iDeCoはいつから・どう受け取る?

資産形成・投資memStock編集部(更新: 2026年10月13日)
iDeCoはいつから・どう受け取る?

50代に入ると、iDeCoの残高のお知らせを見ながら「これをいつ、どの形で受け取るのか」を考える場面が出てきます。勤め先の退職金を受け取る時期が近い人なら、両方を受け取る順番で税金が変わるのかも気になるところです。

2026年は、iDeCoの一時金と退職金の受け取り時期に関わる税のルールが変わった年です。受け取りを始められる年齢、一時金・年金・併用の違い、退職所得控除の計算と時期による調整を、国民年金基金連合会(iDeCo公式サイト)・厚生労働省・国税庁の情報をもとに、2026年10月時点の内容で整理します。

受け取れるのは原則60歳から、請求は75歳まで

iDeCoの年金資産は、「老齢給付金」として原則60歳から受け取れます。ただし60歳から受け取るには、60歳になるまでの確定拠出年金の通算加入者等期間が10年以上必要です。通算加入者等期間は、掛金を出していた加入者期間と、掛金を止めて運用だけを続けていた運用指図者期間を合わせた期間で、60歳到達月の翌月以降は数えません。10年に満たない場合は、受け取り始められる年齢が次のように遅くなります。

通算加入者等期間 受け取り始められる年齢
10年以上 60歳
8年以上10年未満 61歳
6年以上8年未満 62歳
4年以上6年未満 63歳
2年以上4年未満 64歳
1か月以上2年未満 65歳

60歳以上で初めてiDeCoに加入した人は、加入から5年を経過した日から受け取れます。受け取りを始める時期は、受け取れる年齢になってから75歳になるまでの間で選びます。75歳までに請求しなかった場合、年金資産は法務局に供託されます。請求先は、記録関連運営管理機関(RK)です。

老齢給付金のほかに、国民年金の障害基礎年金を受けられる障害の状態になったときの「障害給付金」と、加入者が亡くなったときに遺族が受け取る「死亡一時金」があります。

受け取りを始める時期は、掛金をいつまで出し続けるかとあわせて考えます。iDeCoの老齢給付金を受け取った人は、一括で受け取った場合も含めて、iDeCoに加入できません。2026年12月1日からは、老齢基礎年金やiDeCoの老齢給付金を受け取っていないことなどを条件に、60歳以上70歳未満の人も加入や拠出を続けられるようになる予定です。受け取りを始めた時点で、その後の積み立ては止まります。

一時金・年金・併用の違い

受け取り方は、一括で受け取る一時金、分けて受け取る年金、両方を組み合わせる併用から選びます。

一時金は、受け取れる年齢になってから75歳になるまでの間に、全額を一度に受け取る方法です。退職前後のリフォームや借入金の返済など、まとまった支出に充てやすい形です。

年金は、5年以上20年以下の期間で、運営管理機関(加入時に選んだ金融機関)が定める方法で受け取ります。受け取りを始める時期は、一時金と同じく75歳になるまでの間で選びます。運営管理機関によっては、終身年金として受け取れる場合もあります。

併用は、受け取れる年齢になった時点で年金資産の一部を一時金で受け取り、残りを年金で受け取る方法です。併用を取り扱っていない運営管理機関もあるため、加入している金融機関に確かめておきます。

受け取り方によって、主に税金と手数料が変わります。給付の事務には事務委託先金融機関の手数料がかかり、その額は金融機関によって異なります。年金で分けて受け取る場合は、手数料も含めて運営管理機関に確かめておくと安心です。

一時金は退職所得、年金は公的年金等として課税

iDeCoの一時金は、税法上は退職金と同じ「退職所得」とみなされます。退職所得の金額は「(受け取った額−退職所得控除額)×1/2」で計算し、給与や年金などほかの所得とは分けて税額を出します。

退職所得控除額は勤続年数で決まります。20年以下なら40万円×勤続年数(80万円に満たない場合は80万円)、20年を超えると800万円+70万円×(勤続年数−20年)です。iDeCoの一時金の場合、勤続年数に当たるのはiDeCoの加入者期間で、企業型DCの加入者期間と重なっていない期間は合算します。1年未満の端数は1年に切り上げます。

例えばiDeCoに20年加入していた場合、控除額は40万円×20年=800万円です。ほかに退職金などがなければ、一時金が800万円以下である限り退職所得は0円になります。

一時金を受け取る前に「退職所得の受給に関する申告書」を出しておくと、支払いの際に源泉徴収で課税が済み、原則として確定申告は要りません。出していない場合は支払額の20.42%が源泉徴収され、確定申告で精算します。

年金で受け取る場合は、公的年金等控除の対象です。老齢基礎年金や老齢厚生年金などと合わせた公的年金等の収入合計から公的年金等控除額を差し引き、雑所得として計算します。公的年金等の収入が400万円以下で、それ以外の所得が20万円以下なら、確定申告は不要です。

退職金と近い時期に受け取ると控除が調整される

会社員の場合、iDeCoの一時金と勤め先の退職金の両方で退職所得控除を使います。ただし、勤め先の勤続期間とiDeCoの加入者期間は重なっていることが多く、近い時期に受け取ると、重なった期間の控除を二重に使わないよう調整されます。調整の対象になる間隔は、受け取る順番で異なります。

受け取る順番 調整の対象になる場合
同じ年に受け取る 両方を合算して計算。勤続年数は最も長い期間に、重なっていない期間を足して数える
退職金が先、iDeCo一時金が後 一時金を受け取る年の前年以前19年内に退職金を受け取っている
iDeCo一時金が先、退職金が後 退職金を受け取る年の前年以前9年内に、2026年1月1日以後のiDeCo一時金を受け取っている(2025年までの一時金は前年以前4年内)

iDeCo一時金を先に受け取る順番は、以前は「前年以前4年内」で判定されていました。一時金を受け取った年から5年空けて退職金を受け取れば、調整はありませんでした。令和7年度の税制改正(2025年3月公布の改正所得税法)で、2026年1月1日以後に受け取ったiDeCoの一時金については「前年以前9年内」に延びています。2026年に一時金を受け取った場合、2027年から2035年までに受け取る退職金は調整の対象で、2036年以降なら対象外です。

退職金を先に受け取る順番は、前年以前19年内です。60歳以降に退職金を受け取った人の場合、iDeCoの請求期限の75歳までに、この期間を空けることはできません。

調整されるときは、本来の退職所得控除額から、重なった期間の年数(1年未満は切り捨て)をもとに計算した控除額を差し引きます。先に受け取った一時金や退職金の額がその控除額に満たなかったときは、重なった期間を短く数えます。先に受け取った額が800万円以下なら、「受け取った額÷40万円」の年数(1未満の端数は切り捨て)だけが重なったものとして扱います。

計算例:60歳でiDeCo一時金、65歳で退職金

次の前提で、受け取る時期による違いを計算します。22歳で入社して65歳で退職し(勤続43年)、退職金は2,000万円。iDeCoには在職中の40歳から60歳まで加入し(加入者期間20年、企業型DCはなし)、2026年以降の60歳の時点で一時金800万円を受け取るとします。

iDeCo一時金の退職所得控除額は、40万円×20年=800万円です。一時金800万円から控除額を引くと0円で、退職所得はかかりません。

5年後に受け取る退職金は、前年以前9年内にiDeCo一時金を受け取っているため調整の対象です。勤続43年の控除額は800万円+70万円×23年=2,410万円です。iDeCoの加入者期間20年は勤続期間とすべて重なるので、20年分の控除額800万円を差し引き、控除額は1,610万円になります。退職所得は(2,000万円−1,610万円)×1/2=195万円で、源泉徴収される所得税と復興特別所得税は195万円×5%×102.1%=9万9,547円です。

同じ受け取り方でも、一時金を2025年以前に受け取っていた場合は、前年以前4年内で判定されるため調整はありません。控除額2,410万円が退職金2,000万円を上回り、退職所得はかかりませんでした。

65歳の同じ年に両方を受け取る場合は、合計2,800万円から勤続43年の控除額2,410万円を差し引き、(2,800万円−2,410万円)×1/2=195万円です。5年空けた場合と同じ結果になります。

iDeCoを年金で受け取る場合、調整の対象は一時金なので、退職金の控除額は2,410万円のまま使えます。その代わり、iDeCoの年金は公的年金と合算して公的年金等控除を差し引くため、公的年金の額によっては税金がかかります。

どの受け取り方が有利かは、退職金の額と支給時期、公的年金の額、ほかの所得で変わります。勤め先の退職金規程で見込み額と支給時期を確かめ、iDeCoの残高と並べて計算してみると、受け取る順番と形を決めやすくなります。

2026年12月からの掛金の上限や加入年齢の見直しは、次の記事で紹介しています。

iDeCoの仕組みそのものを確かめたい方は、こちらもあわせてご覧ください。

出典

よくある質問

iDeCoの受け取りは何歳まで遅らせられますか?
受け取りを始める時期は、受け取れる年齢になってから75歳になるまでの間で選べます。75歳までに請求しないと、年金資産は法務局に供託されます。
iDeCoを一時金で受け取ると税金はかかりますか?
一時金は退職所得として扱われ、加入者期間に応じた退職所得控除を差し引いた残りの2分の1に課税されます。20年加入なら控除額は800万円で、ほかに退職金などがなければ、一時金がこの額以下である限り退職所得はかかりません。
iDeCo一時金と退職金は、何年空ければ控除が調整されませんか?
2026年1月1日以後にiDeCo一時金を先に受け取った場合は、退職金を受け取る年の前年以前9年内に一時金がなければ調整されません。2026年に一時金を受け取ったなら、退職金が2036年以降であれば対象外です。退職金が先の場合は前年以前19年内が対象です。
受け取りを始めた後も掛金を出せますか?
iDeCoの老齢給付金を受け取った人は、一括で受け取った場合も含めてiDeCoに加入できません。2026年12月1日から予定されている70歳未満までの加入の拡大も、老齢給付金を受け取っていないことが条件です。
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この記事を書いた人

memStock編集部

memStock編集部は、家族の豊かな暮らしと家計管理を応援する記事制作チームです。ライフハック・節約・投資・保険など、日常生活とお金に関する実用的な情報を、確かな専門知識と多様な視点から分析・提供しています。読者の皆様が抱える日々の悩みや将来への不安を解消し、ワンランク上の生活を実現するためのヒントが詰まった記事をお届けします。 「家族の暮らしをより豊かに」をモットーに、わかりやすく実践的なコンテンツで皆様の人生設計をサポートします。

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この記事を監修した人

山田 尚貴

カリフォルニア州立大学ロングビーチ校卒業後、NTTPCコミュニケーションズでシステムエンジニアとして金融機関等のシステム運用などに携わる。2009年、株式会社エニドアを創業し代表取締役に就任。クラウドソーシングサービスの開発・提供を行う。M&Aにより会社を売却後、上場企業のグループ会社の経営を6年行った後、株式会社modoを創業し代表取締役に就任。家族向けのサービスmemStockの開発を行う。 二級ファイナンシャル・プランニング技能士、証券外務員一種を保有。2児の父。

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