登下校の見守りGPS、選ぶ前に

育児・子どもの安全memStock編集部(更新: 2026年10月13日)
登下校の見守りGPS、選ぶ前に

小学校に入ると、子どもが一人で歩く時間が一気に増えます。学童や習い事に寄る日もあれば、友だちと別れて家までの最後の数百メートルを一人で帰る日もあります。仕事中の親が気になるのは、いまどこにいるのか、無事に着いたのかです。

見守りGPSの端末は、その不安に応えるための道具です。ただ、選ぶ前に確かめておくことがあります。登下校のどの時間帯に危険が多いのか、学校に持って行ってよいのか、海外の製品は日本で使えるのか。この記事では、政府の「登下校防犯プラン」と警察庁・こども家庭庁の資料、文部科学省の通知、総務省の電波のルールをもとに、家族の判断材料を整理します。内容は2026年10月時点で確認したものです。

子どもの被害は下校の時間帯に集中している

2018年5月、新潟市で下校途中の7歳の児童が殺害される事件が起きました。これを受けて政府の関係閣僚会議が同年6月22日にまとめたのが「登下校防犯プラン」です。プランは、道路上の身体犯の被害件数が全体では減っているのに、被害者が13歳未満の子どもの事件はほぼ横ばいで推移していると指摘しています。

警察庁がまとめたプランの概要によると、子どもの被害は登下校、特に下校時の15時から18時に集中しています(2015〜2017年の累計。土日を除き、道路上の事案に限る)。プランはその背景として、防犯ボランティアの高齢化と共働き家庭の増加で「地域の目」が減り、学校から離れた自宅周辺で子どもが一人で歩く「1人区間」などに「見守りの空白地帯」が生じていることを挙げています。

プランが示した対策には、通学路の合同点検、不審者情報の共有、「子供110番の家・車」への支援などと並んで、集団登下校、ICタグ、スクールバスなどを使った登下校の安全確保があります。プランは、ウォーキングや買い物、犬の散歩などのついでに防犯の視点で子どもを見守る「ながら見守り」の推進も掲げています。端末は、こうした地域の目が届きにくい区間を補うものと考えると、役割をつかみやすくなります。2025年3月の関係省庁の資料では、ICタグを使った登下校の管理など、ICTを使った自治体の防犯対策の事例を、こども家庭庁の「登下校防犯ポータルサイト」に載せているとしています。

GPSで分かることと分からないこと

見守りGPSは、子どもが持つ端末の位置を保護者のスマホで確かめる道具です。下校時間帯の「1人区間」で、いまどのあたりにいるのか、家に着いたのかを知る手がかりになります。一方で、端末は危険を避けてくれるものではありません。プランが「子供の危険回避に関する対策の促進」として防犯教育の充実を掲げているように、知らない人に声をかけられたときにどうするかは、子ども自身が身につけておく必要があります。

登下校の危険は、犯罪だけではありません。2026年の交通安全白書によると、2016年から2025年までの合計で、交通事故で亡くなったり重傷を負ったりした小学生は、歩行中が最も多くなっています。2021年から2025年の合計では、歩行中に事故に遭った小学生などの3割以上で、飛び出しが見られました。位置が分かる端末を持たせても、道路の渡り方は通学路を一緒に歩いて確かめるしかありません。

端末を選ぶ前に、家族で「何が分かればいいのか」を決めておくと、必要な機能が絞れます。地図で居場所を見たいのか、学校や家に着いたことだけ分かればいいのか、困ったときに子どもから知らせる手段がほしいのか。端末代や月額、電池の持ち、見守れる家族の人数は製品によって違い、主な見守りGPSの料金は別の記事で比べています。

通話やメッセージができる端末を選ぶときは、やり取りの相手を誰に限るかも決めておきます。警察庁によると、2025年にSNSに起因する事件の被害に遭った児童の数は高い水準で推移しており、小学生の被害児童数は過去10年で最多でした。見守りのために持たせた端末が、知らない人とつながる入口にならないよう、連絡先を家族に限れる設定があるかを確かめておきます。

買う前に確かめておきたいことと、確かめる先は次のとおりです。

確かめること どこで確かめるか
子どもが一人で歩く区間と時間帯 通学路を親子で実際に歩く
学校に持ち込めるか、申請が要るか 学校・教育委員会のルール(入学説明会、担任)
国内で使える端末か 本体やパッケージの技適マーク
連絡を取れる相手を家族に限れるか 製品の公式サイトの機能説明
誰が位置を見て、誰が動くか 家族の話し合い

学校に持って行ってよいかは学校が決める

登下校の見守りに使う端末は、学校に持ち込むことになります。文部科学省が携帯電話についての方針として示している2009年1月の通知は、小・中学校への携帯電話の持ち込みを原則禁止とすべきだとしています。そのうえで、携帯電話を緊急の連絡手段とせざるを得ない場合などには、保護者から学校長に許可を申請させるなどして、例外的に持ち込みを認めることも考えられるとしています。その場合も、校内での使用を禁止したり、登校後に預かって下校時に返したりして、教育活動に支障がないよう配慮するよう求めています。

通知は、学校と教育委員会が地域の実態を踏まえて基本的な指導方針を定め、子どもと保護者に周知するよう求めています。通話のできない見守りGPSを携帯電話と同じに扱うかどうかも含め、実際のルールは学校や自治体によって違います。入学説明会や担任への連絡帳で、持ち込みの可否、申請の要否、校内での置き場所を確かめておくと、買ってから困ることがありません。

同じ通知は、携帯電話を持たせるかどうかは、まず保護者が利便性と危険性を十分に理解したうえで各家庭で判断し、持たせる場合は家庭で利用のルールをつくるよう求めています。見守りGPSでも、誰が充電するか、どの場面で位置を見るか、ボタンを押したら誰がどう動くかを、子どもも交えて決めておきます。

海外の見守り端末を日本で使うときの注意

Fitbit Ace LTEは、Googleが米国で提供している子ども向けのスマートウォッチです。2026年10月時点のGoogleのヘルプページでは、7歳以上の子ども向けで、本体とFitbit Aceアプリは米国(アラスカと米国の海外領土を除く)でのみ提供されており、購入・設定・利用には米国内にいる必要があると案内されています。利用には「Ace Pass」というデータプランの購入も必要です。

海外で買ったり、個人輸入したりした通信機能付きの端末を日本で使うことには、電波のルールの問題もあります。総務省の近畿総合通信局は、日本と諸外国では周波数の割り当てなど電波の使用基準が違うため、外国規格の無線機は日本国内では違法となるおそれがあると注意を呼びかけています。国内で合法的に使える無線機には、一般に「技術基準適合証明マーク」(技適マーク)が付いているので、使う前に確かめるよう案内しています。見守り端末も、国内で販売されている技適マークのある製品から選ぶのが確実です。

秋から冬にかけては、下校の時間帯に日没が早まります。帰り道の明るさの変化と事故の傾向は、こちらの記事でまとめています。

出典

よくある質問

見守りGPSを持たせれば登下校は安全ですか
GPSで確かめられるのは端末の位置で、危険を避けてくれるわけではありません。政府の登下校防犯プランは、子どもの被害が下校時の15時から18時に集中していると指摘し、地域の見守りとあわせて、子ども自身の危険回避の力を育てる防犯教育を対策に掲げています。
小学校に見守り端末を持って行ってもよいですか
学校のルールによります。文部科学省の2009年の通知は小・中学校への携帯電話の持ち込みを原則禁止としつつ、緊急の連絡手段が必要な場合などは保護者の申請により例外的に認めることも考えられるとしています。見守りGPSの扱いも含めて、通う学校に確かめてください。
Fitbit Ace LTEは日本で使えますか
2026年10月時点のGoogleのヘルプページでは、Fitbit Ace LTEと専用アプリは米国(アラスカと米国の海外領土を除く)でのみ提供され、購入・設定・利用には米国内にいる必要があると案内されています。
海外で買った見守り端末を日本で使ってもよいですか
総務省の総合通信局は、外国規格の無線機は日本国内では違法となるおそれがあるとして、技適マークを確かめるよう呼びかけています。技適マークのない端末は使わないのが確実です。
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