災害時の迎え、祖父母は登録が必要な学校も

防災・家庭の安全memStock編集部
災害時の迎え、祖父母は登録が必要な学校も

平日の昼に大きな地震が起きたら、都心で働く2人より、隣町に住む祖父母のほうが先に学校へ着けそうです。

災害時に学校が子どもを引き渡す相手は、引き渡しカードなどで事前に確認できる保護者か代理人です。祖父母や近所の人に頼む場合、横浜市立都岡中学校の例では、保護者が事前に依頼し、同意を得た成人を代理人としています。名簿に記載されていない親類には引き渡さないとする学校もあります。

学校が子どもを渡す相手は誰か

保護者と、保護者が前もって届け出た代理人です。文部科学省の「学校防災マニュアル(地震・津波災害)作成の手引き」(2012年3月)は、迎えに来た人が持参した引き渡しカードと学校保管のカードを照合し、「保護者又は代理人であることを確認する」流れを示しています。

同じ手引きは「あらかじめ引き渡しの判断などについて、学校と保護者の間でルールを決めておくことが必要です」と書いています。誰を代理人として認めるかも、この学校ごとのルールの中で決まります。代理人の条件は、子どもの学校のルールで確認します。

横浜市立都岡中学校の案内は、代理人を「事前に、保護者の方が、生徒の引き取りについて依頼をされ、同意をいただいた成人の方」と定義しています。小田原市立下府中小学校の引き取り訓練のお知らせには「親類の方であっても、引き取り人名簿に記載されていない方には、引き渡しません」とあります。

どちらも個別の学校の運用で、ほかの学校に同じ決まりがあるとは限りません。それでも2校とも、続柄だけでなく事前の依頼や名簿記載を重視していました。祖父母だから渡してもらえる、という前提で計画を立てないほうが安全です。

祖父母や近所の人に頼むときは何を決めるか

学校まで実際に行けるか、本人が引き受けているかを確かめてから届け出ます。都岡中学校の例で代理人の条件になっているのは、保護者からの事前の依頼、本人の同意、成人であることでした。

祖父母が学校から遠くに住んでいるなら、学校の近くで日中家にいる友人の保護者のほうが早く着ける場合もあります。代理人を複数登録できるかは学校に確認します。

都岡中学校の例では、カードに書かれた代理人が保護者より先に来校すれば、代理人に引き渡すとしています。

頼まれた側には、引き取ったあとどこへ連れて行くかも決めておいてもらいます。文科省の手引きは、引き渡しの際に「自宅以外の場所に引き取る場合は連絡先を確認する」としています。祖父母の家へ連れて帰るなら、その連絡先を学校で答えられるようにしておきます。

引き取ったあと、子どもが家で1人になる時間が出るかもしれない家庭は、年齢の考え方も一度確かめておくと判断がしやすくなります。

引き渡しが始まる基準と、始まらない場合

始める基準は学校ごとに決まっていて、全国一律の震度はありません。文科省の手引きには、震度5弱以上なら保護者が来るまで学校で待機させるという図がありますが、手引き自身が「上記はあくまでも例であり、学校周辺の交通事情等の環境によって十分検討し設定する必要があります」と書いています。

津波のように時間が限られる災害では、迎えに行っても子どもを連れて帰れないことがあります。手引きは「児童生徒等を引き渡さず、保護者と共に学校に留まることや避難行動を促す」対応も挙げています。迎えに来た保護者が、子どもと一緒に学校で待つか、学校と一緒に避難する場面です。

自分の子の学校の基準は、学校から配られた文書か学校のウェブサイトで確かめます。

台風などで前日に休校が決まる場合の連絡については、別の記事で扱っています。

両親とも都心勤務の日、迎えはいつになるか

その日のうちに迎えに行けない前提で、学校と事前に話しておくのが現実的です。

東京都帰宅困難者対策条例(2013年4月)は、事業者に「従業者が一斉に帰宅することの抑制に努めなければならない」と定めています。東京都の条例Q&A(2023年3月)は、帰宅の最終判断は各個人に委ねたもので「無理やり帰宅を阻止することは適当ではありません」と説明しています。

文科省の手引きは、保護者の帰宅が困難になる家庭の子どもについて「学校に留めるなどの事前の協議・確認が必要です」としています。迎えが夜になるかもしれないこと、それまで学校で預かってもらえるかを、カードを出すときに学校へ伝えておくと、当日に職場で迷う時間が減ります。

職場から家族と連絡が取れないときの安否確認の方法は、災害用伝言ダイヤルの記事にまとめています。

保育園・学童・小学校で違う点

よりどころにしている国の資料が違います。小学校は文部科学省の手引き、保育所はこども家庭庁が掲載する「保育所保育指針解説」(2018年2月)です。

保育所保育指針解説は「地震や火災などの災害が発生した時の対応等について各保育所でマニュアルを作成し」と書き、園ごとにマニュアルを作るよう求めています。保育園の引き渡しの運用は、学校の手引きでなく園のマニュアルで確かめます。

学童(放課後児童クラブ)の災害時の引き渡しは、2026年10月時点の運用を在籍する学童に確認します。代理人の登録方法も、保育園・学童・小学校それぞれの在籍先に確認します。

施設 よりどころの資料 引き渡しを始める基準 代理人の扱い 引き渡せないとき
小学校 文部科学省の手引き(2012年3月) 学校ごとに設定。手引きの例では震度5弱以上は保護者が来るまで学校で待機 カードを照合して保護者か代理人かを確認。条件は学校ごと(例:事前に依頼し同意を得た成人) 帰宅困難な家庭は学校に留めるよう事前に協議。津波時は引き渡さず学校に留まる対応も
保育所 保育所保育指針解説(2018年2月) 園のマニュアルで確認 園のマニュアルで確認 園のマニュアルで確認
学童 在籍先の案内で確認 在籍先の案内で確認 在籍先の案内で確認 在籍先の案内で確認

きょうだいが保育園と小学校に分かれている家庭で同じ祖父母に頼むなら、園と学校のそれぞれに登録方法を確認します。学童にいる時間帯に災害が起きた場合の引き渡し先も、学校とは別に学童の窓口で聞いておきます。

引き渡しカードには何を書き、いつ見直すか

カードの記入項目は学校の様式で確かめ、代理人を頼むならその人の名前と、自宅以外へ引き取る場合の連絡先を用意しておきます。手引きの流れでは、学校はカードで保護者か代理人かを照合し、自宅以外へ向かう場合はその連絡先を確認するからです。

祖父母が引っ越した、体調を崩して学校まで行くのが難しくなった、代理人を頼んだ近所の家が転居した、というときは年度の途中でも学校に書き換えを申し出ます。カードに名前が残っていても、その人が当日来られなければ代理人を書いた意味がなくなります。

子どもにも、カードに誰の名前を書いたかを伝えておきます。小さい子なら「地震のときは、おばあちゃんか〇〇くんのお母さんが来るよ」と、名前を挙げて話すくらいで足ります。

引き取り訓練がある学校なら、代理人も訓練に参加できるかを学校に聞いてみる手があります。

災害時の家の備えでは、浴槽の残し湯をためておくかどうかも迷いやすいところです。小さい子がいる家庭での考え方は、こちらの記事で扱っています。

今夜できるのは、祖父母か近所の誰か1人に「地震の日に学校まで迎えに行けるか」と聞いてみることです。引き受けてもらえたら、その名前を次に学校へ出すカードに書き込めます。

出典

すべて2026-10-22に確認。

よくある質問

引き渡し訓練とは何をする訓練ですか?
災害時に保護者や代理人が学校へ子どもを迎えに行き、学校がカードや名簿で確認して引き渡す流れを試す訓練です。小田原市立下府中小学校は「合同引き取り訓練」と呼び、その案内で、名簿に記載のない人には親類でも引き渡さないと明記しています。
保育園の引き渡しは小学校と同じですか?
同じとは限りません。保育所保育指針解説(2018年2月)は、災害時の対応について保育所ごとにマニュアルを作るよう求めています。災害時の対応は、通っている園のマニュアルで確かめます。
祖父母は事前の登録なしで子どもを引き取れますか?
引き取れないと考えて準備しておくほうが安全です。小田原市立下府中小学校の例では、親類でも、引き取り人名簿にない人には引き渡しません。祖父母に頼むなら、事前にカードへ名前を書いておきます。
共働きで両親とも迎えに行けないとき、子どもはどうなりますか?
文部科学省の手引き(2012年3月)は、保護者の帰宅が困難になる家庭の子どもを学校に留めるなど、事前に協議・確認するよう求めています。実際の待機時間は、カードを出すときに学校へ確かめておきます。

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