iDeCoの運用商品はどう選ぶ?

資産形成・投資memStock編集部(更新: 2026年10月13日)
iDeCoの運用商品はどう選ぶ?

iDeCoの申し込みを終えると、金融機関から運用商品の一覧が届きます。定期預金、保険、国内株式型、外国債券型、バランス型と名前が並び、掛金を何%ずつ振り分けるかを決める段になって手が止まる方も多いでしょう。

iDeCoでは、どの商品をどれだけ買うかを加入者本人が決めます。金融機関は商品の説明はしますが、特定の商品を勧めることはできません。この記事では、国民年金基金連合会(iDeCo公式サイト)と厚生労働省の情報をもとに、運用商品の種類、商品を選ばなかった場合の扱い、配分の決め方、手数料の種類を整理します。特定の金融機関や個別の商品は取り上げません。

運用商品は元本確保型と投資信託の2種類

iDeCoで選べる商品は、加入時に1社だけ選ぶ金融機関(運営管理機関)が用意します。厚生労働省によると、運営管理機関は必ず3本以上35本以下の商品を選定して加入者に示すことになっています。iDeCoを扱う金融機関は約160あり、商品の顔ぶれは金融機関ごとに違うので、申し込む前に資料を取り寄せて比べておけます。

商品は大きく「元本確保型」と「投資信託」に分かれます。元本確保型は、原則として元本が確保され、所定の利息が上乗せされる商品で、代表例は定期預金と保険商品です。ここでいう保険商品は、iDeCoの中で元本を確保しながら積み立てる商品のことで、万一に備えて入る定期保険や終身保険とは別物です。

元本確保型にも弱みがあります。iDeCo公式サイトは、利息の額を手数料が上回る場合があること、低金利の状況では元本確保型だけでは資産が増えにくいことを挙げています。元本確保型を選ぶときは、利率に加えて、解約控除の有無などの留意点も確かめておきましょう。

投資信託は、多くの投資家から集めたお金を専門家がまとめ、株式や債券などで運用する商品です。値動きがあり、元本を下回る可能性があります。投資する資産と地域によって国内株式型、国内債券型、外国株式型、外国債券型の4つに分かれ、ほかに複数の資産を組み合わせたバランス型、不動産に投資するREIT(不動産投資信託)、目標の年に向けて安定運用の割合を増やしていくターゲット・イヤー型があります。

運用のしかたにも2つの型があります。日経平均株価などの市場平均と同じ動きを目指すのがパッシブ型(インデックス運用)、市場平均を上回る収益を目指すのがアクティブ型です。パッシブ型は信託報酬が低く抑えられているものが多く、アクティブ型は市場平均を上回る収益が約束されているわけではありません。

商品を選ばないと「指定運用方法」で運用される

加入したまま商品を選ばずにいると、どうなるのでしょうか。運営管理機関が「指定運用方法」を定めている場合、最初の掛金が納付された日から一定期間が過ぎても選ばなければ、指定運用方法を選んだものとみなされ、その商品が購入されます。一定期間は、特定期間3か月以上と猶予期間2週間以上の範囲で運営管理機関が定めます。

指定運用方法は、本人が選ばないときのための仕組みで、本人の状況に合わせて選ばれた商品ではありません。企業型確定拠出年金についての厚生労働省の通知は、元本確保型が指定運用方法になっている場合、より収益を上げる投資機会を逃す可能性や、インフレになれば実質的な購買力を確保できない可能性があることを、加入者に伝えるよう求めています。

指定運用方法を定めていない運営管理機関もあります。加入の手続きの段階で、商品と配分を自分で指定しておくのが確実です。

配分は元本確保型と投資信託の割合から決める

iDeCo公式サイトの資産運用ガイドは、配分を2段階で考える手順を紹介しています。まず元本確保型と投資信託にどのくらい振り分けるかを決め、次に投資信託の中で株式型・債券型などの種類ごとの割合を決めます。

割合の目安になるのが、損失をどこまで受け入れられるかという「リスク許容度」です。公式サイトは、今後の収入や資産が増える見通し、支出と貯蓄の状況(iDeCo以外の老後資産の準備)、年齢などから総合的に判断するとしています。リスク許容度が高い人は株式型の投資信託を多めに、低い人は株式型を減らして元本確保型を組み入れる、という配分が例として挙がっています。

大きなリターンを求めるほどリスク(収益の振れ幅)も大きくなり、リスクを抑えるほどリターンも小さくなります。iDeCoの資産は原則60歳まで引き出せないため、長い期間をかけて運用し、毎月の掛金で一定額ずつ買い続け、資産や地域を分けて持つ「長期・積立・分散投資」で値動きの影響を和らげる考え方が基本です。ただし、積立でも価格が下がれば損失が出ることはあり、運用で生じた損失の補てんはありません。

商品をいくつも組み合わせるのが難しければ、1本で複数の資産に分散しているバランス型や、目標の年に向けて配分を変えていくターゲット・イヤー型を選ぶ方法もあります。投資経験がないうちは元本確保型を多めにして始めることもできます。投資信託を選ぶときは、交付目論見書でファンドの目的・特色、運用実績、投資リスクを確かめましょう。

手数料は口座にかかるものと商品にかかるもの

iDeCoの手数料は、口座を持っていることでかかるものと、商品ごとにかかるものに分けると整理しやすくなります。

口座の手数料を受け取るのは、国民年金基金連合会、運営管理機関、積立金の管理などを担う事務委託先金融機関です。国民年金基金連合会の手数料は、加入時や資産を移したときに初回だけ税込2,829円、加入者が掛金を納めるたびに税込105円で、掛金から差し引かれます。運営管理機関と事務委託先金融機関の手数料は金融機関によって異なります。

掛金を納めるたびにかかる105円は、掛金が少ないほど割合が大きくなります。月5,000円の掛金なら掛金の2.1%、月2万円なら約0.5%に当たり、ここに金融機関ごとの手数料が加わります。

商品にかかる手数料の中心は、投資信託を保有している間、資産の額に応じて差し引かれる信託報酬です。販売手数料がかかる投資信託もあります。金融機関を選ぶ段階で、口座の手数料と、運用したい商品の信託報酬を並べて比べておくと安心です。運営管理機関は後から変更できますが、商品を現金化するなどして資産を移すため、書類の提出から2〜3か月ほどかかり、手数料がかかる場合もあります。

掛金の上限や、家計に合わせた掛金の決め方は、次の記事で扱っています。

始めた後は年1回、配分を確かめる

運用状況は、記録関連運営管理機関から少なくとも年1回届く通知や、金融機関のウェブサイトで確かめられます。値動きによって当初の配分から大きくずれていたら、元の割合に戻す「リバランス」を検討します。配分が大きく変わっていなければ、リバランスをしなくてもかまいません。

配分を直す方法は2通りです。1つは、これから払う掛金の配分割合を変える方法で、保有している商品は売らずに、増えすぎた商品への配分を減らします。もう1つは、保有している商品を売って別の商品を買う「スイッチング」です。スイッチングは、売買の実行まで日数がかかったり、コストがかかったりする場合があります。

運用商品の変更は、原則としていつでもできます。一方、掛金の額を変えられるのは1年(12月分から翌年11月分の掛金の間)に1回だけなので、商品の入れ替えと混同しないようにしましょう。年齢や家計の状況が変われば、運用目標やリスク許容度も変わります。そうした節目に、配分と商品の両方を見直してみてください。

iDeCoの仕組みや税制上の優遇は、次の記事で解説しています。

出典

よくある質問

iDeCoの運用商品は途中で変更できますか?
できます。加入した金融機関が示している商品の範囲内で、基本的にいつでも売買できます。保有している商品を売って別の商品を買うスイッチングは、実行まで日数がかかったり、コストがかかったりする場合があります。
元本確保型だけで運用してもかまいませんか?
かまいません。掛金の全額が所得控除になる点は、どの商品を選んでも変わりません。ただし、利息の額を手数料が上回る場合があり、低金利の状況では資産が増えにくくなります。
運用で損をしたら補てんされますか?
されません。iDeCoの運用は、加入者や運用指図者の自己責任で行われ、損失が出ても補てんはありません。
金融機関が破綻したら、資産はどうなりますか?
運用資産は信託財産として信託銀行で管理されているため、運営管理機関が破綻しても資産は守られます。預金や保険商品を提供する金融機関が破綻した場合は、預金保険機構や生命保険契約者保護機構の取り扱いに準じます。
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この記事を書いた人

memStock編集部

memStock編集部は、家族の豊かな暮らしと家計管理を応援する記事制作チームです。ライフハック・節約・投資・保険など、日常生活とお金に関する実用的な情報を、確かな専門知識と多様な視点から分析・提供しています。読者の皆様が抱える日々の悩みや将来への不安を解消し、ワンランク上の生活を実現するためのヒントが詰まった記事をお届けします。 「家族の暮らしをより豊かに」をモットーに、わかりやすく実践的なコンテンツで皆様の人生設計をサポートします。

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この記事を監修した人

山田 尚貴

カリフォルニア州立大学ロングビーチ校卒業後、NTTPCコミュニケーションズでシステムエンジニアとして金融機関等のシステム運用などに携わる。2009年、株式会社エニドアを創業し代表取締役に就任。クラウドソーシングサービスの開発・提供を行う。M&Aにより会社を売却後、上場企業のグループ会社の経営を6年行った後、株式会社modoを創業し代表取締役に就任。家族向けのサービスmemStockの開発を行う。 二級ファイナンシャル・プランニング技能士、証券外務員一種を保有。2児の父。

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