子どものSNS、国は年齢の一律制限を提案していません

生活/暮らしmemStock編集部
子どものSNS、国は年齢の一律制限を提案していません

「クラスでスマホを持っていないの、自分だけなんだけど」。小学5年生の子にそう言われて、年末のプレゼントにするか、中学入学まで待つか迷っている家庭もあるのではないでしょうか。そんな時期に「オーストラリアでは16歳未満がSNSのアカウントを持てなくなった」というニュースを見ると、日本もそうなるのか、いま買って大丈夫なのか、と気になります。

日本の国の検討は、2026年7月に中間整理がまとまり、12月の最終報告に向けて議論が続いています。国の資料に書かれていることと、まだ書かれていないことを分けたうえで、家庭でいま決められることを考えます。

7月の中間整理に書かれていること

こども家庭庁の「青少年インターネット環境整備法の在り方等に関する検討ワーキンググループ(WG)」は、2026年7月31日に中間整理報告書を公表しました。青少年インターネット環境整備法は、18歳未満の子どもが安心してネットを使えるよう、携帯電話会社などの役割を定めた法律です。中間整理は、その見直しに向けた途中段階のまとめにあたります。

報告書は、一定の年齢未満の子どもがSNSを使うことを法律で制限する制度を提案していません。諸外国で一部導入されているこうした制度の是非は、子どもの保護と権利利益とのバランスや国際的な議論の動向などを踏まえて、「政府において引き続き議論を重ね」るとしています。「日本も◯歳未満は禁止」と決まった事実は、現時点ではありません。

今後は、WGが令和8年(2026年)12月を目途に最終報告をまとめ、そのあと法改正に向けた準備が、法律を所管する省庁を中心に進められる流れです。いつから何が変わるかを示す一次資料は、まだ出ていません。10月6日に予定されている第9回会合では、ペアレンタルコントロールなどを含む「技術的保護手段の在り方」が議題として公表されています。

比較として、オーストラリアでは2025年12月10日から、16歳未満の子どもがSNSのアカウントを持たないよう、事業者に合理的な措置をとる義務が課されています。義務を負うのは事業者です。日本の議論は、年齢による一律の制限を決める段階にはまだ入っていません。

「13歳から」は誰が決めている数字なのか?

InstagramやTikTokは13歳から、とよく聞きます。この「13歳」は日本の法律で決まっている年齢ではなく、各社が利用規約で定めている最低年齢です。2026年10月1日時点で規約の原文を確認すると、X、TikTok、YouTube、Instagramはいずれも13歳以上としていました。YouTubeは、保護者が有効にすれば13歳未満の子どもも利用できると定めています。

LINEの規約には最低年齢の定めがなく、未成年は親権者などの同意を得て使うこととされています。そのうえで、携帯電話会社と連携した年齢確認により、18歳未満はID検索や電話番号での友だち検索など、一部の機能が使えない仕組みです。

中間整理は、各社が規約で決めるこの年齢を「使用適正年齢」と呼んでいます。そしてSNSなどの事業者に、子どもへのリスクの評価や保護措置、その内容の公表を「求めることが適当」とし、公表する事項の例として、使用適正年齢の設定とその理由、年齢確認の方法などを挙げました。国が年齢を一律に決めるのではなく、各社が決めた年齢とその根拠を外から見える形にしてもらう方向です。

年齢の確かめ方も検討されています

いまは多くのサービスで、登録時に生年月日を自分で入力する方法がとられています。中間整理はこの自己申告について「実効性には限界がある」と書いています。生年月日を偽って入力すれば、13歳未満でも登録できてしまうためです。

別の手法として、OSの年齢確認機能、携帯電話会社が持つ契約者の情報、マイナンバーカードなどが例に挙がっています。ただし、子どもの保護とプライバシーの保護を両立できる手法は「更なる検討が求められる」とされ、どれかに決まったわけではありません。先ほどのLINEの仕組みは、携帯電話会社の情報を使う方法の一例です。

事業者が取り組まなかった場合の報告徴収や勧告、罰則なども、「検討することが適当」という段階にとどまります。対象は事業者で、子どもや保護者に罰則を科す話ではありません。

フィルタリングは、知っていても入らない家庭があります

子どもが使うスマホを契約するとき、携帯電話会社は使う人が18歳未満かを確認し、フィルタリングについて説明して、有効にした状態で提供することが現行法で義務づけられています(第13〜16条)。一方で、保護者が「使わない」と申し出れば外せます。義務を負うのは事業者で、保護者に加入の義務はありません。

こども家庭庁の令和7年度の実態調査(有効回収数は青少年3,060人、その保護者3,158人、0〜9歳の子の保護者1,907人)では、フィルタリングを「知っていた」保護者は、「なんとなく知っていた」を含めると95.7%でした。「まったく知らなかった」は3.7%です。それでも、スマホを使う子の保護者のうち契約時に加入したのは54.3%で、「加入しなかった」が30.7%、「加入したが解除した」が10.3%でした。仕組みは知られていても、入らない、あるいは外すことを選ぶ家庭が一定数あります。

国もフィルタリングの限界を認めています。中間整理は、トラブルの多くがSNS上のやりとりや子ども自身の発信から生じているとして、閲覧制限を中心とする従来のフィルタリングには「様々な限界が明らかになっている」と書きました。そのうえで、利用時間やアプリ、課金、連絡先を管理できるOSのペアレンタルコントロールについて法的な位置付けを検討し、OS事業者への提供義務も「併せて検討する必要がある」としています。iPhoneのスクリーンタイムや、Googleのファミリーリンクがこれにあたります。

ルールが「ある」と答える割合は、子どもと親で違います

同じ調査で、家庭でネット利用のルールを「決めている」と答えたのは、子ども本人で67.2%、保護者で75.9%でした。学校段階が上がるほど割合は下がり、高校生本人は44.3%、高校生の保護者は58.3%です。

本人と保護者は回答者も人数も異なるため、この数字から特定の親子の認識が食い違っているとまでは言えません。それでも、子ども側と保護者側で「ルールがある」と答える割合には差があり、その差は高校生でいちばん大きくなっています。わが家にルールがあるかどうか、親子で一度確かめ合ってみるきっかけにはなりそうです。

中間整理は、ペアレンタルコントロールを、フィルタリングや時間管理などの技術的な手段と、「親子のルールづくり」などの非技術的な手段の両方を含むものとして定義しています。スマホの設定だけでなく、親子で話し合って決めることも、子どもを守る手立てのひとつに数えられています。

12月の最終報告を待つあいだに

国の最終報告は12月が目途で、法改正はその先になります。それを待たなくても、どのサービスを、何歳から、どんな設定で使うかは家庭で決められます。使いたいアプリの規約の年齢を、子どもと一緒に確かめるところから始めてもよさそうです。

家族のコミュニケーションをテーマにしたサービスを開発する中で、決めたことが家族の誰から見ても同じ形で残っていると、あとから話し合いやすくなると感じてきました。スマホのルールも、親が決めて渡すより、子どもと一緒に決めて家族が見られる場所に置いておくほうが、学年が上がって見直すときに立ち返りやすくなります。年末に箱を開けるまでの数週間は、その話し合いにちょうどいい時間です。

記事中の制度に関する情報は2026年10月1日時点のものです。WGの最終報告や法改正の内容によって変わる可能性があります。

出典

よくある質問

日本でも「SNSは◯歳から」と法律で決まるのですか?
2026年7月の中間整理は、一定の年齢未満の子どものSNS利用を法律で制限する制度を提案しておらず、その是非は「政府において引き続き議論」するとしています。最終報告は2026年12月が目途で、いつから何が変わるかを示す一次資料はまだありません。
13歳未満の子どもが使えるSNSはありますか?
X、TikTok、YouTube、Instagramの規約上の年齢は、いずれも13歳以上です。YouTubeは保護者が有効にすれば13歳未満も利用できると定めています。LINEの規約には最低年齢の定めがなく、未成年は親権者などの同意を得て使うこととされ、18歳未満は年齢確認によって一部の機能が制限されます。
スマホのフィルタリングは、必ず入らないといけないのですか?
青少年インターネット環境整備法で義務を負うのは携帯電話会社などの事業者で、18歳未満が使うスマホは原則としてフィルタリングを有効にした状態で提供されます。保護者が「使わない」と申し出れば外すことができ、保護者に加入の義務はありません。
スクリーンタイムやファミリーリンクは、フィルタリングと何が違いますか?
従来のフィルタリングは、有害なサイトの閲覧を制限する仕組みが中心です。OSのペアレンタルコントロールは、利用時間やアプリ、課金、連絡先なども管理できます。中間整理は、こうした機能の法的な位置付けや、OS事業者への提供義務を検討する必要があるとしています。
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