お年玉を預かるなら、まず金額を書き残す

お年玉を親が預かることは、子の財産を管理する親権者の役割の範囲と考えられます。民法824条は2026年10月時点で、親権を行う者が「子の財産を管理」すると定めています。ただし管理と、親の判断で使うことは別の話です。預かるなら金額と行き先を記録して子どもに見せ、子ども名義の口座に入れる場合は本人に引き継ぐ時期を先に決めておきます。
親が預かることは認められるか
預かること自体は認められると考えられますが、預かったお金を親が自由に使ってよいとまでは条文から読めません。2026年10月時点の民法824条の本文は「親権を行う者は、子の財産を管理し、かつ、その財産に関する法律行為についてその子を代表する」です。
この条文はお年玉を名指ししたものではなく、預かり方や記録のしかたも書かれていません。親がお年玉を預かることが常に適法だと一律に結論づける資料は、今回確認できませんでした。条文から読み取れる範囲は、子どものお金を管理する立場が親にある、というところまでです。
「家族なら使っても罪にならない」という話は、刑法244条1項の親族相盗例(家族間の盗みについての特例)から来ています。配偶者、直系血族、同居の親族との間の窃盗などについて、条文は「その刑を免除する」と定めています。刑を科さないという扱いで、行為を正しいと認める規定ではありません。返してほしいという民事上の問題も、この条文で消えるわけではありません。
預かる家庭はどのくらいあるか
いこーよの会員調査では、3〜5歳は親がすべて管理する回答が多く、6〜11歳は子どもが一部を持ち親が管理する回答が最多でした。いこーよファミリーラボが2025年11月に会員463人に行ったインターネット調査では、3〜5歳で「親がすべて管理」が78.0%でした。
| 年齢帯 | 親がすべて管理 | 子どもが一部を持ち、親が管理 | 子どもがすべて管理 | その他 |
|---|---|---|---|---|
| 3〜5歳 | 78.0% | 13.6% | 6.8% | 1.7%(まだ現金でもらう年齢ではない) |
| 6〜8歳 | 38.3% | 43.3% | 13.3% | 5.1%(口座に貯金など) |
| 9〜11歳 | 28.95% | 47.37% | 21.05% | 掲載なし(合計97.37%) |
6〜8歳では子どもが一部を持つ形が43.3%で、親がすべて管理する38.3%を上回りました。9〜11歳になると、子どもがすべて管理する家庭が21.05%まで増えています。ただし会員への調査で、年齢帯ごとの回答数は記事に書かれていません。全国の家庭の割合として読むことはできません。
子どもの側に聞いた調査もあります。小学館『小学8年生』の読者1,000人調査(HugKum、2022年1月5日掲載)は「毎年お年玉はどう使っていますか?」と質問し、25%が親に預ける、35%が自分の口座に貯金すると答えました。設問は使い道なので、親が預かったあとの扱いまでは分かりません。
どのくらいの額を預かることになるかは、受け取る総額と1人分の相場を分けて見ると見当がつきます。
預かるときに残す記録
記録には、誰からいくらもらい、そのうちいくらを親が預かり、どこに置いたかを書きます。確認した民法824条の条文に記録の義務を定めた文言はなく、法律上の手続きというより、家族のあいだの約束として残すものです。
| 項目 | 書く内容 | 子どもに見せる時期 |
|---|---|---|
| もらった日・くれた人 | 日付と「祖母」「おじ」などの名前 | 受け取ったその日 |
| 金額 | 袋ごとの金額 | 受け取ったその日 |
| 手元に持つ額・預かる額 | 子どもが持つ分と親が預かる分の内訳 | 受け取ったその日 |
| 置き場所 | 子ども名義の口座、家の封筒など | 入金・移動したとき |
| 使った額と用途 | 日付・金額・何に使ったか | 使ったとき |
| 残高 | 預かっている分の合計 | 毎年の正月 |
ノートでも表計算でもかまいませんが、子どもが自分で見返せる場所に置きます。袋を開けるときに子どもも同席し、金額を一緒に読み上げてから書けば、あとで「もっとあったはず」と言われても数字で確かめられます。
預かったお金を学用品や習い事の費用に回すなら、その分も日付と用途を書き残します。子どもが大きくなってから残高を聞かれたとき、何に使ったかを金額で答えられるようにしておくためです。
子ども名義の口座と名義預金
子ども名義の口座に入れたお金が子どものお金として扱われるかを、口座の名義だけで一律に判断できる資料は今回確認できませんでした。名義は子どもでも、実際の管理状況によっては名義人以外の預金と判断される場合があるとされ、名義預金と呼ばれます。お金の出所や、贈与が成り立っているか、誰が管理・運用しているかで判断が分かれるという説明も見かけますが、今回は一次資料で確かめられていません。
贈与税の線も確認しておきます。2026年10月時点の国税庁タックスアンサーでは、暦年課税の場合、1年間に贈与を受けた財産の合計額が110万円以下なら贈与税はかからず、申告も要りません。お年玉1件ごとの非課税枠ではなく、その年に受けたほかの贈与と合わせた合計で判定します。お年玉と同じ年にほかの贈与を受けたときは、その額も記録に並べて書いておくと合計を確かめやすくなります。
口座の開設や、本人が大きくなってから口座を引き継ぐ手続きについて、金融機関に共通するルールは今回確認できませんでした。使っている銀行で、何歳から本人が手続きできるかを聞いておきます。
いつ引き継ぐかを先に決める
返す時期は、預かる最初の年に子どもと決め、記録の1行目に書いておきます。「大きくなったら返す」のままでは、何歳を指すのかが親と子で食い違いやすくなります。
区切りの候補は中学入学、高校卒業、自分の口座を本人が出し入れできるようになったときなど、家庭ごとに選べます。お年玉をもらえる期間も目安になります。株式会社マルアイが2025年11月にお年玉をあげる予定の人へ行った調査では、いつまであげるかという質問に「高校卒業まで」が34.6%で最多でした。
使い道の決め方も同じ席で話します。預かった分から使うときは子どもが理由を言い、親が記録に書き足す。この手順にしておけば、9〜11歳で子どもが一部を持つようになっても、手元の分と預けた分を同じ台帳で見られます。
ノートの1ページ目に、子どもと決めた「返す日」を書いてから袋を開ける。次の正月は、そこから始められます。
出典
すべて2026-10-19に確認。
- 民法 第824条(e-Gov法令検索・2026-10-19時点) https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089
- 刑法 第244条(e-Gov法令検索・2026-10-19時点) https://laws.e-gov.go.jp/law/140AC0000000045
- タックスアンサー No.4402 贈与税がかかる場合(国税庁・2026年4月1日現在) https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4402.htm
- 3歳・4歳・5歳のお年玉調査(いこーよファミリーラボ・2025年12月25日) https://iko-yo.net/articles/21276
- 6歳・7歳・8歳のお年玉調査(いこーよファミリーラボ・2025年12月25日) https://iko-yo.net/articles/21277
- 9歳・10歳・11歳のお年玉調査(いこーよファミリーラボ・2025年12月25日) https://iko-yo.net/articles/21278
- お年玉の使い道を小学生1000人に大調査(HugKum編集部・2022年1月5日) https://hugkum.sho.jp/319429
- 2026年お年玉に関する実態調査(株式会社マルアイ・2025年12月16日) https://maruai.co.jp/news/p8113/
よくある質問
- お年玉を親が預かるのはよくないことですか?
- 民法824条は親権者が子の財産を管理すると定めており、預かること自体はこの範囲に入ると読めます。預かり方の受け止めは家庭によって違いますが、金額と行き先を記録して見せておけば、子どもは自分のお金がどこにあるかを確かめられます。
- 親が預かったお年玉を使ってしまうのは普通ですか?
- 民法824条は親に子の財産を管理する立場を定めていますが、自由に使ってよいとは書いていません。子どものための支出に回すなら、日付・金額・用途を記録して子どもに伝えておきます。
- 成人してから返してほしいと言って断られたら、どうしようもないですか?
- 刑法244条は家族間の窃盗などについて刑を免除すると定めていますが、行為を合法とする規定ではなく、民事上の返還の問題は残ります。返還をどう求められるかは、今回確認した刑法244条と民法824条の条文からは分かりません。
- 親管理と子ども管理、どちらが多いですか?
- 親管理と子ども管理のどちらが多いかは、年齢帯で分かれます。いこーよファミリーラボの2025年11月の調査では、3〜5歳は「親がすべて管理」が78.0%でした。6〜8歳と9〜11歳は「子どもがいくらか持ち、親が管理」が最多で、43.3%と47.37%です。会員463人への調査で、全国の割合ではありません。
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