台風の休校、前日の午後1時までに知らせる自治体があります

生活/暮らしmemStock編集部
台風の休校、前日の午後1時までに知らせる自治体があります

夜のニュースで、進路予報円が自分の住む県にかかっていました。明日は学校があるのか、仕事はどうするのか、電車は動くのか。何も決まらないまま、とりあえず寝ます。

台風のたびにこうなる、という家庭は少なくありません。けれど台風は、地震と違って何日も前から形が見えてくる災害です。気象庁は5日先の見通しを出し、鉄道会社も学校も、それぞれのタイミングで判断を知らせます。

5日先までの見通しは、毎日11時と17時に出ています

警報級の現象が5日先までに予想されるとき、気象庁は「早期注意情報(警報級の可能性)」を[高][中]の2段階で発表します。3日先から5日先までの分は週間天気予報に合わせて毎日11時と17時に、明日・明後日の分はこれに加えて5時にも更新されます。

このうち大雨・土砂災害・高潮の[高][中]は、避難情報の5段階のいちばん下、警戒レベル1にあたります(暴風や波浪の早期注意情報は、この5段階に対応しません)。気象庁が示すとるべき行動は「災害への心構えを高める」。家族の側では「明後日から先の予定をもう一度見る」という作業に置き換えられます。

台風の上陸数の平年値(1991〜2020年の30年平均)は年間3.0個で、月別では9月の1.0個が最多です。10月も接近1.7個・上陸0.3個で、シーズンは終わりません。2026年はここまで2個(9月9日時点の速報値)、2020年は0個、2019年は5個。年による差が大きいので、毎回その都度確かめることになります。

[高]も[中]も出ていない状態から、天候が急変して警報が発表されることもあります。段取りの前に、まず避難です。高知市が休校の判断基準に添えているのも「危険だと感じられる場合や避難が必要な場合は、避難してください」という一文です。

電車の「運休するかもしれない」は、前々日に出ることがあります

国土交通省は2019年7月に「鉄道の計画運休の実施についての取りまとめ」を公表しました。そこに添えられた情報提供タイムラインのモデルケースには、計画運休を始めるおよそ48時間前に運休の可能性を、およそ24時間前に具体的な運行計画を知らせる、という流れが例として書かれています。

これは決まりではなく、各社が自社のタイムラインを作るときの目安です。時間の起点も「台風の上陸」ではなく「計画運休を始める時刻」から数えます。48時間前に必ず何かが出るとは限らず、出ることがある、という程度に構えておくほうが実際に近くなります。

前々日の夜に「帰れなくなるかもしれない」という前提で動けるかどうかは、差になります。誰が早めに帰るか、買い物をいつ済ませるか。

取りまとめには、鉄道会社どうしの振替輸送が行われない場合や、台風が通り過ぎた翌朝の通勤時間帯に運転が難しくなる見込みを知らせる文例も載っています。動かないのは当日だけとは限りません。

休校を決めるのは校長、台風なら前日に決まることもあります

学校教育法施行規則の第六十三条にはこうあります。「非常変災その他急迫の事情があるときは、校長は、臨時に授業を行わないことができる」。主語は校長で、文末は「できる」。教育委員会へは、あとから報告する関係です。

この条文は幼稚園から高校まで準用されます(保育所と認定こども園は別の制度で動きます)。感染症で学級閉鎖や休校になるときは根拠が変わり、学校保健安全法第二十条の主語は「学校の設置者」、公立なら教育委員会です。同じ休校でも決める人が違います。ただし台風でも教育委員会は無関係ではなく、あらかじめ基準を示し、校長がそれに沿って判断する運用が多くなっています。

その基準を公表している自治体もあります。高知市の「台風等の自然災害時における臨時休業(休校)の判断基準」では、台風接近時は教育委員会から学校へ前日の午後1時までに連絡し、学校から各家庭に知らせる、と定めています。当日の朝6時に警報の有無で判断する基準は、台風ではなく突発的な悪天候に向けたものです。

いったん休校と決めたら、天候が回復してもその日は終日休校です。一日分の時間が空くことが、前日の昼には確定します。

高知市は一例で、基準を公表していない自治体もあり、時刻も違います。台風が近づく前に自分の市区町村と学校の決まりを読んでおくと、前日の夜の見通しが変わります。

停電は、たいてい短い。ただし長引くこともあります

経済産業省の電力レジリエンスワーキンググループの取りまとめでは、1軒当たりの年間停電時間は、北海道胆振東部地震や台風21号などがあった2018年度で全国平均225分でした。2019年度は一定の仮定に基づく推計で80分程度です。年に数時間、という水準になります。

一方、2019年の台風15号では最大約93万戸が停電し、停電件数がピーク時と比べて99%解消するまでに約280時間、およそ12日かかりました。倒木が道をふさいで現地の確認が進まず、復旧の見通しを出すこと自体が遅れた、と資料は説明しています。

前日までに家庭でできることは、道具をそろえるより、置き場所を家族で共有しておくことです。懐中電灯がどこにあるか、全員が答えられるか。停電したら冷蔵庫を開ける回数を減らす、という取り決めが通じるか。どちらも台風の前に、子どもと一緒に確かめられます。

はしゃいでも、甘えても、変化のサインです

ここから参照するのは、災害のあとの子どもに向けて書かれた資料です。休校で無事に家にいる状況にそのまま当てはまるものではありませんが、考え方の筋は使えます。

日本ユニセフ協会は「災害時の子どもの心のケア」で、災害を経験した子どもに見られる様子として「イライラしたり、興奮しやすくなる」と「甘えん坊になる」を同じリストに並べています。そのうえで「子どもが一時的にこうした行動や様子を示すことは、いたって自然で正常なことです」と書いています。はしゃぐのも離れないのも、同じ側にあります。

国立成育医療研究センターの「ご家族の皆様へ」にも「興奮しすぎる子どもやイライラする子どももいます。怖い体験をしたら当たり前に起きる反応です」とあり、「それを叱られると、不安が増してしまいます」と続きます。ただし日本ユニセフ協会は、こうした様子が数週間続くようなら専門家の助けを求めるように、とも添えています。自然な反応だという話と、相談しなくてよいという話は別です。

動画については、2つの資料が扱いを分けています。控えるように書かれているのは災害の映像です。「災害のTV映像をずっと続けて繰り返し見ることは控えさせましょう」(国立成育医療研究センター)。

一方で日本ユニセフ協会は「日ごろよく観ていたテレビ番組やお気に入りのDVDなどがあったら、できるだけそうしたものを観せてください」と書いています。台風中継をつけっぱなしにしないことと、いつものアニメを見せたことを、同じ後ろめたさで扱う必要はありません。

備えが終わった家に、時間が残ります

国立成育医療研究センターの資料には、こうも書かれています。「興奮するようなイベントは避けてください。たとえ楽しいことであっても」「できる限り、普段どおりの生活リズム(食事、入浴、睡眠の時間など)でお過ごし下さい」。台風の日に特別な催しを組み立てる方向を、公的な資料は勧めていません。

かといって、何もしないわけではありません。日本ユニセフ協会は「『遊び』は子どもたちの大切な『日常』です」と書き、「手遊び歌や指相撲など、道具を使わない何気ない遊びや自然とスキンシップが取れる遊び」を挙げています。遊びは日常の側にあって、イベントの側にはありません。

だから台風の日の過ごし方は、新しい何かを足すことではなく、いつもの時間割を家の中に持ち込むことになります。朝ごはんの時刻、昼寝、おやつ、お風呂。順番が同じなら、場所が家の中に寄っただけです。

家の中でできることをもう一つ挙げるなら、災害用伝言ダイヤル171の体験利用です。毎月1日と15日は0時から24時まで試せます。録音は1件30秒、電話番号あたり20件まで。

伝言を預けるサービスの利用料はかかりませんが、携帯電話などNTT東日本・西日本以外の回線からかける通話料は、各通信会社の扱いによります。30秒しかないので、何を先に言うかを家族で決めることになります。

国立成育医療研究センターと名古屋大学の保護者向け資料には、「もし◯◯になったら?」という状況を家族で話しておくことを「心の避難訓練」と呼ぶ箇所があります。家族のやりとりを扱うサービスを作っていると、こうして決めたことほど翌週には誰も覚えていない場面に行き当たります。決めたことをどこに残すかまで、台風の前の時間に入れておけると変わります。

同じ資料の最後には、こう書かれています。「『非日常』がもたらす変化というのは暗いものばかりではありません。たとえば、お子さんとの関係がより深くなったり、お子さんの思いがけない成長を感じたり」。

次に進路予報円が近づいてきたら、5日前の11時の更新を、家の誰が最初に見るでしょうか。そこから先の段取りは、家ごとに違います。

この記事は2026年9月時点の公表資料によります。防災気象情報の名称は2026年5月29日に変わりました。

出典

よくある質問

台風で学校が休みになるかどうかは、いつ分かりますか?
自治体によります。高知市のように、台風接近時は教育委員会から学校へ前日の午後1時までに連絡する、と基準を公表しているところもあります。当日の朝に判断する基準は、台風ではなく突発的な悪天候に向けたものです。基準や時刻は市区町村ごとに違うので、台風が近づく前に自分の自治体と学校の決まりを確かめておくと、見通しが立てやすくなります。
休校を決めているのは誰ですか?
台風などの非常変災による臨時休業は、学校教育法施行規則第六十三条が「校長」の判断と定めています。幼稚園から高校まで準用されます(保育所と認定こども園は別の制度です)。感染症による休業は学校保健安全法第二十条で「学校の設置者」、公立なら教育委員会が決めます。同じ休校でも根拠となる条文が違い、実際には教育委員会が示した基準に沿って校長が判断する運用が多くなっています。
計画運休は、必ず48時間前に発表されますか?
決まりではありません。国土交通省が2019年に示した情報提供タイムラインの「モデルケース」で、計画運休を始めるおよそ48時間前に可能性を、およそ24時間前に具体的な運行計画を知らせる流れが例示されているものです。時間の起点も台風の上陸ではなく計画運休の開始時刻です。実際のタイムラインは各鉄道会社が自社で作るため、利用する会社の運行情報を確認してください。
台風の日に子どもがはしゃぐのは、普通のことですか?
日本ユニセフ協会は、災害を経験した子どもに見られる様子として「イライラしたり、興奮しやすくなる」ことと「甘えん坊になる」ことを同じリストに並べ、「子どもが一時的にこうした行動や様子を示すことは、いたって自然で正常なことです」としています。ただし、こうした様子が数週間続くようなら専門家の助けを求めるように、とも書かれています。気になるときは、こども家庭庁の相談窓口や子どもの心の診療ネットワーク事業から地域の相談先を探せます。
台風中継を見ていると子どもが怖がります。動画も見せないほうがいいですか?
控えるように書かれているのは災害の映像です。国立成育医療研究センターは「災害のTV映像をずっと続けて繰り返し見ることは控えさせましょう」としています。一方、日本ユニセフ協会は「日ごろよく観ていたテレビ番組やお気に入りのDVDなどがあったら、できるだけそうしたものを観せてください」と書いています。いつも見ているものと災害報道は別に扱ってかまいません。
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