NISAでインデックス投資をするメリット

子どもの教育費や夫婦の老後資金に向けて、NISA口座を開こうと考える家庭は少なくありません。金融機関のサイトを見ると、つみたて投資枠の商品一覧にはインデックスファンドが並び、「インデックス投資とNISAは相性がよい」という説明もよく目にします。では、何がどう得になるのでしょうか。
ここでは、NISAで運用益が非課税になる仕組みと、2024年から始まった制度の枠を金融庁の資料で確かめたうえで、インデックス投資のメリットである低コスト・分散・手間の少なさを順に見ていきます。数値は2026年10月時点のものです。
NISAで非課税になるもの
株式や投資信託を通常の口座で持つと、売却して得た利益や受け取った分配金に税金がかかります。上場株式等の譲渡益の税率は所得税15%と住民税5%で、これに所得税額の2.1%の復興特別所得税が加わるため、合計は20.315%です。金融庁はこれを「約20%の税金」と説明しています。
NISA口座で買った商品から得た利益は、この税金がかかりません。たとえば投資信託が値上がりして10万円の利益が出た場合、通常の口座なら2万315円が差し引かれますが、NISA口座なら10万円がそのまま残ります。分配金を受け取らずに再投資する場合も、税金で減らない分が次の運用に回ります。
一方で、NISA口座で売却して損失が出ても、ほかの口座の利益と相殺する損益通算や、翌年以降への繰越控除はできません。値上がりしたときの税金がかからない代わりに、値下がりしたときの税務上の救済もない制度だと考えておくと、口座の使い分けを判断しやすくなります。
2024年からのNISAの枠と期間
2024年1月に始まった今のNISAは、制度そのものが恒久化され、非課税で持ち続けられる期間にも期限がありません。2023年までのつみたてNISAは20年間、一般NISAは5年間という非課税期間がありましたが、それがなくなりました。
年間に投資できる額は、つみたて投資枠が120万円、成長投資枠が240万円で、両方を併用すると合計360万円です。生涯で非課税のまま持てる上限(非課税保有限度額)は1,800万円で、そのうち成長投資枠で使えるのは1,200万円までです。つみたて投資枠だけで1,800万円を使い切ることもできます。
限度額は買ったときの金額(簿価)で管理され、商品を売ると、翌年以降に売った分の簿価だけ枠が戻ります。教育費の支払いで一部を売却しても、また積み立て直せる仕組みです。
口座を開けるのは、利用する年の1月1日時点で18歳以上の国内居住者で、1人1口座です。つみたて投資枠と成長投資枠は同じ金融機関で使う必要があり、金融機関の変更は年単位でできます。2027年1月からは、つみたて投資枠に限って0歳から17歳も口座を開けるようになり、未成年の間の年間投資枠は60万円、非課税保有限度額は600万円です。
インデックス投資のメリット(低コスト・分散・手間の少なさ)
インデックスファンドは、日経平均株価やTOPIXなどの指標(ベンチマーク)に連動する運用を目指す投資信託です。これに対して、ベンチマークを上回る成果を目指して銘柄を選んで売買するのがアクティブファンドです。インデックス投資のメリットとしてよく挙げられる3点を、公的な資料で確かめられる範囲で見ていきます。
運用コストが低い
日本証券業協会は、パッシブ(インデックス)運用は指標に連動するよう機械的に運用するため、ファンドマネージャーに支払う報酬が比較的少ないと説明しています。アクティブ運用は調査や銘柄の入れ替えを積極的に行うため、コストが割高になる傾向があります。
投資信託を持っている間は、信託報酬(運用管理費用)が毎年差し引かれます。金融庁によると、つみたて投資枠の対象になっているインデックスファンドの信託報酬は、投資先が国内のもので平均0.27%、内外・海外のもので平均0.34%です(2026年10月8日時点)。
差は小さく見えても、長く持つほど広がります。毎年12万円を年初に積み立て、年5%で30年運用し、信託報酬を年末に差し引くという単純な前提で計算すると、30年後の残高は信託報酬0.2%なら約806万円、1.5%なら約633万円です。1.5%は、つみたて投資枠に入れられる海外型のアクティブファンドの信託報酬の上限と同じ水準です。実際の運用成果は毎年変動し、この計算は信託報酬の影響だけを比べるための目安です。
1本で多くの資産に分散できる
金融庁は、値動きの異なる複数の資産(国内と海外、株式・債券・不動産など)に分散して投資すると、価格の変動をある程度抑えられると説明しています。インデックスファンドは指数を構成する多くの銘柄にまとめて投資するため、1本買うだけで個別企業1社に集中する状態を避けられます。
つみたて投資枠の対象には、株式だけのものに加えて、株式と債券などを組み合わせた「資産複合型」もあります。2026年10月8日時点の対象商品372本のうち、資産複合型の投資信託は国内・内外・海外を合わせて162本です。
積立で続ける手間が少ない
インデックスファンドは、銘柄選びや売買のタイミングを自分で判断する必要がありません。金融庁は、あらかじめ決めた金額を続けて投資する積立投資について、高いときにだけ買ってしまうことを避けられると説明しています。
つみたて投資枠は、この長期・積立・分散の投資に向く商品に絞られています。積立の金額と頻度を一度決めておけば、相場を見て売買を判断し続ける必要はありません。長く続けると、運用で得た収益を元本に加えて運用する複利の効果も大きくなります。
つみたて投資枠の対象商品の要件
つみたて投資枠で買えるのは、法令の基準を満たし、金融庁に届け出られた投資信託とETFだけです。金融庁が告示で定める主な基準は、次のとおりです。
- 信託報酬の上限:国内型のインデックスファンドは0.5%、海外型のインデックスファンドは0.75%、アクティブファンドは国内型1%・海外型1.5%
- 購入時の手数料(販売手数料)がかからないこと
- 保有している間、その投資信託に関する手数料を金融機関に支払わないこと
- アクティブファンドは、純資産額50億円以上、運用期間5年以上などの条件も満たすこと
成長投資枠ではつみたて投資枠より幅広い商品を買えますが、信託期間20年未満のもの、毎月分配型の投資信託、デリバティブ取引を用いた一定の投資信託などは対象外です。インデックスファンドは成長投資枠でも買えるので、つみたて投資枠の120万円を超えて積み立てたい場合は、成長投資枠で同じ商品を買い足す方法もあります。
始める前に確認したいこと
インデックスファンドは指標と同じように動くため、指標が下がれば同じように値下がりします。日本証券業協会も、機械的に運用されるパッシブ運用は、下落局面で下がらないように努力するわけではないと説明しています。NISAで非課税になるのは利益であり、元本が保証されるわけではありません。
教育費のように使う時期が決まっているお金は、その時期に相場が下がっている場合も考えて、預貯金と分けて準備しておくと安心です。手数料が同じ指数に連動するファンドでも商品ごとに違うため、購入前に目論見書で信託報酬を確かめておきましょう。
インデックスファンドを選ぶときに比べたい項目は、こちらの記事で取り上げています。
出典
- NISAを知る(金融庁 NISA特設ウェブサイト) https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/know/index.html
- よくある質問(金融庁 NISA特設ウェブサイト) https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/question/index.html
- 資産形成の基本(金融庁 NISA特設ウェブサイト) https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/invest/index.html
- つみたて投資枠対象商品の概要について(金融庁、2026年10月8日時点) https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/products/20261008/28.pdf
- 非課税口座に受け入れることができる上場株式等の範囲に関する基準(平成29年内閣府告示第540号、金融庁) https://www.fsa.go.jp/common/law/kokuji/20170331nai540.pdf
- No.1463 株式等を譲渡したときの課税(申告分離課税)(国税庁) https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1463.htm
- No.1474 上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除(国税庁) https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1474.htm
- アクティブ運用とパッシブ運用どちらがいいの?(日本証券業協会「投資の時間」、金融経済教育推進機構サイト掲載) https://www.j-flec.go.jp/links/jikan/qa/096.html
- 投資信託の選び方のポイントは?(日本証券業協会「投資の時間」、金融経済教育推進機構サイト掲載) https://www.j-flec.go.jp/links/jikan/qa/050.html
よくある質問
- NISAのつみたて投資枠と成長投資枠は、別の金融機関で使えますか
- 使えません。二つの枠は同じ金融機関の1つのNISA口座で使います。金融機関は年単位で変更できます。
- 年間360万円を毎年使わないと損になりますか
- なりません。年間投資枠は使い切る必要はなく、生涯の上限1,800万円の範囲で、家計に合わせた金額で積み立てられます。
- NISAで値下がりした投資信託を売ると、税金は戻りますか
- 戻りません。NISA口座で生じた譲渡損失は、ほかの口座の利益との損益通算も、翌年以降への繰越控除もできません。
- 子どもの名前でNISA口座を開けますか
- 2026年10月時点では、口座を開けるのは利用する年の1月1日時点で18歳以上の人です。2027年1月からは、つみたて投資枠に限って0歳から17歳も口座を開けるようになります。
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カリフォルニア州立大学ロングビーチ校卒業後、NTTPCコミュニケーションズでシステムエンジニアとして金融機関等のシステム運用などに携わる。2009年、株式会社エニドアを創業し代表取締役に就任。クラウドソーシングサービスの開発・提供を行う。M&Aにより会社を売却後、上場企業のグループ会社の経営を6年行った後、株式会社modoを創業し代表取締役に就任。家族向けのサービスmemStockの開発を行う。 二級ファイナンシャル・プランニング技能士、証券外務員一種を保有。2児の父。
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