iDeCoと企業型DCの違いと選び方

資産形成・投資memStock編集部(更新: 2026年10月13日)
iDeCoと企業型DCの違いと選び方

入社時の書類で「企業型確定拠出年金(企業型DC)」の説明を受けたものの、iDeCoとの違いがよく分からないまま、という方もいるでしょう。夫婦で老後資金の話をするときに「会社のDCがあるから、iDeCoには入れないのでは」と止まってしまう場面もあります。

勤め先に企業型DCがあっても、条件を満たせばiDeCoに加入できます。2022年10月から加入の要件が緩和され、会社員が「どちらか一方を選ぶ」制度ではなくなりました。この記事では、2つの制度の違いと併用の条件、上乗せの方法の選び方、2026年12月に予定されている改正を、厚生労働省と国民年金基金連合会(iDeCo公式サイト)の情報をもとに整理します。

企業型DCとiDeCoは、掛金を出す人が違う

どちらも、出した掛金を自分で運用し、その結果で将来の受取額が決まる「確定拠出年金」です。違いは、制度を実施する主体と、掛金を出す人にあります。

項目 企業型DC iDeCo
実施する主体 企業型年金規約の承認を受けた事業主 国民年金基金連合会
加入できる人 実施企業に勤める従業員 国民年金の第1号・第2号・第3号被保険者、任意加入被保険者
掛金を出す人 事業主(規約で定めれば加入者も上乗せできる=マッチング拠出) 加入者本人(iDeCo+を使う場合は事業主も拠出)
運用商品 運営管理機関が選んだ3〜35本から選ぶ 同じく3〜35本から選ぶ
加入者が出した掛金の税制 全額が所得控除(小規模企業共済等掛金控除) 全額が所得控除(小規模企業共済等掛金控除)

企業型DCの掛金は会社が出し、従業員は自分の口座で運用します。会社が出した掛金は、全額が会社の損金に算入されます。iDeCoは自分で金融機関を1社選んで加入し、自分で掛金を払います。

運用中の利益が非課税になる点と、受け取るときに年金なら公的年金等控除、一時金なら退職所得控除の対象になる点は共通です。原則として60歳から受け取れるのも同じです。運用商品は、どちらも途中で入れ替えることができます。

会社員はiDeCoとの併用ができる

2022年10月から、企業型DCの規約の定めによってiDeCoに入れなかった人も、iDeCoに加入できるようになりました。現在、企業年金に入っている会社員がiDeCoに加入するには、次の3つをすべて満たす必要があります。

  • iDeCoの掛金と、企業型DCの事業主掛金、DB等の他制度掛金相当額の合計が、各月の上限を超えない
  • 企業型DCとiDeCoの掛金が、どちらも毎月の拠出である
  • 企業型DCのマッチング拠出(加入者掛金)をしていない

2026年11月分までの上限は、企業年金がある会社員のiDeCoが月2万円で、会社の掛金などと合わせて月5万5,000円までです。企業型DCの上限は、月5万5,000円から確定給付企業年金(DB)などの他制度掛金相当額を引いた額です。会社の掛金が大きい人は、iDeCoに使える枠が2万円より小さくなり、最低額の5,000円を下回るとiDeCoには掛金を出せません。

会社の掛金額は、企業型DCの加入者向けウェブサイトで確かめられます。加入区分ごとの上限や、掛金をいくらにするかの決め方は、次の記事で詳しく扱っています。

マッチング拠出とiDeCo、どちらで上乗せするか

勤め先の企業型DCにマッチング拠出の仕組みがある場合、自分で掛金を上乗せする方法は「マッチング拠出」と「iDeCo」の2つです。どちらにするかは加入者ごとに選べますが、両方を同時に使うことはできません。

マッチング拠出は、企業型DCの口座に自分の掛金を足す方法です。これまでは「加入者掛金は事業主掛金の額を超えてはならない」という制限があり、会社の掛金が少ない人は上乗せできる額も少なくなっていました。この制限は2026年4月1日に撤廃され、会社の掛金と合わせて上限の範囲内なら、事業主掛金より多く出せるようになっています。マッチング拠出の掛金も、iDeCoと同じく小規模企業共済等掛金控除の対象です。

iDeCoは、企業型DCとは別の口座を、自分で選んだ金融機関に作る方法です。比べるときは、次の点を見ていくと判断しやすくなります。

  • 上乗せできる金額:マッチング拠出は会社の掛金と合わせた上限の範囲内、iDeCoは月2万円かつ会社の掛金と合わせた上限の範囲内(2026年11月分まで)
  • 運用商品:企業型DCは会社が契約した運営管理機関の商品から、iDeCoは自分で選んだ金融機関の商品から選ぶ
  • 手数料:iDeCoには金融機関ごとに異なる手数料がかかる。企業型DCの手数料の扱いは勤め先の資料で確かめる
  • 手続き:マッチング拠出は勤め先の規約と手続きに沿って申し込み、iDeCoは自分で金融機関に申し込む

勤め先の規約にマッチング拠出がなければ、上乗せの手段はiDeCoになります。まずは企業型DCの加入者向けウェブサイトや社内資料で、マッチング拠出の有無と会社の掛金額を確かめましょう。

加入できる年齢の違い

iDeCoは「20歳以上60歳未満」と書かれた古い資料がありますが、2022年5月から加入できる年齢が広がっています。会社員・公務員などの第2号被保険者は65歳未満まで加入でき、60歳以上65歳未満で国民年金に任意加入している人も加入できます。国民年金の第1号被保険者と第3号被保険者は、20歳以上60歳未満が対象です。

企業型DCは、2022年5月から、70歳未満の厚生年金被保険者を加入者にできるようになりました。ただし、何歳まで加入できるかは会社ごとに規約で決めていて、60歳より低い年齢にすることはできません。

2026年12月からの改正予定

2025年に成立した年金制度改正法(令和7年法律第74号)により、2026年12月1日から次の見直しが予定されています。

会社員・公務員のiDeCoの上限は、企業年金の有無による違いがなくなり、企業年金と共通の月6万2,000円の枠に一本化されます。企業年金がある人は、6万2,000円から会社の掛金などを引いた残りがiDeCoの枠です。企業型DCの上限も、月5万5,000円から6万2,000円に引き上げられます。ただし、2024年12月の見直しの際の経過措置で旧制度が適用されている人の企業型DCの上限は、従来どおり月2万7,500円です。

iDeCoの加入可能年齢は、65歳未満から70歳未満に引き上げられます。対象は、iDeCoの加入者・運用指図者や、企業年金からiDeCoに資産を移す人などで、老齢基礎年金やiDeCoの老齢給付金を受け取っておらず、マッチング拠出をしていないことが条件です。企業型DCで積み立ててきた人が、退職後にiDeCoへ資産を移して70歳になるまで積み立てを続ける、という道が開かれます。

転職・退職したときの資産の移し方

確定拠出年金の資産は、転職や退職をしても持ち運べます。企業型DCに入っていた人が、企業型DCのない会社に転職したときや、退職して自営業や専業主婦・主夫になったときは、資産をiDeCoに移す手続きをします。転職先に企業型DCがあれば、そちらに移すこともできます。

注意したいのは、手続きをしないまま放置した場合です。企業型DCの加入資格を失ってから6か月以内に移換などの手続きをしないと、資産は国民年金基金連合会に自動で移されます。自動移換されると資産は運用されず、管理手数料が差し引かれ、その期間は受け取りの要件になる加入期間に数えられません。受け取り開始が遅れる場合もあるので、退職が決まったら会社の担当部署に移換の手続きを確かめておきましょう。

iDeCoそのものの仕組みは、次の記事で解説しています。

出典

よくある質問

会社に企業型DCがあっても、iDeCoに入れますか?
入れます。iDeCoの掛金と会社の掛金の合計が上限の範囲内であること、どちらも毎月の拠出であること、マッチング拠出をしていないことが条件です。会社の掛金が大きく、iDeCoに使える枠が月5,000円を下回る場合は加入できません。
マッチング拠出とiDeCoは両方使えますか?
同時には使えません。上乗せの手段として、どちらか一方を加入者ごとに選びます。マッチング拠出は2026年4月から、事業主掛金を超える額も出せるようになっています。
公務員は企業型DCに入れますか?
入れません。企業型DCの加入対象は、厚生年金の第1号厚生年金被保険者と第4号厚生年金被保険者で、公務員は含まれません。公務員はiDeCoに加入でき、2026年11月分までの上限は月2万円です。2026年12月分からは、会社員と同じく企業年金等と共通の月6万2,000円の枠に一本化される予定です。
退職したら企業型DCの資産はどうなりますか?
iDeCoや転職先の企業型DCなどに移せます。資格を失ってから6か月以内に手続きをしないと国民年金基金連合会に自動移換され、運用されないまま管理手数料がかかります。
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この記事を書いた人

memStock編集部

memStock編集部は、家族の豊かな暮らしと家計管理を応援する記事制作チームです。ライフハック・節約・投資・保険など、日常生活とお金に関する実用的な情報を、確かな専門知識と多様な視点から分析・提供しています。読者の皆様が抱える日々の悩みや将来への不安を解消し、ワンランク上の生活を実現するためのヒントが詰まった記事をお届けします。 「家族の暮らしをより豊かに」をモットーに、わかりやすく実践的なコンテンツで皆様の人生設計をサポートします。

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この記事を監修した人

山田 尚貴

カリフォルニア州立大学ロングビーチ校卒業後、NTTPCコミュニケーションズでシステムエンジニアとして金融機関等のシステム運用などに携わる。2009年、株式会社エニドアを創業し代表取締役に就任。クラウドソーシングサービスの開発・提供を行う。M&Aにより会社を売却後、上場企業のグループ会社の経営を6年行った後、株式会社modoを創業し代表取締役に就任。家族向けのサービスmemStockの開発を行う。 二級ファイナンシャル・プランニング技能士、証券外務員一種を保有。2児の父。

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