-30) https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000437.000027749.html
- 「年末・年始の旅行や帰省」に関する予定を調査(インテージ・2022-12-20) https://www.intage.co.jp/news/1917/
- 「シニアのリアル調査」2019の紹介記事(サライ.jp・2019-08-14) https://serai.jp/living/376348
よくある質問
- 帰省費用は親が援助するものですか?
- 決まりはなく、家庭ごとに分かれています。ハルメクの2023年の調査(133人を集計)では、「全額親が負担」が17.9%、「一部を親が負担」が33.3%でした。援助するかどうかより、交通費と滞在中の費用のどちらを誰が持つかを話すと決めやすくなります。
- 帰省する側が全額負担するのが一般的ですか?
- 一般的とは言えません。同じ調査で「全額子どもが負担」は22.8%で、最も多いのは「一部を親が負担」の33.3%でした。回答者は133人で、全国の割合を示すものではありません。
- 親世帯の70%が帰省費用を負担しているのは本当ですか?
- ハルメクの2023年の調査で、約70%が親世帯に何らかの費用負担があると答えています。交通費に限らず、滞在中の食費やホテル代も含んだ数字です。集計対象は133人で、全国の実態とは言えません。
- 親が子どもの帰省の交通費を払うのは当たりまえですか?
- 当たりまえとは言えません。あおぞら銀行の2019年の調査では、交通費を負担するシニアは44.4%だったと紹介されています。55〜74歳の親側だけに聞いた調査で、一次資料は確認できていません。
memStock編集部は、家族の豊かな暮らしと家計管理を応援する記事制作チームです。ライフハック・節約・投資・保険など、日常生活とお金に関する実用的な情報を、確かな専門知識と多様な視点から分析・提供しています。読者の皆様が抱える日々の悩みや将来への不安を解消し、ワンランク上の生活を実現するためのヒントが詰まった記事をお届けします。 「家族の暮らしをより豊かに」をモットーに、わかりやすく実践的なコンテンツで皆様の人生設計をサポートします。
