iDeCoの掛金はいくらにする?

家計・物価memStock編集部(更新: 2026年10月13日)
iDeCoの掛金はいくらにする?

10月下旬になると、iDeCoの掛金の控除証明書が届きます。2026年分は電子データが10月21日から順次、ハガキは10月23日に発送される予定です。年末調整の書類に添えながら、「今の掛金のままでいいのか」「上限まで増やしたほうがいいのか」と考える方もいるでしょう。

2026年は、掛金の上限そのものが変わる年でもあります。12月分の掛金から、会社員・公務員の上限が月6.2万円に引き上げられる予定です。この記事では、いまの上限と改正後の上限、税率ごとの節税額、家計と年代から金額を決める順番を、国民年金基金連合会(iDeCo公式サイト)・厚生労働省・国税庁の情報をもとに整理します。

掛金のルールと、加入区分ごとの上限

iDeCoの掛金は、月5,000円以上、1,000円単位で自分で決めます。金額の変更は1年(12月分から翌年11月分まで)に1回だけできます。拠出はいつでも止められるので、家計が苦しい時期は休むという選択もあります。

掛金の上限は、国民年金の加入区分と、勤め先の企業年金によって決まります。2026年11月分までの上限は次のとおりです。

加入区分 月額の上限(2026年11月分まで)
自営業者・フリーランス等(第1号) 6万8,000円(国民年金基金・付加保険料と合算)
会社員で企業年金がない人(第2号) 2万3,000円
会社員で企業年金がある人・公務員(第2号) 2万円(会社の掛金等と合わせて5万5,000円まで)
専業主婦・主夫等(第3号) 2万3,000円
国民年金の任意加入者 6万8,000円(国民年金基金・付加保険料と合算)

企業年金がある会社員と公務員の上限は、2024年12月に月1万2,000円から2万円に引き上げられました。古い資料に「1.2万円」とあるのは、この見直し前の数字です。ただし、企業型DCの事業主掛金と、確定給付企業年金(DB)などの「他制度掛金相当額」を足して5万5,000円を超えることはできません。会社の掛金が大きいと、iDeCoに使える枠は2万円より小さくなります。

勤め先の掛金額は、企業型DCなら加入者向けウェブサイトに表示され、DBなら規約に記載されています。公務員の共済掛金相当額は月8,000円と告示で決まっています。

なお、企業年金に入っている人と公務員は、年に1回などまとめて払う「月別指定(年単位)拠出」を選べず、毎月定額で払う形になります。

2026年12月分から上限が引き上げられる予定

2025年に成立した年金制度改正法(令和7年法律第74号)により、2026年12月1日から確定拠出年金の上限が見直される予定です。iDeCo公式サイトは、2026年12月分(2027年1月引き落とし分)から上限が引き上げられると案内しています。

加入区分 見直し後の月額の上限(2026年12月分から・予定)
第1号・任意加入者 7万5,000円(国民年金基金等と合算)
第2号(企業年金の有無を問わない) 6万2,000円(企業年金等と合算)
第3号 2万3,000円(変更なし)

会社員・公務員は、企業年金の有無による違いがなくなり、企業年金と共通の6万2,000円の枠に一本化されます。企業年金がない会社員なら、上限は2万3,000円から6万2,000円になります。企業年金がある人は、6万2,000円から会社の掛金(企業型DCの事業主掛金とDB等の他制度掛金相当額)を引いた残りがiDeCoの枠です。

加入できる年齢も、現在の65歳未満から70歳未満に引き上げられます。対象は、iDeCoの加入者や運用指図者、企業年金からiDeCoに資産を移す人などで、老齢基礎年金やiDeCoの老齢給付金を受け取っていないことが条件です。2029年11月末までは経過措置として、これに当たらない60歳以上70歳未満の人も新たに加入できます。

上限が上がっても、掛金が自動で増えるわけではありません。増額したい場合は、金融機関で掛金額の変更手続きをします。

節税額は所得税率で決まる

iDeCoの掛金は、全額が「小規模企業共済等掛金控除」として所得から差し引かれます。差し引かれた分だけ所得税と住民税が軽くなるので、節税額は「年間の掛金×税率」でおおよそ計算できます。

住民税の所得割は一律10%です。所得税は課税所得に応じて5%から45%の7段階で、2026年分は所得税額の2.1%の復興特別所得税が加わります。月2万円(年24万円)を拠出した場合の節税額は、次のとおりです。

課税所得(所得税率) 所得税+復興特別所得税 住民税 合計
195万円未満(5%) 約1万2,252円 2万4,000円 約3万6,252円
195万〜330万円未満(10%) 約2万4,504円 2万4,000円 約4万8,504円
330万〜695万円未満(20%) 約4万9,008円 2万4,000円 約7万3,008円

課税所得は、源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」から「所得控除の額の合計額」を引いた金額が目安です。年収が同じ500万円でも、扶養している家族や社会保険料によって課税所得は変わります。課税所得が195万〜330万円の区分なら、年24万円の掛金で減る税金は約4.9万円です。「年収500万円なら約7.2万円」という計算は、所得税率20%の区分に当たる人の数字になります。

課税所得が区分の境目に近い人は、掛金を引いた結果、一部が低い税率になるため、表より節税額が小さくなります。所得税の軽減は年末調整や確定申告で、住民税の軽減は翌年度の税額で反映されます。住民税は前年1年間の所得で計算されるためです。

課税所得がない人は、掛金を払っても所得控除の効果はありません。控除は本人の所得からだけ差し引かれ、配偶者の所得からは引けないため、専業主婦・主夫の方が加入する場合は節税よりも運用益が非課税になる点が主な利点になります。なお、2027年分以後は復興特別所得税の税率が1.1%に下がり、別に防衛特別所得税が加わります。

掛金を決める順番

iDeCoに積み立てたお金は、原則として60歳まで引き出せません。そのため、上限や節税額から逆算するより、家計から決めるほうが無理がありません。

まず、手取りから毎月の固定費と生活費を引き、残りを確かめます。次に、急な出費に備える預貯金と、数年以内に必要になるお金(車の買い替え、住宅の頭金、進学費用など)を、iDeCoとは別に確保します。それでも毎月残る金額のうち、60歳まで手を付けなくてよい分がiDeCoに回せる上限です。

迷う場合は、月5,000円などの少額から始め、家計の様子を見て年1回の変更で調整する方法もあります。iDeCoには金融機関ごとに異なる手数料がかかります。掛金が少ないほど、掛金に対する手数料の割合は大きくなるので、加入前に金融機関の手数料を確かめておくと安心です。

年代ごとの考え方

20代から30代は、60歳まで積み立てる期間が長いぶん、少額でも元本が積み上がります。月1万円を30年続けると、元本だけで360万円です。一方で、結婚や住宅購入、出産など、まとまったお金が必要な出来事が重なりやすい時期でもあります。引き出せない資産に回しすぎないよう、少額から始めて昇給などに合わせて増やす形が向いています。

40代は、子どもの進学費用の準備と老後資金づくりが重なる家庭が出てくる時期です。教育費として使う予定のお金は、60歳まで引き出せないiDeCoではなく、預貯金やNISAなど別の手段で用意しておくと安心です。税率が上がっている人は節税額も大きくなるので、源泉徴収票で課税所得を確認してから金額を決めましょう。

50代は、加入できる期間が短くなります。60歳から受け取るには、60歳までの加入期間などが通算10年以上必要で、8年以上10年未満なら61歳から、1か月以上2年未満なら65歳からというように、受け取り開始が遅れます。50歳から月2万円を10年続けた場合の元本は240万円です。2026年12月からは条件を満たせば70歳未満まで掛金を出し続けられる予定なので、退職後の働き方とあわせて、いつまで拠出するかを考えておきましょう。

2026年12月の改正の詳しい内容は、次の記事で紹介しています。

企業型確定拠出年金との違いや併用の条件は、次の記事にまとめています。

iDeCoの仕組みそのものを確かめたい方は、こちらもあわせてご覧ください。

出典

よくある質問

掛金はいつでも変えられますか?
掛金額の変更は、12月分から翌年11月分までの1年に1回だけです。拠出を止めることはいつでもできます。2026年12月の上限引き上げにあわせて増額したい場合も、金融機関での変更手続きが必要です。
会社員で企業年金がある場合、上限はいくらですか?
2026年11月分までは月2万円で、会社の掛金(企業型DCの事業主掛金とDB等の他制度掛金相当額)と合わせて月5万5,000円までです。2026年12月分からは、会社の掛金と合わせて月6万2,000円までに変わる予定です。具体的な残りの枠は、勤め先の掛金額を確かめて計算します。
節税額はどのくらいになりますか?
年間の掛金に、所得税率(復興特別所得税を含む)と住民税率10%を掛けた金額がおおよその目安です。課税所得が195万〜330万円の人が年24万円を拠出すると、約4万8,504円です。課税所得がない人は節税になりません。
専業主婦・主夫でも上限は上がりますか?
第3号加入者の上限は月2万3,000円で、2026年12月の見直し後も変わりません。所得がなければ掛金の所得控除は受けられず、配偶者の所得から差し引くこともできません。
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この記事を書いた人

memStock編集部

memStock編集部は、家族の豊かな暮らしと家計管理を応援する記事制作チームです。ライフハック・節約・投資・保険など、日常生活とお金に関する実用的な情報を、確かな専門知識と多様な視点から分析・提供しています。読者の皆様が抱える日々の悩みや将来への不安を解消し、ワンランク上の生活を実現するためのヒントが詰まった記事をお届けします。 「家族の暮らしをより豊かに」をモットーに、わかりやすく実践的なコンテンツで皆様の人生設計をサポートします。

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この記事を監修した人

山田 尚貴

カリフォルニア州立大学ロングビーチ校卒業後、NTTPCコミュニケーションズでシステムエンジニアとして金融機関等のシステム運用などに携わる。2009年、株式会社エニドアを創業し代表取締役に就任。クラウドソーシングサービスの開発・提供を行う。M&Aにより会社を売却後、上場企業のグループ会社の経営を6年行った後、株式会社modoを創業し代表取締役に就任。家族向けのサービスmemStockの開発を行う。 二級ファイナンシャル・プランニング技能士、証券外務員一種を保有。2児の父。

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