収入保障保険とは?仕組みと選び方

保険memStock編集部(更新: 2026年10月13日)
収入保障保険とは?仕組みと選び方

子どもが生まれて生命保険の見積もりを取ると、死亡保険金をまとめて受け取る定期保険と並んで、毎月決まった額を受け取る「収入保障保険」の案が出てくることがあります。保険料は比べやすくても、年金月額をいくらにするか、何歳までの保障にするかは、見積もりを見ただけでは決められません。

この記事では、収入保障保険の仕組み、名前の似た就業不能保険との違い、遺族年金を差し引いて年金月額と満期を決める手順を、生命保険文化センター・日本年金機構・厚生労働省・国税庁の資料をもとに整理します。個別の商品は扱いません。数値は2026年10月時点で確認できたものです。

収入保障保険は死亡後に満期まで年金を受け取る定期保険

生命保険文化センターの説明では、収入保障保険は一定の保険期間内に被保険者が死亡した場合、それ以後、契約時に定めた満期まで年金を受け取れる保険です。満期保険金はありません。同センターは定期保険の受け取り方として一時金と年金の2つを挙げ、年金で受け取る形は一般的に収入保障保険という名称で販売されていると説明しています。収入保障保険は、定期保険の一種と考えると位置づけがつかめます。

年金を受け取れる回数は、いつ亡くなるかで変わります。加入して間もなく亡くなれば満期まで長く受け取り、満期の直前なら回数はわずかです。ただし受取回数には2年・5年などの最低保証があり、満期までの回数がそれに満たない場合は最低保証分を受け取れます。

受け取りは毎月のものが多く、年金月額は最低5万円とする生命保険会社が多いと説明されています。保険料の払込期間は一般的に保険期間と同じで、解約返戻金はあまり無いものが多くなっています。解約返戻金を少なくした「低解約返戻金型」や、まったく無い「無解約返戻金型」は、保険料が割安になっています。たばこを吸わない人や、保険会社の定める健康状態の基準を満たす人の保険料を割安にする商品もあります。

就業不能保険とは支払われる場面が違う

収入保障保険の給付は「遺族年金」と「高度障害年金」の2つです。高度障害年金は、被保険者が生命保険会社所定の高度障害状態になったときに支払われるもので、病気やケガで仕事を休んでいるだけでは対象になりません。名前に「収入」とあっても、働けなくなったときの収入を補う保険ではありません。

働けない状態に備えるのは、就業不能保障保険(就業不能保険)です。病気やケガで所定の就業不能状態が所定の期間続いたときに給付を受ける保険で、就業不能になってから60日間などの支払対象外期間の後に受け取るタイプが一般的です。精神疾患を対象に含むかどうかも商品によって分かれます。

会社員には、働けないときの公的な給付もあります。協会けんぽの傷病手当金は、業務外の病気やケガで仕事を休み、連続3日間の待期の後、4日目以降の仕事に就けなかった日に支給され、支給期間は支給を開始した日から通算して1年6か月です。障害の状態が残った場合は、障害基礎年金(1級・2級)や、厚生年金の加入中に初診日があれば障害厚生年金(1級〜3級)を請求できます。

収入保障保険の中には、死亡・高度障害状態に加えて所定の障害状態や介護状態を保障する商品もあります。見積もりを比べるときは、名称ではなく、どんな状態で支払われるかを設計書や約款で確かめます。

年金月額を決める前に遺族年金を数える

収入保障保険で用意するのは、家族の毎月の支出のうち、公的な遺族年金と配偶者の収入で足りない部分です。生命保険文化センターも、死亡保障の必要額の目安を、遺族の支出見込額から遺族年金・配偶者の就労収入などの収入見込額と預貯金などの自己資産を差し引いた不足分として説明しています。

遺族基礎年金は、亡くなった人に生計を維持されていた「子のある配偶者」または「子」が受け取れます。子は18歳になった年度の3月31日までの子か、20歳未満で障害等級1級・2級の状態にある子です。2026年4月分からの額は、子のある配偶者(昭和31年4月2日以後生まれ)が受け取る場合で年847,300円に子の加算額を足した額で、加算額は1人目と2人目が各243,800円、3人目以降が各81,300円です。

会社員や公務員など厚生年金に入っていた人が亡くなると、遺族厚生年金が上乗せされます。額は亡くなった人の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3で、在職中に亡くなった場合などは加入期間が300月(25年)に満たなくても300月とみなして計算します。

自営業やフリーランスなど国民年金だけに入っていた人が亡くなった場合、遺族厚生年金はありません。遺族基礎年金も子が18歳の年度末を過ぎると終わるため、同じ家族構成でも会社員の家庭より不足額が大きくなります。国民年金の第1号被保険者期間がある人が亡くなった場合は、別に寡婦年金や死亡一時金を受け取れる場合があります。

試算例でみる年金月額と満期

生命保険の選び方の記事で使った試算例を、そのまま収入保障保険に当てはめます。前提は、会社員の親が亡くなり、配偶者(昭和31年4月2日以後生まれ)と4歳・1歳の子が残る家庭です。亡くなった親の厚生年金は平成15年4月以後の加入のみで、加入期間は300月とみなし、平均標準報酬額は40万円とします。住宅ローンは団体信用生命保険で完済され、年金額の毎年の改定や2028年4月からの子の加算額の増額は入れていません。

遺族年金は、遺族基礎年金が847,300円+243,800円×2人=年1,334,900円、遺族厚生年金が40万円×5.481/1000×300月×3/4=年493,290円で、合計は年1,828,190円(月約15.2万円)です。上の子が18歳の年度末を過ぎると年1,584,390円になり、下の子が18歳の年度末を迎えるまでの約17年間の合計は約3,035万円です。

支出を生活費月25万円の17年分と教育費1,000万円、葬儀費用など200万円の計6,300万円とし、貯蓄400万円、配偶者の手取りを月8万円(17年分で1,632万円)とすると、不足額は6,300万円−(3,035万円+1,632万円+400万円)=約1,233万円です。これを収入保障保険で用意する場合、満期を下の子が18歳の年度末に合わせ、17年×12か月=204回で割ると年金月額は約6.0万円になります。

年金月額を6万円にすると、加入直後に亡くなった場合の受取総額は6万円×204回=1,224万円です。10年後に亡くなれば残り7年分で504万円、16年後なら残りは1年分ですが、最低保証が2年の契約なら2年分の144万円を受け取ります。子が育つほど残りの生活費や教育費は減っていくので、受取総額が減っていく収入保障保険の形と方向が合います。一方で、葬儀費用のように亡くなった直後にまとまって必要になるお金は、月々の年金では間に合わないため、貯蓄や一時金の保障で用意する分と分けて考えます。

同じ家庭で配偶者の手取りが月12万円なら、不足額は約417万円、月にすると約2.0万円です。年金月額の下限を5万円とする会社が多いことを考えると、収入保障保険では保障が大きくなりすぎるため、貯蓄の上乗せや保険金額の小さい定期保険と比べてから決めます。反対に、亡くなる親が自営業で遺族厚生年金が無い場合、17年間の遺族年金は約2,196万円にとどまり、配偶者の手取り月8万円で計算した不足額は約2,072万円、年金月額にすると約10.2万円です。

共働きの家庭は、夫婦それぞれが亡くなった場合を別々に計算し、どちらにどれだけの年金月額が必要かを出しておきます。

2028年4月の遺族厚生年金の見直しと満期

満期を末の子が18歳の年度末より先に延ばすかどうかは、子が独立した後の配偶者の生活費をどうみるかで決まります。ここに関わるのが、2025年6月に成立した年金制度改正法による遺族厚生年金の見直しで、施行は2028年4月の予定です。2026年10月時点ではまだ施行されていません。

見直し後は、18歳未満の子のない20〜50代の配偶者を原則5年の有期給付の対象とし、60歳未満の男性も新たに支給対象になります。子がいる場合は、子が18歳の年度末になるまでは現行制度と同じで、その後さらに5年間は増額された有期給付と継続給付の対象になります。有期給付の額は今の遺族厚生年金の約1.3倍です。5年が過ぎた後も、障害の状態にある人や収入が十分でない人は継続給付を受けられ、厚生労働省の説明では単身で就労収入が月額約10万円以下なら全額支給、収入がおおむね月額20〜30万円を超えると全額支給停止になります。

既に遺族厚生年金を受給している人、60歳以降に受給権が発生する人、2028年度に40歳以上になる女性は見直しの影響を受けません。今30代で子育て中の家庭では、子の独立後に配偶者が受け取る遺族厚生年金が、配偶者の収入によって変わる見込みです。配偶者が働き続ける見通しがあれば満期は子の独立までで足り、収入の見通しが立たなければ満期を延ばすかどうかを検討する、という順に考えます。あわせて、遺族基礎年金の子の加算額は年間約23.5万円から28万円に増える予定です。

受け取り方と税金、特約

収入保障保険の年金は、商品によって一時金での受け取りに切り替えられます。この場合の一時金は年金現価相当額になるため、年金で受け取る総額より少なくなります。

税金は、被保険者、保険料を負担した人、受取人が誰かで決まります。保険料を負担していた本人が亡くなり、配偶者が年金を受け取る形なら、年金を受け取る権利に相続税がかかります。毎年受け取る年金にかかる所得税は、非課税部分と課税部分に振り分けて計算します。

特約を付けるときは、支払われる条件を確かめます。リビング・ニーズ特約は、医師から余命6カ月以内と判断された場合に死亡保険金の一部または全部を生前に受け取れる特約で、特約の保険料は不要ですが、利息と半年分の保険料が差し引かれます。保険料払込免除特約は、がん・急性心筋梗塞・脳卒中などで所定の状態になったときや、所定の身体障害状態・要介護状態になったときに以後の保険料の払い込みが免除される特約で、免除の条件は会社や特約によって違います。

必要保障額の考え方や、定期保険・終身保険を含めた死亡保障の選び方、保険金にかかる税金は、次の記事で詳しく扱っています。

出典

よくある質問

収入保障保険と就業不能保険は同じものですか?
違います。収入保障保険は、死亡または所定の高度障害状態のときに満期まで年金を受け取る死亡保障です。就業不能保険は、病気やケガで所定の就業不能状態が続いたときに給付を受ける保険です。
年金月額はいくらにすればよいですか?
家族の毎月の支出から、遺族年金と配偶者の収入を差し引いた不足分が目安です。遺族年金の額は亡くなる人が会社員か自営業かで大きく変わるため、ねんきん定期便などで加入記録を確かめてから計算します。
満期は何歳にすればよいですか?
末の子が18歳の年度末を迎えるまでが一つの区切りです。その後の配偶者の生活費も保障するかは、配偶者の収入の見通しと、2028年4月施行予定の遺族厚生年金の見直しをあわせて判断します。
年金ではなく一時金で受け取れますか?
一時金での受け取りを選べる商品があります。その場合の一時金は年金現価相当額になり、年金で受け取る総額より少なくなります。
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この記事を書いた人

memStock編集部

memStock編集部は、家族の豊かな暮らしと家計管理を応援する記事制作チームです。ライフハック・節約・投資・保険など、日常生活とお金に関する実用的な情報を、確かな専門知識と多様な視点から分析・提供しています。読者の皆様が抱える日々の悩みや将来への不安を解消し、ワンランク上の生活を実現するためのヒントが詰まった記事をお届けします。 「家族の暮らしをより豊かに」をモットーに、わかりやすく実践的なコンテンツで皆様の人生設計をサポートします。

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この記事を監修した人

山田 尚貴

カリフォルニア州立大学ロングビーチ校卒業後、NTTPCコミュニケーションズでシステムエンジニアとして金融機関等のシステム運用などに携わる。2009年、株式会社エニドアを創業し代表取締役に就任。クラウドソーシングサービスの開発・提供を行う。M&Aにより会社を売却後、上場企業のグループ会社の経営を6年行った後、株式会社modoを創業し代表取締役に就任。家族向けのサービスmemStockの開発を行う。 二級ファイナンシャル・プランニング技能士、証券外務員一種を保有。2児の父。

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